推理将棋第112回解答(2)
[2019年8月21日最終更新]
推理将棋第112回出題の112-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第112回出題 推理将棋第112回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
112-2 中級 Pontamon 作 データベースへの登録作業 11手
「教授、この11手詰みの棋譜ですが、文字のにじみや虫喰いでほとんど読めません」
「どれどれ数字の一部しか見えないが、初手と2手目の筋が異なるのは判るね」
「あと読めるのは10手目の着手地点の84と最終手の一部だけなんですが…」
「最終手の"同角"の文字は読めるね」
「同角の次の一文字がにじんでいて…。一文字だから"成"でしょうか?」
「いや、"生"と書く時もあるから、そうとは限らない」
「これではデータベースへ登録できません。どうしましょう」
「最終手を"同角不成"にして、この手順で登録しておきなさい」
「教授、どうして全手順が解ったのですか?」(条件)
- 11手で詰んだ
- 2手目は初手と異なる筋への着手
- 最終手は84地点への同角不成
出題のことば(担当 NAO)
"84同角不成"の角はどこから動いたのか?推理しよう。
追加ヒント
7手目は93地点の同角不成で桂を取る。
推理将棋112-2 解答 担当 Pontamon ▲76歩 △94歩 ▲55角 △74歩 ▲82角不成 △93桂 (条件) |
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本作は最終手の棋譜指定問題ですが、▲84同角不成から読み取れる情報にはどんなものがあるでしょうか。
- 最終手の84地点は中段なのに"不成"が付くのであれば、その角は後手陣から動いたもの。
- 73や62、51から84へ動いて王手になるのであれば73か62から角が動いた空き王手。
- 9筋から動いたのであれば93から。
- "同"で取った駒は何か? △84歩に▲同角不成が濃厚。その場合は△同飛と取られないように飛が移動しているか先手が飛を取っている必要がある。他の駒を取ったとするとこれに加えて△84同歩と取られない準備も必要になる。
- 玉から離れた84角だと、73桂の移動合いを封じる必要がある。
- 玉が73だと、最終手の▲84同角不成の支えは取った飛を打つことになるが、参考1図のように玉の退路が多すぎて詰んでいません。
参考1図手順
▲76歩、△94歩、▲55角、△74歩、▲82角不成、△62玉、
▲93角不成、△73玉、▲86飛、△84歩、▲同角不成
2段目や3段目での空き王手は移動合いできる駒が在り過ぎるし、先手の手数が足りなくて空き王手の配置へ持っていけません。
となると、最終手の▲84同角不成は93に居た角が移動したもので、"同"で取るのは83の歩なので10手目は△84歩。その他、残っている課題は
- 事前の飛移動か、先手が後手の飛を取る
- 81の桂が残っていてはいけない
玉位置を考えてみると、居玉のままでは△62金や△62銀で合いが可能なので、51でも73でもないのであれば62となります。初手と2手目の着手が異なる筋で、飛と桂を取って9手目に93に角が居る手順となると、▲76歩、△94歩、▲55角、△74歩、▲82角不成、△93桂、▲同角不成、△62玉、▲何か、△84歩、▲同角不成 で参考2図。残っているのは先手の1手ですが▲64桂がピッタリ。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
Pontamon(作者)「51飛では72の 退路があるので64桂。玉まわりや7~9筋がスカスカな形が気に入ってます。」
はなさかしろう「なるほど、最終手84での角不成は詰めにくそう。62の玉を合駒なしで詰めるのが本命で、桂との連携も入りますね。角の軌道がおもしろかったです。」
■玉とは離れたところで一回り。
小山邦明「気持ちの良い収束形で大満足の一局でした。 飛打ちの手順は、一歩届かない感じですね。」
■9手詰め唯一の空き王手(両王手)の▲92飛から▲64角なら十分間に合いますが最終手が▲84同角不成なので飛の出番はなさそうです。
斧間徳子「44桂~24角は前例があるが、左サイドは珍しい。Pontamonさんの最近の作品は条件付けが非常に巧妙で感心させられます。」
■おもちゃ箱では19-2の9手詰が44桂~24角ですね。
諏訪冬葉「他の玉位置は手数がかかるので62玉はすぐ確定したのですが、桂馬を消す方法に手間取りました。」
■93へ跳ねるのが盲点でしたか。
ほっと「この詰上りは初めて見たような気がする。」
■左右反転パターンはあったようです。
波多野賢太郎「これは悩みました。詰上がりがなかなか浮かびませんでした。初手と2手目の条件から、4手目に7四歩で飛車を取るんだろうなと思ったんですが、その飛車を使わないのが予想外でした。桂馬を使うとはうまい手があったものですね。」
■最終手に△同飛とされないための飛取りでした。
渡辺「教授、この手順だと同角成でも成立しますよね」
■「好きな方を書いて良いぞ」(成、不成は不問)。105-1の注釈に違和感を感じたのが作図のきっかけ。
小木敏弘「やっかいな後手右桂の逆利用が気持ち良い。」
■取るのが遅くなった方が都合が良いなんて…。
RINTARO「66~93ルートだと後手の手が1手多く、先手の手が1手少ない。全てを解決するのが、55~82~93ルート。上手いもんだ。」
■手順の発見には運も必要?
竹野龍騎「ヒント待ち。詰み形は見えず、理屈も分からなかった。こんな詰み形だったとは! 出題文が長すぎるように思います。」
■条件にすると2条件。推理将棋は会話をもとに復元すると言っても、状況説明が読み物に近かったですね。
原岡望「ヒントに助けられました。回り道で根こそぎ取るのが早道」
■条件は「2手目は初手と異なる筋への着手」。解答の2手目と4手目が逆になっていました。解けているのに残念。
キリギリス「最後、玉は62(または51)と思われるので、9手目の局面で角は93のはずなのですが、▲64桂はなかなか思い付きませんでした。」
■▲93同角は、84へ行くための移動だけが目的ではありませんでした。
山下誠「最終手の8四角の時に玉の退路を塞ぐ駒は?飛車と決めつけて迷路をさまよいました。」
隅の老人B「角と飛の協力と思って、大苦戦。角の相棒は桂でした。」
■普通は大駒の飛を取ったら使うものですから。
飯山修「この作だけ相変わらずヒント待ちでしたが、93桂には唖然。24角、42桂の筋は覚えているのに左側になっただけで解けないのは情けない。」
■解答では94桂になっていましたがコメントが93桂でしたので誤記と判断されて正解になったようです。
S.Kimura「角単騎での詰みを目指していたのですが,81の桂馬を取ることを考えていたのが幸いして,歩頭桂を思い出すことができました.」
■手筋や詰み形の記憶の引き出しが多いと解き易くなります。
占魚亭「そうか、飛車を取る順があったか。52に移動させる順を最初に考えたので気付くまで時間がかかりました。」
桝彰介「教授の話から、最終手「不成(生)」だと詰むが「成」だと詰まない手順を考えていましたが、解読出来ませんでした。」
■さすがに逆はないでしょう。不成なのに詰む手順だということで「不成」で記録させたのでしょう。
正解:17名
はなさかしろうさん 小山邦明さん Pontamon 斧間徳子さん 諏訪冬葉さん
ほっとさん 波多野賢太郎さん 渡辺さん 小木敏弘さん RINTAROさん
竹野龍騎さん キリギリスさん 山下誠さん 飯山修さん S.Kimuraさん
隅の老人Bさん 占魚亭さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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