推理将棋第127回解答(1)
[2020年5月22日最終更新]
推理将棋第127回出題の127-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第127回出題 推理将棋第127回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第127回解説 担当 Pontamon
第127回は、2問で2回ずつの余詰というボロボロな状態でトップページの初画面は真っ赤っか。担当の力不足が露見しました。毎月だろうという声も聞こえて来そう(苦笑)
今回は問題が難し目だったためか解答は15名と少な目でした。正解が少なかったが初級という大波乱の回でした。
127-1 初級 Pontamon 作 2手前と同じ棋譜 9手
「棋譜で駒種の後ろに付く「不成」とかは補助記号って言うのかな」
「何て言うのかな、で、どうしたの?」
「9手で詰めた棋譜で「不成」がひとつだけで他の補助記号は無かったんだ」
「特に珍しくは無いね」
「でも、補助記号を無視すると2手前と同じ棋譜になる手があったのは珍しいと思うよ」(条件)
- 9手で詰み
- 棋譜で、駒種の後ろに付く補助記号は「不成」がひとつだけで他には無かった
- 「不成」を無視すると、2手前と同じ棋譜になる手があった
出題のことば(担当 Pontamon)
2手前と同じ棋譜の手は可能なのでしょうか?カラクリを解明しましょう。
締め切り前ヒント
地点表記が不要な同の着手が2手前と同じ棋譜になりますが角ではうまくいきません。
推理将棋127-1 解答 ▲56歩、△42金、▲55歩、△54歩、▲同歩、△53金、 |
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条件から、同じ棋譜の片方は不成の着手なのがわかるので、すぐに思いつくのは22地点の角着手。▲22角不成で取った角を▲22角と打てば片方は不成が付き、もう片方は付かないので条件をクリアできそうです。しかし、▲22角不成を△同銀で取って貰ったとしても22地点には銀が居るので次の手番で▲22角を打つことができません。22の角が移動してから22へ戻ってくるのであれば4手目になってしまいます。
しかし、ここで気付くことがあるはず。△同銀の棋譜は"同"の表記によって着手地点の表記が不要になっています。つまり、同の着手であれば着手地点に囚われることなく同じ棋譜になる着手を実行することができるのです。そこで、手早く指すことができる▲同角と▲同角不成を含む9手詰手順を考えたのが参考1図です。
参考1図:▲76歩、△44歩、▲同角、△72飛、▲53角不成、△42金、▲同角不成、△62玉、▲53金 まで9手
確かに9手で詰んでいるのですが、▲同角の後の▲同角不成は2手後ではなく4手後になっているし、不成の着手が2回になっているので失敗です。
参考2図は先の失敗を念頭に入れて、▲同角と▲同角不成が連続するように9手指した図ですが、72の退路があるために詰んでいません。
参考2図:▲96歩、△54歩、▲97角、△64歩、▲同角、△42金、▲同角不成、△62玉、▲53金 9手
これらの他にも、▲76歩、△52玉、▲33角不成、△44歩、▲同角不成、△33角、▲同角不成、△62金、▲34角 の2枚角による詰みもありますが、不成が2回になってしまいます。
どうやら角では駄目なようです。では同の連続着手ができて詰みへ持っていける駒種は何でしょう?香だと玉から遠いので条件クリアができそうにありません。桂は駒成がないと吊るし桂の形に持っていけません。銀は敵陣まで遠いので駄目ですし金は不成がないので除外される駒です。飛は▲66歩、△34歩、▲68飛、△66角、▲同飛、△64歩、▲同飛 の7手目までで不成なしの連続同飛ができますが残り2手での詰みはありません。
となると、残るのは歩です。歩の遅早とは言ったもので、7段目に居る歩は9段目の銀よりも早く敵陣へ到達することができ、それは7手目です。つまり、先手には残り1手があるので、5手目と7手目の同歩で金を入手できれば、歩の頭へ金を打っての詰みの形が見えてきます。筋はもちろん頭金にできる5筋です。
初手から、▲56歩、△〇金、▲55歩、△54歩、▲同歩、△53金、▲同歩不成、△何か、▲52金 までの9手になるはずです。8手目は、飛の横利きを遮りつつ、最終手の▲52金を同で取れないようにする必要があるので△72金になります。となると53地点で取らせるため2手目に上がる金の手は左金の手になりますが、52へ上がると△52金左の棋譜になってしまうので正解は△42金になります。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
Pontamon(作者)「「6手前」と「4手前」の作品の投稿があったので「2手前」の作品をつくりました。詰み上がりはミニベロさんの「36-3 上級 急所は駒頭」やDD++さんの「第60回の練習問題」と同じなので新作ではないですが、年数が経っているので角で迷っていただければ大成功」
ミニベロさん「これ、94問題で私が使った順だ。36-3 10年前だ!
