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推理将棋第121回解答(3)

[2019年11月25日最終更新]
推理将棋第121回出題の121-3の解答、第121回出題の当選者(たくぼんさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


121-3 上級 上谷直希 作   飛車の遅速   12手

「12手で詰ませたよ。動いた大駒は僕の飛車だけだったかな。
僕の歩は5手目に取られたけど、僕が初めて歩を取ったのは10手目で、それは飛成の手だったよ。
ただ、成駒で王手を掛けている局面は登場しないまま終局したんだ」

(条件) 

  • 12手で詰み
  • 動いた大駒は後手の飛車のみ
  • 5手目は歩取り
  • 10手目は飛成で、後手にとって初めての歩取り
  • 成駒で王手している局面はなかった

出題のことば(担当 Pontamon)

 後手の飛が成るために邪魔な歩を消す手順を考えましょう。

追加ヒント

 とどめは45で取った桂を打っての吊るし桂です。

【余詰修正】

(会話)
修正前: 10手目は飛成で、その手で僕は初めて歩を取ったよ。
修正後: 僕の歩は5手目に取られたけど、僕が初めて歩を取ったのは10手目で、それは飛成の手だったよ。

(条件)
・5手目は歩取り
を追加

余詰は、作意手順での手順前後と別手順での余詰でした。手順前後可能の指摘があった解答者も双方解としました。


推理将棋121-3 解答 担当 Pontamon

▲36歩、△44歩、▲37桂、△45歩、▲同桂、△42飛
▲48金、△45飛、▲49玉、△47飛成、▲59金、△37桂 まで12手

(条件)
・12手で詰み
・動いた大駒は後手の飛車のみ(6手目△42飛、8手目△45飛、10手目△47飛成)
・10手目は飛成で、後手にとって初めての歩取り(10手目△47飛成)
・成駒で王手している局面はなかった(12手目△37桂が唯一の王手)

Suiri1213

本問には二つの課題があります。それは飛成するために邪魔な歩の消し方と、成駒での王手ができないのでどの駒で詰めるのかです。詰み形としては玉の隣の筋の7段目で飛成して、龍を支えにしての頭金が想像できます。銀だと龍がある反対側の銀腹へ逃げられそう。10手目に歩を取って飛成しなければいけないとなると、金入手は8手目までです。可能でしょうか?とりあえず、飛成までを考えてみます。

Suiri1213a後手の飛が成る最短は6手目のはずですが本問では10手目。6手目に後手の飛が成るには、▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同飛、▲何か、△37飛成 とか、▲76歩、△44歩、▲同角、△42飛、▲53角不成、△47飛成 の手筋がありますが、本問では大駒着手は飛車だけとのことなので、先手角での協力はできないので別の方法で後手の飛先の歩を消す必要があります。

先手の歩を突いて行って、7手目に3段目で成って△同飛が8手目。これは"と金"なので歩を取ったことにはならず、9手目に7段目か8段目に歩を打って、△同飛成が10手目で初の歩取り且つ飛成の手になります。ただし、その飛成で王手を掛けてはいけないので、飛成が8段目なら3筋か7筋、7段目なら3、4、6、7筋になります。しかし、後手の持ち駒は歩だけなので最終手で持ち駒の歩は使えません。

それでは、飛先の歩を2回突いて、飛を4段目に浮いてから筋を変えて7段目へ成る手順はどうでしょう。後手は自力で飛が出て行くので、先手は金を6段目まで出て行って、頭金で詰めるための金を提供することもできそうです。参考1図はこの方針で頭金で詰めた局面なのですが、飛成する前に金を取る手が入ってしまったので飛成は12手目になり、14手で詰めた局面でした。

参考1図の手順:▲76歩、△84歩、▲78金、△85歩、▲77金、△84飛、▲66金、△64飛、▲38金、△66飛、▲16歩、△67飛成、▲15歩、△58金 まで14手

Suiri1213b飛が出て行くのに邪魔な歩を消すための残る手筋は、先手の桂で後手の歩を取ってもらう手順になりそうです。参考2図は先手の桂で53の歩を取ってもらい、後手は5筋に振った飛で8手目に△同飛、10手目に△57飛成ですが、その10手目が王手にならないように9手目は▲58飛としておいて、11手目の▲66歩の協力によって12手目の△67桂で吊るし桂の形で詰みになります。頭金は手数が問題になりましたが、飛先の歩を取ってもらった桂を途中で入手できるのでこの吊るし桂で行けそうです。

