推理将棋第137回解答(2)
[2021年4月23日最終更新]
推理将棋第137回出題の137-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第137回出題 推理将棋第137回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
137-2 中級 ぬ 作 名人に香を引く? 10手
「あいつ、名人に香を引いて10手で詰ましたって言ってたけど本当?」
「初手は普通に歩の手だったけど、1回目の成る手の1手前の桂の手と2回目の成る手の1手前の飛の手を見る限り先手は将棋の名人じゃないね。あと、『香を引いて詰ました』とは文字通り香を真後ろに動かして相手玉が詰んでいる局面にしたんだよ」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 10手目に香を真後ろに動かして先手玉詰みの局面を作って反則負け
- 初手は歩の手
- 1回目の成る手の1手前は桂の手
- 2回目の成る手の1手前は飛の手
出題のことば(担当 Pontamon)
反則は投了なので記録的には9手ですが10手目の反則の手まで回答してください。
作者ヒント
成れるのは何手目かな(ぬ)
締め切り前ヒント
6手目の初駒成で取った香を打ち、香を引いて詰み形にしてください。
推理将棋137-2 解答 担当 Pontamon ▲76歩、△34歩、▲68玉、△88角不成、▲77桂、△99角成、 (条件) |
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普通は反則の手は除外して指し手を考えますが、ついうっかりでの反則負けはプロでもあるようです。多くは二歩の禁じ手負けのようですが、駒の動かし先の地点を間違えることもあるようです。
本問では、香を後ろ方向へ動かすという駒の動かし方の間違いによる反則負けですが、単にこの反則手を指すのなら何手目が最短なのでしょうか?先手も後手も初期配置の香を後ろへ動かすためのスペースは無いので、先手の初手▲18香で3手目に▲19香の香引き反則が最短になりますが、本問での香引きの局面では、駒の動かし方が間違っている反則ですが、詰んでいる局面になっている必要があり、その反則は10手目だったこともわかっています。
香を進めずに相手玉から遠ざかるような手を指して詰みの形にするなら、空き王手が第一感で浮かびます。参考1図は香を引く手で空き王手にして詰ました(詰みの形を作った)図ですが、1回目の駒成の直前の手は桂を実現していますが、飛の手の直後の手は駒成ではなく▲77香不成です。▲77香成とすると王手になってしまうからです。先手の手順を変更して、▲58飛の時に▲86歩として、続いて△77香不成、▲85歩、△95角、▲58飛、△76香成とすると2回目の駒成の直前の手は飛の手にはなりますが、香が成ったせいで78地点の利きが無くなっているので▲78玉と逃げることができます。そもそもこの形では14手掛かっているので失敗です。
参考1図:▲76歩、△34歩、▲68玉、△88角不成、▲77桂、△99角成、▲75歩、△76香、▲58飛、△77香不成、▲86歩、△95角、▲85歩、△76香不成 まで14手
参考2図では最終手の駒成で詰みになるように指してみたものです。参考1図と7手目までは同じで、2回目の駒成を先手の▲58飛の直後に△77角成で詰めた手順になりますが、香を引く手が入っていないし手数も12手でオーバーしています。
参考2図:▲76歩、△34歩、▲68玉、△88角不成、▲77桂、△99角成、▲75歩、△88角、▲16歩、△76香、▲58飛、△77角成 まで12手
参考1図も参考2図も△68玉の手で空いた59地点へ玉が逃げられないように95の角や77の馬で玉を射通していますが、後手が香を打つスペースを作るための協力手▲75歩の代わりに▲59金右で59地点をを埋めることができることに気付きます。この場合、68の玉の上下や右側には逃げ場は無いので、77地点と78地点をカバーしつつ68の玉に王手を掛ければ詰みになることがわかります。99には1回目の駒成した馬が居るのでそれを支えにして77地点に銀、金、成駒があれば詰みになりますが、77地点には桂が居るので金や銀を打つことはできません。となると、77の桂を取るときに駒成することになります。後手は角と香を取っただけで、課せられるいミッションは香を引くことなので、8手目に78地点へ香を打って、最終手で香を引きつつ2回目の駒成を実現すれば全ての条件をクリアすることができます。
