[2016年10月4日最終更新]
推理将棋第105回出題の105-3の解答、第105回出題の当選者(原岡望さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第105回出題 推理将棋第105回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
105-3 上級 はなさかしろう 作 モチヅキ・ナナと一途な後輩 15手
「部長さん! 見てください。ナナ先輩に一局教えていただきました!!」
「モチヅキと指したの?良かったねぇ。君は後手番で、15手で詰まされちゃったか」
「ナナ先輩といえば15と7ですよね。7筋でぐいぐい来られて、1回我慢できなくて」
「たしかに、同の手もなく、7筋以外への着手は君が1回指しただけだね。それから君、モチヅキが指したばかりの場所の2マス手前に5回も指しているけど」
「はい、ナナ先輩にできるだけついて行こうと思って。一緒に棋譜が作れて感激です!」
「おやおや。天にも昇る様子だねぇ。足許に気をつけるんだよ」
(条件)
- 15手で詰んだ
- 同の手はなかった
- 7筋以外への着手は後手の1回のみ
- 後手は直前の先手の着手点の2マス手前の地点に5回着手した※
※後手から見て2マス手前(例えば先手の76地点着手に対しては74地点)、つまり、先手の7筋n段目の着手に対して後手が7筋(n-2)段目に着手した場合にカウントします。
出題のことば(担当 NAO)
2マス離れた7筋の攻防手の組み合わせを推理しよう。
追加ヒント
7筋以外の手は8手目62玉。後手玉は75地点で詰まされる。
修正
『同の手はなかった』を追加
推理将棋105-3 解答 担当 NAO
▲7六歩 △7四歩 ▲7五歩 △7三桂 ▲7四歩 △7二飛 ▲7三歩不成 △6二玉 ▲7二歩不成 △7三玉 ▲7六桂 △7四玉 ▲7七桂 △7五玉 ▲7三飛 まで15手.
(条件) ・同の手なし ・7筋以外への着手は後手の1回(8手目△62玉)のみ ・後手は直前の先手の着手点の2マス手前の地点に5回着手(▲76歩→△74歩、▲75歩→△73桂、▲74歩→△72飛、▲76桂→△74玉、▲77桂→△75玉)
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1手を除き着手する筋が一つ7筋だけに限られているので、一見簡単そうだが実は難解な作品。意表を突く詰み形が浮かばないと迷宮に入ります。
解図には、玉がどこで詰まされるかの推理が鍵になります。
- 7筋以外の玉型は?
51玉(61玉、62玉)等を飛(龍)2枚並べて詰ます形が有力だが、2マス手前の7筋着手5回の条件と合致する手順はない。失敗例:▲76歩 △74歩 ▲75歩 △62銀 ▲74歩 △72飛 ▲78飛 △74飛 ▲同飛 △72金 ▲同飛成△78歩 ▲75歩 △73銀 ▲71飛 まで(2マス手前の手が4回)
- 71玉型
後手の飛金銀を奪う形が有力だが、これも条件と合致しない。失敗例:▲76歩 △74歩 ▲78飛 △72金 ▲75歩 △73金 ▲74歩 △72飛 ▲73歩不成 △62玉 ▲72歩不成 △同銀 ▲73歩 △71玉 ▲72歩成 まで(2マス手前の手が4回)
- 72、73玉型
いずれも退路塞ぎが困難で詰ます手段がない。
- 74玉型
有力な形。修正前条件では"同"の手を含む手順(後述の余詰)があった。
- 75玉型
正解は75玉型。一見逃げ道の多そうな中段玉が意表を突く。
まず後手は3連続で"2マス手前"の7筋に着手:初手から「▲76歩 △74歩 ▲75歩 △73桂 ▲74歩 △72飛」
次に桂と飛を先手に取らせる間、後手玉が移動。7手目から「▲73歩不成 △62玉 ▲72歩不成 △73玉」
桂打ち~桂跳ねの2マス手前に玉が進んで、玉の背後に一間離した飛打ちで詰み。11手目から「▲76桂 △74玉 ▲77桂 △75玉 ▲73飛」まで。
"天にも昇る"5段玉は玉頭の2枚桂に退路を塞がれ、"足許"の飛打ちに止めを刺されました。
- 修正前の余詰(ご指摘は渡辺さん)
▲76歩 △74歩 ▲78金 △62玉 ▲75歩 △73玉 ▲77金 △75歩
▲78飛 △76歩 ▲同金 △74玉 ▲77飛 △73桂 ▲75金 まで。
