推理将棋第108回解答(3)
[2017年5月18日最終更新]
推理将棋第108回出題の108-3の解答、第108回出題の当選者(ほっとさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第108回出題 推理将棋第108回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
108-3 上級 金少桂 作 完璧な対策 13手
「最近友人がよく10手前後で負けて帰ってくるので、明日の対局に備えて対策を考えてきたぞ!」
「どんなの?」
「まず、玉が陣外へふらふら出ていかないこと。二段目より上へ上がるのは危険すぎる。また、最初に玉から動かすのもあまりよくない。」
「確かに玉は守備駒から離れるべきじゃないね。」
「次に、自陣に敵駒が攻め込んできてるのに対処しないのはまずい。自陣に敵駒が侵入してきたらすぐに撃退するんだ。」
「ふむふむ。敵駒の侵入は絶対に許さない、と。」
「そして、最後に駒損しないこと。駒が取られたら、すぐにそれ以上の価値の駒を取り返すことだ。」
「完璧な対策だね!これならきっと勝てるよ!」翌日
「わ~ん、13手で詰まされた~~~。自陣に侵入してきた相手の駒は次の手で必ず取り返したし、駒を取られても次の手で必ずそれ以上の価値の駒を取り返し、ちゃんと対策通りにしたのに。初王手でいきなり詰んでるなんて、こんなのないよ~~~」
「2手目いきなり飛から動かすのもどうかと思うよ。やっぱり歩から動かすべきだったんじゃない?」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 13手目の初王手で詰んだ
- 後手玉は二段目より上には行かなかった
- 2手目は飛を動かした
- 後手は、自陣に侵入した先手の駒を次の手で必ず取った
- 後手は、自分の駒が取られたら、次の手で必ずそれ以上の価値の駒を取り返した
(駒の価値は飛>角>金>銀>桂>香>歩の順)
出題のことば(担当 NAO)
攻め駒が撃退されても初王手で詰む形を推理しよう。
追加ヒント
先手の着手は3筋のみ。後手は歩を取られたら歩を取り返し、桂を取られたら飛を取り返す。
修正
会話文:「わ~ん、13手で詰まされた~~~。ちゃんと対策通りにしたのに、初王手でいきなり詰んでるなんて、こんなのないよ~~~」
→「わ~ん、13手で詰まされた~~~。自陣に侵入してきた相手の駒は次の手で必ず取り返したし、駒を取られても次の手で必ずそれ以上の価値の駒を取り返し、ちゃんと対策通りにしたのに。初王手でいきなり詰んでるなんて、こんなのないよ~~~」
「2手目いきなり飛から動かすのもどうかと思うよ。やっぱり歩から動かすべきだったんじゃない?」
※元の会話文では、以下の手順が条件に外れるかどうかが不明瞭であった。
『先手が一度も後手陣に侵入しないケース』
『先手が一度も後手駒を取らないケース』
『最終手13手目に先手が後手陣に侵入するケース』
『最終手13手目に先手が後手駒を取るケース』
そのため「自陣への駒の侵入」と「駒の取り返し」があったことを会話文の中でも明示した。
条件『2手目は玉ではない』→『2手目は飛を動かした』に修正
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推理将棋108-3 解答 担当 NAO ▲3六歩 △5二飛 ▲3五歩 △4二玉 (条件) |
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2016年のトリは、攻め方にきびしい着手制限のある謎解き、金少桂さんの作品です。侵入した攻め駒はすぐ取られる、駒を取るとそれ以上の価値の駒を取り替えされる、完璧な守りをどう突破するのでしょうか?
