推理将棋第125回解答(3)
[2020年3月26日最終更新]
推理将棋第125回出題の125-3の解答、第125回出題の当選者(緑衾さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第125回出題 推理将棋第125回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
125-3 上級 ミニベロ 作 長い話 12手
「長い話をしよう。3手目に4筋の手、12手目に8マス移動して終わりじゃ」
「ええっ、もう終わりなの」
「そう、成る手もない。どうじゃ、長い話じゃろう」
「行こっ!」(条件)
- 12手目の8マス移動する手で詰み。
- 3手目は4筋
- 成る手なし
出題のことば(担当 Pontamon)
成る手なしの条件で最終手が8マス移動で詰ませることができる駒は何でしょう。
締め切り前ヒント
持ち駒の飛を打って、その飛を最終手で8マス横移動します。
推理将棋125-3 解答 担当 Pontamon ▲68飛、△34歩、▲48玉、△77角不成、▲36歩、△68角不成、 |
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最終手が8マス移動の条件の作品は本作が3作目になります。最初の102-2では駒成が可能でしたので最終手は龍でしたが、本問は119-3と同様に成る手なしですので最終手は飛になります。
119-3では先手の4筋着手は無かったので条件を変えた作品ではありません。3手目に▲48銀としてそれを△15角や△26角でビンする手順は玉の退路があって失敗するという解説でした。
3手目が4筋で最終手が飛の8マス移動となると、4筋での飛の着手を検討しなければいけません。つまり4筋から後手の飛が世に出る手筋の▲76歩、△44歩、▲同角、△42飛 です。参考1図はこの手筋を使った詰みの局面ですが、2手オーバーの14手掛かっているだけではなく、途中に駒成が必要な手順です。
参考1図の手順:▲76歩、△44歩、▲同角、△42飛、▲53角成、△47飛不成、▲63馬、△14歩、▲41馬、△同飛不成、▲58金右、△38角、▲68金上、△49飛不成
3筋からも4筋からも飛が出て行けなくて8マス移動で詰ますのは無理に思えてきますが、はてるま手筋や8マス移動の過去作品からの先入観で縦移動しか考えていなかったのが間違いかもしれません。飛は横移動もできます。
最短で龍を作る手順と同じになりますが、37や47の歩を飛で取るには6手が必要です。その後8手目で先手の飛を取って、10手目に8段目の端へ移動し12手目に反対の端へ移動することは可能ですが玉を移動させることができないので詰みにはなりません。8段目ではなく中段ではどうでしょう?6手目に目標の段へ移動して、8手目に端へ移動すれば良いので最終手で反対側の端までの8マス移動が可能です。10手目の1手だけで最終手の飛を支える形にできそうなのは△33角なので、目標の段は5段目で8手目は△95飛です。
その方針で指してみたのが参考2図ですが、詰まされに行く先手玉の移動が間に合わず、14手掛かりますし、26地点の退路が空いています。
参考2図の手順:▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同飛、▲36歩、△35飛、▲48玉、△95飛、▲37玉、△33角、▲26玉、△94歩、▲16玉、△15飛 まで14手
参考2図の局面を眺めていると、26の玉退路をカバーしつつ15の飛も支えることができるのは先手陣からの後手角だと気付くでしょう。△角移動は33角とする1手しかなかったのですから10手目の△33角の代わりに何か別の手を指して、△12手目に持ち駒の角を48か59へ打てば詰みになりますが14手掛かっていることに違いはありません。2手の短縮が必要ですが、どうやらこの詰み形が目指すもののようです。
後手の飛が5段目へ出るまでが6手で、△95飛とするのが8手目でしたが、後手が先手の飛を取るまでが同じく6手なので、8手目に△95飛と打つことができます。何も変わりは無いような気がしますが、後手角の位置が異なります。また、▲33角不成をしていないので先手の手数を短縮できます。