参考2図の手順:▲76歩、△52飛、▲77桂、△14歩、▲65桂、△15歩、▲53桂不成、△同飛、▲58飛、△57飛成、▲66歩、△67桂 まで12手

解けたと思ったのですが、大駒着手は飛だけなのに先手も飛の手を指しているのでこれも失敗です。

でも、参考2図を見てみると▲53桂不成で歩を取って貰うまでにタイミングを合わせるために後手は1筋の歩を2回突いている無駄手がありました。この、2回の歩突きを6筋でしていたら、▲53桂不成の前の▲65桂で6筋の歩を取って貰うことができるのに気付きます。初手から、▲76歩、△64歩、▲77桂、△65歩、▲同桂、△62飛、▲何か、△65飛、▲何か、△67飛成 の10手で無事に先手の歩を初に取る手が飛成になっています。確定していない先手の2手で、▲68金、▲69玉としておいて、11手目に▲59金と寄れば吊るし桂の形にはなりますが、△77桂では角が利いているので駄目。かと言って、▲56歩からの△57桂では手数オーバーです。89の桂を跳ねて行ったために△77桂で詰ますことができなかったので、左右を反転して29の桂を跳ねて行く手順にすれば最終手△37桂は先手に取られることはありません。

つまり、初手から、▲36歩、△44歩、▲37桂、△45歩、▲同桂、△42飛、▲48金、△45飛、▲49玉、△47飛成、▲59金、△37桂 です。

作意順とは別の余詰手順は、▲76歩、△84歩、▲68玉、△85歩、▲77玉、△84飛、▲78金、△54飛、▲16歩、△57飛成、▲15歩、△34歩までの空き王手。

RINTAROさん、ほっとさん、NAOさんから解答をいただきました。先手の余裕手2手はお三方が申し合わせたかのように▲16歩、▲15歩でした。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

上谷直希(作者)「拙作が余詰だったとのこと、大変失礼いたしました。」

斧間徳子(双方解)「華麗な手順ですが、5手目と7手目などで手順前後が利くのでこれは余詰め手順でしょうか?」

のくせに(双方解)「85歩を桂で取る筋をしばらく考え、どうしても1手足りず、37を空ければ一石二鳥ということに気づきました。が、8手目までの局面に手順前後がいろいろあります。条件は満たしていると思うのですが、別解でしょうか。36歩 42飛 37桂 44歩 48金 45歩 同桂 同飛...など」

■粗検、申し訳ありませんでした。

RINTARO(双方解)「どこか間違えてますか?」「条件より、飛車先の歩を取るには桂しかなく、収束は吊るし桂の筋しかないと追ったところ、ぴったり詰みました。」

■最初の解答が△34歩までの空き王手の余詰手順でした。ご指摘、ありがとうございます。

占魚亭「「成駒で王手の局面なし」の条件を見落とし、76歩84歩の筋を読んでいました。」

■成駒(飛成時を含めて)での王手を許すと、いろいろと詰手順が出てくるようです。

はなさかしろう(双方解)「3条件でいろいろな余詰筋がぎりぎり成立しなかったので、どうしたものかと、かなり楽しみましたが…手順前後が可能なので、この順は作意ではないのかもしれません。」

