推理将棋第122回解答(1)
[2019年12月19日最終更新]
推理将棋第122回出題の122-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
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推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第122回解説 担当 Pontamon
第122回は難問揃いでしたが20名から解答をいただきました。
難問だった理由のひとつは3題とも視点の転換が必要だったからでしょう。
3ヶ月連続での余詰となった上級はヒントが足りなかったようで、余詰解だけの解答が目につきました。
122-1 初級 Pontamon 作 同じ対局? 9手
「7手目と9手目は同の手を指して9手で詰めたよ」
「その対局は最近聞いた記憶があるなぁ」
「2手連続で大駒着手があったから君が聞いた対局とは違うと思うよ」
「2手連続と言うと、先手の着手の直後の後手着手か後手の着手の直後の先手着手ってことだね」(条件)
- 9手で詰み
- 7手目と9手目は同の手
- 2手連続での大駒着手があった(先後または後先の順の2手)
出題のことば(担当 Pontamon)
同が付く手を2連続で指すパターンを整理しよう。
追加ヒント
2手連続の大駒着手は後先の順で、同の着手はふたつの駒で1回ずつです。
推理将棋122-1 解答 ▲76歩、△52飛、▲55角、△62玉、▲75歩、△74歩、 |
「7手目と9手目は同の手」の条件は先月と同じで今回は「2手連続での大駒着手」がもうひとつの条件。解図の糸口は、この大駒着手2手連続になりそうです。
121-1では馬が連続で同の手を指しましたが、先手が大駒着手を連続で指すと、後手の大駒着手と合わせると3連続の大駒着手になってしまいます。そこで今回は▲22角不成のあとに31の銀を取ってその銀で詰めれば、先後での大駒着手を連続2回でとどめることができそうです。
参考1図は、初手から▲76歩、△34歩、▲22角不成、△52玉、▲31角不成、△62飛、▲51銀、△62金、▲同銀成で詰めた局面ですが、7手目が同の手にはなっていません。同の着手を連続でするために、▲22銀、△33桂、▲同銀、△42金、▲同銀成にすると11手になってしまいます。
ここは、着手をじっくり検討してみましょう。9手詰なので先手着手は5手で、大駒着手をするならやはり角なので初手は角道を開ける▲76歩。7手目と9手目は同の着手となると、残るは3手目と5手目の2手なので普通に考えれば3手目が角着手です。そうなると2手目か4手目が後手の大駒着手になるはずです。5手目は盤上の駒の着手か、大駒以外の持ち駒を打つ手が考えられますが、3手目の角の着手で取れる駒は歩か角なので5手目に駒を打つなら角になります。この場合、後手の大駒着手が4手目だと3手目~5手目の3連続になるので駄目です。かと言って、2手目に後手が大駒着手をすると、3手目で先手は▲22角とはできないので、結局5手目は盤上の駒を動かす手になります。
参考2図は、初手から▲76歩、△62飛、▲44角で2手連続の大駒着手にして4手目△54歩の後に▲62角成で飛を取ります。この5手目が王手になってしまうので6手目で△32玉と逃げた局面です。王手を掛けると玉を逃げないといけないので、7手目に同の着手ができるように駒を差し出す手を指せません。また、後手の駒を5手目に取ったとしても7手目は同の着手なので持ち駒を使う暇はありません。
つまり、先手は7手目と9手目が同の着手なので駒を取りますが、それ以前の5手目までも駒を取っても使えず、後手玉に王手を掛けることはできないことになります。
では、初手▲76歩、3手目角、5手目盤上の駒移動で7手目に同の着手を実現できるのはどんな手順があるでしょう。3手目の角着手を中段でとめておけば、△44歩、▲同角とか△84歩、▲同角とか△64歩、▲同角が可能ですが、44、64、84の地点から9手目も同角の手で後手玉を詰ます形はなさそうです。また、これらの▲同角は最速では5手目に指すことができるので、7手目に▲同角とするには5手目に何か別の手を指す必要があります。詰みに関係しそうな手で何を指せばいいでしょうか?▲77桂を出動しても敵陣までは持っていけそうにありません。あとは初手に突いてある歩くらいしかありませんが、これも敵陣へ行くのは9手目になってしまいます。9手目に▲73歩成で歩を取っていては詰みにはなりませんが、6手目に後手が△74歩とすれば7手目は▲74歩ではなく▲74同歩にでききるのに気付きます。続けて8手目の△73桂に▲同歩成は可能ですが、玉が72に居たとしても桂が居た81地点が空いているので玉に逃げられてしまいます。もし、△73桂を▲73同角成で取った場合だと、62に玉が居て52地点が埋まっていれば玉は51へ戻ることもできず詰みになります。73の馬の支えは7手目に▲同歩とした74の歩が担当します。
52を埋める駒を飛にすれば、3手目の先手の角着手と合わせて2手連続の大駒着手も実現できます。飛を振ってからでないと△62玉を指せないので、初手から▲76歩、△52飛、▲55角、△62玉になります。5手目からの▲75歩、△74歩、▲同歩、△73桂、▲同角成で詰みました。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
