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推理将棋第137回解答(1)

[2021年4月21日最終更新]
推理将棋第137回出題の137-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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推理将棋第137回解説  担当 Pontamon

第137回は15名の方々から解答をいただきました。


137-1 初級  渡辺秀行 作  嘘吐き94問題      9手

「新人の対局を3局観戦したという4人から話を聞いたところ、全て9手で詰んで、3局とも 同じ着手があったしい。観戦者a,b,c,dの4人から聞いた着手がこのメモなんだ。4つの着手全てがある手順はないから誰かが嘘を言っているのかなぁ」

メモ
  1. 5手目同馬
  2. 6手目72銀
  3. 7手目46歩
  4. 8手目74歩

どれかの手が無く、残り3手を含む手順を解答してください。

(条件)

  • 9手で詰み
  • 以下のうち3つが必要な条件で1つが不要
    1. 5手目同馬
    2. 6手目72銀
    3. 7手目46歩
    4. 8手目74歩

出題のことば(担当 Pontamon)

 4つの条件を満たす手順はありません。一番怪しい条件を外せば正解するはず。

作者ヒント

 嘘を言っている観戦者は居ません(担当より)

締め切り前ヒント

 新人の対局は4局あって、観ていなかった対局は観戦者4名で異なります。
 誰の話を外しても残り3人の話で手順が決まる4解です。
 解答数ノルマを減らしての初級出題なのでどの手順の解答でも正解です。


推理将棋137-1 解答

a.が嘘の場合

▲76歩、△52玉、▲33角不成、△51金右、▲同角不成、△72銀
46歩、△74歩、▲62金 まで9手

b.が嘘の場合

▲76歩、△72金、▲33角成、△42金、▲同馬、△61玉、
46歩、△74歩、▲52金 まで9手

c.が嘘の場合

▲76歩、△34歩、▲22角成、△32飛、▲同馬、△72銀
▲42飛、△74歩、▲41馬 まで9手

d.が嘘の場合

▲76歩、△62玉、▲33角成、△42金、▲同馬、△72銀
46歩、△71金、▲52金 まで9手

(条件)
・9手で詰み
・以下のうち3つが必要な条件で1つが不要
 a. 5手目同馬
 b. 6手目72銀
 c. 7手目46歩
 d. 8手目74歩

Suiri1371a
Suiri1371b
Suiri1371c
Suiri1371d

本作は132-6で出題された「嘘吐き94問題」での、はなさかしろうさんの短評をきっかけに創作された4解問題でした。そのままの出題では解答量が増えてしまうので、担当がこの4解問題の状況設定の会話を追加したり、出題条件文を微妙に修正して、どの1解の解答でも正解にできるようにして出題させていただきました。「解はひとつ」という暗黙の了解がある中で、4解であることを明言していないので、余詰み指摘が増えることを予想していました。

余詰み指摘に対する返信文を用意していましたが余詰の御指摘はありませんでした。4解であることを締め切り前ヒントで明かしましたが、複数解を見つけていても余詰告知が出ないので不思議に思われた方も居たかと思います。ご心配お掛けしました。

4解であることは後で分かったことなので、出題時の状況で「解は1つ」を前提にして解図してみます。不要な条件(嘘の条件とは書いていませんが、前作や今回のタイトルからして嘘がひとつあると考えてしまう)はどれなのかを推理することになると思いますが、推理の開始位置は人それぞれでしょう。

Suiri1371eまずは情報量の多い、aの「5手目同馬」から考えてみます。もちろん3手目は角成が必要なので、▲33角成か▲22角成です。「同」が付くので4手目は馬で駒を取れる位置へ後手駒を動かす手。22からでも33からでも同馬とできる地点は32なので、この場合4手目は△32銀、△32金、△32飛が候補でしょう。▲33角成から▲同馬ができる32以外の地点は42か51。42地点だと32と同様に銀、金、飛が4手目で同馬、51地点は2手目の玉移動で空いた51へ左右どちらかの金を4手目に寄って、5手目に▲51同馬で金を取ることになります。ところが、▲51同馬の場合は必ず王手になるのでbの「6手目72銀」を指せません。▲42同馬で王手になる場合は「6手目72銀」を指せません。aとbのどちらかが不要な条件になりそうな感じがします。そこで、仮に5手目の同馬は32地点だとしておきます。b、c、dの着手は地点が確定しているので、これら4手を盤面に配置してみたのが参考図です。3筋の後手の歩は先手の持ち駒になっていますが、3手目が▲22角成なら先手の持ち駒は角で、3筋の後手の歩は34になります。