■大駒着手は後手の飛だけというだけでもキツイ条件なのに、後手の歩取りが10手目の飛成指定。それでも筋やとどめの駒の情報がないのであれこれ手順を楽しめます。

ミニベロ「87飛成・67飛成で翻弄される。そうだよね。47なら角の利きがないもんね。これに気付くのに5日。まあヒント前に解けたからよしとしよう。」

■12手目△77桂なら▲同角が指せます。

諏訪冬葉「飛車を生かすために左桂で歩を取っていたがうまくいかず、ためしに右桂を使ったらあっさり解決(初級でも同じようなこと書いた気が)」

■先手は角を使えるわけでもないのですが、ついいつもの調子で▲76歩から始めると左桂の出番になってしまいます。

ほっと(双方解)「左桂を活用するとうまくいかないのが不思議。なお当初は余詰順しか見えず。」

■左桂を使って7筋や8筋辺りの手を検討していて、飛を出る筋を発見されたのですかね。

渡辺「素直すぎて余詰かと思いました。先に合駒が間に合うのはこの形のみ。出遅れたので5手目の歩取りを軸に考えて楽しました。」

■余詰修正後だと、5手目の歩取りが解図の糸口になりますね。

NAO(双方解)「桂の手を隠しつつ45で桂を取って37に打って詰ます構想。」

■後手の飛とどの駒を組み合わせるかを考えた時、桂香よりは金気を考えてしまいます。

小山邦明(双方解)「4筋の玉での吊るし桂の収束形は大変面白い。5手目と7手目の手順前後が可能なのが惜しかった」

■その手順前後にも気付かずに出題してしまいました。

S.Kimura「こちらも前回同様,余詰修正に助けられ,5手目に歩を取る手から,桂馬を跳ねる手が浮かびました.この修正も痛いと思いますが,それほど修正が難しい余詰だったのでしょうか.」

■5手目と7手目の手順前後だけではなく、▲48金、△42飛から開始しても成立してしまうため、5手目に歩を取るという修正が必要になりました。「5手目は桂」とは明かせませんので。

山下誠「最初に8七飛成、次に4七飛成の筋をずいぶん考えました。3七に桂打のスペースを作るのがポイントでした。」

■87飛成の筋は前担当のNAOさんが潰してくれていました。

ジェシー「大駒の利き縛りで詰める手筋は、推理将棋ではあまり見ない気がします。」

■何と言っても大駒が主役になることが多く、大駒の着手指定はあっても使う手を制限する条件は少ない気がします。大駒を使ってはいけない条件の究極としては、玉と歩だけの着手で13手詰なんてのがあります。

飯山修「こちらは先手の有効手3手を探す問題」

■桂渡しまでの▲36歩、▲37桂、▲45同桂の3手、詰形にする▲48金、▲49玉、▲59金の3手。ヒント後だと後者ですね。

神在月生「金銀は無理のようなので桂ネライ、10手目初歩取りで、早々に3筋はあきらめ。余詰確認していないのでわからないが、条件削減はできないんですよね。」

■全ての条件はクリアしてください。そうでないと、手数条件だけクリアすれば12手詰全部が余詰になってしまいます。でも、わざと不要な条件を追加している場合もあるので、それだと解図の際には無視してもいい条件になります。(無視してもその条件は成立している必要はあります)

原岡望「トーチカを作って安心していたら桂を取られていたのをうっかりした。余詰気になります。」

■▲48金がビンされているので▲同金とはできないのが辛い。

変寝夢「うーん、わからないや、と試行錯誤の上どうやら5手目は桂で歩を取ることまではわかったが、89玉に87竜77桂の形に決め打ってしまい苦戦。どうやら条件的に89に玉が行くことは不可能(竜の王手が必須な為)なので69玉はと考えた末、漸く初手36歩に行き着いた。6手目からは条件をつけてPCに検索させたら440万局面2分45秒で唯一解を出力。76歩から着手したがるのは悪いくせだなぁ」

■解析が6手目以降だったので手順前後なしの唯一解だったのですね。

緑衾「ヒントを見てから解いてしまいました。難しかったのでしょうか。」

■5手目が歩取りの追加条件がない場合は結構難しいはずです。

たくぼん「桂での止めが分らず。ノーヒントだとかなりの難問でした。余詰順も考えてみましたが、そちらの方が難しくて分りませんでした」

■上級のヒントは出し過ぎだったかな。


正解:21名

  斧間徳子さん のくせにさん RINTAROさん 占魚亭さん
 
 はなさかしろうさん ミニベロさん 諏訪冬葉さん ほっとさん
  渡辺さん NAOさん 小山邦明さん S.Kimuraさん
  山下誠さん ジェシーさん 飯山修さん 神在月生さん
  津久井康雄さん 原岡望さん 変寝夢さん 緑衾さん
  たくぼんさん


総評

RINTARO「今回は難易度高かったです。初級が難しかったです。3が余詰ではないかと思います。」

■RINTAROさんからの余詰手順を見て愕然としました。(その後、作意順の解答もいただきました)

占魚亭「私的には、ちょうどいい難度でした。」

■予定変更で中級を易問と取り換えての出題でしたが、少し物足りなかったのでは?

