推理将棋第124回解答(2)
[2020年2月24日最終更新]
推理将棋第124回出題の124-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第124回出題 推理将棋第124回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
新年早々の余詰作で申し訳ありませんでした。
124-2 中級 Pontamon 作 2020と言えば 20手
「明けましておめでとう」
「おめでとう。今年は2020年、20と20と言えば?」
「そりゃ、20枚対20枚の駒で戦う将棋だよ」
「今年は令和2年だから、2筋の着手だけで指し初めと行くか!」
「では、お願いします」
「互いに駒成りすることもなく、この20手目で詰んだな」
「参りました。ルールを忘れて2筋以外の手を1手指してしまってごめん」
「僕は歩で角を取ったけど、23へ不成した歩で22の角を取っていれば違った展開だったと思うよ」(条件)
- 駒成なく20手で詰んだ
- 先手の1手以外は全て2筋着手
- 後手は歩で角を取り、先手は23へ不成した歩で22の角を取らなかった
出題のことば(担当 Pontamon)
後手の着手は2筋だけ。不可解な22の後手角と23の先手歩の謎を解こう。
締め切り前ヒント
詰み上がりは8,9段の二枚飛車。▲23歩不成時点では後手角は無く、△22角は18手目の手待ち着手。
余詰修正
会話へ"僕は歩で角を取ったけど、"を追加して
「僕は歩で角を取ったけど、23へ不成した歩で22の角を取っていれば違った展開だったと思うよ」
条件へ"後手は歩で角を取り、先手は"を追加して
・後手は歩で角を取り、先手は23へ不成した歩で22の角を取らなかった
推理将棋124-2 解答 担当 Pontamon ▲26歩、△24歩、▲25歩、△同歩、▲同飛、△27歩、 |
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自陣の飛と最奥の飛の連携だと最短11手ですが、最奥からの2段連続の二枚飛車での詰み上がりの作品はこれまでに無かったようです。おそらく最短は14手だと思いますが、後手に2手の手待ちが必要なので条件を限定し難いのがこれまでに作品がない理由でしょう。
2筋以外の筋の着手が1回だけでの詰み上がりは2種類だけ。ひとつは参考図のように49の金を29の飛でピンして、8段目は28の飛で抑え、唯一の2筋以外の着手の▲36歩で玉への利きが通った△26角で詰める形です。この形だと18手で実現可能です。
参考図:▲26歩、△24歩、▲25歩、△同歩、▲同飛、△27歩、▲22飛不成、△同飛、▲28角、△同歩成、▲同銀、△同飛不成、▲24歩、△29飛不成、▲23歩不成、△28飛打、▲36歩、△26角 まで18手
詰将棋パラダイスの購読者ならお気付きだと思いますが、2020年1月号の詰パラ推理将棋で出題された1手だけ別の筋の着手条件の作品での詰み形がこれになります。(きっと、短評でも指摘があることでしょう)
作者も最初はこの詰み形を検討したのですが、2020年の年賀推理にするには2手追加する必要があり、この18手の手順でさえ非限定が多くて条件付けが難しそうだったので、もうひとつの詰み形の作品にしました。
参考図で、49の金が無ければ角の王手ではなく、8段目と9段目の二枚飛車での詰みになります。詰みに関係ない後手の角は22へ打つと、なにやらプルーフゲームの様相になるし着手の限定がし易くなります。2筋以外の着手は▲36歩の代わりに金を2筋へ持って行くための▲38金です。金を遠くへ動かさないといけないようなイメージがあり、たった1手を使うだけで済むのが意外かもしれません。29の桂を取るタイミングは49の金がまだ居る時でなければいけないし、参考図だと△29飛不成した飛はそのまま29に居れば良いのですが、二枚飛車での詰みでは29地点を空けるために1手使って△28飛不成で一段戻る必要があります。参考図では最終手で角を26へ打ちましたが、作意順では26の代わりに22へ打つだけなので手数の増減はなく、△28飛不成の1手が増えるので、先後で2手増えた20手詰みになります。
互いに2筋の歩を突いて、5手目に▲25同飛で後手の歩を取ると、6手目に後手が指せる2筋の着手は持ち駒の歩を打つしかありません。次の先手着手は▲22飛不成が見えているので、23や24へ歩を打つのは後の着手ができなくるので、歩を打つ場所は26~28の3箇所のうちのどれかになります。7手目は先手が指せる▲22飛不成、8手目で△同飛とすれば、9手目に先手は取った角を打って後手へ角を渡すことができます。それに都合が良いのは28地点です。なので6手目の歩打ちは△27歩としておくと9手目▲28角に△同歩不成。駒成なしなので28の後手の歩はこれ以上進むことはできませんが、11手目の▲28同銀、△同飛不成がピッタリ。13手目は▲23歩不成の条件をクリアするために▲24歩と控えて打ちます。後手は、△29飛不成の後に△28飛不成と引きます。17手目で▲38金と上がり、次の19手目に▲27金へ上がって△29飛打の移動合いをできなくします。18手目は△22角です。19手目に23で不成した歩で22の角を取れる状況になりましたが、先手は▲27金へ上がってしまったので△29飛打で詰みとなりました。
余詰手順ですが、6手目の歩を打つ手を△28歩とする手でした。この後、▲22飛不成、△同飛、▲28銀で歩を取って△同飛。この後に△29飛不成で桂を取って△28飛不成と戻るときに先手は28へ角を打っておいて後手に角を渡すことができます。この手順だと取る駒の数と種類は同じなのに、△27歩と打ってから△28歩不成とすると2手必要だったものが直接△28歩とするので後手に1手の余裕ができるため、持ち駒になっている桂や銀を打つ手が非限定になってしまいました。
