推理将棋第118回解答(4)
[2019年9月23日最終更新]
推理将棋第118回出題の118-4の解答、第118回出題の当選者(NNNさん 、原岡望さん)を発表します。
推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第118回出題 推理将棋第118回解答(1) (2) (3) (4)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
118-4 上級 Pontamon 作 2018年1月1日生 20手
「あけましておめでとう」
「今年もよろしくお願いします」
「今日は初孫が生まれる予定日なんだ。なので、指し初めは、20手で詰んで、18の駒が11へ動く手があって、最後は生の手の対局にしたいんだ」
「なるほど、2018年1月1日生か。めでたいね、協力するよ」
「では、お願いします」
・・・
「うまくいったね」
「後手の王手は全部で5回あって、成る王手、普通の王手、空き王手、持駒を打つ王手、不成の王手の順番だったね」
「双方とも、一旦着手をやめた駒は二度と動かさず、別の駒の手を指していたね」
「新春らしく、王手も使用駒も初物尽くしだったね」さて、どんな将棋だったのだろうか?
(条件)
- 20手で詰んだ
- 18の駒が11へ動いた
- 後手の王手は5回あり、"成る王手"、"普通の王手(*1)"、"空き王手(*2)"、"持駒を打つ王手"、"不成の王手"の順番だった
- 一旦着手をやめた駒は二度と動かさなかった(*3)
*1 "普通の王手"は、移動した駒の効きによる王手で、棋譜に成や不成が付かないものです。
*2 "空き王手"は両王手を含みません。"空き王手"の手が成/不成の手を兼ねる場合、"空き王手"としてのみ数えます。
*3 同じ駒の連続着手は可。成駒は別の駒とみなし、生駒からの連続着手をしなくても可。
出題のことば(担当 NAO)
5種類の王手が難関。空き王手の形を推理しよう。
追加ヒント
初王手は歩成。18手目18地点に飛車を打ち、11飛不成で詰み。
修正
修正前
「後手の王手は、最後の不成の王手の他、成る王手、空き王手、持駒を打つ王手、普通の王手の計5回だったね」
修正後
「後手の王手は全部で5回あって、成る王手、普通の王手、空き王手、持駒を打つ王手、不成の王手の順番だったね」
推理将棋118-4 解答 担当 Pontamon ▲26歩 △14歩 ▲48玉 △15歩 ▲38玉 △16歩 (条件) |
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2018年1月1日に因んで、20手目に18の駒が11へ動いて詰みになるという年賀詰で、条件からは先手玉が後手陣の奥深くまで移動することを隠した構想作でした。
11へ動ける18の駒は飛か先手の香しかなく、香の移動だと単なる年賀条件クリアのための無駄手になりそうなので、この移動をする駒は後手の飛なのではないか?それに加えて、最終手が不成の手なので、△11飛不成で玉を詰ます手順なのではないか?
