推理将棋第138回解答(1)
[2021年5月22日最終更新]
推理将棋第138回出題の138-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第138回出題 推理将棋第138回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第138回解説 担当 Pontamon
余詰作品の出題があった第138回でしたが、17名の方々から解答をいただきました。解答、ありがとうございます。
138-1 初級 Pontamon 作 香の隣 9手
「9手で詰めた将棋で駒成は無かったらしいね」
「うん、香を打つ手があって、その香の隣のマスへの手がトドメだったよ」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 9手で詰み
- トドメは打たれた香の隣のマスへの着手
- 駒成なし
出題のことば(担当 Pontamon)
香とトドメの駒が横並びになる詰み形を考えてみましょう。
作者ヒント
先手が駒を3つ取る(Pontamon)
締め切り前ヒント
6手目に△99角不成で取った香を8手目に△52香と打つ。
推理将棋138-1 解答 ▲76歩、△42金、▲33角不成、△41玉、▲42角不成、△99角不成、 (条件) |
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香の隣への最終手で詰みなら、詰パラ1月号や年賀詰展示室にあった、21へ角を打って詰む形や135-4のように21銀で詰む形を思い出すかもしれませんが、初期配置の香の隣への最終手では条件をクリアできません。
先手が後手の香を取る場合、▲76歩、△34歩、▲22角不成の後、5手目で▲11角不成で香を取って7手目に香を打つことができます。9手目に11の角が動ける地点はゾロ目地点だけですが、持ち駒には角があります。それを踏まえて、7手目に打つ香の隣の地点へ角を打って後手玉を詰ませる形はあるのでしょうか?
参考1図は、詰み上がりから逆算してみた手順で、▲33香と打ってからの▲23角で41の玉を詰めたものですが、11手で手数オーバーです。2手目の協力手△34歩を指していては後手は詰み形を作りあげることができません。
参考1図:▲76歩、△52金左、▲33角不成、△41玉、▲22角不成、△42銀、▲11角不成、△51金寄、▲33香、△24歩、▲23角 まで11手
先手が香を打つ手順では手数が足りないようです。そこで、後手が香を取って、その香を打つ手順を考えてみます。後手が香を取って打つなら、先手角が角筋から外れてから△99角不成で香を取れるのが6手目なので、後手の最後の着手で香を打つことになります。9段目以外なら空いている地点の何処へでも香を打つことができますが、よく使われるのは玉の退路封鎖の協力手でしょう。参考2図は一番多い最終手の▲53銀の形を目指したもので、▲31角不成で銀を入手しているので51地点が玉の退路として残っています。後手は6手目に△99角不成で取った香を△51香と打って詰みに協力して詰みになっていますが、最終手は打った香の隣のマスではないので失敗でした。
参考2図:▲76歩、△52玉、▲33角不成、△54歩、▲42角不成、△99角不成、▲31角不成、△51香、▲53銀 まで9手
△42銀、▲同角の5手目に42地点で銀を入手すれば、香打ちは51以外のマスでも9手で詰みますが、最終手の53の隣のマスへ香を打つためには△64歩か△44歩の手が必要になるので香を打つ手が回ってきません。
最終手が3段目の▲53銀なので、香を打つための場所作りに手数を取られてしまうのが失敗原因でした。もし最終手が2段目であれば、香の打ち場所が最初から空いている可能性が高くなります。先手は後手の金や銀を取ることができますが、角成はできないので、角の利きを支えにしての2段目への金打ち、おそらく頭金が有力な詰み形になるでしょう。
初手から、▲76歩、△何か、▲33角不成、△何か、▲42角不成、△99角不成、▲31角不成、△香打ち、▲42金 の手順が考えられます。8手目の香打ちは32地点か52地点になります。もし、▲42金が頭金の詰み形なのであれば、2手目は△42金で4手目は△41玉です。8目の香打ちは32でも52でも良さそうでが、広く盤上を眺めてみると82の飛が2段目に利いているので8手目は△52香と打って飛の横利きを止める協力が必要があり、手順が確定しました。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
