推理将棋第110回解答(3)
[2017年9月29日最終更新]
推理将棋第110回出題の110-3の解答、第110回出題の当選者(渡辺さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第110回出題 推理将棋第110回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
110-3 上級 渡辺秀行 作 遠隔詰その1 11手
「昨日の将棋11手で詰んだんだって?」
「うん。とどめは9段目の着手だったよ」
「2手目は初手と同種の駒で付き合ったけど、歩じゃなかったよ」(条件)
- 11手で詰んだ
- 初手と2手目は歩でない同種駒の着手
- 止めは9段目の着手
出題のことば(担当 NAO)
9段目の手で詰む玉形を推理しよう。
追加ヒント
初手と2手目は詰み形への伏線。9段目に角が打てるように。
推理将棋110-3 解答 担当 NAO ▲9八香 △1二香 ▲7六歩 △3四歩 (条件) |
![]() |
本作は自陣の九段目の手がトドメの簡素条件11手詰。詰形の玉位置がどこか、伏線となる初手と2手目をどう活かすのか、推理していきます。
- 9段目の手は自陣角しかなく、歩以外の駒で先手の攻めに有効な初手は、9段目の角打ちを作る手。一方、協力手となる2手目は、詰形を作るための手。これらが同種駒であるので候補手は限定される。
- 同種駒は香か、玉か。99地点に角打ちを作る▲98香と玉の退路封鎖をする△12香の組み合わせが第一感。また、後手の玉移動が必須なので初手▲58玉とし△15玉や△95玉の端玉に最終▲59角の詰みを目指す手順も考えられるが手数が不足する。したがって、伏線手は前者の"香"で進める。初手から「▲98香 △12香」
- 最終99角の筋で詰む玉型は12香を活かす22玉。角道を止める駒が邪魔であるので、▲22角成から馬で21桂と43歩を取り除く手順を進めればよい。3手目から「▲76歩 △34歩 ▲22角成 △42玉 ▲21馬 △33玉 ▲43馬 △22玉 ▲99角」まで。途中、玉と馬が体を入れ替える手順が巧く、後手玉は先手馬に接近しながら42~33~22と移動する。トドメは初手▲98香で空けた99地点への角打ち。
最終手"9段目"を主眼とし序盤を付加条件とした短編推理将棋の秀作。詰形は83-2とほぼ同じですが味付けは異なっています。珍しい初手"香"着手を2手目とリンクさせ、序と詰形を繋ぐ手法が光る渡辺作品でした。
(短評)
渡辺秀行(作者) 「玉と馬の体が変わるのが大変そうなので22角"成"が指しにくいかも」
山下誠 「最終手は9九角に決め打ち。その障害になるのは2一桂と4三歩の利きと考えました」
小木敏弘 「21桂と43歩を取る馬の活躍を軽視していました」
はなさかしろう 「飛や香はさすがに手が足りませんでした。桂を取って43に戻る馬の動きが味が良く、初手2手目の香もぴたりとはまって面白かったです」
隅の老人B 「9段目の着手は、たぶん角打。アタリ、『こいつは春から縁起がいいわえ』です」
占魚亭 「最終手は99角しかありえないので、すぐに詰み形が見えました」
小山邦明 「収束は合駒きかずの角での王手と推理したのが大正解」
ほっと 「確か10手で最終手22角と打つ作があったはず。それはともかく、『その1』とあるので続編も期待」
Pontamon 「『その1』なので迂闊なことを書くとネタばらしになってしまいそう。別件で第83-2の手順をおさらいしたばかりだったので簡単でした」
斧間徳子「おもちゃ箱#83-2(ミニベロ氏作)の類似作なれど、違った味がある」
S.Kimura「ヒントはほぼ想定内だったので,無回答を覚悟しました。ただ,初手に玉を動かす手は消せたので,98香,12香を読み直し,玉を11か22に置いて,
最後に99角で詰む形を考えたところ,正解にたどり着くことができました。調べてみたら,83-2で似たような詰め上がりがあったのですね」
飯山修 「83-2の詰み形をすっかり忘れていました。改めて解いてみると面白い」
諏訪冬葉 「△11玉を▲99角で詰ますことを考えたら△31銀△43歩△82飛と邪魔な駒が多かった。そうか、△22玉でよかったのか」
竹野龍騎 「好作。11玉から、44玉、55玉……と考えた。ヒントを見て、程よい難度だった。桂歩を消す21馬~43馬と、躱す33玉も巧い手順」
波多野賢太郎 「これは難しくて、数日間手がかりもつかめず悩みました。最初の2手の条件がうまいですね」
RINTARO 「ヒントで詰み形が分かった」
原岡望 「降参しかけたが盤に並べて解決。合駒の種をむしりとる」
正解:18名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん キリギリスさん 小木敏弘さん
小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん 竹野龍騎さん
波多野賢太郎さん はなさかしろうさん 原岡望さん ほっとさん
Pontamonさん 山下誠さん RINTAROさん 渡辺さん
(総評)
隅の老人B 「いつも締め切りギリギリの解答ですので、たまには一番槍を目指そうです。梅は咲いたが、染井吉野はまだまだ、でも河津桜はあちこちで開花。お花見前に解けて良かった、そんな思いの解答です」
Pontamon 「近所の桜並木はもうすぐで満開。心機一転、頑張って行きます」
斧間徳子 「今月は条件が簡潔な作ばかりで好みでした」
RINTARO 「今回は易しめの出題で助かりました」
竹野龍騎 「好作づくしの素晴らしい選題でした」
小木敏弘 「ヒントのありがたさ」
渡辺 「今回の締切日の変更は詰パラ原稿締切との関係で、ありがたいです」
S.Kimura 「今回はヒントがなかなか出なかったので110-3は無回答のまま提出するかと思いました.今回で出ていない解説が3回分たまることになりますが,せめて正解だけでも先に出してもらえると嬉しいです」
キリギリス 「上級問題は条件より詰上がり図がある程度想定できましたが、中級問題は最終形や金の経路など全く見当がつかなかったので、上級より中級の問題がむずかしかったです」
はなさかしろう 「1手のみ1条件は短手数でしか成立しないと思っていたのですが、11手でも行けるんですね。12手以上はあるのでしょうか??」
波多野賢太郎 「今月は文字通り、初、中、上級と難易がはっきりした3問でバランスが良かったと思います。次回は111回記念?ですね。楽しみにしてます」
推理将棋第110回出題全解答者: 18名
飯山修さん S.Kimuraさん 斧間徳子さん キリギリスさん 小木敏弘さん
小山邦明さん 隅の老人Bさん 諏訪冬葉さん 占魚亭さん 竹野龍騎さん
波多野賢太郎さん はなさかしろうさん 原岡望さん ほっとさん
Pontamonさん 山下誠さん RINTAROさん 渡辺さん
当選: 渡辺さん
| 固定リンク
「推理将棋」カテゴリの記事
- 推理将棋第183回出題(3月10日まで)(2025.02.13)
- 推理将棋第181回解答(3)(2025.01.28)
- 推理将棋第181回解答(2)(2025.01.26)
- 推理将棋第181回解答(1)(2025.01.22)
- 推理将棋第182回出題(2月10日まで)(2025.01.01)
コメント