問題を読み違えてました。途中のどこでもいいんですね。やられました。いい問題です。何がいいって、金の軌道が限定されていることです。左も付かない!この順をこういう条件で表現できるとは!深いです。」
■最終手での不成を考えてしまうと、9手で使える駒は角くらいなのではまってしまいます。
ほっとさん「2手前と同じ棋譜、ということは同〇のパターンしかない。2手目金を52に動かすのは補助記号が付いてしまう。」
■不成からの成を規制しているみたいな条件だけど金の動きを限定。
はなさかしろうさん「うまい条件ですね。歩突きからの頭金は、どういうわけか忘れてしまいがちで、同角―同角不成を結構探してしまいました。」
■初級から楽しまれたようですね。
NAOさん「"同"で棋譜表記が同じとしておこう。」
■"同"は御明算。謎をひとつ解明したところがスタート地点。2手目の△52金左は「左」が付いているので条件をクリアできませんでした。
緑衾さん「同の手を連続で指すのはすぐ分かったのですが、しばらくの間角を使う筋を考えてしまいました。」
■作者としては狙い通りの短評で嬉しいです。
RINTAROさん「5筋に気付けば簡単だが、補助記号条件が2手目限定にも役立っており、好作。」
■複数の強豪解答者も見逃す2手目限定。
S.Kimuraさん「歩では詰まないと勘違いして,まんまと嵌められました.」
■忘れた頃の歩の作品は効果抜群のようです。
たくぼんさん「2手目42金も成立しているけど余詰順だろうか?」
■2手目42金を解答に書いていただければ正解だったのですが、52金では右なのか左なのかが限定されていません。8手目が72金なので「52金左」が2手目だと解釈することになり「左」の補助記号が付くので条件を満たしていませんでした。
波多野賢太郎さん「けっこう悩みました。同の着手でも同角、同角不成にこだわってしまいました。2手目もきっちり限定されているのはうまいです。」
■初手76歩から角が出て行く手順が圧倒的に多いので、どうしても角の手を考えてしまいます。
山下誠さん「なるほど、同歩という手がありましたか。」
■9手詰で同の着手が可能なのは、香以外の生の駒と玉と馬。小駒で一番多いのが同歩です。
飯山修さん「これは最後迄判らなかった。『行き詰まったら過去問見直し』を実践したら36-3に行きついた。」
■9手詰の過去問を順に見て行ったのかな?条件や棋譜の一部で探してもヒットしないはずなんだけど...。
DJカートンさん「127-1は詰み形が全く見えない上に「着手地点が異なる同x」を同じ符号とするのはイカサマだろう、と思ってしまった。」
■日本将棋連盟の「棋譜の表記方法」に従っているのでイカサマではありません。(笑)
諏訪冬葉さん「「同」を使うのはすぐわかりましたが、ヒントを見るまでは角だと思っていました。」
■思い込みは危険です。視点の変更が必要です。⇒余詰を見逃す担当自身への戒め。
原岡望さん「ヒントあってもお手上げです。同は気づいていましたが同一地点と即断していました。 」
■同一地点は上級の条件でした。先手と後手での連続の同だと同一地点ですが2手前にはなりません。
正解:9名
ミニベロさん ほっとさん はなさかしろうさん 緑衾さん
RINTAROさん 波多野賢太郎さん 山下誠さん 飯山修さん
諏訪冬葉さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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