Pontamon(作者)「後手が香を打てる地点が多い中で、△51香以外に打ち場所が限定される形がないかを探ってみた作品です」
小山邦明さん「最初は先手の香打を考えましたが、最短で5手目でしか香を取れないので7手目に香を打つ事になり、31玉で「11角、12香から22角」のような手は42への逃げを回避できないのであきらめました。後手が香を打つと考え直したら、先手の手順は考えやすかったです。」
■この条件で先手が詰めることができるのは11手の参考1図の手順でした。
NAOさん「先手が金銀2枚を取って詰形を築く。」
■銀は要らない駒だけど詰形にするには取るしかない。要らない駒を取る手が入ると無駄手だと勘違いするかも。
RINTAROさん「「打たれた香」という書き方が後手番を暗示しているので親切でした。「打った香」でもよかったと思います。」
■最初は「打った香の隣」だったのですが、それだと「打った」側(先手)がその香の隣への最終手を指すと誤解される可能性があったので変えました。「移動した香ではなく打った香の隣」とすれば良かったかも。
はなさかしろうさん「玉周りの形がなかなか思いつかなくて、結構難しかった。9手は懐が深いですね。」
■玉腹の角と頭金は居玉だと多いのですが、ひと筋ずらすと思い浮かび難いですね。
飯山修さん「香打が無駄手でないのがいいですね」
■飛の横利きを遮断してくれています。
ミニベロさん「9手でここまで出来る、見本のような初級です。」
■駒取り4回、駒打ち2回、不成4回など着手数を数えると9手をオーバー。駒取り4回は全て不成なので6手しか説明していない。
べべ&ぺぺさん「試行錯誤を繰り返して、ようやく解けました。まさか、99角生で香を取るとは思いませんでした。」
■不成の回数を条件にした作品では△88角不成にして99の香を取ってはダメ(合い駒に使えるから)で、△77角不成だと王手を掛けてしまうのでダメ。のように後手角が6手目に先手陣へ入り込む手順は作者には使い易い手筋になっています。
けいたんさん「ヒントをみたら、解けました。なるほどです。」
■ヒントでは△52香と打つまで明かしてしまったので、最終手は42か62が確定。初級とは言え、ヒントが甘過ぎました。
諏訪冬葉さん「素直に後手が香車を打ちました」
■先手が香を打つのは、▲51角に▲54香で詰ませる形くらいかな?
ほっとさん「飛の横利きを止める香打が好手。」
■推理将棋らしい協力手でした。2段目への香打ちの手順は▲52香、▲62香、▲72香の3手順だけのはず。
山下誠さん「先手が香を打つと考えて泥沼にはまりました。」
■解図の際には、どちらが香を打つのか決まっていないので両方の検討が必要なのは仕方ありません。
ジェシーさん「後手が香を取る形は間に合わないだろうと勝手に決めつけていて、直前ヒントを見て驚愕しました。」
■香打ちが先手なのか後手なのか両方検討する必要があるものの、決めつけはいけませんね。
原岡望さん「角生の応酬とは」
■成・不成が非限定なのは後手の△99角だけなのですが、駒成なしの条件が必要になります。
占魚亭さん「どちらが香を打つか分かれば簡単。先手、成る手なし条件では無理?」
■△99角成と△99角不成が非限定になるので、先手だけ絞ることができません。
中村丈志さん「ヒントが無いと解けませんでした。」
■ヒントを活用してください。今回の難易度は中級が一番難しかったようですので、初級から順番に解く必要はないので、時間があれば他の問題にもチャレンジしてみてください。
緑衾さん「香打は後手のはずだと考えました。」
■正解の方の香打ちの決め打ちが成功でした。
正解:17名
小山邦明さん NAOさん RINTAROさん はなさかしろうさん
飯山修さん ミニベロさん べべ&ぺぺさん けいたんさん
諏訪冬葉さん ほっとさん 山下誠さん ジェシーさん
原岡望さん 占魚亭さん 中村丈志さん テイエムガンバさん
緑衾さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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