[2016年9月4日最終更新]
推理将棋第104回出題の104-3の解答、第104回出題の当選者(加賀孝志さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
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推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
104-3 上級 チャンプ 作 美野樫9兄妹の一局(その12) 14手
健一「ようやく源三もエンジン全開ってとこだな」
四郎「六実のお陰だね」
源三「スマンかったな六実、気ぃ遣わせてもうて」
六実「ん~?なんのこと~?」
隆二「やれやれ・・・(どうやら買い被り過ぎのようだぜ)」
八重「九美、戦の支度はよろしくて?」
九美「いつでも行けるよぉー」
健一「お、それなら隆二俺たちも一緒にどうだ?」
隆二「兄貴に誘われちゃ断れないな」
圭五「よっしゃー!サイド攻撃で崩してオレのヘディングが炸裂って、おーい!」
七海「4人で行ってしまわれました・・・」
九美「ウチ達の後手だよぉー」
・・・対局開始・・・
圭五「ストライカー不在で誰がシュート決めるんだよー!」
四郎「ははは、でも心配いらなかったみたいだよ?」
隆二「ちゃんと14手で詰ましておいたぜ」
八重「ま、熱い方がいなくとも快勝ですわ」
健一「そういや全員、成も不成も付かない桂の手を指してたよな?」
九美「駒を取る手が3回もあったけどぉ、3回とも桂で取る手だったねぇー」
さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 14手で詰んだ
- 後手は1、2、8、9筋への着手のみで4つ全ての筋で成も不成も付かない桂の着手があった
- 3回あった駒取りは全て桂で取る手だった
出題のことば(担当 NAO)
桂馬を両端で上手く活用する手順を推理しよう。
追加ヒント
29桂成で取った桂を8筋に打つ。先手玉は8筋で詰まされる。
修正
『駒を取る手が3回あった』→『3回あった駒取りは全て桂で取る手だった』に修正
推理将棋104-3 解答 担当 NAO
▲9六歩 △1四歩 ▲9七角 △1三桂
▲9八飛 △2五桂 ▲6八玉 △1七桂不成
▲7八玉 △2九桂成 ▲8八玉 △8四桂
▲7八金 △9六桂 まで14手.
(条件)
・後手は1、2、8、9筋への着手のみ(14歩 13桂 25桂 17桂不成 29桂成 84桂 同桂)で4つ全ての筋で成も不成も付かない桂の着手(13桂 25桂 84桂 96桂)があった
・3回あった駒取りは全て桂で取る手だった(17桂不成 29桂成 96桂)
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本作、美野樫兄妹シリーズの第12問は、健一、隆二、八重、九美の年の離れた四兄妹が登場。1,2,8,9筋と大きく両サイドを使った攻撃は、センターフォワードが不在のまま詰みを目指します。詰みの形が見えにくい難問でした。
- 特殊な"桂"の効きを利用する吊し桂で詰む形を想定して手順を推理します。
- 14手のうち後手の着手は7回。1,2,8,9筋全ての筋で"成も不成りも付かない"桂の手を指すには、単純に考えると「14歩~13桂~25桂」と「94歩~93桂~85桂」の組み合わせだが、着手7回のうち6回も使ってしまって、残り1手では到底詰みに届かない。
- そこで、駒取り3回がいずれも桂で取る手ということから、右の1,2筋か、左の8,9筋のいずれかで自陣桂を使い、先手方の桂を取り、他方に打って使う方針に決定。
- 桂の手で詰ますとき、桂頭に玉が逃げられないよう、桂頭に攻め駒を利かすか、頭の丸い玉方の駒(角か桂)を置いておく必要がある。吊し桂で詰む玉位置はどこだろうか。右辺では28,29,38、左辺では77,78,79,88,89などが考えられるが、吊し桂の頭=玉のコビンに頭の丸い角をおけるのは77,79,88のいずれか。77玉は退路塞ぎが難しく、有力な79玉はとどめの87桂が"不成"となって失敗する。結局、97角-88玉型を96桂で詰ます形を構築する手順が正解。
- 後手は止めの桂を盤面右側で入手し、先手は玉の退路を塞ぎつつ88玉型を築いていく。5手目の98飛がポイント。初手から「▲96歩 △14歩 ▲97角 △13桂 ▲98飛 △25桂 ▲68玉 △17桂不成 ▲78玉 △29桂成 」
