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詰将棋データベースで遊ぼう 2 玉の通ったマスの数

[2017年1月9日最終更新] 通ったマス4の参考作品追加

詰将棋データベースで遊ぼう 2 玉の通ったマスの数

詰将棋には、昔から「全格めぐり」という夢がある。玉が81のマスをすべて巡るという条件の詰将棋だが、とてつもなく難しく、いまだ実現されたことはない。

現在、玉の通ったマス(最初にいたマスも含める)の一番多い詰将棋は、橋本孝治さんの煙詰で、49マスである。2番目は近藤さんの貧乏煙で、45マス。両方共煙でありながら手順のほとんどが趣向で、盤面を縦横無尽に動き回る神局ともいえる作品だが、それでも全格めぐりの観点からは6割程度しか達成できていない。橋本孝治さんの49マスは1985年の発表、同じ橋本さんのミクロコスモス(長手数録1525手、1986年発表)とともにこの30年間記録を更新する作品は出現してなく、全格めぐりへの道は果てしなく遠そうだ。

逆に通ったマス数が最も少ないのは1マス、つまり1回も玉が動かない詰将棋である。1回も動かないのではたいした作品は作れないと思うかもしれないが、なんと、この不動玉の詰将棋でも73手詰の作品がある。不動都「ボクハ更新サレマシタ」である。

2016年ももう年末だが、今年の初めの頃、ある人から「玉が二つのマスだけを動く詰将棋の長手数記録は?」と聞かれた。なかなか調べる機会のないまま1年たってしまいそうなので、今回、プログラムを書いて少し調べてみた。玉移動2マスのみの長手数記録作品は、相馬康幸さんの趣向詰、77手だった。相馬さんのホームページ詰将棋マニアックスにも 『相馬康幸 Anthology』 No.53として収録されている。今回、おもちゃ箱記録に挑戦!で項目をたてて登録したが、不動玉の記録73手からすると、まだまだ更新できそうだ。

玉移動1マスから10マスまでの作品について、長手数記録を調べてみたので、表にまとめておく。有名な作品が多いので図面は省略する。

*おもちゃ箱で紹介している作品については棋譜ファイルのリンクを追加した(2016年12月25日)
*移動マス数4の参考作品を追加した(2017年1月9日)

移動マス数 最長手数 作者 題名 発表 棋譜ファイル
73手 不動都 ボクハ更新サレマシタ 詰パラ2012年4月号
2012年1月号出題図の改良図
棋譜ファイル
77手 相馬康幸   詰パラ1999年2月号 棋譜ファイル
145手 上田吉一 モザイク 詰パラ1975年3月号
2009年4月修正
棋譜ファイル
201手 加藤徹 椰子の実 詰パラ1998年1月号 棋譜ファイル
4参考 261手
2手進めれば
移動マス数4
の259手
よしおか真紀   翼・香龍会詰将棋作品集第68番
詰パラ2003年11月号出題作品の改作
 
335手 今村修 天月舞 近代将棋1995年12月号 棋譜ファイル
207手 新ヶ江幸弘 渚にて 詰パラ2012年3月号  
393手 馬詰恒司 エアホッケー おもちゃ箱 2016年7月 棋譜ファイル
569手 田島秀男 まだら 詰棋めいと29号 2001年5月 棋譜ファイル
519手 田島秀男   詰パラ2015年10月号 棋譜ファイル
10 651手 今村修 ゴゴノソラ 近代将棋1995年8月号
1995年4月号出題図の修正図
棋譜ファイル
45 223手 近藤真一   おもちゃ箱 2009年10月
2009年8月号出題図の改良図
棋譜ファイル
49 651手 橋本孝治   詰パラ1985年5月号  棋譜ファイル

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コメント

上田吉一氏の「モザイク」は2009年に早詰が見つかり、78桂を持駒にして修正されていたと思います。
経緯は以下の記事で確認できます。→ http://shinshu.fm/MHz/88.11/archives/0000278753.html

この記事に収録されている棋譜も修正版に差し替えた方が良いと思います。

投稿: 神無七郎 | 2016.12.25 18:19

ご指摘ありがとうございます。修正版に差し替えました。
モザイクは1枚の銀の応手回数の記録作でもあり、2009年の指摘を受けて修正していたのをすっかり忘れていました。

投稿: TETSU | 2016.12.25 21:03

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