Pontamon(作者)「先月の初級は簡単に解いてしまって、8手目が駒の直進でない場合の手順は探られていないことを期待しての出題です」
渡辺「トランスワープを使わないなら、手数から単騎か自陣駒を活用かしかない。単騎は「はてるま型」しかなく同で終わらないので自陣駒。手数から76歩を活用するしかない。」
■じっくり論理を組み立てると手順が見えてきます。
小山邦明「収束形が思いついたので早く解けました。」
■収束形が閃くと最速で解けますね。
リーグ戦ファン「解き易い好作、なはずが…「角以外の先手の駒が敵陣に届くには最速は桂、3・5・7筋攻めいずれも後手に6手必要、だから角二枚あるいは単騎詰」と思い込み、2時間ハマりました。冷静に考えれば75歩も77桂と同じ手数で敵陣に行けるやないかい……このへんはブランクの悲しさでしょうか。」
■まったくの推理将棋断ちだったのでしょうか。すぐに勘は戻るでしょう。
斧間徳子「条件が単純な「後手は大駒を動かした」ではないことから先手76歩~22角成~角打ちの筋ではないことがわかり、小駒を使った作意順に思い当たる。詰パラ2011年1月号のNo.97(野口大樹氏作)と同一手順だが条件が異なるので問題なし。」
■「後手は大駒を動かした」の条件を使うと「5手目は角」の追加とか「後手は大駒を動かしたがその直前・直後の先手着手は小駒だった」にする必要があります。
NAO「シンプルな手順がありましたね。121-1のイメージが残っており、22角成以下の手順に捕まって悩んでしまいました。」
■視点を変えて、逆サイドからの攻めも要検討。
諏訪冬葉「「3手連続」でないから角を取る手は使えない。となると戦力不足・・・と思ったらまた歩だった。」
■後手陣まで行かなくて良かったので歩で間に合いました。
のくせに「大駒の手が3手連続ではない=小駒の出番、と推測はできましたが、先月の残像のせいか73に全く意識が向かず大苦戦。」
■「先月と似た攻めではないはずだから左から」と考えてあっさり解かれてしまうか、2ヶ月連続での出題は出題側も掛けに出ています。
ほっと「この詰上りは手順前後や非限定が生じやすいが、うまくまとまっている。」
■飛の代わりに△52金左があったり、△94歩、△93桂で桂の利きを外す手順もありますが、同の連続の条件で手順前後は6通りだけになっています。大駒連続条件で限定できました。
緑衾「手数の割にはかなり難しかったです。センスのない筋をさんざん考えてしまいました。」
■まさか121-1で解説した詰まない手順も考えてしまった?
RINTARO「76歩34歩22角成迄は必然と考えた私が馬鹿だった。コペルニクス的転回が必要だった。」
■はい、視点の転換が必要でした。
たくぼん「7手目と9手目は同の手ということで、同じ駒で取るしかないと思っていましたが、初手を活かした見事な手順が潜んでいましたね。初級ではないと思います。」
■121-1の条件や出題のことばを比べて、ヤマを張る手もありました。
変寝夢「ソフト回答です。他の条件に3手目22角、7&8手目大駒を追加してみたが、不詰回答。自力の解図では、角を奪って15に打ち24歩、同角33桂、同角成をイメージしていたので大誤算。試行錯誤の上何とか発見してくれたが、これで初級とはハードルが高いですなぁ。結局プラス条件初手76歩2手目飛3手目角で500万局面28分でした。」
■122-2の10手詰の所要時間と比べても初級が難しかったということのようです。
神在月生「条件から、単騎詰なし~3手目角取り&5手目角打ち・4手目玉等の手は飛取りが無理~4手目飛&6・7手目玉の手はなし、で種々検討も良案見つからず。何かの思い違いがあるのか???」
■121-1の残像効果で3手目角取りと考えて、そこから発想の転換が無かったようです。
はなさかしろう「思いつきにくい手順を好条件で。これで限定できてしまうのが素晴らしいです。」
■非限定や手順前後を排除できる手順にスリムアップできた結果です。
飯山修「わかりません」
■単に9手だから初級というのは駄目ですね。初心者でも解くことができるということで94問題が作られたそうなので、9手で4条件は初級、3条件は中級、2条件は上級にするという基準はどうかな。でも1条件の易問もあるなぁ。
占魚亭「この形だったのか!!!」
■このような形を総称して何と言うのかな。串刺しではないな。
S.Kimura「角2枚で迫ることばかり考えていたので,ヒントで情報が増えた気がしませんでした.その後,盤上の駒を使う発想がようやく浮かんだものの,最初は桂を跳ねていたので,7筋の歩を伸ばしても間に合うことに気付くまでにしばらくかかりました.」
■思いのほか難しかったというのが分かったのは締め切り後なので、初級もヒントが足りていなかったみたいです。
正解:15名
渡辺さん 小山邦明さん リーグ戦ファンさん 斧間徳子さん
NAOさん 諏訪冬葉さん のくせにさん ほっとさん
緑衾さん RINTAROさん たくぼんさん 変寝夢さん
はなさかしろうさん 占魚亭さん S.Kimuraさん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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