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推理将棋第134回解答(2)

[2020年12月24日最終更新]
推理将棋第134回出題の134-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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134-2 中級  渡辺秀行 作  3筋の歩突きまで  11手

「11手目3筋の歩突きまでで詰めたよ。33に角が成ることはなかったよ」
「最後の歩は成ったのかい?」
「いや、歩を成る場合は歩突きとは言わずに歩成と言うよ」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件) 

  • 11手で詰み
  • 最終手は3筋の歩突きで、歩成ではない
  • 角は33で成らなかった

出題のことば(担当 Pontamon)

 悩ましい否定条件は無かったことにして、歩突きで詰む形から解きましょう。

締め切り前ヒント

 33への角着手、33以外での角成もありました。35の玉を歩・角・馬で詰めます。


推理将棋134-2 解答 担当 Pontamon

▲76歩、△52玉、▲33角不成、△44歩、▲22角成、△43玉、
▲14角、△34玉、▲23馬、△35玉、▲36歩 まで11手


(条件)
・11手で詰み
・最終手は3筋の歩突きで、歩成ではない(11手目▲36歩)
・角は33で成らなかった(3手目▲33角不成)

Suiri1342

「角は33で成らなかった」のような否定文の条件は非常に悩ましいものです。「33で角不成の手があった」の条件なら何も悩むことは無いのですが...。否定文の条件があった時、その文を更に否定して肯定文にして条件を理解することはありませんか?実はそれは間違いを犯す原因になります。

Suiri1342a簡単な例として「駒成の手は無かった」で説明します。「駒成」と「不成」は対で使われる語ですが、片方の否定が他方ではありません。「AならばB」の否定(裏)は、「AでないならばBでない」になります。「駒成の手」の否定は「駒成ではない手」であって「不成の手」ではありません。「駒成ではない手」には勿論「不成の手」もありますが「持ち駒を打つ手」や単純に「盤上の駒を動かす手」も該当します。過去問の殆ど(全て?)で、「不成なし」なら「駒成があった」、「駒成なし」なら「不成があった」と信じて解図されていると思いますし、それで何の不都合も生じなかったはずです。しかし、条件の裏(否定)で解図しても、所詮、裏は真ではないので、正しいと思うのは危険です。経験が災いして、否定(裏)も正しいと思うのも先入観のひとつでしょうか。

極論を言えば、「角は33で成らなかった」だと角着手が無い手順もこの条件をクリアできることになります。33で角が成らなかったと言っても、33以外で角成があったと言っているものでもありません。否定文の条件は、実は、作者や担当には余詰みの心配満載な条件なのです。

参考1図は、角成も33への角着手も無い手順で、最終手を3筋の歩突きで詰ませてみたものです。後手陣から遠い先手の歩突きで詰ませるのであれば第一感は空き王手でしょう。3手目に22で取った角を27へ打って、36の歩を突いての空き王手で54の玉を詰めたのですが、手数オーバーの13手になってしまい失敗でした。

参考1図:▲76歩、△34歩、▲22角不成、△64歩、▲26歩、△52玉、▲36歩、△63玉、▲27角、△54玉、▲66歩、△35歩、▲同歩 まで13手

Suiri1342b参考1図の手順では、角道を遮るための▲36歩の1手が勿体ない気がします。初期配置の歩の壁の後ろへ角を打てば3筋の歩着手は▲36歩だけで済むはずです。▲48角からの▲36歩だと後手玉は15まで来ている必要があり、後手の5手全てが必要なので、玉の退路となる14や24、25地点を先手がカバーする必要があって手数が足りません。となると歩の壁の後ろへ角を打つ地点は28になりますが、28には初期配置の飛が居るので飛を動かす手が必要です。参考1図でも▲27角を打つために▲26歩の1手が必要だったので、飛の移動は手数増加にはならないはずです。後手の角を取ることと、28地点を空ける一石二鳥の手があります。それは△88角成を▲同飛で取る手です。参考2図はこの一石二鳥の手で28地点を空けて、▲28角と打ってからの▲36歩の空き王手で64の玉を詰めた手順になります。

参考2図:▲76歩、△74歩、▲33角成、△62玉、▲43馬、△88角成、▲同飛、△73玉、▲28角、△64玉、▲36歩 まで11手

これで無事に解けたと思いきや、「角は33で成らなかった」という条件と正面衝突していました。参考2図の手順では▲33角成があるので条件をクリアできていませんでした。

この▲36歩の空き王手ですが、手順や不成条件が少し違う作品が詰将棋パラダイスの2009年12月号で出題されていて、年間最優秀賞だったそうです。

▲35歩や▲36歩の空き王手でないのなら3筋の歩突きで玉頭直撃での詰みのはずです。3筋の5段目玉なら2筋や4筋の6段目は初期配置の歩が利いているので、玉の両脇と背後3地点を先手が抑えていれば▲36歩で詰む形がありそうです。