- 後手陣内には攻め駒を残すことができないので、最終形は飛角香での合い効かずか桂単騎のいずれか。
- 駒取りに動かした駒は取り返す。取らせる後手駒は紐付きであるのが必要条件なので3段目で取らせるのがよい。先手は二の矢の攻めを用意するのがポイント。
- 先手は初めに3段目で歩を取り、次に取る駒が大事な攻め駒となる。このとき先手は攻め駒より価値の高い駒を渡すよう手順を組み立てる。
- 正解は吊し桂を目指す3筋攻め。初手から「▲36歩 △52飛 ▲35歩 △42玉 ▲34歩 △51金右 ▲33歩不成 △同桂」
- 詰形を考えて飛で桂を取れば、4段目の桂打ちので詰み形となる。9手目から「▲38飛 △32歩 ▲33飛不成[桂を取る] △同角[飛を取る] ▲34桂」まで。△32歩が玉の利きの駄目を塞ぐ地味な協力手。9手目▲76歩~▲33角不成とする手順は王手のため13手目が初王手でなくなるため失敗。
- 後手は敵駒の侵入を許さず駒得する鉄壁の対策で強固な巣籠の玉型を築きましたが、角頭の4段目吊し桂に仕留められました。
- 紛れ筋
一見、5筋香打の筋で詰みそうだが、「▲96歩 △62飛 ▲95歩 △54歩 ▲94歩 △55歩 ▲93歩成 △同香 ▲同香不成 △同桂 ▲97角 △52玉 ▲54香」は△53香合で失敗。また、9筋攻めから桂打の筋「▲96歩 △32飛 ▲95歩 △42玉 ▲94歩 △52金右 ▲93歩不成 △同桂 ▲同香不成 △同香 ▲97角 △51香 ▲54桂」
は、△同香の手が"取られた桂より価値の低い香を取る"手のため条件外れ。
- 修正前の余詰(ご指摘は、Pontamonさん、はなさかしろうさん、ほっとさん、小木敏弘さんの4名の方々)
1) ▲96歩 △54歩 ▲95歩 △55歩 ▲94歩 △52玉 ▲93歩成 △同香 ▲同香成 △同桂 ▲97角 △62香 ▲54香まで
2) ▲96歩 △54歩 ▲97角 △52玉 ▲26歩 △55歩 ▲25歩 △56歩 ▲26飛 △57歩不成 ▲16歩 △62飛 ▲56飛まで
なお、2)手順で2手目△62飛とする順も、"自陣への侵入"と"駒の取り返し"がなく、条件とは合致しない
それではみなさんの短評をどうぞ。
金少桂(作者) 「推理将棋はおバカな手順が多いので、真面目風(?)な手順で構築してみました。条件から最終手が四段目以下(三段目以内に侵入した先手の駒は次の手で後手が取らねばならない)、玉が二段目以内なので最終手が飛び道具での王手。飛角香での実現が難しく、"桂吊るし"しかほぼありえないことに気づけば比較的容易に解けると思います」
Pontamon(双方解) 「『終盤は駒の損得より速度』の格言通り、気持ちのいい飛車切りでした。後手陣外からのトドメなら、香や飛の合い効かず、桂や角の単騎、角でピンしての桂などが浮かびますが、玉まわりを固めなければいけない桂単騎は一番可能性が低いと思って後回しにしたため結構ハマリました」
ほっと(双方解) 「玉の周囲9マスを埋めて桂吊し、は何度見てもユーモラス。綺麗な作意に惚れると余詰筋が見えなくなるのも推理将棋あるある」
小木敏弘(双方解) 「先手角を活用しないのは盲点でした。香かと思いましたが桂でしたか」
DD++ 「最初玉は二段目にも上がってはいけないと勘違いして絶対無理だろうと思ってしまいましたが、それだと「2手目は玉ではない(修正前)」の意味がわからないことから間違いに気づいて、そこからはスパッと」
飯山修 「今回も直前ヒント頼みでした。侵入した駒がすぐ取られる=単騎詰と考えればいいんですね。巣籠にする最短手数を探す問題でしたか」
加賀孝志 「箱入り娘詰めを連想、面白い!」
占魚亭 「いやー、桂単騎詰だったとは」
■一目、香の筋が浮かぶのが普通でしょう。初めから桂吊しで詰むとは考えにくく、やや難しい問題と思います。最終形では中央に近い42地点の巣籠が完成し、吊し桂の詰みとは全く想定外の展開でした。
斧間徳子 「条件について、S.Kimuraさん、小木さんとまったく同じ不安に駆られました。条件が多くて複雑なため解図欲が失せ、ヒント待ち作戦に切り替えました。大変面白い手順なので、条件付けが勿体ない感じがしました」