cの「7手目46歩」は明らかに無駄手に見えます。ということはcの条件を外せない場合には先手の無駄手をさせる手順ということです。dの「8手目74歩」が必要だとすると、空いた73地点への着手か▲84角や▲95角の利きを通す目的があるのでしょうか?これらの角打ちの場合は着手地点が限定されていないことになるので除外可能で、73地点への先手着手が最終手であることになります。しかし、73地点には桂が利いているので(他の条件があって△94歩、△93桂の2手を指すことが不可能)最終手を73地点にはできません。つまりdの「8手目74歩」は後手の無駄手のはずです。

もし、aかbの条件が不要の場合は、cもdも必要な着手になるので、結局、aかbの条件が不要な場合は7手詰手順に▲46歩と△74歩が追加された9手になります。

ということで、aの「5手目同馬」を無視できて「6手目72銀」がある7手詰手順を思い出してみると、▲76歩、△52玉、▲33角不成、△51金右、▲同角不成、△72銀、▲62金の7手詰手順がありました。この手順に7手目▲46歩と8手目△74歩を追加した9手の手順が正解になります。

念のため、bの「6手目72銀」を無視できて4手目が「同馬」の7手詰手順が無いことを確認してみると、
▲76歩、△72金、▲33角成、△42金、▲同馬、△61玉、▲52金 まで7手詰
▲76歩、△72金、▲33角成、△42金、▲同馬、△62玉、▲52金 まで7手詰
▲76歩、△62玉、▲33角成、△42金、▲同馬、△72金、▲52金 まで7手詰
の3手順がありました。前述のように本問では△74歩が突かれるので、△62玉の手順では△73玉の退路があるので9手では詰みませんが、最初の手順は△61玉なので▲46歩、△74歩が挿入されても成り立つ手順になっていました。

本問は「どれかの手が無い手順を解答してください。」なので、bの「6手目72銀」が無い手順として成立します。

不要な条件はaかbとの推測で手順を確認してきましたが、どちらかを不要な条件として外しても成立する手順が1つずつありました。そこで、次はaとbの両方がある場合を推理していきます。前述のように6手目に72銀を指すには5手目同馬で王手を掛けることができません。51地点での同馬は王手になってしまうので、32か42地点が同馬の地点のはずです。42地点での同馬が王手にならないためには、初手から▲76歩、△62玉、▲33角成、△42金/銀、▲同馬、△72銀 のはずです。△62玉の形なので△74歩は突けないので、この序の場合はdの「8手目74歩」が無いケースになるはずです。7手目からは▲46歩、△何か、▲最終手なのですから、詰み形を想像すると、8手目は△71金で最終手は▲52金で62の玉を詰めることができるので5手目の同馬で取る駒は金になります。

これで、a、b、dの手が不要で残り3手を条件にすると解が1つずつ見つかってしまいました。通常なら余詰だと思うところですが、これは偶然ではなく何か意図があるように思えて来ませんか?

aとbの手があって、△62玉とはならず△74歩を指せて、▲46歩の無駄手の代わりに先手が有効な手を指せる手順はあるのでしょうか?

5手目の同馬を32地点で実行でき、王手が掛からないような手順は、初手から▲76歩、△34歩、▲22角成、△32金/銀/飛、▲同馬、△72銀、▲何か、△74歩、▲最終手 の手順になるはずです。つまり51の居玉を32の馬と持ち駒の角と金/銀/飛のどれかひとつで詰める必要があります。32地点で取る駒が金や銀の場合には、▲52角を打つ手と最終手▲41馬で詰めるには8手目は△74歩ではなく△62金である必要があるので、同馬で取る駒は飛になります。4手目は△32飛を5手目の▲同馬で取ります。52地点と62地点が空いているので7手目は▲46歩の代わりに▲42飛と打って、△74歩に▲41馬での詰みになります。

cの「7手目46歩」が無い条件でも1解が見つかりました。

本問は、4つの着手条件のうちのひとつを除外して残り3条件での手順を解答すれば正解になる4解問題だったのです。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

渡辺さん(作者)「4局をそれぞれ一人が見ていないというストーリーは担当者の案。出題方法を考えて頂きありがとうございました。」

■担当の都合で嘘吐きは一人も居ないという設定に変更させていただきましたが、原作をいじるのは愚行だったかもしれません。

ミニベロさん「こんなのがあればいいな、とぼんやり考えていたのがこれ!
でも現実には検討が大変なので無理かな、なんて思っていたら・・・。
本作が本当に完全なら、これは大変な労作であり名作。
嘘吐き94問題の究極の進化形です。

