推理将棋第139回解答(2)
[2021年6月23日最終更新]
推理将棋第139回出題の139-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第139回出題 推理将棋第139回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
139-2 中級 緑衾 作 1つの筋に5回 ?手
「1つの筋に5回指しただけの相手にそのとなりの筋の玉を詰まされちゃったよ」
「あはは、どんな将棋だったの?」
「成駒の手が2回あったよ」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 1つの筋に5回指しただけの対局者がそのとなりの筋の敵玉を詰ませた
- 成駒の手が2回あった
出題のことば(担当 Pontamon)
詰みまでの手数も含めて推理してください。
作者ヒント
飛車が成った(緑衾)
締め切り前ヒント
先手玉は不動。とどめは10手目の9段目への手。
推理将棋139-2 解答 担当 Pontamon ▲76歩、△44歩、▲同角、△42飛、▲53角成、△47飛成、 (条件) |
攻め方は同じ筋の着手だけの5手なので、総手数は9手か10手になります。9手の手順があれば、無駄手を1手加えた10手の手順は全て余詰みになるので、まずは9手から考えてみます。同じ筋の着手だけの条件なので、飛を振った筋の歩を突き進めて最終手はその歩成までの手順が思い浮かびます。飛車振りと歩突きだけで5手必要になるため、成駒の着手条件は玉側になります。成駒着手をするたろには駒成が必要で、その駒成は△77角成。その手が王手にならないように、飛車振るのは6筋。方針が決まったところで手を指してみると、▲68飛、△62玉、▲66歩、△72玉、▲65歩、△34歩、▲64歩、△77角成、▲63歩成 で詰みましたが駒成をするのが精いっぱいで、この後、2回も成駒を動かすことはとてもできません。
となると正解手順は10手なのでしょう。9手だと成駒着手2回を攻め方が指すことはできませんでしたが、10手だとはてるま手筋の応用で成駒着手2回を含めて後手が指すことができました。その手順が参考1図の手順ですが、同じ筋5回と成駒着手2回はクリアしていますが、詰めた先手玉は後手が指した3筋の隣の筋ではないので失敗でした。
参考1図:▲76歩、△32飛、▲33角成、△同飛、▲58金右、△37飛成、▲38銀、△同龍、▲68金上、△39龍 まで10手
はてるま手筋は1間龍の形なのでとなりの筋の玉を詰めることは無理でした。となると9手で考えた、飛車振りからの歩突きの手筋でしょうか?9手だと駒成が精いっぱいだったので、10手で1手増えたとしても成駒2回着手は無理な気がしてきます。
とりあえず指してみたのが参考2図です。38の先手玉は△47歩成で詰んでいますが、成駒着手は▲33角成した馬を77へ引いて来る1回だけになっています。9手目が▲59馬ならこれでも△47歩成で詰みますが4筋の玉を4筋の手で詰めることになるので条件をクリアできません。やはり心配していた通り、1手増えたので馬の着手は指せても1回だけのようです。
参考2図:▲76歩、△42飛、▲33角成、△44歩、▲48玉、△45歩、▲77馬、△46歩、▲38玉、△47歩成 まで10手
馬の手をあと1回実現するには、他の着手を削るしかありません。参考2図の先手着手だと玉の手を削るしかありません。例えば、玉の手は▲58玉の1手だけなら、▲33角成、▲77馬、▲68馬を指せます。しかし、このままでは△47歩成の時に▲59玉と逃げることができてしまいます。
△47歩不成から△48歩成なら58の玉を詰めることができそうですが、48地点には右の金銀の他に飛車も利いていますし、43の歩を突き進めての△48歩成だと12手掛かってしまうので失敗します。
