推理将棋第129回解答(1)
[2020年7月21日最終更新]
推理将棋第129回出題の129-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第129回出題 推理将棋第129回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第129回解説 担当 Pontamon
第129回は14名の方から解答をいただきました。解答、ありがとうございます。
出題ページに赤ペンが入らなかったのは担当が代わった初回以来の2回目。
この調子で今後の出題をしていきたいものです。
129-1 初級 諏訪冬葉 作 王手飛車は珍しい? 8手
「8手で勝ったんだって?」
「うん。最終手は△39龍」
「龍でとどめってかっこいいよね」
「ちなみに玉は一歩も動かなかった」
「8手ならそういうこともあるよね」
「さらに珍しいことに王手飛車取りの手がなかった」
「・・・それって珍しいの?」(条件)
- 8手で詰んだ
- 最終手は△39龍
- 玉は動かなかった
- 王手飛車取りの手はなかった
出題のことば(担当 Pontamon)
初心者向けの8手の作品。中・上級者はサクっと解きましょう。
締め切り前ヒント
推理将棋では王手した駒が相手の飛にも当たっていれば王手飛車。
推理将棋129-1 解答 ▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同飛、▲68飛、△37飛成、 |
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はてるま手筋という言葉も59玉を39龍の龍単騎で詰める一間龍の詰み形も知らない推理将棋の超初心者向けの作品です。
この超有名な手順の解説となると逆に担当泣かせなのですが、本問では最終手が△39龍だと明示されていて、しかも先手玉は動いていないとのことなので59地点のままということになります。そこで、39の龍で59の先手玉を詰ませる形を考えてみたのが参考1図です。
39の龍で詰ますにはまず飛の入手が必要ですので、後手は△34歩、△55角から△28角不成で飛を取るとこの角が39の龍の支えにもなっています。先手には2手余裕があるので1筋の歩を突いていますが、もし玉が48へ上がったとしても39の龍での詰みになっています。もちろん王手飛車にはなるはずもない手順でしたが、この手順だと10手ですし最終手が△39龍ではないので失敗です。しかしこの詰み形で注目すべきは先手に持ち駒が無いので39地点での合い駒ができないことと48地点は39の龍でカバーできている点です。
参考1図:▲58金右、△34歩、▲36歩、△55角、▲68金上、△28角不成、▲16歩、△37飛、▲15歩、△39飛成 まで10手
次に考えたのは、先手の飛を取るのではなく後手の飛が一旦成った後で最終手△39龍とする手順が参考2図です。後手の飛が先手陣へ出られるようにするための3手目の協力手の▲33角不成が推理将棋らしい手です。これを△同角と取ってから△15角へ移動し、後手飛は一旦37地点で成ることによって最終手を龍の手にすることができます。参考2図では48へ上がった金を15の角がピンしているので△39龍に対して▲49金の移動合いができませんし、持ち駒の歩は二歩になるので49へ打てません。しかし、この手順も10手掛かっているので失敗です。
参考2図:▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同角、▲68金、△15角、▲58飛、△37飛成、▲48金、△39龍 まで10手
参考2図の手順を一部変更して、▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同角、▲68飛、△15角、▲58金右、△37飛成、▲16歩、△39龍 とすれば両王手での詰みの手順もありますが、48の金をピンする形や両王手の形を考えることができる棋力があれば、龍単騎の手もあることに気付くことでしょう。つまり、後手の角は39の龍を支える必要もないし、48地点の駒をピンしなくても、39の龍1枚で48地点をカバーできるのです。
参考2図の手順のように、後手の飛を先手陣へ出撃させるための協力手▲33角不成を後手の角でははなく飛でとれば、次の6手目で△37飛成とすることができ、最終手の8手目に△39龍の単騎詰めにできそうです。初手から、▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同飛。