と推理すると、先手玉は敵陣の何処へ行く必要があるのか?5種の王手条件をクリアするにはどんな経路で後手はどのようにして王手するのかを順に考えると解ける仕様になっています。
詰み上がりの玉位置は、飛の移動ができて飛不成で詰むのであれば、21地点で確定です。先手玉は21への8段移動になります。玉が中段へ出るための出口作成のための歩突きを合わせても9手なので1手足りません。一度玉を動かし始めたら、条件によって途中で止まるわけにはいかないので、玉が動く前に歩突き以外の手があるのか、玉移動の中で同じ段の連続着手があるかのどちらかになります。(段を戻ると1手オーバーします)
普通の王手の後に空き王手があるので、参考1図のような配置が思い浮かぶかもしれません。この△13角の王手に対して余っていた1手を使い▲25玉と寄って、次に▲14玉へ行くと△22角での空き王手が可能です。玉は前へ進むしかないので▲23玉。△19香成に▲12玉、△18飛の駒打ち王手、▲21玉に△11飛不成の王手で詰み。空き王手で22へ戻った角が11の飛を支えます。
もう解けたも同然で、10手目の参考1図になるまでに駒成での王手をかわせばいいだけだと思いきや...。後手角を使っての駒成王手ができないので、後手は歩成での王手しかありません。
ところが、歩成ができるのは8手目で、9手目には参考1図の玉位置の▲35玉をしないといけないので歩成が王手にはなりません。
詰み上がりから逆算したのがまずかったようです。初手からの手順を考えてみると、タイミングよく角成で王手することができません。しかも後手は28の飛を入手しておく必要があるので角成王手で捨てるわけにはいきません。
後手は1筋の歩を伸ばして△17歩成で王手します。先手は王手がかかるように初手▲26歩から▲27玉で王手を掛けられて9手目に▲36玉とかわしたのが参考2図です。後手はこの後△28とで飛を入手し、先手は▲25玉として△13桂の通常王手を受け、▲14玉に△25桂の空き王手です。角は初期位置に居るままですが、この後の展開は参考1図のときと同じ展開になります。
【出題時条件での余詰】
出題時の修正前条件では、空き王手の一種の両王手や5種の王手の出現順が限定されていないことによる余詰手順の解答をいただき、条件修正となりました。
NNNさんから指摘のあった余詰手順
(18香が11へ移動、両王手、王手種類の出現順は作意とは異なる)
▲16歩、△14歩、▲15歩、△34歩、▲14歩、△同香、
▲58金左、△17香成、▲18香、△28成香、▲11香成、△77角成、
▲69玉、△87馬、▲68玉、△78飛、▲69玉、△79飛不成、
▲68玉、△69飛不成
指摘手順をベースに担当のNAOさんが発見した余詰手順
(出題時条件を全てクリアしている完全な余詰)
▲16歩、△14歩、▲15歩、△34歩、▲14歩、△同香、
▲48金、△17香成、▲18香、△28成香、▲11香成、△77角成、
▲49玉、△67馬、▲59玉、△58飛、▲49玉、△68飛不成、
▲58金上、△69飛不成
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
Pontamon(作者)「年賀状は「歩の着手で始まり、20手目に18の駒が11へ不成で動いたのが5回目の王手となり、先手玉が詰んだ」にしましたが、おもちゃ箱では98-4の類作もあるので、先手陣や中段での詰み上がりも紛れ筋として残せる条件にしたかったのです。縛りを緩めるとどの条件でも余詰み発生。あの手この手で条件を絞り出した力作なのか、その都度余詰み検証されたNAOさんの力作なのか…。」
NNN(余詰解)「二手目と四手目が限定されていません。ので作意でないような気も。何度も確認しましたが不安です。開き王手は77玉 34歩を考えましたが見つかりませんでした。手がかりは18 11移動が限定されるとなると香でないとだめで、その道筋をあけるのは飛車を取る手でないとだめそう(後で飛車を使う)というところです。両王手も出てきますね。」
■粗検申し訳ありませんでした。
小山邦明「ものすごく難しかった。玉が1段目まで行くとは予想外。」
RINTARO「118-3と似た手順。今度は17歩成を可能にする26歩からスタート。先手玉の指し手と後手の指し手が見事に調和し、詰め上がりまで一気呵成でした。」
斧間徳子「21で詰むとは!」
小木敏弘「まさかの玉移動が予想外。」