後手が駒成なしで6手目に先手飛を取れる地点は28、48、68ですが、15へ向かう玉の妨げにならないのは68地点になります。したがって、初手から▲68飛、△34歩、▲48玉、△77角不成、▲36歩、△68角不成 の6手目に68地点で飛を取れば、8手目に△95飛と打って、10手目の1手だけで△59角不成ができます。7手目から▲37玉、△95飛、▲26玉、△59角不成、▲16玉、△15飛 で詰みとなります。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
ミニベロさん(作者)「この形(中段移動)は13手だといろいろありますが、12手だとこれだけみたいです」
ほっとさん「31飛→39飛不成だと決めつけてしまい横移動がなかなか見えず。「行こっ!」=15 が大ヒントだった。」
■ヒントだったのか!担当も会話の中にヒントを入れておくことがあるけど、気付かなかった。
RINTAROさん「作者の思惑通り、3手目44角にハマる。先手の飛車を取るのではと閃いたとき、全手順が見えた。簡素な条件で素晴らしいです。」
■後手飛が出るための3手目44角にはまりましたか。先手の飛の取り方もいろいろあって迷いますね。
斧間徳子さん「飛を縦に8マス移動するのは3筋以外は難しく、となると横に移動となる。82の飛を使うのは難しいと判れば先手の飛車を取ることになるが、68の地点で取るというのはなかなか思いつかない。「3手目は4筋」がすべてを限定する絶妙な条件!」
■飛を取る手順は△55角から△28角が多いですよね。
NAOさん「68で飛を取らせるのか。10手目まで角の効きを遅らせるのが急所。」
■飛を打ってすぐに移動して詰み上がりにしたいところ。でも飛打ちを遅らせると△59角不成を指せないジレンマに。
のくせにさん「飛車横移動までは早めに絞り込めましたが、3手目4筋=44角と思い込んで9筋方面でハマりました。上級では、当然と思われる条件も疑わなくてはいけません。」
■4段目の8マス移動で△94飛なら85地点を抑えることができません。
ジェシーさん「会話文の最後から、詰み位置は決め打ちできました。ただし、飛車を6八で取らせるというのがなかなか見えませんでした。」
■「行こっ!」の15ですね。
リーグ戦ファンさん「・トドメ駒は飛車しかありえず、駒成なし条件では縦に使うのは難しそう(一応確認)。
・横となれば▽95飛→15飛が当然の本線
・自分の飛車を使うのは▽84歩でも▽94歩でも攻め側14歩とする一手が足らない。
・先手の飛を28角成で取ってOK? またも駒成なし条件に阻まれる。
成らないとなると攻め側が37角とする手が一手足らない。受け側は一手余るのに。
・受け側の余った一手で飛車を48で取らせる:手数OKだけど26玉が手順でアウト
・59-15ラインにこだわらず飛車を早く取らせて8手目に打てば?
・・・と、たぶん誰もがたどりそうな道を歩んで正解にたどり着きました。思考過程がなんとも楽しかったです。「3手目4筋」条件が、初手▲36歩本命と思わせて逆手に使われるところも秀逸。」
■119-3が飛の縦移動で駒成なしの作品でした。推理将棋を封印されていた時なのでご存じなかったのかも。
諏訪冬葉さん「119-3で「端以外の駒打ちがなかったらどんな解があるか」を検討時に見つけました」
■担当だと半年経てば作ったものも解いたものも忘れてしまうのですが...。119-3の短評の一部を除外させていただいたのはこの作品があったからでした。
緑衾さん「横移動は無理と即断してしまい、ヒントまで待ってしまいました。6八なら3手で取れると気づき何とか解けました。」
■ヒントは少し足りないかと思いましたが大丈夫だったようです。
波多野賢太郎さん「これは相当悩みました。飛車で詰ますのはすぐわかりましたが、8二の飛車で詰ますんだろうと思いました。また、3手目が4筋という条件から4四歩を角で取って4一から4九飛というのもかなり考えました。少ない条件でうまくできている作品ですね。」
■ミスディレクションを誘発する3手目4筋の条件。
原岡望さん「角を大きく使われて痺れた。端で詰まされるとは情けない。」
■追い込み漁のような角の動き。
S.Kimuraさん「119-3の9マス移動が縦だったので,今回は横移動を予想しましたが,59角がなるほどの一手でした.」
■102-2も119-3も縦8マス移動。今回は4筋の縦移動だと思って欲しかったけど通じなかった。
たくぼんさん「飛を取る位置が68とはやられましたね。それにしても12手で2条件とは凄い」