キモは5手目の同馬。これが王手になる場合は6手目が制限される。
また4手目も動く必要が出てくる。7手目は46歩である必要は特にないかも。
8手目は玉の脱出路なので、攻め方が限定される。
こう書けば一応理屈は付くが、これらの発見と検討は大変だったと思う。」

■作図のキッカケがあったとしても産みの苦しみは大変だったと思います。

小山邦明さん「「d.8手目74歩」の条件は、この歩を突いても73に駒を打てず玉の逃げ道が増えそうなので、不要と最初に推理したのと最初に順番どおり「a,b,c,の組み合わせ」から始めたので早く解けました。」

■締め切り前ヒントで4解であることを明かしましたが、出題のことば「一番怪しい条件を外せば正解するはず」の通りでした。

NAOさん(4解)「結局、a~dのどれを嘘としても詰んでしまった。なるほど、9手詰3条件のカルテットの傑作ですね。初めは会話文と条件から複数解を求める作品とは思えなかったが、会話文をよく見ると嘘吐きがいたかどうかは定かではないようだ。会話のオチ(答え)は、嘘吐きが一人もいなかったかもしれないし、二人以上、最悪四人が嘘吐きであった可能性もありうる。作者目線でいうと、希少な9手詰3条件カルテットとして高く評価すべき作品であり、4解のどれを答えてもよいという安易な客寄せで出題されるのは疑問に思う。」

■中間ヒントの「嘘を言っている観戦者はいなかった」も条件として追加した出題だと4解を明示する必要は無いのですが、将棋の手以外の論理パズル的要素が強くなるので避けました。

はなさかしろうさん(4解)「なるほど4通りありましたか。素晴らしいです。4条件4通りの完備は初の達成でしょうか。新しい試みに敬意を表します。ただ、会話では仕組みがわかりにくかったので、4解であることを明示した方が良かったと思いました。
5手目同馬のほかはいずれも詰みに積極的に絡む手ではないのですが、本作の成立要件はおそらくたいへん厳しいのでしょう。渡辺さんのコメントが楽しみです。」

■投稿時の渡辺さんのコメントを紹介しておきます。132-6のはなさかしろうさんのコメント「これで4解とか作れたら…3条件3解でも凄いと思います。」からの作図だったようです。

『はなさかしろうさんのコメントにあった、全員嘘の可能性のある4解です。
単に4題なのでノーマルの嘘吐き94問題より解きやすいかと思います。
研究成果としては面白いと思いますが、93問題が4つあるだけなので解いて面白いかどうかは、、、。没なら単にコメントします。
できるだけバリエーション出したつもりですが、どうしても似通った手順になりますね。』

132-6の結果稿にコメントをされても誰の目にもとまらないのを恐れて、状況設定をして出題させていただきました。もちろん没にするはずもありません。

RINTAROさん(4解)「観戦した3局が4人とも同じとはどこにも書いていない。
まさかの4解。変だと思ったんだよなぁ。」

■観戦した3局が4人とも同じだと嘘吐きが居ることになります。そして3局とも同じ手があったのであれば3手順あるはずですが1手順しかなかったので「変だなぁ」ですね。

ほっとさん(4解)「4局それぞれで詰上りの玉位置が異なるのが凄い。
しかし惜しむらくは出題形式。9手×4を全部解答させるべき。これは出題側の大失態。」

■第137回は出題形式の失態で第138回は余詰出題の失態。1年後の今頃には次の担当者を探さないといけない時期になります。今の担当のままではいつまでも失態が続くでしょう。次の担当者を探すのは前任者の責任なのかなぁ....。

山下誠さん「まず最初にこの解答が浮かびました。4解だったとは驚きです。」

■観戦者cの条件を外した▲41馬までの正解手順を解答いただきました。

占魚亭さん(4解)「bなしの手順がなかなか浮かばず苦労しました。」

■bの「6手目72銀」は飛の横利きを遮る役割がありそうなので外し難い⇒bなし手順が浮かび難いですね。

飯山修さん(4解)「4つ解けたので解答します。46歩と74歩の同居は実質7手詰ですね」

■はい、7手詰手順に46歩と74歩の無駄手が加わっていると考えるとaかbを外した手順が出て来やすいです。

べべ&ぺぺさん(3解)「aなし:うむうむ・・・。
bなし:苦労しました。2手目の金が見えにくかったです。
cなし:この詰み型は素敵ですね。覚えていました。
dなし:手順が唐突に浮かびました。71金が決めて。」