最終手の▲36歩を支える駒は何でしょう?▲38飛で歩を支えることはできますが、最終手を支えるだけの手なので効率がよくありません。先手は玉の左右や後方3地点を抑える必要があるからです。例えば、角を取って▲14角と打てば、玉腹の25地点をカバーしつつ最終手の▲36歩を支えることができます。では45の地点はどうやって抑えることができるでしょううか?45以外にも後方3地点があります。中段玉、しかも5段目玉の場合、玉と同じ筋の3段目へ馬を配置すれば、後方3地点を馬一枚で抑えることができますが、45地点も同時にカバーするには▲23馬になるでしょう。▲23馬なら、45地点と玉の後方3地点のうちの2地点をカバーできます。残る地点は44です。

▲23馬を実現するには、33での角成は条件で禁止されているので、▲33角不成から▲24角成の後に▲23馬の経路がありますが、それでは14へ打つ角の入手ができません。先手は▲33角不成、▲22角成、▲23馬の手順になりそうです。これらの地点に角や馬があっては後手玉は33を通って35地点へ向かうことができません。玉が角/馬とすれ違うために△44歩と歩を突いてから△43玉、△34玉、△35玉の経路になります。そうすれば44地点は後手の歩があるので玉の退路にはなりません。

3手目の▲33角不成を実現するために△44歩は4手目以降になります。2手目は6手目に△43玉ができるように、また3手目の▲33角不成が王手にならないように△52玉とします。したがって、初手から、▲76歩、△52玉、▲33角不成、△44歩、▲22角成、△43玉になります。後手の次の手は△34玉ですが▲23馬が先に指されていると34地点への玉移動ができません。なので7手目は▲14角で、続いて△34玉、▲23馬、△35玉、▲36歩で詰みになりました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

ミニベロさん「開き王手と決め打ちしたが、すべて際どく逃れている。やむなく物理的な36歩に切り替えてやっと見つけた。
否定条件は危険がいっぱいだが、この作者なら大丈夫か。
2枚の角筋に絡め取られたあまり見ない詰め上がり。「くもの糸」と命名したい秀作。」

■角や馬では王手は掛けていないけど、周囲への行き場を無くす「くもの糸」。

NAOさん「33角成が可能であれば64玉を開き王手で詰ます筋(詰パラ58番)が浮かぶが、これを封じられて難しかった。
44歩~14角~23馬がこれしかない組合せの詰形で34を通る玉の経路が見えづらい。」

■玉を15,25,35などへ移動するのなら33を通るのが当然な気がするので見つけにくい玉の経路。

ほっとさん「最終手36歩と言えばあの名作を思い出す。ちなみにこちらは手順中に33角成がある。」
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=1938094&id=47643181

■▲33角不成、▲42角成、▲43馬では11手に間に合わず、空き王手は▲33角成が必須な手順になっていて、これを排除するための「角は33で成らなかった」の条件でした。

RINTAROさん「完璧な手順。条件はこれしかなかったのかな。」

■「条件が違えば別作品」ですので、本作の条件と結び付き難い条件を探してみるのも推理将棋の楽しみ方のひとつ。上手い条件違いや派生作などがありましたら是非投稿してください。
派生作の例:11手で詰み/1段目で駒成があった/ある駒を着手した4地点の筋と段の数字を足すと全て7だった (余詰んでるかな)

飯山修さん「パラの過去問で64玉に対して28角の効きを通す36歩の作品が頭にあり直前ヒント迄素直な突き歩を考えもしなかった」

■▲36歩の空き王手の変化で▲33角成を回避する手順を探されたのでしょうか。

はなさかしろうさん「玉を34で詰ませたかったのですが果たせず、ヒント待ちに。機能的で美しい詰め上りでした。」

■34の玉を▲35歩で詰ます形は考えもしませんでした。詰みがあったら余詰みになるところでした。

小山邦明さん「35玉で36歩突きの収束形を最初に推理したので、かなり早く解けました。」

■最初の閃きが功を奏したようですね。

諏訪冬葉さん「中段玉は苦手です。」

■玉が5段目まで上がると、初期配置の相手の歩が並んでいるのでスカスカ見えても玉の両脇と後方をカバーするだけで済みます。

原岡望さん「これで詰みとは意外」

■ミニベロさん曰く「くもの糸」。玉周りがかなり空いている感じを受けます。


正解:9名

  ミニベロさん  NAOさん  ほっとさん  RINTAROさん
  飯山修さん  はなさかしろうさん  小山邦明さん  諏訪冬葉さん
  原岡望さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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コメント

この筋は私がmixiで発表して、その余詰があの名作になりました。拙著詰将棋作品集に収録されています。11手で詰、とどめは36歩、先手の不成あり。先手が修正点で、後手の不成で、あの名作が産まれました。

投稿: けいたん | 2020.12.25 07:13

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