■担当は解けなくてギブアップしました。(縦移動しか頭に無かった)
はなさかしろうさん「9筋でなくて1筋なんですね。一旦方針転換してからこの形に戻ってきました。」
■初手▲56歩、3手目▲48飛にして48の飛を取って玉を9筋側へ追うと▲76歩を突く分遅くなってしまいます。
神在月生さん「自陣内の玉を詰上げるには障害物が多すぎ。」
■広いようで狭い中段、しかも端だと歩突きで詰む手順も。
津久井康雄さん「59角が来る前に玉をさっさと26へ移動するのがポイントでしょうか。」
■自陣脱出(?)のタイミングはこの時だけ。
正解:19名
ミニベロさん ほっとさん RINTAROさん 斧間徳子さん
NAOさん のくせにさん ジェシーさん リ-グ戦ファンさん
諏訪冬葉さん 緑衾さん 波多野賢太郎さん 飯山修さん
山下誠さん 原岡望さん S.Kimuraさん たくぼんさん
はなさかしろうさん 神在月生さん 津久井康雄さん
総評
ほっとさん「久々に全題ヒントなしで解けました。」
■先月もヒント前解答だったと思いますがギリギリだったので感じ方が違うのでしょう。
RINTAROさん「どの作品もちょっとした考えどころがあり、良かったです。」
■考えどころの難度が「ちょっと」ではなくなる作品が投稿されつつあります。
リーグ戦ファンさん「なんだか昔を思い出すことの多い問題3つで、楽しく解くことができました。私が出題側だったりしたのはもう11年も前ですか。非常に懐かしい記憶をありがとうございます。」
■「出題側だった」という過去形ではなく、推理将棋の封印を解いたのですから作者としての復活も期待しています。
諏訪冬葉さん「上級がすぐできたので久しぶりのノーヒント回答です」
■研究済みの問題が出ると解図は楽になるけど物足りない?
緑衾さん「今回一番好きなのは3番ですね。横移動だと分かってからも楽しめました。」
■ヒント投入当日に「横」の一文字を追加しました。
波多野賢太郎さん「今回はノーヒントで全て解くことができました。3番がようやく解けたのが3月2日の入浴中で、早速解答送信です。スッキリしました。」
■相性なのか、担当は3番を半年掛かっても解けませんでした。毎日入浴しているのですが効果なしでした。
飯山修さん「『うまくいかない時はいったん放ったらかし』理論で翌日68飛を発見。3手目の限定は1手目ではなく5手目とのからみだった。」
■▲76歩、△44歩、▲同角の紛れがあるので、5手目が4筋よりは3手目条件が優れています。
山下誠さん「最終ヒントを見るまで、飛車を取って打つという手段を全く思いつきませんでした。」
■過去の飛の縦8マス移動の残像があると後手の飛を中段へ繰り出してと考えてしまいます。
DJカートンさん「彩棋会の中止を聞いた時点で1と3を解く気力がなくなってしまった。」
■新型コロナウイルスの影響がこんなところに...。
原岡望さん「今月はヒントに助けられ珍しく早めの解答です。」
■今回のヒントは少しセーブしたつもりでしたが、作品との相性ですかね。
S.Kimuraさん「今回も初級から苦戦していました.」
■初級と中級が逆とのコメントもありました。順番は無視して解き易いものからどうぞ。
たくぼんさん「今月は好作揃いでしたね。懐かしい名前を拝見できて何年か前に戻った感じでした」
■今後も懐かしい作者に頑張ってもらいたいと思います。
変寝夢さん「今月も初級と中級は逆の配置ではないかという意見がでそうですね。」
■中級に近い初級でしたか。
神在月生さん「今回は総じて解きやすかった。」
■超難問があると気力も棋力も落ちてしまう?
津久井康雄さん「今回も追加ヒントのお世話になりました。」
■締切り前ヒントを活用してください。
占魚亭さん「今回は1作のみの解答。まったく見えません……。」
■透明駒が見えなかったのは仕方ないとして、推理将棋も難しかったかな。
推理将棋第125回出題全解答者: 22名
ミニベロさん ほっとさん RINTAROさん 斧間徳子さん
NAOさん のくせにさん ジェシーさん リ-グ戦ファンさん
諏訪冬葉さん 緑衾さん 波多野賢太郎さん 飯山修さん
山下誠さん DJカートンさん 原岡望さん S.Kimuraさん
たくぼんさん 変寝夢さん はなさかしろうさん 神在月生さん
津久井康雄さん 占魚亭さん
当選: 緑衾さん
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