- 止めは84に打った桂を96に跳ねて吊し桂の詰み。11手目から「▲88玉 △84桂 ▲78金 △96桂」まで。
- 出題時の修正前「駒を取る手が3回あった」では、先手角が93に飛び込んで後手が93から桂を活用する余詰め筋がありました。
(修正前の余詰1、ご指摘は斧間徳子さん。Pontamonさん、小木さんの余詰め解も同様の筋。手順前後も多数あり)
▲76歩 △14歩 ▲66角 △13桂 ▲93角成(不成) △同桂 ▲68玉 △25桂
▲78玉 △85桂 ▲68飛(金) △97香成 ▲86歩 △87(96)角 まで。
(修正前の余詰2、山下さんの余詰め解。手順前後あり)
▲76歩 △14歩 ▲66角 △13桂 ▲93角成(不成) △25桂 ▲68玉 △93桂
▲78銀 △85桂 ▲79玉 △97香(桂)成 ▲68飛 △88角 まで。
それではみなさんの短評をどうぞ。
チャンプ(作者) 「本作は八重と九美の仲の良い一面を描写したくて付け加えた一問です。故にこれまでの問題とは異なり、規則性の無い手順の並びとなっています。後手に関する条件のみを提示することで先手の7手を確定させるのが狙いでしたが、検討が甘く余詰めが生じてしまい申し訳ございません。個人的には手順よりも圭五のコメントがツボで、会話文は納得のいく仕上がりになったと思ってます(笑)皆さんいかがでしたでしょうか?」
Pontamon 「大きくサイドをかえて、右サイドから左足のバナナシュート。曲がりが甘いぞ。しかしディフェンダーに囲まれて身動きできないキーパー、ヘッドでクリアか?いや、オウン・ゴールです。ストライカー不在でもこれがあったか!」
斧間徳子(余詰解) 「5手目の成生や68飛と68金の非限定などを考えるとこれは余詰め順ですね。この作者の作品は、直近4作中3作で余詰めが生じています。もっと検討をしてから投稿してほしいものです」
■連作の投稿ですので、担当も十分に検討すべきでした。続けての余詰出題は申し訳ありません。
はなさかしろう 「双方我が道を行く一直線の手順。駒取制限は78玉の詰みを防ぐためでしょうか。桂はいろいろと使いでがありますね。久しぶりに68-3をおさらいしたりして面白かったです」
ほっと 「先手の指手に条件が無いため、順序が限定されるような手順を探しているうちに閃く。ユーモラスな詰上り。余詰筋はわかりませんが」
山下誠 「桂成・桂不成は全く許されないと、条件を誤解して悩んでいました。一直線に玉を囲う先手の手順がユーモラスです」
布哇斎 「条件の修正もあって、どちらかのサイドで桂馬を取って、もう一方のサイドの四段目に打って六段目に跳ねてつるし桂という詰み形は直感的に予想しやすかったです。お互いが、お互いの手をそっちのけで自分の手ばかり進めている感じがちょっとユーモラスでした」
たくぼん 「後手の6連続桂の着手はお見事でした。我が道を行く先手の着手もユーモラス」
■『我が道を行く』と『ユーモラス』。いずれも本作品を的確に表したキーワードです。
小木敏弘 「先手、後手それぞれわが道を行く感じが楽しいです。四回の駒取りなら、78玉を詰めるのですが、さらに進んで88玉とは予想外、数日かかりました。飛車が動き過ぎ!」
■確かに、"駒取りが4回あってそのうち3回は桂で取る"なら78でも詰みますね。そのため当初の修正案「桂で駒を取る手が3回あった」は棄却しました。
占魚亭 「吊るし桂をイメージできるかどうか、ですか。先手の桂を85で取って94に打つ筋を考えていました」
■94桂を86に跳ねる筋。89の退路を塞ぐのが難しい・・・
波多野賢太郎 「ヒントを見てようやくでした。そうか、この詰上がりがあったか、という感じでした。条件がちょっぴり複雑でしたが、やっぱりサイド攻撃に限定しても14手になると詰み筋がいろいろあるんだなと思いました」
S.Kimura 「81の桂馬を使うことばかり考えていたので、ヒントを見るまでこの手順に気づきませんでした」
RINTARO 「ヒント見たら、あっさり解けました。手順は面白いので、違う条件設定がありそうです」
渡辺 「最初に桂は指せないので後手は目一杯桂を指した『桂の使い手』ですね。
それにしても『成も生も付かない1289筋の桂4手』と『駒取の桂3手』の共通の手が1手しかないのは意外でした」
小山邦明 「成も不成も付かない着手があったというのが、桂が7段目まではいかないような感覚にさせる絶妙な条件でした」
■両側で桂を使う手順なら一目狭そうでもいろいろな手段がありました。
