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推理将棋第137回解答(3)

[2021年4月25日最終更新]
推理将棋第137回出題の137-3の解答、第137回出題の当選者(ほっとさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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137-3 上級  ミニベロ 作  墨守         18手

「攻めてはいかん。自陣から出てはいかんぞ。使う駒は一つだけで、
 引く手を2回指せば勝てるであろう」
「そんなことで本当に勝てるのですか?」
「敵(先手)の歩の手は最初だけで、成る手もない。18手で詰みじゃ」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 18手詰
  • 後手の着手はすべて自陣内で、一つの駒だけを動かし「引」の手を2回指した ※
  • 歩の手は初手だけ
  • 成る手なし

※棋譜に「引」の付く指し手です。


出題のことば(担当 Pontamon)

 後手の9回の着手は全て同じ守備駒。防御は最大の攻撃なり?

作者ヒント

 角筋を渡るタイミング(ミニベロ)

締め切り前ヒント

 後手の手は金1枚だけ。先手玉は34から23へ行って詰まされます。


推理将棋137-3 解答 担当 Pontamon

▲76、△62金、▲68玉、△52金寄、▲33角不成、△42金寄、
▲77玉、△33金、▲66玉、△32金、▲56玉、△33金、
▲45玉、△32金、▲34玉、△42金寄、▲23玉、△33金 まで18手

(条件)
・18手詰
・後手の着手はすべて自陣内で、一つの駒だけを動かし「引」の手を2回指した(10手目△32金引、14手目△32金引)
・歩の手は初手だけ(初手▲76歩)
・成る手なし

Suiri1373

推理将棋では過去作と同じ条件や似た条件がよく出て来て、それらの組み合わせで手順が限定されています。駒成の有る無し、王手の回数、着手する筋指定や筋の数、使用する駒種や駒種の数などいろいろありますが、推理将棋に慣れて来ると提示されている条件をよく読まずに思い込みで失敗することがよくあると思います。

Suiri1373a『「引く」の棋譜になるのは金か飛だけど、後手が動かす駒が1枚だけなら飛1枚では飛引の手を指すのは無理(先手の飛を取ったとしてもその飛を打てないので飛引を実現できない)なので、後手の手は1枚の金だけ動かして「金引」を2回指せばいいのか。』、『歩の着手は初手だけなので初手は▲76歩、後手は歩の手を指せなくて駒成無しだから3手目は▲33角不成。後手は金でその角を取って、22の角を支えにして△55金くらいで▲56玉を詰ますのか』などの解図方針が即思い浮かびます。参考1図はこの方針で詰めた手順になりますが、3手目の▲33角不成を△33同金で取ってしまうと、その後の二度の△32金引で角筋が通ってしまうと先手玉が▲77玉、▲66玉、▲56玉の移動ができないことに気付くので一旦▲55角と引いて、玉移動ができるように後手の角の利きをブロックします。そのまま55の角を後手の金で取られれば詰みですが先手の手が余るので、▲77角経由で▲59角としました。先手の55の角がゾロ目地点や46や64へ動いただけでは最終手の△55金を▲同角で取ることがでるので、余っている2手を使って角筋を外します。「59に角が居た」などの条件が抜けているのかと思ったら、後手着手は後手陣内だけとのことなのでそもそもの解図方針が間違っていました。

参考1図:▲76歩、△52金右、▲33角不成、△42金寄、▲55角不成、△33金、▲68玉、△32金引、▲77玉、△33金、▲66玉、△32金引、▲56玉、△33金、▲77角、△44金、▲59角、△55金 まで18手

Suiri1373b
自陣内だけでの金着手で金引で詰ますとなると33の金が△32金引としての空き王手が思い浮かびます。参考2図は、18手目に2回目の△32金引を指して空き王手にした局面ですが、先手玉には45、46、65の3地点の逃げ場があって不詰みです。これらの3地点を先手自らで埋めるには、46地点は▲46歩、65地点は▲77桂、▲65桂で埋めることが可能ですが、厄介なのが45地点。6筋のように桂で埋めても、後手の空き王手に対して△33桂不成の移動合いが可能になります。もちろん手数オーバーなので失敗に違いはありません。

参考2図:▲76歩、△52金右、▲33角不成、△42金寄、▲68玉、△33金、▲77玉、△32金引、▲86玉、△42金寄、▲75玉、△32金寄、▲65玉、△42金寄、▲56歩、△33金、▲55玉、△32金引 まで18手局面

