推理将棋第117回解答(3)
[2019年9月5日最終更新]
推理将棋第117回出題の117-3の解答、第117回出題の当選者(波多野賢太郎さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第117回出題 推理将棋第117回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
117-3 上級 Pontamon 作 8筋最奥での歩成 11手
「11手で詰んだ将棋で珍しい手を見たよ」
「どんな手なの?」
「8筋の最奥での歩成があったんだ」(条件)
- 11手で詰んだ
- 8筋の最奥での歩成があった
出題のことば(担当 NAO)
歩が成るのは81か89か、どちらが早いか推理しよう。
追加ヒント
先手は飛を取って攻める。後手は最奥の89歩成を目指すが、88に打つ歩はどこで入手するか。
推理将棋117-3 解答 担当 Pontamon ▲76歩 △74歩 ▲55角 △75歩 ▲82角成 △76歩 (条件) |
![]() |
最奥での歩成は81なのか89なのかを考えてみます。
先手は6手あるので初期配置の87の歩を▲81歩成にはできるがもちろん詰みはない。後手の5手では83の歩は89へ届かない。つまり、どちらにしても、歩を取って、最奥の一つ前の段へ歩を打ってから最奥で成ることになります。
先手が▲81歩成とするのが最終手であれば玉は71に居なければならず、71地点を空ける手や玉移動の2手、さらに先手の87の歩を取る必要が出てくるので後手の5手では手数が足りません。
となると、最奥の歩成は△89歩成になるので、後手は6手目までに歩を入手して、8手目に△88歩とし、10手目に△89歩成します。一方、8手目に後手が△88歩と打てるように先手は7手目までに83の歩を取る必要があります。△84歩と突いた歩を先手が▲76歩、▲66角、▲84角の5手目に取る順とか、▲76歩、△84歩、▲77桂、△85歩、▲同桂の5手目に取る順もありそうですが、これらでは後手が6手目までに歩を取ることができません。後手が6手目までに歩を取る唯一の手順は、初手で突いた▲76歩を狙う手順しかありません。
初手から、▲76歩、△74歩、▲何か、△75歩、▲何か、△76歩。
7手目までに先手が83の歩を取るには、▲55角、▲82角成、▲83馬 の手順。角成が▲73角成だと王手になり、後手は王手の応手をする暇がないので角成は飛を取る▲82角成で確定し、8手目に△88歩ができます。(参考1図)
この参考1図の局面から残り3手のうち10手目の△89歩成が決まっています。先手の2手でどう詰めるのか?居玉で手付かずの1段目の駒が勢ぞろいしているところを後手の協力なしの先手の2手で詰めるには…。そう、110-2で出ていた詰み形の先後逆パターンの詰み形があるので、▲62飛、△89歩成、▲71馬で詰みとなります。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
Pontamon(作者)「「~があった」は途中の手っぽいけど実は最終手というパターンもある。3~7筋の一段目への歩成で仕留める11手詰めがあるので、81歩成迄を考えてもらえたら成功。」
小木敏弘「3手で歩を取る為に、76歩にロックオンしました。83歩を取る前の飛車取りが見事に生かされました。」
小山邦明「先手の81歩成の形は後手玉に迫る手がないので、後手の89歩成を実現するための歩の入手方法を考えたら、先手の76歩の着手を利用する手順を思い付いた。1条件設定で11手詰が見事に限定されているのはすばらしいですね。」
竹野龍騎「1条件の傑作。考えどころがあり、きっちり創られていて感心するばかり。」
山下誠「最終ヒントを見るまで、後手が歩の手ばかりを指すとは全く考え付きませんでした。傑作だと思います。」
後憂生「後手の74歩以外は、僕は僕、あなたはあなた、そんな気分がする手順が続きます。」
占魚亭「75歩が盲点でした。」
諏訪冬葉「そうか、ここに簡単に取れる歩があったのか。」
■飛車を取らせるための協力手△74歩を指して任務終了で、目の前にある76の歩を取りに行くことに気付き難い。
斧間徳子「後手が76の歩を取る順がすぐには思いつかず難問でしたが、巧妙な1条件の秀作。ただ、個人的には「89歩成という手があった」という1条件にしてすっきり仕上げた方が良いような気がします。」
波多野賢太郎「これは難しかったです。詰ますどころか、条件に合う歩成の手順がなかなか見つからなかったです。8筋ではなく7筋の歩を突くとは予想外でした。単に8九歩成という条件でなく、8一歩成もあるかもと考えさせるところがうまいと思いました。」
■賛否両論。共通することは難問だったこと。
