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eureka作品集(44)

[2017年6月20日最終更新] リンク追加

eurekaは、詰将棋創作プログラミングの取り組みで、コンピュータとTETSUが協力して創作した作品で使用しているペンネームである。作品は詰将棋創作プログラミング 17 eureka作品集でまとめている。各作品について解答、解説を順次掲載していく。

eureka作品集(44) 創作プログラミング 作品44

Tst044 作品44 eureka 17手

大駒図式

  • 創作プログラミング 作品44 ★出題
     (おもちゃ箱 2017年5月)
    「合駒に注意 10手台」

▲2九飛打  △2七桂打  ▲同 飛(29)△1四玉(24)▲2三角打  △1三玉(14)
▲1五飛(45)△2二玉(13)▲3四角成(23)△3一玉(22)▲2二飛成(27)△同 玉(31)
▲1二飛成(15)△3一玉(22)▲2三桂打△4一玉(31)▲5二馬(34)
まで17手詰

変化:1手
▲2八飛打  △1四玉(24)▲4四飛(45)△1五玉(14)▲3三角打  △2四歩打
▲同 角成(33)△1六玉(15)
まで8手で不詰

変化:2手
△2五歩打  ▲同 飛(29)△1三玉(24)▲2二角打  △1四玉(13)▲1五飛(25)
△2三玉(14)▲1三飛成(15)△3二玉(23)▲3三角成(22)△2一玉(32)▲2二馬(33)
まで13手詰

変化:2手
△2六桂打  ▲同 飛(29)△1四玉(24)▲2三角打  △1三玉(14)▲1五飛(45)
△2二玉(13)▲4一角成(23)△3三玉(22)▲2三飛成(26)△4四玉(33)▲5六桂打
まで13手詰

盤面飛角、持駒飛角というダブル飛角図式とでも呼びたい美しい大駒図式。検索してみたら、下記しか見つからず、普通の飛角図式と比べてはるかに希少価値が高そうだ。

1) 中川輝夫      3手詰 詰パラ     1960年 9月 35馬|14玉33飛|飛角
2) 蟹江義長     17手詰 詰パラ     1962年11月 34龍|12玉23角|飛角 収束余詰
3) 蟹江義長      5手詰 詰パラ     1967年 5月 24飛|12玉32角|飛角
4) 鈴木享        5手詰 詰パラ     1975年 2月 42飛|21玉23角|飛角
5) 大前勝明     11手詰 将棋世界   1975年11月 68角77飛|69玉|飛角
6) 鈴木芳己     11手詰 詰パラ     1981年 3月 44角|21玉52飛|飛角 余詰
7) TETSU   19手詰 詰パラ     2002年11月 44龍|11玉55角|飛角
8) 関根茂       11手詰 夕刊フジ   2004年 6月 43飛|24馬31玉|飛角
9) 秋山和廣     21手詰 近代将棋   2007年11月 43角|11飛22玉|飛角
10) おおた葉一郎  7手詰 詰パラ     2008年 5月 13角|11飛12玉|飛角
11) 関根茂       11手詰 夕刊フジ   2013年 5月 8)と同じ
12) eureka       17手詰 おもちゃ箱 2017年 5月 45飛|24玉54角|飛角 *本作

この超簡素な図から、なんと最遠限定打、そして限定中合が飛び出す。

なぜ29飛でなければいけないのか。例えば28飛と打ってみると、14玉、44飛、15玉、33角と進み、16玉なら14飛までで詰むのだが、ここで24歩という捨て合があって逃れ。初手29飛ならばこのとき24歩と捨て合されても、同角成、16玉、25馬、17玉、14飛までで詰むのだ。

そこで29飛に対して受方は中合で抵抗する。どこでも取られるので歩か桂だが、歩を渡すと同飛に13玉と逃げるしかなく(14玉なら15歩から31角)、22角以下で詰んでしまうので桂合に決定。

桂合は25、26、27の3か所可能だが、25桂合は同飛、14玉に26桂打が生じるので歩合と同様、26桂合は同飛、14玉、23角、13玉、15飛、22玉、41角成以下で詰み。27桂合なら、この順は41角成に27角成と飛を抜けるので詰まないのだ。というわけで、角の影の利きに打つ27桂合が正解。

27桂合に対しては41角成の代わりに34角成と空き王手するのが好手。これなら27角成と飛を抜かれても12飛成で詰む。そこで飛を取らず31玉と逃げ出しをはかるが、22飛成がとどめの捨て駒で、12飛成以下収束する(最終手は52馬・52龍どちらでも可)。

Tst044a ところで、本作は最初からダブル飛角図式の条件で探索して創作したと思われるかもしれないが、実は作品37や作品45と同様、飛角図式のランダム生成によって創作した図である。

もともとの図は右の図で、35金、23玉、24香、13玉、25桂、同馬、23金、同飛、同香成、同玉、24香、同馬、同金、同玉にて作品44になる。

飛角図式からダブル飛角図式になり、そしてまた飛角図式になるという構成もおもしろいのだが、駒交換が多いのと、14手も進んだところに29飛のような読みにくい手が入るのは難易度が高すぎるので、頭14手をカットして出題した。

それでは、みなさんの感想を( 解答到着順)。

山下誠さん 「桂の捨合から意外な方向へ展開する。」

蛇塚の坂本さん 「初手2九飛が意表桂の中合に角の抜き王手の時飛が取れず、しかもその飛が押し売りする手順がニクイ!」

占魚亭さん 「初手に限定打で打った飛車を捨てる展開がいいですね。」

Pathfinderさん 「この形から飛車最遠打!決め手の飛車成捨てが見事!」

松本浩一さん 「同じく解けず柿木先生頼りです。
とは言え解析で一手目飛車の限定打の解析で楽しめました。」

S.Kimuraさん 「最初は,初手26飛から入って詰まなかったのですが,29飛限定になるとは驚きました.」

小山邦明さん 「最初の2手の意味が、玉が14から17まで逃げて来る時の攻防である事がようやくわかった。玉を上部に追ってからの手順もなかなか良い。」

キリギリスさん 「中合がテーマになっているとは思いませんでした。」

池田俊哉さん 「29飛の最遠限定打と27限定中合とはまたすごい手が入ったもの。
特に27桂合は9手目41角成とさせない(27角と取る)ため、と意味づけも面白く、それなのに34角成に27角としないのもユーモラス」

竹園政秀さん 「初手限定打」

くるぼんさん 「初手限定になっているのがすごい。」

2017年6月20日追記


創作プログラミング 作品44 解答・感想:11名

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  キリギリスさん  くるぼんさん
  小山邦明さん  占魚亭さん  竹園政秀さん  Pathfinderさん
  蛇塚の坂本さん  松本浩一さん  山下誠さん


柿木義一さんの Kifu for Flashを使わせていただいています。手順が鑑賞できない場合はFlash Playerをインストールしてください。

棋譜ファイルはブラウザで表示すると表示が乱れることがあります。ダウンロードしてKifu for Windows(柿木の将棋ソフトウェアにあります)や柿木将棋などで開いてください。

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