後手は自陣内での金の着手だけで先手玉を詰ませなくてはならず、しかし、空き王手が無理なのであれば、後手陣内の金の着手で直接王手を掛けている必要があります。言い換えれば、先手玉は後手陣内の金で詰まされる位置へ出掛ける必要があります。▲34玉に△33金では先手玉は5段目へ戻ることができるので5段目を埋める必要があります。▲34玉とするには初期配置33の歩を取る必要があるので、▲76歩、▲33角不成の2手が必要です。玉が34へ行き、5段目の退路を自ら埋めるのであれば、▲46歩、▲48玉、▲47玉、▲36玉、▲35玉、▲34玉、▲45歩、▲36歩、▲35歩、▲26歩、▲25歩の11手が必要になり合計の先手の手数は13手になるため失敗です。

先手玉の行先は34では不十分で、後手陣へ先手玉が入り込む必要があります。3段目へ先手玉が入り込むには歩が利いていない3筋の▲34玉経由になるので、詰み形だけを考えると▲43玉か▲23玉に△33金で玉の行先が無くなって詰みですが、後手が33へ金を打つのではなく盤上の金を移動させるので玉位置の▲43玉はあり得ません。つまり先手は▲23玉を目指す必要があります。

前述のように先手は▲76歩、▲33角不成の2手で後手の3筋の歩を取っておかないと▲34玉から▲23玉の移動ができません。先手着手は初手から▲76歩、▲33角不成、▲68玉、▲77玉、▲66玉で9手目には66に居る必要があります。後手の金着手でも△32金引を2回指す必要があるので、後手の角筋が通る局面が出てくるので、先手玉はその後、▲56玉、▲45玉、▲34玉、▲23玉の17手目までになるはずです。先手玉を▲77玉と▲66玉と指す時には後手の角筋が通っていてはいけせん。なのてで、3手目の▲33角不成の角を後手の金で取るのは先手玉が77に居る時でなければいけません。7手目から▲77玉、△33金で先手角を取る、▲66玉、△32金引、▲56玉であれば17手目の▲23玉まで指すことができます。

初手から▲76歩、△52金右、▲33角不成、△42金寄、▲68玉、△32金寄、▲77玉、△33金と指したいところですが、△33金で角を取るのは▲77玉の直後なので△32金寄としたいところですが、33に先手角が居るので△32金寄は王手放置の反則になります。かと言って、6手目に△33金と指すと、その後は▲77玉、△32金引になって空き王手なので▲66玉を指せません。

このタイミングの問題を解決するのが2手目の△62金です。△33金で角を取るのが8手目なので最初の金の手を真っ直ぐ上がることによって手数を稼いで、△52金寄、△42金寄の後8手目に△33金が可能になります。そうなると、▲33角不成での王手を3手目にしては6手目の△42金寄が間に合わないので、初手から▲76歩、△62金、▲68玉として▲33角不成を5手目にします。4手目かかから△52金寄、▲33角不成、△42金寄、▲77玉、△33金、▲66玉、△32金引、▲56玉と指すことができます。続いて、12手目からは△33金、▲45玉、△32金引で2回目の「引」の手を指し、▲34玉には17手目に▲23玉を指せるように16手目は△42金で、▲23玉に△33金で詰みになります。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

ミニベロさん(作者)「手数は長いが、本作が一番易しいと思う。」

■作者は自作が簡単な作品に見えてしまいます。

小山邦明さん「駒1枚を自陣内で動かすだけで詰むとは最初は思いませんでした。
「すべて自陣内で」という条件がなく、五段目まで駒を動かして良いなら、下記のような
『76歩、52金右、33角不成、42金寄、66角不成、33金、68玉、32金引、77玉、33金、86玉、32金引、75玉、33金、65玉、44金、75角、55金 まで』の余詰があるんですね。」

■投稿いただいた時、担当は「59に角が居た」の条件が抜けていると思いました。

NAOさん「77~66の玉進出タイミングが難関で、2手目△62金~5手目▲33角不成の応酬が絶妙。
これも会話と条件の不一致がちょっと気になる。会話文だけでは棋譜に「引」が付くかどうか判らないが、注記※で示しているので許容範囲内。」

■作者の中間ヒントの通り、角筋を玉が渡るタイミングを解き明かす問題でした。相手の着手に合わせて自分の手順を調整することが多い中、本作では先後両方ともタイミング調整が必要でした。