先手は玉の逃げ場を塞ぐために自ら58地点と68地点を埋めることになります。最終手の△39龍が玉と飛に同時に当たらないようにする必要があるので▲68飛の後で▲58金右にします。5手目から▲68飛、△37飛成、▲58金右、△39龍 で詰みとなります。
なお、単騎詰めとは、その駒以外の攻め方の駒を全て取り去っても詰みになっている形です。この龍単騎が最短の8手、駒別の最短手数の単騎詰めで一番長いのは角単騎と香単騎の11手です。その他、馬、飛、桂での単騎詰めが存在します。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
諏訪冬葉さん(作者)「慣れた人には瞬殺対象ですが、初心者にはちょっと難しいかと思い玉の条件を付けました。」
NAOさん「龍単騎では68飛が68を埋める基本3型の一つ。3手目は不成、先月のようにうっかりしないこと。」
■担当はうっかりして、「3手目が非限定」などと寝ぼけた指摘をしてしまいました。
はなさかしろうさん「8手で39龍までということは……「はてるま手筋」で検索するとDD++さんの推理将棋解説が出てきまして、まさに黎明期の名作ですね……本作は「王手飛車取りなし」が一石二鳥のユニークな限定。玉不動条件はなくても成立しそうですが、サービスヒントですね。」
■投稿時に作者に確認しました。その後、第126回の締め切り後に届いた全解答者の解答に投稿予定として記載されていたのが作者コメントでした。
渡辺さん「条件が付くと珍しいものとそうでないものが逆転する!!」
■最終手39龍なら「不成なし」にしてしまいそうですが、成・生の限定も一石二鳥にする条件でした。
ほっとさん「3手目33角成や5手目68金(銀)とした場合の8手目39龍は王手飛車取りと呼べるのだろうか。」
■指し将棋の場合の王手飛車は飛を取れるのが保証されますね。
RINTAROさん「王手飛車条件が斬新かつ絶妙。2度の非限定を消している。玉が動くとどんな余詰があるのかと考えたが分からなかった。」
■「はてるま手筋」という言葉を知らない初心者向けの親切設計でした。
リ-グ戦ファンさん「超有名な8手、全20通りの非限定をユーモラスな1条件で消したのはお見事。ところで玉が動くと余詰があるんですか?」
■要らないはずの条件があると自分の推理が間違っているのか心配になります。
飯山修さん「4-1はあまりにも有名。王手飛車はけっこうかけているんですね。面白い条件付けに座布団1枚。尚問題のタイトルは会話からすれば『王手飛車なしは珍しい?』が正解では」
■「王手飛車は珍しい」と思っている人が「王手飛車はなかった」と聞かされたので、持論が正しいかどうか自信がなくなって「?」が付いたとも解釈できそうです。
山下誠さん「飛角の成生限定のための条件表現がユーモアたっぷりです。」
■将棋の対局で王手飛車の頻度は少ないと思っている人と多いと思っている人の会話の掛け合い。
原岡望さん「王手飛車の条件巧妙」
■68地点への飛の着手によって先手の手順前後が無くなり、且つ3手目の成・生の限定にもなりました。
べべ&ぺぺさん「王手飛車を二つ回避するのが、面白い。」
■王手飛車回避条件ひとつで手順が限定されている仕掛けです。
神在月生さん「飛車の早逃げ、八手(詰)の損。王手飛車なしの条件により3手目生も限定。」
■68地点を埋める手段は3つ。▲68飛は▲58金右よりも前である必要があるので手順の限定が効果的。
変寝夢さん「3手目成ると王手飛車ですね。68飛とした瞬間69金が飛と玉両方に利きがあるのはどうなんでしょう?(もちろん冗談ですよ)。真面目な話としては76歩、42飛、33角の局面は王手飛車なのかという疑問が生じました。」
■玉と飛に当たっていてもその駒が取られる状態であれば指し将棋では王手飛車とは言わないので、ヒントで出した文を出題時に注釈として出しておいた方が適切でした。8手で詰む対局をした将棋の初心者にとっては王手飛車は掛けられなかった気分だったのでしょう。
正解:14名
ミニベロさん NAOさん はなさかしろうさん 渡辺さん
ほっとさん RINTAROさん リ-グ戦ファンさん 飯山修さん
山下誠さん 原岡望さん べべ&ぺぺさん 諏訪冬葉さん
神在月生さん 変寝夢さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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