歩を突き進めるのでは間に合わないのであれば、歩を取って打ち、歩成する手筋を使うことになります。△48歩成だと先手駒が利いているので△49歩成を目指すことになり、先手玉は居玉のままになります。この場合、58への玉の逃げ場があるので▲58飛や▲58金右で58地点を先手駒で埋めるか、後手の駒で抑える必要があります。後手の駒で抑えると言っても後手の手は、△52飛、△歩を取る手、△歩を打つ手、△49歩成の4手が必要なので、58地点をカバーする駒は△47飛成した龍になります。
先手に必要な手は、▲76歩、▲角を成る手、▲馬の手、▲馬の手なので、残り1手で▲58飛か▲58金右を指すことは可能ですが、これだと42の飛を△47飛成とすることができません。
△47飛成を指すために邪魔な43の歩を取り除くのはあの手順。もう全体が見えて来たはずです。初手から▲76歩、△44歩、▲同角、△42飛、▲角成の手、△47飛成、▲馬の手、△48歩、▲馬の手、△49歩成 で59の玉を詰めるには、68地点を先手駒で埋める必要があり、必然的に9手目の馬の手は▲68馬になります。未確定なのは、44の歩を取った角が角成する手とその馬が引いて来る手の2手になりますが、▲33角成からの▲77馬だと、33に馬が居ると6手目の△47飛成を指すことができません。したがって5手目の角成は▲53角成で7手目は▲86馬になり、無事に解くことができました。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
緑衾さん(作者)「綺麗な条件の問題になったと思ったら余詰指摘で条件を追加することになりました」
■条件の追加までは行かず「別の筋の玉」を「となりの筋の玉」に調整した感じでした。
RINTAROさん「10手で4筋に狙いを定めたが、簡単ではなかったです。」
■居玉前提で4筋に狙いを定めるとは勘がいい。「玉が動いた筋の隣を攻める」だと大量の検討が必要。
ミニベロさん「9手詰か10手詰だが、手数を隠す場合、短いほうが正解でないと意味がない。
この条件では、9手は一秒も考えないから。
手順は飛車を世に出す手筋物だが、成駒2回が旨いまとめ。」
■少なくとも数秒は考えて欲しかったです。(笑)
手数を裏読みすると、長い手数の方で余詰にならない短い手数のはずとの思い込みで検討し、肩透かしを喰うというストーリーが担当にありました。
のくせにさん「成駒の手2回でうまく限定されている。」
■「成駒の手2回」を使わない2~3条件で、この47の龍と49のと金で59の玉を詰める手順を限定できるかな?これ以上うまい条件設定は無いかもしれませんね。
飯山修さん「中間ヒントで最初に送った解答の間違いに気づいたが飛車成で詰ます手順が判らない。
直前ヒントでやっと出来ました。ヒントの助けがなければ解けない難問。」
■中間ヒントは「飛車が成った」でしたが、飛成での詰みだと思い込み勝ち。ヒントのような、逆に惑わされることになりそうな作者ヒントでした。
NAOさん「成駒2回で馬を誘導するのが面白い手順。
・手数を伏せた出題形式は疑問。手数を伏せず、10手を明示するのがよい。
・また、「1つの筋に5回指しただけの対局者がそのとなりの筋の敵玉を詰ませた」の表現は問題で"1つの筋に5回指し、その後の着手で詰ませた"とも受け取れる。そうすると条件を満たす11手や12手の解答も成立してしまう。語順を直して「玉が詰まされたとき、相手は詰んだ玉の隣の1つの筋に5回指しただけ」と表現すれば誤解はないが、ちょっと紛らわしい。なので、普通に、以下の条件付けがよいと思う。
・10手で詰み
・後手は一つの筋だけに5回指し、その隣の筋の先手玉を詰ました
・成駒の手が2回あった」
■「1つの筋に5回指した対局者がそのとなりの筋の敵玉を詰ませた」なら11手以上の詰み手順も該当してきますね。投稿時のコメントが「手数表記がないことが気に入ってます」とのことでしたので作者の意向を尊重しました。
小山邦明さん「成駒の手が2回という条件」が後手番でないと難しい事が検討しているうちにわかってきました。」
