推理将棋第112回解答(3)
[2019年8月25日最終更新]
推理将棋第112回出題の112-3の解答、第112回出題の当選者(RINTAROさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第112回出題 推理将棋第112回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
112-3 上級 渡辺秀行 作 遠隔詰その2 11手
「昨日の将棋11手で詰んだんだって?」
「うん。とどめは9段目の着手だったよ」
「それは遠いねぇ。9手目の歩はそういう意味だったのか」(条件)
- 11手で詰んだ
- 9手目は歩
- 止めは9段目の着手
出題のことば(担当 NAO)
"9手目歩"の意味とは?9段目の手で詰む形を推理しよう。
追加ヒント
9段目に馬を引けるよう88地点に角が成る。
推理将棋112-3 解答 担当 Pontamon ▲76歩 △42玉 ▲33角不成 △32玉 ▲88角成 △24歩 (条件) |
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「止めは」の解釈に迷うかもしれません。読み方によっては、9段目に着手した駒で止めを刺している(詰めた)場合と、9段目の着手の駒は王手をしていないが詰んでいるので止めの着手と言っている(つまり最終手は空き王手の手)場合があるかもしれません。
追加ヒントを見ると前者であることが確定ですが、出題のことばでは「9段目の手で詰む形を推理」とのことなので、解説担当のようなへそ曲がりだと空き王手の可能性も検討してしまいます。
と言うのも、最終手が9段目とのことなので後手陣に居るであろう玉を9段目の駒では直接の王手はしていないとの考えが浮かぶからです。(ミスディレクションには引っ掛からないぞ!の意気込み)
110-3「遠隔詰その1」の時に最終手が9段目での空き王手は検討済みかもしれませんが、結論から言えば、最終手が9段目での空き王手での11手詰はありません。「最終手が最下段の着手での空き王手で詰める最短手順は何手なのか?」は研究テーマになりそうですね。
ベテランの方だと、過去作の10-3まじー作「銀の横の馬」は、本作の9手目と11手目が入れ替わっていた空き王手での詰み手順(本作の9手目の歩の条件は、110-3が余詰にならないために必要な条件となっています)、103-2Pontamon作「とどめは3段目の初王手」は同様の10手の単騎詰などがあったので、9段目着手と聞いただけでピンと来たことでしょう。
知っていれば簡単だけど、初見の方には超難問だったはずです。
本作は後手の12玉を馬単騎で詰める手順ですが、この手順の馬単騎では攻め方の手数が3手(▲96歩~▲94歩)余ります。(参考1図)
参考1図の手順
▲96歩、△42玉、▲95歩、△32玉、▲94歩、△24歩、
▲76歩、△23玉、▲33角成、△12玉、▲34馬
元になっている馬単騎10手詰では後手に2手の余りがあります。攻め方に必要な着手は、角道を開けて、角成して、1マス馬を引くという3手で済みます。(参考2図)
本作の11手だと、玉とのすれ違いのために33への角の着手は不成にすることが必要なので、攻め方の手数が1手増えても、馬になるための1手が必要なので余っている手数は2手のままです。成り場所を88にして9段目着手を最終手に指定し、▲77桂と▲66歩を強要して余裕の2手を消費しています。
直感や過去作や短手数作の応用を見破るのも解図力のひとつかと思います。駒種別の単騎詰の最短手数を書いておきますので手順を研究され、別の機会に出題があったらサラっと解いて、まわりの方を驚かせてください。(例:詰将棋パラダイスの購読者でしたら2019年7月号の推理将棋404番)
単騎詰とは、その駒以外の攻め方の駒を盤上から全て取り除いても詰んでいるものです。
龍単騎 8手
馬単騎 10手
飛単騎 10手
角単騎 11手
桂単騎 10手
香単騎 11手
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
渡辺(作者)「角を取ると手が足りない。」
はなさかしろう「9段目までの11手、有力な候補がいろいろありましたが意外に詰みにくい。幸い103-2でおさらいをしていたのでこの筋も候補に入っていました。」
小山邦明「いったん元の角の位置に成って戻ってくるのは89馬の実現のためですが遠隔詰とのマッチングがとても良いと感じました。」
Pontamon「やはり▲89馬までの「その2」の出題がありましたね。」
斧間徳子「お馴染みの詰上りですが簡素な条件付けに好感。」
諏訪冬葉「前回(110-3の遠隔詰)さんざん読んだ手順なので瞬殺でした。」
■衝撃を受けた経験がものをいう。
ほっと「こんな9段目の着手もあったのか。」
■驚きの形。
波多野賢太郎「遠隔詰第2弾と、序盤に関する条件がないことから、今度はこの出だしと推測しました。そのうち、1二玉に8九角の形を閃きました。8九は馬でしたが、思ったよりすんなり解けました。条件がシンプルなのが良く、いい作品だなと思いました。」