RINTARO「適度な難易度で本手順に気付くまでいろいろと考えされられました。
後手の歩取りが74~76歩と気付いたときに全手順が解明するとともに解後感は満足です。」
ほっと「いやー苦労した。まさか後手の89歩成だったとは。」
のくせに「76の歩を6手目の取れるのが盲点で、81歩成の筋も捨てきれず、ツインの問題を考えてるようでした。」
飯山修「歩を入手出来ないので88歩は無理とハナから捨てていた。ひたすら歩入手を目指す手が成立するとは驚き。」
S.Kimura「81歩成を予想していたので,89歩成は考えてもいませんでした.」
はなさかしろう「素晴らしい条件、素晴らしい手順で、解図も面白かったです。歩成は先後どちらか迷いました。先手自ら89に歩を打つのも、後手自ら81に歩を打つのも可能なので、この条件がミニマムなんですね。」
■作者の狙い実現で、81歩成を考えていただきました。
原岡望「歩の遅早」
キリギリス「ヒントを見ても、しばらく解けませんでした。「飛を取って攻める」より、角(馬)で飛と歩を取るしかありませんが、最終形の▲6二飛+▲6一馬がなかなか思い浮かびませんでした。また後手が歩を入手するのは足の速い大駒との先入観があり、これも盲点。非常に難しかったです。」
■はい、原岡さんのおっしゃる通り、歩の遅早
桝彰介「分かりませんでした。8筋に打つ歩の入手の前に、後手の8筋の歩の消し方が分からず迷ってしまいました。」
■玉腹へトドメを刺すための馬移動で83の歩を取れました。
正解:19名
小木敏弘さん 小山邦明さん 斧間徳子さん RINTAROさん ほっとさん
のくせにさん Pontamon 飯山修さん 原岡望さん 竹野龍騎さん
山下誠さん 後憂生さん 波多野賢太郎さん 占魚亭さん キリギリスさん
はなさかしろうさん S.Kimuraさん 諏訪冬葉さん テイエムガンバさん
総評
小木敏弘「味のあるヒントが良かったです。」
■新担当のヒントはどうなることやら。
斧間徳子「今月は比較的難しめ。Pontamonさんの1条件作品はいつも素晴らしく、今後も期待したい。」
■新担当になって作図の時間は…。再開準備の状況だとどうにかなるでしょう。
RINTARO「良問3題。詰み上がり図の推察が大事でした。久々にヒント出題前に解けました。」
■新担当も詰み形を考えることから解くことが多いです。
大塚康平「初めてだったので、解くのに結構時間がかかりました。」
■締め切り前ヒントを待つのも作戦。
Pontamon「近況:ブラックフライデーの20%OffセールでPCをネットで発注し、12/8配送予定のはずが1週間早く今日12/2に届きました。この土日は環境構築になりそう。」
■そのPCは初年度サポートが切れる日にトラブって、結局、割安な3年サポートに入りました。
原岡望「2と3はヒントを見ました。詰パラ解答の余勢を駆って一気に解答」
■詰パラ締め切りが7日。こちらはヒントが出ていますのでご活用ください。
後憂生「ヒントを読んで、3題解決。これで今年も暮れて行く。さて、来年は如何なりますや?それでは、みなさん、良いお年をお迎え下さい。」
■2018年3月8日の詰将棋メモの通り、この総評が推理将棋コーナーへの最後のコメントになりました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
波多野賢太郎「いろいろ忙しく、久しぶりの解答になります。少し休みましたが、今年も楽しい推理将棋をありがとうございました。」
■推理将棋を再開しましたので引き続きよろしくお願いします。
S.Kimura「解説は遅れても,解答を出していただけると嬉しいです」
■この結果稿が積み残しの最後になります。
桝彰介「久しぶりに解答を送りました。環境が変わって(子供が産まれて)時間が取れなくなってしまいましたが、1問でも解けたら解答を送ろうと思いますので、よろしくお願いします。」
推理将棋第117回出題全解答者: 21名
小木敏弘さん 小山邦明さん 斧間徳子さん RINTAROさん ほっとさん
のくせにさん 大塚康平さん Pontamon 飯山修さん 原岡望さん
竹野龍騎さん 山下誠さん 後憂生さん 波多野賢太郎さん 占魚亭さん
キリギリスさん はなさかしろうさん S.Kimuraさん 桝彰介さん
諏訪冬葉さん テイエムガンバさん
当選: 波多野賢太郎さん
| 固定リンク
「推理将棋」カテゴリの記事
- 推理将棋第183回出題(3月10日まで)(2025.02.13)
- 推理将棋第181回解答(3)(2025.01.28)
- 推理将棋第181回解答(2)(2025.01.26)
- 推理将棋第181回解答(1)(2025.01.22)
- 推理将棋第182回出題(2月10日まで)(2025.01.01)
コメント