■後手番が詰めて勝つ10手ということですね。
諏訪冬葉さん「飛車先の歩を突くのは成駒の手が足りない。はてるま手筋と両王手の筋は玉が隣にいない。となると44角パックマンが有力。攻め駒不足かと思ったが歩で何とかなった。」
■解説と同じ推理過程でしたね。
ジェシーさん「歩を突いていく手順はどの筋もだめ。まさかこれではないだろうな、と思った方向が正解でした。」
■歩を取って、打って、成るの3手を掛けるのは遅くになりそうだし、よく出てくる「歩の遅早」が頭にあると歩を突いていく手筋に妥当に見えます。
ほっとさん「10手だろうと予想はつくが、うまく限定されている。」
■成駒の手が2回という条件が旨い。
DJカートンさん「はてるま手筋(…でしたっけ?)も考えたが、それだと「隣の筋の敵玉」を詰ませられない。」
■ひとつの筋だけの着手という条件だと、はてるま手筋と歩を突き進める手順が浮かびます。
べべ&ぺぺさん「馬の動きがなかなか見えなかった。飛車を世に出す近道でした。」
■44の角はよける必要がありますが、馬に成らないといけない。▲68銀の1手で済む玉の退路埋めを馬の着手2回で実現するのが見え難いですね。
占魚亭さん「成駒の手2回を駒成り2回と記憶して解図していました……(汗)。」
■初級の条件と混ざってしまったようですね。
原岡望さん「馬は自陣に引け、に気を取られた。」
■33から77への自陣へ引く手が思い浮かび易い。86からの68は意外な道。
神在月生さん「金入手 手数超過で 四八歩」
■△47歩成の時に金を取って、△46と、△47と、最終手△48金の構想ですね。
はなさかしろうさん「綺麗な問題なのですが、手数に目が行ってしまいますね。一方5手の条件で9手の問題が作れたら凄いけど…などと。」
■9手の順が存在していると余詰になるのでしっかり検討しました。9手詰で出てくる成駒の手は3種。回数の最多は3回でした。
正解:17名
RINTAROさん ミニベロさん のくせにさん 飯山修さん
NAOさん 小山邦明さん 諏訪冬葉さん ジェシーさん
ほっとさん DJカートンさん べべ&ぺぺさん 占魚亭さん
原岡望さん 神在月生さん はなさかしろうさん
テイエムガンバさん 緑衾さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
「1つの筋に5回指しただけ」
「一つの筋だけに5回指し」
この二つに、違いは感じられませんが。
「1つの筋に5回指しただけ」
これで充分、他の筋の着手はないことが分かりますが。
誤解した人もいないようだし。
投稿: ミニベロ | 2021.06.24 13:11
10手で詰んだと明示してあれば、問題ありません。
手数が伏せてあるため語順が気になりました。出題条件だと6回目の着手があったとも受け取れますので。
投稿: NAO | 2021.06.24 21:19
「1つの筋に5回指しただけ」
この文章から、6回目があるとは読み取れません。
「○○だけ」とは、他にないことを表現する言葉です。
担当先生も、
『「1つの筋に5回指した対局者がそのとなりの筋の敵玉を詰ませた」なら11手以上の詰み手順も』
と、「だけ」のない文章の場合を例にされています。
私も例を出しましょう。
『歩の手を5手だけ指した相手に詰まされちゃったよ』
これは「歩の手」以外は指していないことを表現しています。
「他の駒の着手はなかった」は、必要ありません。
推理将棋は「言葉」での出題なので、「言葉」にこだわることには賛成です。
本作の場合、あえて手数を隠しているので、10手詰を明示せよとは、無理な注文です。
また、10手詰を明示するのなら「だけ」はいりません。6回目は存在しませんから。
「手数を明示しない作品はだめだ」という事でしたら、それは別の話です。
もう一度書きます。
「1つの筋に5回指しただけ」 (原作)
「一つの筋だけに5回指し」 (NAO氏案)
この二つに、どういった違いがあるのでしょうか。
これを読んでいらっしゃる全ての人にお尋ねします。
