推理将棋第106回解答(1)
[2016年10月28日最終更新]
推理将棋第106回出題の106-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第106回出題 推理将棋第106回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第106回解説 担当 NAO
今回は19名から解答いただきました。易しめの選題、久々の余詰なしの出題でしたが、なぜか解答者数はやや減少。"余詰を出題した回は解答者が増える"という謎のジンクス(?)があり、それの反動かもしれません。
106-1 初級 NAO 作 43金の後は? 9手×2
A「たったの9手で負けちゃった。2手目に3筋の手を指した序盤が失敗で、43金が奇妙な一手だった」
B「僕も2手目3筋の手を指して9手で負かされた。43金の一手もあったから君の対局と全く同じ手順かもしれないね。終盤はどうだったの?」
A「平凡な収束だったけど、43金より後、成った手が印象に残ってるよ」
B「なるほど。僕の対局は、43金より後、4筋への金の手が勝負を分けたね」さて、二人が負けた対局とはどんな将棋だったのだろうか?
(条件A)
- 9手で詰んだ
- 2手目は3筋の着手
- 43金より後に、成る手があった
(条件B)
- 9手で詰んだ
- 2手目は3筋の着手
- 43金より後に、4筋への金の手があった
出題のことば(担当 NAO)
43金を指したのは先手か後手か推理しよう。
追加ヒント
2手目は△32金。
・A 後手が△43金と指す。止めは金を打つ手。
・B 先手が▲43金と打つ。止めは▲42金。
推理将棋106-1 解答 A: ▲4六歩 △3二金 ▲4五歩 △4四歩 (条件A) B: ▲7六歩 △3二金 ▲3三角成 △4二銀 (条件B) |
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本作は一つの着手"43金"の後の着手が異なる9手詰がテーマのツイン作品です。先手後手のいずれも"43金"を着手する可能性があり、残る条件との組み合わせで"43金"着手の先後が入れ替わる手順の対比を狙いました。
- 後手の△43金は?
後手が43金と指すには、△32金~△44歩~△43金の3手が必要。6手目△43金の後、7手目に先手が43金を取ればよい。しかも7手目が"成る手"ならば条件Aを満たす。
条件A:先手は4筋の歩を突き進めて"歩成"で43金を取ることができる。
初手から「▲76歩 △32金 ▲45歩 △44歩 ▲同歩 △43金 同歩成」
最後は金と飛の効きを外す協力手で詰み。8手目から「△72金 ▲52金」 まで。
- 先手の▲43金は?
先手が43金と指すには、角が成って馬で金を取って43地点に打つ手順。43に打った金を42に進めて詰ませば"4筋の金"の条件Bを満たす。
条件B:先手は角を成った後、金を取って打つ。後手は△32金~△42銀~△44歩の手順で協力する。初手から「▲76歩 △32金 ▲33角成 △42銀 ▲32馬 △44歩 ▲43金」
退路封鎖の協力手の後、止めの一手4筋の金"42金"で詰み。8手目から「△62銀 ▲42金」 まで。
"2手目3筋"で△32金を強要された後、43金着手のため空間を空ける△44歩と指すのが両局の共通点ですが、後手△43金と先手▲43金では、全く攻め筋が異なる展開を見せます。特に、Aの▲46歩からの突歩の攻めは一見遅いようで実は早い意表の攻めでした。
それではみなさんの短評をどうぞ。
NAO(作者) 「A,Bともに難易度初級のつもりでしたが楽しんでいただけたでしょうか。思いの外Aが難しかったようです」
■追加ヒント前、以下の7名から解答をいただきました。
RINTARO 「A:4筋から攻める手はすぐには見えないです。B:素直な手順。こちらが先に解けました」
小木敏弘 「A:今回の最難問で19時間消費。後手が自分で歩をついて金を43に持っていくのに三手も使うので、ないかなと思っちゃいました。その金を標的にするのが盲点でした。B:解けると難しい手順ではないのですが、夜となり朝となって12時間かかりました。二番目の難問」