(1、2手目と3、4手目がペアで手順前後あり。13手目は72歩、73歩でも良い、14手目は73歩でも良い)
それではみなさんの短評をどうぞ。
はなさかしろう(作者) 「粗検お詫び申し上げます。力不足でした。7四玉型は最初の歩のやり取りと7三塞ぎで2回、控えの手(=2マス手前の手)ではない7筋の着手が必要と考えており、序の巧妙なやりくりを完全に見落としていました。本問は元々が手数+3条件で、そのうちのひとつが"同なし"でした。今回の投稿の際の条件変更は"同なし"を省くのが目的でしたので、全く成立していなかったことになります」
■余詰出題は担当も力不足で申し訳ありませんでした。"同なし"が入っていても十分に好作品と思います。
Pontamon 「上級こそは中級で一瞬頭を過ぎった二枚飛車だと決めつけて失敗。7筋の攻防に玉が参加するための62玉は気付き難いでしょうね。しばらくデジャブを感じていましたが、簡単な条件の違う作品を解いたことがあったのに気付いて精神的に一安心しました」
小木敏弘 「詰みかたちの予測が難しかったです。王様が上の方の気がしてきて解けましたが、75まで来るとは予想外、これもたっぷり二日かかりました。ヒントがとても面白いです」
波多野賢太郎 「条件からして難しそうでしたが、考えてみると意外と手が限られているんですね。"同"の手がない、というのも大きなヒントになりました。面白い詰上がりですね」
渡辺(双方解) 「最後の5手が2マス手前条件の感じが出ていていいですね」
■以上はノーヒントで解かれた4名のコメント。75玉型は意外性たっぷりでした。
金少桂(双方解) 「(ヒント前)作意より先に余詰解(10手目に同の着手あり)を見つけてしまった。この順が綺麗すぎて作意解が見つからない・・・。
作意がわかってないので手順の感想はおいておいて、現代ラノベ風の問題文が素敵、続きが読みたくなる。そして是非横に可愛い挿絵をつけてほしい!(残念ながら私には絵心がないので描けませんが)
(ヒント後)結局作意解の方はヒント待ちしてしまいました。おそらく中段玉じゃないかなという最初の直観は当たっていたのですが、余詰解が中段玉でしかもこれ以外の詰み形がなかなか見つからなかったので、作意は自陣で詰ますのかなと迷宮入りしてしまいました。この詰め上がりはとてもじゃないが見つけられなかったです。傑作」
ほっと(双方解) 「(ヒント前)手が限られているのに、結局ヒント無しでは修正前の余詰手順しか見つけられず。(ヒント後)作意の11手目以降は完全に盲点。好作です」
布哇斎(双方解) 「素直に詰みやすそうな形を考えると余詰めの方が出てきてしまいますね。中段玉なら7四と思っていたので、ヒントなしでは到底解けませんでした。詰上がりは見えなかったのですが、n-2を満たすための先手の駒の配置を試したら、いつの間にか詰んでいた感じです。この2枚桂は見事です」
■以上は余詰解を発見された3名のコメント。作意順は難解でした。
隅の老人B 「駒を動かす場所が限られていて、意外と簡単。ただ、駒の動きが3番目の条件に合っているかの注意は必要」
加賀孝志 「ヒントで3番追加宜しく」
たくぼん 「8手目62玉のヒントで最後の飛打ちに気付きました。難解でしたが好作と思います」
RINTARO 「唯一ヒントを見た問題。まさか75で詰むとは思わなかったです。75で詰むと分かれば一瞬でした。2同様、うまい手順です。ヒントの『8手目62玉』は蛇足だと思います。7筋以外の手は62玉しかありえないので」
■直前ヒントにはわかりきっていいることも織り込んでいます。62玉は当たり前でも"8手目"が鍵になり解けた方もおられるはずので蛇足ではないと考えます。
山下誠 「これで詰んでいることを確認するのに時間を要しました。直前ヒントがなければ全くのお手上げでした」
小山邦明 「面白い収束形だと思いました」
飯山修 「金や銀を取る手順は2マス間隔の着手が出来なくなり、泥沼。まさか玉が75迄上がってくるとは」
諏訪冬葉 「ヒントの玉位置から『どうやって左右の退路を塞ぐか』を考えました」
S.Kimura 「角と銀を取り,自陣の飛車を78に動かしてとどめを刺すことを
考えていたのですが,飛車は後ろからでしたか」
■玉位置が75玉とわかってしまえば攻め方を探せますが、玉型がわかっていても2枚桂と飛の攻めは想定外でした。
原岡望(無解) 「73銀か74飛と思うが手数超過で残念」