S.Kimura 「質問への回答有難うございました。詰まされたら『対策』も何もないので詰ませる直前まで後手の駒を取らず、後手陣に侵入しなければ9手で詰むと勘違いしてしまいました」
■後手陣に侵入せず"合い効かずの飛"で詰む紛れ手順もありました。守りの対策を取っても、先手がその攻めをやってこないことには使えませんね。当初出題時は『一度も後手陣に侵入しない』『一度も後手駒を取らない』『13手目に初めて後手陣に侵入』『13手目に初めて後手駒を取る』これらの攻めが条件に合致するかどうか不明瞭でしたので、会話文を修正しました。
まさ 「初王手条件でうまく成生限定や余詰筋を防いでいる」
はなさかしろう(双方解) 「合い利かずか桂か。的が絞りにくいのですが、すぐ取り返される駒の成生は初王手条件で限定されているのだろう、と、なんとなく3三に手が伸びてくれました」
小山邦明 「『後手は、自陣に侵入した先手の駒を次の手で必ず取った』時の先手の駒の不成を、『初王手で詰んだという』条件で、うまく限定していると思いました」
隅の老人B 「初王手で詰み。この条件で、2度の不成が成立ですね、成る程」
■33地点への侵入は、王手にならないよう歩不成と飛不成。2回の不成が自然に入りました。
山下誠 「初手3二飛では手数超過を確認。詰上がり4三桂も同様。3二歩に気付いてようやく解決しました」
原岡望 「妙手32歩を打たせるため先に歩を進める」
布哇斎 「ヒントなしだと、中級同様自陣の駒の利きを活かした形がまず浮かび、この形は浮かびませんでした。10手目△3二歩で、手順も盤面もパズルのピースが見事に埋まり、実に快感でした」
■巣籠完成のため空孔を埋める歩打ちが地味な一手。敗着です。
RINTARO 「『先手の着手は3筋のみ』より、詰め上がり図が想定される」
たくぼん 「ヒントなしでは解けない難問。条件だけ見ても予想手順が浮かばない。先手3筋のみ+α条件でも創れそうです」
■あっさり解けないときは3日寝かす。それでも解けなければヒント待ちが定跡手順です。
波多野賢太郎 「この問題もヒントを見てようやく解けました。泣いちゃってるのに悪いですが、滑稽な終局でおかしかったです。余詰指摘でずいぶん条件が増えてしまいましたが、手順を限定させるのは難しいんだなと感じました」
諏訪冬葉 「次はどんなアドバイスをするべきでしょうか?」
■完璧な対策も守りでは失敗しました。次の助言は完璧な"攻め"でしょうか?
正解:20名 双方解:小木敏弘さん、はなさかしろうさん、ほっとさん、Pontamonさん
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん 小木敏弘さん
小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん たくぼんさん
DD++さん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん 原岡望さん 布哇斎さん
ほっとさん Pontamonさん まささん 山下誠さん RINTAROさん
総評
布哇斎 「初級を1か月考え続けてしまいました。どうも最近、初級の決め手の一手が盲点に入ってばかりです」
■盲点に入ったときの解けないもどかしさが推理将棋の面白さ。
久保紀貴 「いつもは答えを眺めるだけの推理将棋ですが、今回は初級の条件が面白そうだったので解いてみました。というわけで、一題だけですが解答させていただきます」
■一題だけの解答も大歓迎です。
山下誠 「今月は2で躓き、最終ヒントを見てからも数日考え込んでしまいました」
RINTARO 「2、3はヒントを見て解きました」
原岡望 「2と3はヒントを見てからの解答です」
■ヒントなしで初級を解き、ヒント待ちで中上級を解くのも定跡ですね。
小木敏弘 「歩の直進の威力が身にしみました」
■中級、上級が歩を進める好作品。歩を使うと手数がかかりますが、謎解き要素が深まって難しくなることが多いんです。
DD++ 「条件の箇条書きはつい分かりやすさ優先にしたくなりますが、一番大事なのはある手順が条件に合致するか否かが明確なことです。作意順だけでなく紛れ順や惜しくもない順まで考慮しないといけないので簡単ではないんですけれども」