■考え方は人それぞれだと思いますが、aの「5手目同馬」無しが出て来なかったのですね。

諏訪冬葉さん「残りの解はまだ見つかっていません」

■山下さんと同様に観戦者cの条件を外した▲41馬までの手順の解答でした。

原岡望さん「一局だけでいいのですよね。」

■▲41馬までの手順の解答の3人目です。無駄手に見える46歩が外す最有力候補のようです。

神在月生さん(4解)「四六歩 作者の意図は 何だろう」

■▲46歩が必須な手順は無く、見るからに無駄手らしいので、条件を外すなら真っ先に外してみるという解図の糸口用条件?

緑衾さん「1つ見つけて安心したら他にもあると言われてびっくりしました。
結局これしか分かりませんでした。」

■小山さんと同じく、dの△74歩が無い手順を解答いただきました。


正解:15名

  ミニベロさん  小山邦明さん  NAOさん  はなさかしろうさん
  
RINTAROさん  ほっとさん  山下誠さん  占魚亭さん
  飯山修さん  渡辺さん  べべ&ぺぺさん  諏訪冬葉さん
  原岡望さん  神在月生さん  緑衾さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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コメント

4解を要求して上級にする手もあるが、全解できなくて無解というのを避けたかったのだと思う。
これは、この推理コーナーの「1題でも解けたらぜひご解答ください」と同じやり方。
しかも途中で「4解」を明かしているのだから、作者からのクレームがないのなら、
担当者の裁量に任せていいと思う。
私なら最初に4解を明示した上で、「一つでも解けたら正解」としたかもしれないが、
時間差だけで結局は同じ事。

投稿: ミニベロ | 2021.04.22 09:32

最初に4解を明示した上で、「一つでも解けたら正解」とするやり方は同意します。多分、私もそうしたと思います。解答者の立場からすると、たまたますぐ4解見つかったのでよかったが、2解だけ解けたら余詰だと誤解する可能性が高いと感じました。このように解答者を不安にさせる可能性のある出題形式は避けるべきでしょう。

投稿: NAO | 2021.04.22 21:26

ミニベロさん、NAOさん、コメントありがとうございます。
なるほど。複数解の時(3つ以上かな)に「一つでも解けたら正解」での出題ですね。
次回(があるかどうか...)は、その方式を採用させていただくかもしれません。アドバイスありがとうございます。

投稿: Pontamon | 2021.04.22 23:32

「2解だけ解けたら余詰だと誤解」した人には、
すぐさま「実は4解です」と直接返答するつもりだったという話。

ここから先は推測だが、
「あれ? 余詰か! ちょっと待てよ! もしかしたら・・・」
と考えて、4解に気が付く人が一人でもいれば、企画としては大成功。

担当者は、単調にならないよう、毎回何か企画を考えます。
ネタは違いますが、私も「詰め上がりが全く同じ」作品を企画し出題しました。
それに対して「なんだ、全く同じゃないか」という批判はありませんでした。

推理将棋をエンターテイメントとして楽しんでもらうための、
担当者の努力(遊び?)として受け止めたいと思うのですが。

投稿: ミニベロ | 2021.04.23 13:58

最終形の後手玉の周囲が3局同じになるもので良ければ、結構作れることが判明しました。しかし本作のように玉周辺のバリエーションを出すのは中々見付からず、肝は5手目同馬と8手目74歩。試行錯誤のうちに6手目72銀、7手目<無駄手>の追加で成立することが判明。18飛とか58玉とかはいかにもなので、44玉を45金とか馬で詰められるかも?っぽい雰囲気のある46歩を選択しました。

投稿: 渡辺 | 2021.04.30 14:46

結果論としては、4解と言わなかったことでより多くの人に取り組んでもらえたようなので、自分は大満足です。自分で4解を発見できるレベルの人には物足りなかったかもしれませんが、、、。

「嘘吐きは居ませんでした」とだけ明示して「4解」とは書かない出題方法案も面白いですね。しかし、推理将棋+(将棋とは関係ない)論理パズルになって解答の閾値が上がりそうです。4条件あるのに3局と言うのはこれ如何に?ということでnC3=4を解いてn=4したがって4局あった、みたいな。

投稿: 渡辺 | 2021.04.30 15:02

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