Pontamon 「僅かな条件の違いで全く異なる手筋のツインの好作でした。Aはトドメが成る手だと思いがちだし、Bは▲53角成から▲43馬で金を取って▲42金とする手順の紛れ筋が気になって、先手の▲43金への頭の切り替えが遅れました」
斧間徳子 「条件Aは初手76歩を考えたので思いのほか苦戦でした。対照的な手順はツインに好適」
小山邦明 「A:大駒の動きのない推理将棋は珍しい気がしました。B:手順が全く異なる良いツイン問題だと思いました」
はなさかしろう 「久しぶりのツインですね。Bはすぐ解けましたがAがなかなか見えませんでした」
ほっと 「初手76歩と決め打った結果、条件Bはすぐに解けたものの、Aが解けずに今月最後まで残る。初級出題なので条件AとBは逆にした方が良かったかも」
■皆様、Aに苦戦されました。突き歩の攻めはバリエーションが少ないですが、たまに出題すると難問になることが多いです。
■以下は、追加ヒント投入後の解答者の短評です。
飯山修 「A:直前ヒントが出るまで全く判らず。初級じゃなーい。解けてみると成程初級。亀も兎に勝てるということか。改めて過去問を見ると詰パラ46番が酷似。36-3、79-1と風味が似ている。B:こちらは素直な問題。これぞ初級」
隅の老人B 「A:千里?の道も一歩から。歩一歩、これでOK。B:大駒の出動。簡単にAより先に解けたのが、Aに大苦戦の原因となる」
■突き歩の遅早。歩で金を取って頭金の手筋です。
山下誠 「A:角を使う言葉狩りを考え、この問題が最後まで残りました。B:こちらは一目でした。この影響でAが何日も手間取りました」
S.Kimura 「A:ヒントを見るまで、歩で金を取ることが思い浮かびませんでした。B:先手が43の金を動かす手順は限られていたので容易に解けました」
布哇斎 「A:手数の少なさと△4三金の後の成から、9手目に角成で詰みと決めつけて泥沼でした。いくら角が便利だからって、決めつけはよくないものです。B:Aで悩んでいるうちに、先手の4三金打のパターンとして、こちらが自然に浮かびました」
占魚亭 「43金着手のツイン。Aの方に少し時間がかかりました」
原岡望 「A:角と思い込み大苦戦。B:腕力で詰める」
たくぼん 「角で行くと思い条件Aで悩みました。歩で良かったとはね」
諏訪冬葉 「A:Bと同様に角を使うと思ったら7手目に金を取りつつ成る手がない。まさか歩とは・・・ B:『43に金を打って動かす』というパターンが浮かんだので解けました」
■"角の攻め"で43金の後、成る手は無いか?出題する方は無いことがわかっているので、これほど皆様を悩ませるとは思いませんでした。
加賀孝志 「A:ストレートで解けました。B:一粒で2度美味しい」
■多数の方がAに苦戦する中、さくっとAを解かれた方は少なかった。
波多野賢太郎 「どちらの手順もちょっと悩みました。ちょっとした条件の違いで、9手でもガラッと手順が変わって好ツインですね。2手目3二金は同じで、4三金は先後変わるという対比も面白いと思いました」
■2手目△32金。別の駒も匂わせますが、金の着手地点を限定し手順前後も防ぐ意味です。
DD++ 「居玉を二段目の金で仕留める基本的な形2つの対比。43金条件のクリア方法も対比的で、あとは2つめの条件の後半が同系統なら完璧でしたが、そこまではちょっと高望みしすぎですかね」
■"43金より後に、4筋の成る手があった"とすれば"4筋の金の手"と呼応しますが、流石にサービス過剰でしょう。
正解:19名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん 小木敏弘さん
小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん
DD++さん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん 原岡望さん
布哇斎さん ほっとさん Pontamonさん 山下誠さん RINTAROさん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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