はなさかしろうさん「後手陣まで入り込めば詰むのですね。引2回で2手目以降のタイミング調整がぴったり決まるのが素晴らしいです。」

■後手の最初の手が見え難くて、謎解きを難しくしています。

RINTAROさん「逆算で解きました。」

■なるほど、詰み形からだと逆算であまり迷うことなく解けますね。

ほっとさん「33角不成のタイミングがうまく限定されているのが巧妙。」

■33の歩を取る任務が先手角にあるのが論理的に推理できるのでついつい3手目に▲33角不成としてしまいがち。

山下誠さん「玉の出動のタイミングで試行錯誤を繰り返しました。」

■▲77玉、▲66玉、▲56玉実現のための3手目の▲68玉。

占魚亭さん「Tempo moveと言っていいのかな?」

■チェスの用語のTempoですね。2手目の後手着手は1手で出来る52への金移動に2手掛けるものなので、チェスでは「テンポを失う」と言うらしいです。

飯山修さん「単純なように見えて意外と奥が深い。楽しめました」

■タイミングがずれるとにっちもさっも行かなくなるので神髄を見極める必要があります。

渡辺さん「珍しく論理的に解ける極めて易しい問題。中村雅哉さんが出しそうな手順。62金から52金寄がテンポムーブ。」

■いつも悩まされる中村さんの作品に通じますね。簡単そうに見えるけど仕掛けがあって悩まされる。

べべ&ぺぺさん「玉の動きはこれしかない。2手目の金がパスみたいな印象。」

■2手目はその後のタイミング合わせのためにここでしかできない限定手。

諏訪冬葉さん「もう1枚の金の真上でなくても「引」と書けることに気づくまで時間がかかりました。」

■43の金が△42金引とする手ですね。もう1枚の金の隣へ引く場合も棋譜に「引」が付きます。本問では歩や銀や玉は動けなくて駒成も無いので、▲76歩、▲33角不成、▲22角不成、▲31角不成の7手の準備が必要になり、8手目△31金引が最初の「金引」で2回目が最短12手目が可能です。先手玉は55までなら行けますが、角を取られてしまうと後手は空き王手もできません。

原岡望さん「2度の金引に誘われた。またまたヒントのお世話になりました。解答選手権で疲れました。」

■金引条件以外だと、「後手の着手は自陣内での1枚の駒だけで、3地点に3回ずつ指した」でも限定されるかな。少しひねくれた条件だと「後手の着手は自陣内での1枚の駒だけで、着手した地点の着手回数は全地点同じ回数だった」(後手着手は9回なので、3地点3回ずつ以外の組み合わせは無い)。

緑衾さん「何故か銀だと思い込んでヒント待ちになりました。こういう気持ち悪い条件は好きです。」

■銀だともう1枚の銀の利き範囲へ移動することができません。気持ち悪い条件??は解後感バツグン。


正解:14名

  ミニベロさん  小山邦明さん  NAOさん  はなさかしろうさん
  
RINTAROさん  ほっとさん  山下誠さん  占魚亭さん
  飯山修さん  渡辺さん  べべ&ぺぺさん  諏訪冬葉さん
  原岡望さん  緑衾さん


総評

ミニベロさん「今回は、難易度が逆でしょう。1.2共に意欲作ですね。」

■固定概念を打ち破るのは解図者だけでなく作者にもプラスに。

NAOさん「3問とも会話と条件がぴったり一致せずモヤモヤ感が残りました。各問とも手順は面白いだけに、(作品にキズのつかないよう)出題はぴしっと決めてほしい。」

■第138回を「ぴしっ」と決めることができず、余詰を出してしまいました。粗検、申し訳ありません。

RINTAROさん「今回も易しかったです。」

■通常感覚ではない変わり種作品の特集だったのですが、手応え不十分だったようです。

ほっとさん「どれも難しくて時間がかかった。中でも一番難しくて唯一ヒント待ちになってしまったのが初級。」

■ミニベロさんの総評同様に難易度が逆でしたか。

占魚亭さん「今回も何とか全問解答できました。」

■完全復調でしょうか。

飯山修さん「137-1のような問題で4題中1個が超難問というような作品なら1題だけ出題もありうる」

■94問題は卒業して、93問題や92問題の時代へ突入か!9手に限らず、「〇手目は〇〇」の形式なら誤解は無いでしょう。問題はそのような作品の投稿があるかどうか。

べべ&ぺぺさん「今月は頑張りました。」

■この調子で来月も解答をお願いします。


推理将棋第137回出題全解答者: 15名

  ミニベロさん  小山邦明さん  NAOさん  はなさかしろうさん
  RINTAROさん  ほっとさん  山下誠さん  占魚亭さん
  飯山修さん  渡辺さん  べべ&ぺぺさん  諏訪冬葉さん
  原岡望さん  神在月生さん  緑衾さん

当選: ほっとさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください。

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コメント

解説に間違いがありましたので修正します。
▲43玉に△33金では▲53玉と逃げることが可能なので後手陣へ先手玉が入るのは▲23玉しかありませんでした。

投稿: Pontamon | 2021.04.25 21:57

故意にテンポを失う手のことをテンポムーブと言います。

投稿: 渡辺 | 2021.04.30 16:24

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