DD++ 「手数を3手4手で振り分けようと考えた瞬間迷宮入りする恐ろしい問題。ヒントなしで解くなら、片方は自前の桂を跳ねることになるが、五段目で止めては何の役にも立たない、七段目で止めては成生が限定できそうにない、ということで九段目まで跳ねることを主軸に解きはじめることができるかどうか」
■"手の振り分けを考える"のは高等テクニックです。"七段目で止めては成生が限定できそうにない"のは裏読みでしょうか。
隅の老人B 「5手目の98飛が妙手、王の囲い方が面白い」
諏訪冬葉 「7手あるとこんなに玉を囲えるんですね」
飯山修(無解) 「89王型の詰みを考えたが判りません。完敗」
桝彰介(無解) 「端の筋の指し手をサッカーに例えた美野樫兄弟の会話は面白いのですが、解けませんでした。先手玉が詰まされる場所は8九と決め打ったのですが、足りませんでした」
■一目、手数不足に思えるので88玉型は盲点でしたか。ヒントは"玉は88で詰まされる"にした方がよかったかも。
正解:17名 双方解:小木敏弘さん、Pontamonさん、山下誠さん
S.Kimuraさん 斧間徳子さん 小木敏弘さん 小山邦明さん
隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん DD++さん
波多野賢太郎さん はなさかしろうさん 布哇斎さん ほっとさん
Pontamonさん 山下誠さん RINTAROさん 渡辺さん
総評
はなさかしろう 「まだまだ続く10手詰旋風。推理将棋は奥が深いですね」
■9手以下ではほぼ詰み形に前例があるものがほとんどですが、10手となるとまだまだ新しい形と手順が残ってますね。
渡辺 「7月終りから8月前半は忙がしくてやっと解答できます」
隅の老人B 「1は簡単に解けたが、2は皆目解らない。寝ては夢、起きては現、これは嘘。1筋 or 9筋、はたまた、どの筋?どこで飛車が成るのやら。長考一番忘猛暑、これは大袈裟、暑い暑い。暑中お見舞い申し上げます」
■猛暑の中の解答、お疲れさまです。担当もこの暑さにバテバテでした。
Pontamon 「香龍会300回おめでとうございます。ところで、読みは交流に引っ掛けて"こうりゅう"ですかね、それともそのまま"きょうりゅう"?全国大会で『中合い』が「なかあい」ではなく"ちゅうあい"だと、将棋用語を覚えてきました(汗)」
占魚亭 「今月は、ほっとさんの作が面白かったです」
ほっと 「拙作を採用いただきありがとうございました。せっかくなので解答を送付します」
布哇斎 「今回は、丸1か月間中級の1問で悩み続けました。条件修正前に取り組んでいないので修正前だとわかりませんが、修正後だと、中級の方が難しいかなと感じました」
■香龍会300回の記念作品は大好評でしたが、難しく感じられた方も多かった。
小木敏弘 「久しぶりに締め切り前ヒントに頼らず良かったです。104-3の手順が限定されているのが素晴らしいです」
DD++ 「今月は比較的難度高めの3問でしたかね」
波多野賢太郎 「最近はヒントを見ないとなかなか全題解けません。ドラゴンズもグランパスも元気ないですが、香龍会も300回記念ということで、私も愛知県民として頑張って楽しく推理に挑みたいと思います」
RINTARO 「ヒントがあると見ちゃいますね。出る前に解けばいいんでしょうけど」
諏訪冬葉 「初級もヒントなしで解けなくなってるというのは解図力が落ちているのだろう」
■意外な1手があったり、想定外の手順があると迷宮に入ります。締切前ヒントも大いに使ってやってください。
小峰耕希 「推理将棋はあまり好きではないけれど、せっかく解けたのでメールします」
桝彰介 「2ヶ月連続で初級も難しくて1問も解けませんでしたが、久しぶりに初級が解けたので解答を送りました」
■初級1問だけの解答も大歓迎です。
推理将棋第104回出題全解答者: 23名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん 小木敏弘さん
小峰耕希さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん
攻めダルマンさん 占魚亭さん たくぼんさん DD++さん 波多野賢太郎さん
はなさかしろうさん 原岡望さん 布哇斎さん ほっとさん Pontamonさん
桝彰介さん 山下誠さん RINTAROさん 渡辺さん
当選: 加賀孝志さん
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