■条件付けについて担当経験ならではのご助言をいただきました。今回の修正ケースでは紛れ順はともかく"惜しくない"手順で抜けがありました。
たくぼん 「今月は難しかったです。何とか解けて年が越せそうです」
はなさかしろう 「年の瀬に相応しい第108回。煩悩を払って新しい年を…これが載る頃にはもう明けているでしょうか。今年もありがとうございました。良いお年を」
波多野賢太郎 「いろいろ忙しいせいで、今回は落ち着いて解図に取り組めませんでした。ヒントでなんとか解けました。変則初形の問題は、短い手数でも新しい問題が作れそうですね。駒落ちの上手下手とか、ちょっとひねった問題も楽しみにしたいと思います。今年1年も推理将棋を楽しむことができました。ありがとうございました」
Pontamon 「2016年の最後は会話を楽しむ特集?拙作の長文作品が目立たずに済みました。今年の目標だった『ヒント前解答で全問正解』は達成できたはず。来年の目標は『自作手順を忘れないように投稿数を減らす』かな?実は108-2も手順を忘れていて、解図中に思い出したのでした。『14手順って何だ』を考えていて思い出し、18択とした方が良かったのにと自己反省した次第です。では、みなさん良いお年を」
隅の老人B 「この一年間、『おもちゃ箱』の推理将棋で楽しく遊ばせて貰いました。解ければニッコリ、解けない時は早くヒントが出ないかなの心待ちです。あれやこれやで、楽しい一時を過ごさせて頂きました、感謝します。来年も、宜しくお願いします」
■2016年末〆切りの結果稿が5月となり、たいへんお待たせしてしまいました。皆様のコメントも古新聞となって申し訳ありません。遅ればせながら2017年もおもちゃ箱推理将棋をよろしくお願いします。
推理将棋第108回出題全解答者: 21名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん 加賀孝志さん 久保紀貴さん
小木敏弘さん 小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん
たくぼんさん DD++さん 波多野賢太郎さん はなさかしろうさん
原岡望さん 布哇斎さん ほっとさん Pontamonさん まささん
山下誠さん RINTAROさん
当選: ほっとさん
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コメント
結果解説が遅延しており申し訳ありません。未だ109~111回の解説が未掲載ですが、解答発表を心待ちにされている方もおられるでしょう。正解手順だけでも先に発表して欲しいとのご意見もいただきましたので、『掲示板』に正解手順のみ(解説)を発表することとします。ご参照ください。
投稿: NAO | 2017.05.18 21:31
結局
『最終手13手目に先手が後手陣に侵入するケース』
『最終手13手目に先手が後手駒を取るケース』
は条件に合致するのでしょうか?もし合致しないのなら、
・先手は最終手以外で1回以上(1回もOK)後手陣に侵入したが、その場合後手は毎度侵入した駒を取る手で応じた
・先手は最終手以外で1回以上(1回もOK)後手の駒を取ったが、その場合後手は毎度取られた駒と同種の駒かより価値の高い駒を取る手で応じた
とすれば良いと思います。長すぎてパラ推理将棋では真似できないのですが...。
投稿: 渡辺 | 2017.05.18 22:00
「合致しないのなら」は「合致するのなら」の意味ですよね。
いずれもケースも合致しません。そうでないと対策といえませんので。
解説中の不明瞭であったというのは、いずれかのケースが「条件にあっているかのように誤解される恐れがあった」との意味です。
投稿: NAO | 2017.05.19 00:12
> 「合致しないのなら」は「合致するのなら」の意味ですよね。
いいえ、「合致しないのなら」です。
現在の条件だと「合致するのでは?」と言う疑いが晴れません。
投稿: 渡辺 | 2017.05.19 09:04
うーん、これでも疑いは晴れないのか....。難しいですね。
投稿: 渡辺 | 2017.05.19 09:07