DD++ 「おもちゃ箱で初めてギブアップしてヒントを見ました。73桂に73歩から76桂は第一感だったんですが、73玉を72飛で詰ませるor74玉を73飛で詰ませるものと思い込んで(『足許に気をつける』を見て)迷宮入りしました。ヒントは『天にも昇る』の方でしたか……」
斧間徳子 「これは秒殺でした。ただし、締め切り前ヒントを見てからの話ですが。最後の5手と斬新な詰め上がりが見えませんでした。『会話に隠された謎』が解き明かせなくて残念」
■DD++さんをヒント待ちさせるとは、やはり相当な難問です。皆さん75玉型には意表を突かれました。『天にも昇る』が5段玉を暗示することが判ったのもほとんどの方は解けた後のようです。
正解:19名 双方解:金少桂さん、布哇斎さん、ほっとさん、渡辺さん
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん 金少桂さん
小木敏弘さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん たくぼんさん
DD++さん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん 布哇斎さん ほっとさん
Pontamonさん 山下誠さん RINTAROさん 渡辺さん
総評
小木敏弘 「初級に上級と同じくらい悩みました」
渡辺 「今回は手数の割には読みの量も少なく、易しめだったかと思います」
波多野賢太郎 「今回は中級問題が一番時間がかかりました。案外、上級が易しかったかもしれないです。毎回ですが、どの問題も条件の出し方がうまいなあと思います」
ほっと 「とりあえず、しばらくは解答を出したいと思います」
占魚亭 「上級が解けなかったのが心残り」
■今回は上級が解けたかどうかで難易度の評価が分かれました。
Pontamon 「今回は全体的に難易度が少し高めだった感じがしました。来月は94問題かな?」
■今年は94問題特集をお休みしました。
布哇斎 「今回はノーヒントで上級まで解けたと喜んでいたら、余詰めでがっかり。まあ、余詰めでよければ上級問題ではないですよね。それはさておき、見事な詰上がりの問題が多く楽しめました」
RINTARO 「3をノーヒントで解きたかったな」
隅の老人B 「今回は出題日に105-1を考えたが、サッパリ解らず、簡単にギブアップ。ここでの妙手は9月13日のヒント待ち。13日、ヒントを読んで再挑戦。おおよそ1時間で3題が解け?ました。この勢いで、今度は展示室の難問を解こうかな、です」
飯山修 「今回も直前ヒント頼りとなりました」
■困ったときの直前ヒント。大いに活用ください。
斧間徳子 「今月は飛車角が大活躍する作品が多いと思ったら、金銀の手が1手もないですね」
S.Kimura 「今回は3題とも初手が76歩でしたが,初手がすべて同じなのはあまりないような気がするのは,気のせいでしょうか」
■今回は変化球なく76歩の直球勝負でした。最も頻出する手ですので。
DD++ 「そろそろ年賀推理募集の時期ですか。来年のと再来年のは作るの難しそう」
■例年通り、"年賀"推理将棋を募集します。2017か29に関わる作品に限らず、11絡みでも構いませんので。
たくぼん 「今回は好作が多くレベルが高かった。またまた宣伝ですが、来月WFPが100号を迎えます。100号向けの作品も大募集(1人1作展)しておりますので何とぞよろしくお願いします」
■WFPもいよいよ大台に乗ります。1人1作展へのご投稿はもちろん推理将棋も可ですのでよろしくお願いします。
推理将棋第105回出題全解答者: 21名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん 金少桂さん
小木敏弘さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん
占魚亭さん たくぼんさん DD++さん 波多野賢太郎さん
はなさかしろうさん 原岡望さん 布哇斎さん ほっとさん Pontamonさん
山下誠さん RINTAROさん 渡辺さん
当選: 原岡望さん
おめでとうございます。
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