推理将棋第120回解答(1)
[2019年10月20日最終更新]
推理将棋第120回出題の120-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第120回出題 推理将棋第120回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第120回解説 担当 Pontamon
担当2回目にして早々と余詰を出してしまい申し訳ありませんでした。
今回は難問で解答の集まりがよくありませんでしたが、終わってみると前回と同じ19名からの解答で、総正解数は前回を上回っていました。
今後も解答、作品投稿をよろしくお願いします。
120-1 初級 Pontamon 作 同歩があった 8手
「これが8手で詰めた時の棋譜だよ」
「同歩なんて手があったんだ」(条件)
- 8手で詰み
- 同歩の着手があった
出題のことば(担当 Pontamon)
8手詰で同歩の手ができるのは先手か後手か?
追加ヒント
後手の着手は8筋の歩だけです。
推理将棋120-1 解答 ▲68玉、△84歩、▲78玉、△85歩、▲86歩、△同歩、 (条件) |
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「8手で同歩があった」と聞いた瞬間にあの手筋だと想像される方が多いと思いますが、本問は初級問題ですので初心者のために少し詳しく解説してみます。
8手詰ですので、先手も後手も4手ずつの着手になりますので、相手の歩頭へ取られる駒の着手をしなければ同歩にはなりません。4手しかないのに後手が手数を掛けて先手に同歩とさせていては先手玉を詰ますことはできません。後手に同歩と取らせることができる駒には何があるでしょう?
初手▲76歩のあとに▲44角と出て、4手目で後手に同歩とさせることができますが、後手には2手目、6手目、8手目の3手しかないので先手玉を詰める手順はなさそうです。
参考1図は、▲56歩、△54歩、▲55歩、△同歩で4手目に同歩を指して、後手は飛を振って△57歩成までで先手玉を詰めた場面ですが、手数を数えると10手かかっています。歩を突いて行って7段目で歩成をするには4手掛かるので、どの筋にしても飛を振る余裕はなく、先手玉を詰ますことができるのは8筋の歩を進めて△87歩成するしかありません。
参加2図は先ほどと同様に先後ともに歩の着手を5筋ではなく8筋で、▲86歩、△84歩、▲85歩、△同歩、▲68玉、△86歩、▲78玉、△87歩成までの8手を指した局面ですが、後手に85地点で同歩で取らせると68地点の逃げ場を飛で塞ぐ手ができません。
後手には工夫のしようがありませんので、先手の着手を見直してみると、できるだけ早くに同歩を実現しようとして、2手を掛けて▲86歩、▲85歩としたのが無駄だったことに気付けば、▲85歩を指さずに▲86歩を後手の歩突きのタイミングに合わせて突けば同歩の着手ができ、先手に1手の余裕が生まれるので、玉の退路を自ら塞ぐ▲68飛を指すことができます。▲68飛を指すには玉が78まで移動している必要がありますので、先手は初手▲68玉から始めることになります。あとは後手の歩が△85歩と来た直後の手で▲86歩を指すだけになります。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
Ponatamon(作者)「担当を引き受けてから慌てて作った初級用問題。」
斧間徳子「実は本作が一番最後に解けました。」
■120-3の余詰手順の方を先に解いていたとは!?
渡辺「これは有名条件かな?」
■有名過ぎて、正式発表が見送られていたのですかね。
はなさかしろう「手順は脱力系ですが、詰み手順3420通り×8手=27360表記の中に1つしかない、というのはやはり凄いですね。本作の「同歩」を含めて5通りあるようですが、これでひと通り作品化されましたか。」
■すみません、「本作を含めて5通り」が何のことか思い当たりません。
NAO「同歩で何を取らせるか、一瞬悩みました。」
■角を後手に渡す、▲44角、△同歩なんかがありそうな気もします。
RINTARO「基本ですね」
■はい、7手の基本手筋です。
ほっと「例の7手の変形。「同歩」だけで確定するのは発見。」
■7手詰+1で考えると1手の余裕がある玉方しか協力手を指せません。足の長い大駒なら同で取られる駒を差し出す位置はありますが同歩だとこれしかないのです。
小山邦明「自爆となる86歩の着手」
■オウンゴール。でもこれがないと同にはならないのでナイスアシストか。
諏訪冬葉「実は以前に「歩を同歩と取った」というほぼ同一作を考えたことがありました。」
■歩以外の駒を同歩と取る手順が他にありそうな気がしましたか。
ミニベロ「館長さんの「だるまさん」を思い出した。」
■過去作を調べたら「8-1 初級 だるま」があったのですね。条件での重複チェックしかしてませんでした。
S.Kimura「飛車先の歩成で詰ます筋を警戒するという勘が残っていたので,簡単に解けました.」
■何か違和感がある条件の場合、まずは7手の基本手筋でチェック。
山下誠「飛車で詰めることに気づけば簡単でした。」
■初級は悩まずに解けるのが一番。
占魚亭「これはひと目でした。」
■でしょうね。客寄せ用の8手ですので。
変寝夢「基本的な7+1手ですね」
■8手詰の全3420通りのうち約3分の2は7+1手ですので。(推理将棋の館の8手分類参照)
飯山修「他の7手パターンで同歩の余裕はさすがにない」
■飛先の歩を突いて行く以外は角道をあける手か53銀で詰めるための協力手の54歩くらい。
津久井康雄「私にはありがたい難易度。2問目以降にも手を伸ばす気になります。」
■初級はウォームアップの役割ですね。
原岡望「例の筋の応用」
■推理将棋で「例の筋」と言われると3本の指に入ると思う。あとは何だろう、53銀の筋、はてるま手筋、吊るし桂、2枚角、空き王手あたりかな。
神在月生「無駄手を活かして「同歩」の一条件で限定に纏める狡賢さ(失礼・笑)」
■手数を増やして条件を少なくする極意が8手詰?
正解:19名
斧間徳子さん 渡辺さん はなさかしろうさん NAOさん RINTAROさん
ほっとさん 小山邦明さん 諏訪冬葉さん のくせにさん ミニベロさん
S.Kimuraさん 山下誠さん 占魚亭さん 変寝夢さん 飯山修さん
津久井康雄さん 原岡望さん 緑衾さん 神在月生さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
はなさかしろうさんの短評へのコメントの補足
「3420通り×8手=27360表記の中に1つしかない」のが5つということですね。
担当が調べてみた範囲では、120-1で正式な発表作としては3つ目のようです。以前の発表作2つはどちらも詰パラです。
mixiでの研究では、未発表2つのうちの1手順の情報がありますが、もうひとつは研究情報も作品発表もないようです。
投稿: Pontamon | 2019.10.20 23:09