■裏読ですね。序の条件が無い場合の多くは初手▲76歩、3手目は角が出て行く手順ですが後手の序に関する条件が無い場合はこの序の4手が多いでしょうか。
小木敏弘「76歩が角道を開けるだけでなく桂の跳ねる場所になってました。33の歩だけ取って戻る角の動きが意外でした。」
■33で角成が出来ないので元位置へ戻って成りました。折角の馬の利きを遮る桂跳ねは意外。
RINTARO「ヒントを見て詰み形が浮かんだ。9手目歩のみの条件で全手順限定。素晴らしいです。」
■9手目歩は詰みとどんな関係があるのか?解き始めでピンと来る人は少ないかと。
竹野龍騎「前回は角だったので今回は飛の予想は外れ。前回考えた12玉型の詰み形を目指してなんとか解決。」
■予想は「その〇」シリーズのあるある。
原岡望「これもヒントに助けられました。端玉定跡を忘れて角を取るようでは未熟ですね。」
■「その1」での角取りの印象が残ってたようですね。
キリギリス「ヒントより最終局面▲89馬▲67歩△12玉(または△23玉)が想定できたので、むしろ簡単でしたが、ヒントを見るまで全く考えが浮かびませんでした。」
■追加ヒントで出題のことばの9手目歩の意味が見えたようです。
山下誠「この詰み形は馬が最遠でもいいんですね。最終ヒントを見るまで全くひらめきませんでした。」
■最終手が最遠となる底地点。本作では玉までは斜め7マス。8マス離れた最遠の王手は手数がかかります。両王手の1方が8マスになっている96-3はなさかしろう作の15手が最短でしょうか。
飯山修「過去問10-3はしっかり覚えてました。」
■最終手が▲66の空き王手の作品ですが、途中の着手の▲89馬も印象的だったのでしょう。
S.Kimura「ヒントを見るまで,89馬で詰ますという発想がありませんでした.」
■9手目歩の条件が▲89馬への道標でした。
隅の老人B「3手目が好手。11手で詰まされるなんて、米長先生もビックリ。」
占魚亭「77桂~66歩が趣き深い手順。」
■馬単騎には余裕があるので、ゆるりと過ごせます。
桝彰介「ヒント待ちでも解けず。馬にするということは最終手は8九馬だと思いますが、詰む形が見えません。」
■単騎詰めや合い利かずの詰形が結構出てくるので過去作品のおさらいをしましょう。
正解:18名
はなさかしろうさん 小山邦明さん Pontamon 斧間徳子さん 諏訪冬葉さん
ほっとさん 波多野賢太郎さん 渡辺さん 小木敏弘さん RINTAROさん
竹野龍騎さん 原岡望さん キリギリスさん 山下誠さん 飯山修さん
S.Kimuraさん 隅の老人Bさん 占魚亭さん
(総評)
はなさかしろう「11手2条件はどちらも、困難な最終手の実現問題。方針が立てやすく、取り組みやすいですね。」
■闇雲に進むよりもゴールが分かっていると安心。
Pontamon「近況報告:詰パラ5月号から年間購読を始めました。短い会話を習得しなければ...。」
■解説もダラダラと長いぞ!
斧間徳子「今月は前例のある手順ばかりだったので、5分足らずで3題解けました。早く解けてしまうとやや物足りなく感じてしまう。 骨のある作品も1題あるとうれしい。」
■易問から難問までのバランスを取れるように皆さんからの作品投稿をお待ちしております。
波多野賢太郎「今回は2番に相当時間を使いました。悩めば悩むほどいろいろ考えてしまい、ハマってしまいますね。開き王手とかも考えてしまいました。しかし、今回は久しぶりにノーヒント解答ができました。」
■ゴールが見えているのに脇道が多かった。
渡辺「実質一問なので楽できました。」
小木敏弘「今回は角の動きが面白かったです。」
■何と言っても角の手は多いので、変わった動きのものが作品になりやすいようです。
RINTARO「今月もヒントさまさまでした。」
■考え処をひとつだけ残すヒント投入ができるか新担当は不安です。
竹野龍騎「好作づくし。特に渡辺氏の作品はいつも理屈の通った佳作。」
■理詰めで解けると、してやったりの満足感いっぱい。
原岡望「パラと〆切が近く苦戦。まずこちらから片付けて一息。」
■パラはヒントが出ないので先に片付けてしまうのも良いかと。
隅の老人B「最近、物事を考えるのが面倒になる。かくてはならじ。
せめて、「おもちゃ箱」の推理将棋を考えよう、その結果は?」
占魚亭「近頃、絶不調なのでなかなか手が見えませんが、頑張って締切日に全問解きました。」
桝彰介「久しぶりの解答でしたが、一問しか解けませんでした。また、一問でも解けたら解答します。」
■解けなかった問題の短評も作者の励みになります。解けてもいなくても締め切り日の解答送付をよろしくお願いします。
推理将棋第112回出題全解答者: 20名
はなさかしろうさん 小山邦明さん Pontamon 斧間徳子さん 諏訪冬葉さん
ほっとさん 波多野賢太郎さん 渡辺さん 小木敏弘さん 高田明浩さん
RINTAROさん 竹野龍騎さん 原岡望さん キリギリスさん 山下誠さん
飯山修さん S.Kimuraさん 隅の老人Bさん 占魚亭さん 桝彰介さん
当選: RINTAROさん
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