初手から▲76歩、△34歩、▲68玉、△88角不成、▲77桂、△99角成の6手目に香を取ります。2回目の駒成の10手目の直前は飛の手なので、9手目が▲58飛ので7手目は▲59金右になります。7手目から▲59金右、△78香、▲58飛、△77香成で香を引く反則手を指して詰みの形にします。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
ミニベロさん「これは新しい形式ですね。推理将棋の幅を広げるいい試みです。」
■過去作では反則手順の他には、詰まない途中図までの手順を解答する問題(不吉な駒柱ができるまで)がありました。言葉で条件設定すると条件数が増えるので、途中図を示して条件数を少なくするような出題方法も良さそうです。
小山邦明さん「後手は6手目以内に香を取る必要があって、その手順を考えたらかなり限られていました。反則条件の導入は、大変面白いアイデアだと思いました。」
■担当の処女作が反則作品の78-2。初採用はひと月前の77-2の通常作でした。
NAOさん「反則手入りは反則です!が、3年に1回ぐらいならいいかな。
出題の会話と条件の不一致がちょっと気になる。会話文では成る手(=後手)とその1手前(=先手)が明示されているが、条件文ではそれがない。」
■会話では成る手が先手なのか後手なのか、2回とも同じ対局者が指したのかも分からず、条件文との不一致はありません。ただ、何故先手が名人でないと判断したのかは話者しかわかりませんが...(笑)
はなさかしろうさん「ユニークな試みですが、反則は…厳密には「手」ではないし、成っていいのかいけないのかなど…なんとなくもやもやと。」
■反則手の条件をフェアリールールのひとつだと思えばもやもや解消になるかな?
RINTAROさん「99香を取る手順しかない。」
■後手が10手目に香を引く必要があるので99香を6手目に取って、8手目に香を打って、10手目にその香を引くという流れですね。
ほっとさん「香を引いて成る最終手が妙手(?)」
■気付き難い最終手での香成。76からの△77香なら成るのは簡単に見えるはず。
山下誠さん「香を引いて、かつ成るところが盲点でした。」
■香が成らないと詰みの形にはなりませんでした。敵陣への着手で成ったのでこれ自体は反則ではないかも。
占魚亭さん「角を打っておけば反則しなかったのに……(笑)。」
■名人の△78香自体が疑問手ですね。
飯山修さん「反則負けの作品は無限の可能性を秘めており開拓されるべき分野と思います。
ただ「最終手が反則」のような条件だと検討が大変ですね」
■反則の場合はどんな反則なのかを明確にする必要があります。単に「最終手が反則」だとそれまでの手順とは全く関係がない反則負けも有り得るからです。
「駒台にある駒を打って詰ましたのに反則負けだった」だと限定できているように思うかもしれせんが未だ限定できていません。その駒が歩だと、打ち歩詰め、二歩、と金状態で打った場合など全てが反則。「駒台の歩以外の駒を表の状態で打って詰めた」での反則負けを作れるかな?
渡辺さん「最終ヒントを見ても「そんなことは分ってるんだけど解なしなんだよ」と思っていたのですが、最終手の反則を「二回目の成る手」から除外していたのが原因でした。盲点でした。」
■「最終手は香を引く反則の手」は単なる反則の手だけではなく、詰みの形にする役目もありました。
べべ&ぺぺさん「香を最短で取る方法を考えた。金と飛で壁を作るのがユーモラス。」
■金を寄って玉の退路を無くする手が推理将棋らしい手。
諏訪冬葉さん「最終手は敵陣だから成っていいんですよね(確認)」
■2回目の駒成は10手目にしかできないので合ってます。
原岡望さん「詰み筋が見えたのが悪かった。」
■「しめた」と思ったお手伝いの手の▲58飛を見て、詰みを急ぎました。
緑衾さん「これでいいんのしょうか。敵陣の駒が動く場合は全部成れるということでいいんですよね。」
■先手陣内での駒移動で成るのは反則にはならないと思います。動けない地点への移動と成れないところで成るという二重の反則をしたとしても反則負けは1回ですね。
正解:13名
ミニベロさん 小山邦明さん NAOさん RINTAROさん
ほっとさん 山下誠さん 占魚亭さん 飯山修さん
渡辺さん べべ&ぺぺさん 諏訪冬葉さん 原岡望さん
緑衾さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
最初に図1みたいな香引空き王手を結構あれこれ試しました。香を引いた上に成るなんて、反則だよなーーと思ったので。まぁ、反則なんですが。
投稿: はなさかしろう | 2021.04.24 09:14