諏訪冬葉「スタートレックは全く見ていませんが、この時期になるとスタートレックのテーマが恋しくなります。」

■バラエティとかクイズ番組とかでもBGMで使われますが、何かの記憶とリンクしているのかな。

渡辺「今回はどれも難しかった。」

■これは予想外のコメント。

NAO「121-3は担当のときに投稿いただき修正を重ねた作品だったが、余詰筋が残ってたまま引き継いでしまいました。作者とPontamonさんには申し訳ありませんでした。」

■「成駒の王手」という表現が気になったので修正していただきましたが、余詰筋は全く気づきませんでした。手順前後まで見逃していたのは新担当の責任です。

S.Kimura「余詰が出るたびに,その解も考えていますが,いつも分からないままです.こちらのヒントも欲しいぐらいですね.」

■余詰手順は結果稿での紹介で勘弁してください。

ジェシー「今月は追加ヒントが親切だったので、無事に全部解けました。」

■考え処を1つ残すくらいのヒント投入にしているつもりですが、今月は大甘でしたか。

飯山修「1番でひっかかり直前ヒント待ちを決め込んだ。すると2番3番は大甘の直前ヒントを見てからの推理となり随分楽をした。ヒントの匙加減は難しいですね」

■昔のDD++さんのヒント投入をみたら結構大甘なヒントだったようなので、レベルを合わせているつもりでした。今月は全解答者全問正解でしたから、もう少し歯応えを残すくらいの煮込みにしようかな。

神在月生「復活後のおもちゃ箱だけは、無欠勤&全解(正解ではない)を続けたい。」

■今後ともご愛顧をよろしくお願いします。

津久井康雄「今月はいずれも追加ヒント無しではサッパリでした。どの手筋を使うのかに自力で気付くのはいつの日やら…」

■徐々に慣れていくと思います。

原岡望「7日に詰パラの〆切を乗りきったと思ったらすぐにおもちゃ箱の〆切とは。全部ヒントの助けを借りた。お手柔らかに」

■担当は詰パラが届いても推理将棋しかしないので締切は全く気になりませんが、推理将棋以外にも解かなければいけない問題を沢山抱えているのでしょうね。

変寝夢「試行錯誤して解を発見するのも楽しいですが、ソフトが一生懸命解図に取り組んでいる姿を眺めるのも同じぐらい楽しいです。解に近いところを検索している時は胸がドキドキしますし、解の部分をスルーしてしまった時は、原因が判明するまで何も手に着かないぐらい落ち着きません。親バカですね。
ソフト製作はある程度汎用性があるものを目指しています。
121-3の6手目からは「;;/実戦初形/-82:43:37:29/盤面=42v飛36歩45桂/持駒=歩/手数=6/%協力自玉/非連続王手/駒指定<6:22v角:28飛:88角/手指定=,4,47,飛,成,:=,6,,飛|角|金|銀|桂|香|歩,,,,」というコマンドを与えています。
雰囲気はわかって頂けると思います。」

■実戦初形から移動して無くなった駒の元地点、実戦初形との差異の盤上の駒と持ち駒、[22v角:28飛:88角]辺りは動かさない駒指定で4手後に47飛成(つまり10手目)のような感じですかね。ソフトが解図している時、盤面表示されているのかな?

緑衾「今回はヒントを見てから解きました。それから、なんで正解者数なんて載せるんですかね(笑」

■投稿、ありがとうございます。作図していて解図する時間が無くなった?

たくぼん「最近、頭が固くてなかなか解けませんでしたが、今月は優しいヒントで助かりました」

■そう言われるとヒントの匙加減をどうしたらいいか迷ってしまいます。


推理将棋第121回出題全解答者: 21名

  斧間徳子さん のくせにさん RINTAROさん 占魚亭さん
  はなさかしろうさん ミニベロさん 諏訪冬葉さん ほっとさん
  渡辺さん NAOさん 小山邦明さん S.Kimuraさん
  山下誠さん ジェシーさん 飯山修さん 神在月生さん
  津久井康雄さん 原岡望さん 変寝夢さん 緑衾さん
  たくぼんさん

当選: たくぼんさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください。

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