■担当のNAOさんから何度余詰み手順を差し戻されても、最後まで条件に入れなかった後手陣への玉移動。
S.Kimura「王手の条件をどのように使ったらよいのか見当が付かず,ヒント待ちでした.余詰修正に気づいていなかったのですが,王手の順番が分かっていれば考えやすかったかもしれません.」
山下誠「空き王手を角で掛けようとして手数超過。香と分かれば簡単でした。」
飯山修「13桂の普通の王手に気が付かず大苦戦」
原岡望「上手く潜らせる。」
桝彰介「分かりませんでした。かなりの難問でした。」
ほっと「こちらも手順が全然予想できずヒント待ち。「18の駒が11へ動く手」が後手の飛車とは! 19香成が一石二鳥の好手。」
■5種類の王手が悩みの種。
リーグ戦ファン「18の駒が11へ動く手が最後の不成の王手だとすれば制約条件がすごくきつくて考えやすいので、ここに解があってくれれば今日中に提出できる!!と祈るように仮定したら実に一本道でした。そうでない場合を一切全然考えてませんのでズル解きもいいところです(^^」
はなさかしろう「本問が時間内で解けず、コメントも書けずでスミマセン。ヒントを見てようやくで、難しかったです。」
■何はともあれ、無事、締め切りに間に合ったようです。
諏訪冬葉「25玉以降の手順は浮かんだけど最初の王手が難しかった。」
■王手を掛けられに行くとしても初手▲26歩は指し難くかったでしょう。
正解:15名
Pontamon NNNさん 小山邦明さん RINTAROさん 斧間徳子さん
S.Kimuraさん 山下誠さん 小木敏弘さん 飯山修さん 原岡望さん
ほっとさん キリギリスさん リーグ戦ファンさん はなさかしろうさん
諏訪冬葉さん
総評
Pontamon「謹賀新年。玉が大移動する作品が3つ。偶数年のパターン化となるのか?次の偶数年は東京五輪・パラリンピックがある2020年は干支以外にも題材がありそうだけど、さて来年は…。」
■日本での五輪は4回目なので5や4。5×4=20だし2020年も20を示唆。
NNN「久しぶりに解答出します。一部解いてはいましたが。」
RINTARO「ヒント後に1だけでも解いてみるかと考えてたら、4問とも解けていました。易しい出題に感謝。」
■ヒント投入後は解き易くはなりますが、まだ歯応えは残っているはず。解図力の勝利。
山下誠「新年の推理将棋はいずれも難しく、白旗寸前。解けてみれば素晴らしい問題ばかりでした。」
■解いた時の解後感がたまらない。
小木敏弘「118-4がお手上げでした。118-3がヒントになっていたのか・・・。」
■ヒントと言うわけではないでしょうが、先手玉が後手陣へ行くために越えなければいけないハードルは同じなので、越し方に多少の違いがあっても参考にはなるでしょう。
Miya「初めて、推理将棋の解答を送らせていただきます。1問だけですが、何とか解けたと思います。難しいけど面白いですね。」
■折角解答いただいた回を最後に休載してましたが、再開しましたのでまた解答をお願いします。
原岡望「詰将棋パラダイスの締切直後で苦戦しましたがヒントに助けられようやく解答。今年もよろしくお願いいたします。」
桝彰介「次回は、もう少し解けると良いです。」
ほっと「118-3と118-4が難しくてヒント待ちになってしまいました。」
■ヒントを最大限に活用しましょう。
リーグ戦ファン「第12回くらいから第50回くらいまでの3年ほど毎月参加してましたのですが、それ以降ずっと間遠になってました。今日ひさびさにサイトを覗きましたら、なんと今日が締め切り!これも運命と思い投稿いたします。今回、私が好きな「玉が詰まされるためにひょこひょこ中段に出て来て手数的にマギレ無し」の形がほとんどだったので、運よく3時間で4作とも回答できました。」
占魚亭「ギリギリに手をつけたので1問だけです(すみません)。本年も宜しくお願いします。」
諏訪冬葉「締め切り過ぎてる・・・」
■「セーフ!」だったようです。
推理将棋第118回出題全解答者: 18名
Pontamon NNNさん 小山邦明さん RINTAROさん 斧間徳子さん
S.Kimuraさん 山下誠さん 小木敏弘さん Miyaさん 飯山修さん
原岡望さん 桝彰介さん ほっとさん キリギリスさん
リーグ戦ファンさん はなさかしろうさん 占魚亭さん 諏訪冬葉さん
当選: NNNさん 原岡望さん
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