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詰将棋創作プログラミング 20 自動創作とは

[2017年1月14日最終更新] 反響のリンク追加

詰将棋創作プログラミング 20 自動創作とは

詰将棋パラダイス誌の2017年1月号のデパートで、eureka作品が5作発表されている。eurekaは、私とコンピュータが協力して創作した詰将棋で使用しているペンネームである。これまでに創作した作品はeureka作品集で見ることができる。これに関連して、ちえのわ雑文集で、自動創作を禁止すべし、という提言が掲載されている。内容は詰パラを読んでほしいが、ここでは「自動創作とは何か」について触れておきたい。

  • 「・・・ 今月号のデパート出題稿を見てみてほしい。これらは全て自動創作によって得られた作品とのことだ。そしてさらに驚くべきことに、その全てが好作。人の作る条件作の水準を大きく上回っていると私には感じられた。
     それもそのはず、何せコンピュータは1日に数万というオーダーで条件に合った完全作を得ることができるらしい。1日に1作を仕上げるのがやっとの我々が敵わないのも当然だ。条件作という領域から人が立ち退きを迫られる日はそう遠くないかもしれない。
     しかし考えてみると、なぜ我々がコンピュータにこの楽園を明け渡してやらねばならないのだろうか。・・・」 (詰パラ2017年1月号、ちえのわ雑文集)

詰将棋創作プログラミングの連載では、どういう考え方でどんな取り組みをしてどういう作品を作ってきたか、できるだけ詳しく公開しているのだが、この筆者は読んでいないのかもしれない。「とのことだ」、「らしい」と自分の直観と聞いたことだけで判断して「我々は自らの手でその果実を禁じられたものとしなければならない」とまでいわれると、最近将棋でも同じようなことがあっただけに、ちょっと恐怖を感じる。思いこんでいる人には、それに沿う説明以外はすべて納得できないといわれるのだろうなあ。

  • 「人間の脳とコンピュータは、処理方式が全く異なり、それぞれ違う得意分野がある。詰将棋の解答で人間を凌駕しているソフトウェアが、詰将棋の創作では人間に遠く及ばない。ならば、人間とコンピュータが協調して、おもしろい詰将棋を創作することを考えればよいのではないか。詰将棋作家の将棋ソフトの利用は、現在は検討(余詰チェックなど)が中心だが、それだけでも非常に大きな効果があり、解答・検討能力に優れた柿木将棋が詰将棋作家の必須ソフトになっている。創作活動全般にソフトウェアが活用できるようになったら、もっと多くの人が詰将棋を創作できるようになったり、新次元のすばらしい詰将棋が生まれてくる可能性もあるのではないか。」
     (TETSU、詰将棋創作プログラミング
  • 「1.妄想力と実現力
     詰将棋の創作には、おおざっぱにいうと二つの力が必要です。
     一つはどんな詰将棋にするか狙いやイメージを決める妄想力。仕事でいえば、企画、構想といった段階です。
     もう一つは、その妄想を実際に詰将棋に図化する実現力。ここは棋力が重要なので、棋力の低い私には大変です。
     妄想力はコンピュータには苦手で、ここは人間ががんばるところ。でも、実現力の方はコンピュータを活用すれば、かなり効率化できそうです。」
     (加藤徹、詰将棋パラダイス2014年7月号 おもちゃ箱だより)
  • 「一般に、能力のある一部の人しかできなかったことが、機械の支援によってできるようになると、自分たちの領域を侵食されることに対する反発と、これまであこがれていたことができるようになる喜びの両方の反応がでてくる。だんだん意識が変わってくると、機械にできることは機械にまかせて、人間はそれも活用してよりクリエイティブな領域に挑戦するようになっていく。
    ソフトの進化は止まらないので、それをいかに活用して楽しめるか考えたいものだ。」
     (TETSU、詰将棋創作での将棋ソフトの活用

詰将棋の創作は、大雑把にいうと次のようなフェーズになる。

1) 企画、構想(どんな詰将棋を作るか考える)

 どんな配置にするか、どんな手筋、趣向、構想、条件を織り込むか、作品の狙いを明確化

2) 図化(それが成立しそうな配置を考える)

 正算、逆算、全検など手法はいろいろ

3) 検討(狙いが成立しているか確認)

 手順が狙い通りか、余詰などがないか

4) 選定、推敲(最終的な作品を決定)

 いろいろある案からよいと考える図を決める

将棋ソフトなど存在しない時代は、もちろん、原則すべて人間(基本は作者だが、協力者、検討者、選者も)がやっていた。将棋ソフト(柿木将棋など)が登場し、進歩してくると、3)検討はソフト中心に行うのが普通になり、また2)図化でもソフトが大きな役割を果たすようになっている。しかし、図化、検討に柿木将棋が活用されたとしても、それで作られた作品を柿木将棋作とはいわない。柿木将棋は作者によって活用されているツールにすぎず、企画、構想も最終的な選定も作者が実施しており、そこにオリジナリティがあるからである。

コンピュータ(ソフト、AI)による自動創作といえるためには、1)から4)まで自動でできることが必要と考えるが、現在のところ、それは夢である。

詰将棋創作プログラミングで実現しているのは、上記で述べた現在の柿木将棋を活用した創作法の効率化である。一般に創作途中ではたくさんの図を検討する必要があり、その都度柿木将棋に入力して解答、検討を実行する必要がある。その部分の人間の操作をプログラムを組むことで自動化しているわけである。効率化されているとはいえ、創作法という意味では私が以前から創作していたのと同じである。

上記のことからeureka作品は他の私名義の作品と同様、私の作品と考えている。私もほかの人に説明するときに「コンピュータ作」ということがあるが、「自動創作」ということばが、私の作品であることを否定する意味で使われているのなら、とても悲しいことだ。

なお、柿木将棋IXは標準でプログラムから呼び出すことができ、プログラムが組める人なら誰でも同様のことができる(柿木将棋の活用参照)。たぶんほかにも実行している人がいるだろう。効率化、時間短縮は誰にとってもメリットなので、近いうちに創作法の一つのスタンダードになるかもしれない。

ちえのわ雑文集の提言について、ネット上でいくつか反響があったので、最後にあげておきたい。


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コメント

私のTwitterでのツイートが引用されていますが、「ちえのわ雑文集」の提言に反応した発言ではありませんから削除をお願いします。(2017年1月号もまだ読めておりません。)

投稿: route188 | 2017.01.05 07:51

すみません。ちょうど1月号が発行されたタイミングだったので勘違いしてしまいました。削除しました。

投稿: TETSU | 2017.01.05 11:39

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