△29飛を△28飛不成で1手掛けて戻る必要があるし、先手は2筋以外の着手▲38金だけではなく▲27金へ動く必要があるので、参考図に2手足した20手が最短手数だと思い込んでしまったのが失敗の原因でした。
余詰指摘があるまで最短20手の詰み形だと思っていましたが、この最終図だと18手のプルーフゲームになっていそうです。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
Pontamon(作者)「詰パラ推理の422番を見たとき、被ったと一瞬焦りましたが、6手目と最終手が同じ地点ではないので一安心。条件を覚え間違っていたため、筋も2筋じゃなさそうだと思っていたのですが解いてみると2筋。しかも非限定多数で作図を諦めた図形だったので驚きました。」
NAOさん(双方解)「先後の2筋の歩打から歩不成の手待ちがぴたりと決まりました。」
■2筋着手条件のために指せる手が少なく、先後の指し手のタイミングが悪いので手待ちが多数ある感じ。
ミニベロさん「非限定有りそうで無いんだ。旨く限定できてますね。」
■余詰でキズが付きましたが、プルーフゲーム風の駒配置にして手順が限定されました。
ほっとさん「意外にもこれが一番簡単だった。」
■初級の千日手回避の手順解明が面倒になるとこの中級が一番簡単でしょう。
のくせにさん「49金の処理に悩みましたがぴったりの避難場所ができてました。」
■58金右では28の飛の利きを遮るため68に退路ができてしまいます。
リーグ戦ファンさん「必要な手数が先手10手後手10手であることはわりとすぐ計算でき、あとはパーツを交互にどう嵌めてゆくか。こういう、ちまちま手順を考える問題、プルーフゲームっぽくて実に好みです。」
■先手も後手も2筋着手となると指せる手が限られるので、指し手が無くならないように組み立てる。
RINTAROさん「素直な作品。詰み形はすぐ見えるので、49金の処理に気付けば解ける。」
■二枚飛車の形が浮かべば、おっしゃる通り49金の処理が考え処。
飯山修さん(双方解)「パラ1月号の20手作を解いた後なので26角を打とうとして泥沼」
■22の角が条件にあるので、もう一枚角がないと26角は打てません。
斧間徳子さん「条件が技巧的な好作。詰パラ1月号の類作を解いた記憶があったので考えやすかった。」
■詰パラでは年賀推理とは言わないけど、作者も選題も年賀を意識しているでしょう。2020年、令和2年だとネタが被ってしまうのは仕方ありません。詰み上がりが被らなくてよかった。
山下誠さん「2二角を打つという発想が全く浮かばず、最終ヒント待ちとなりました。」
■22の角が不動のままで▲23歩不成を実現すると、▲26歩、△24歩、▲25歩、△同歩、▲同飛、△24歩、▲26歩、△25歩、▲同歩、△28飛、▲24歩、△29飛不成、▲23歩不成、△27飛不成、▲28銀、△同飛不成、▲39金、△27飛不成、▲29金、△同飛不成 などの手順で王手できても8段目へ逃げられてしまいます。
たくぼんさん「詰パラ松澤作を解いた後だったので最終26角がチラつき頭を捻っていました。ヒントがなければ解けなかったでしょう。無駄のない手順で感心しました」
■前半で22の不動の角と▲23歩不成
波多野賢太郎さん「これはノーヒントで解けました。と言っても、「不可解な22の後手角と…謎を解こう」というのがヒントになりました。ほぼ2筋に限られているとは言え、これだけの条件で手順が限定されているのは凄いと思いました。」
■2020年、令和2年なので「20手詰めで2筋だけの着手」で詰め手順があるのかを探索した結果です。最初は2筋以外の着手が2手ある手順を考えていました。
S.Kimuraさん(双方解)「金も取らなくては詰まないと勘違いしたため,20手に収まらなくて悩んでいました.正解手順を踏まえて,飛車で角を取る手を考えたら,余詰が見つかりました.」
■条件がきつい分、詰め手順を見つければ余詰は殆ど無いはずと高をくくって余詰作になってしまいました。
津久井康雄さん「2筋のみの着手で詰まそうという発想がすごいと思いました。」
■2020年、令和2年の年賀推理なのでダメもとで探索したら、1手だけ2筋以外の着手で行ける手順を見つけました。
諏訪冬葉さん「2829の二枚飛車は思いついたのですが、ヒントを見るまで最終手△26角(2筋以外の手は▲36歩・▲49金はピン)を中心に考えていました。」
■29の飛は王手ではなく▲49金をピンするのが目的と考えている時点で最終手は△26角しかありませんね。
緑衾さん「2六角しか詰み筋がないと思い込んでいてヒントを見るまで解けませんでした。金がどかせるんですね。」
■詰パラ1月号を先に解いていた口でしょうか。
はなさかしろうさん「詰形から考えましたが、先手が49金を残して36歩を突き、後手の29飛、28飛、26角による詰みに誘われてしまいました。角は使わないけどどかさないと通れなかったんですね。」
■使わない角を取り戻してまで元の位置へ戻す。一体何のため?(笑)手順限定のためでした。
原岡望さん「ヒントに助けられました。」
■ヒント投入まで殆ど解答が無かったので大甘ヒントを投入しました。
正解:17名
NAOさん ミニベロさん ほっとさん のくせにさん
リーグ戦ファンさん RINTAROさん 飯山修さん 斧間徳子さん
山下誠さん たくぼんさん 波多野賢太郎さん S.Kimuraさん
津久井康雄さん 諏訪冬葉さん 緑衾さん はなさかしろうさん
原岡望さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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