投稿: ミニベロ | 2021.06.25 08:47
「1つの筋に5回指しただけ」 (原作)
「一つの筋だけに5回指し」 (NAO氏案)
2つの文の意味に違いはありません。誤解があるようですが、私が言いたいのは語順です。
「1つの筋に5回指しただけの相手にそのとなりの筋の玉を詰まされちゃったよ」
この文だと"1つの筋に5回指しただけ"の相手が、その時点で既に玉を詰ませたのか、未だ詰ませていないのか
判然としないということです。
この会話文を下記のように語順を替えれば、問題ありません。
「(?手で)玉を詰まされちゃったよ。相手は詰んだ玉の隣の一つの筋に5回指しただけなのに」
投稿: NAO | 2021.06.26 02:22
「1つの筋に5回指しただけの相手にそのとなりの筋の玉を詰まされちゃったよ」(原作)
「(?手で)玉を詰まされちゃったよ。相手は詰んだ玉の隣の一つの筋に5回指しただけ
なのに」(NAO氏案)
同じです。違いは感じられません。
原作からは勝った側の6手目の存在が感じられる、ということですから、
その6手目を文章に盛り込んでみましょう。
※人様の文章に手を入れるのはいけないことですが、悪しからず。
「1つの筋に5回指しただけの相手に、『その後の手で』そのとなりの筋の玉を詰まされち
ゃったよ」
NAO氏のご意見は、こんなニュアンスを感じてしまうということだと思いますが、
残念ながら、これは間違った文章です。
「1つの筋に5回指しただけ」ですから、『その後の手で』は存在できません。
矛盾が生じて、文章としては使えません。
◎矛盾が生じる文章は想像できません。
どうしても『その後の手で』のような文言を入れるのなら、「だけ」を抜いて、
「1つの筋に5回指した相手に、『その後の手で』そのとなりの筋の玉を詰まされちゃった
よ」
これなら矛盾はありません。
勿論本作は10手作品なので、原作で問題ないですが。
「だけ」は、それっきり・他はない、そういった意味があります。
だからこそ、原作にはその「だけ」が入っていたと思います。
投稿: ミニベロ | 2021.06.26 08:33
すみません、コメントが投稿されているのに気付きませんでした。
本作は緑衾さんからの初投稿作で、担当も11手以上の手順が余詰になるので手数を表記するか条件を修正する必要がありそうだと即返信したのですが、会話に「だけ」があることに気付いて、手数条件は不要だと伝えました。
詰めた側の着手は5回でそれらは全て同じ筋の着手であり、その筋とは詰まされた玉の隣の筋だという事以外の解釈ができなくなっている助詞「だけ」だったからです。
語順や文が変わって、「だけ」の位置が「玉の隣のひとつの筋に指したのは5回だけ」なら他の筋への着手があった可能性はあります。
このときの「だけ」は「5回」にしか付いていないからです。(「だけ」は直前の語に付く。原文だと主語の「対局者」に係る「1つの筋に5回指しただけ」で、「だけ」は「1つの筋」「5回」「指した」の全てに付いている。「1つの筋に5回指した」という句に付いていると考えてもよい。)
投稿: Pontamon | 2021.06.27 13:24
> 「1つの筋に5回指しただけ」ですから、『その後の手で』は存在できません。
解釈に疑義があります。
1. 「だけ」の有効範囲について。「それっきり・他はない」を「一つの筋の範囲内」と捉えることも可能で、他の筋の指し手の存在を否定しない解釈も可能。これは「1つの筋に5回指すこと」だけをした、と表現すれば解釈をその人の指し手全体に限定することが可能です。
2.「だけ」という誤が有効な時刻について。「〜だけの相手」その相手を表現した時点と捉えるならば、「1つの筋に5回指す」ということだけをした相手が居ました。そして、その相手はその後に別の手を指しました。という解釈も可能です。
おもちゃ箱は文章を長くしても良いのだから、2つの文を無理に結合することはないと思います。
「詰まされちゃったよ。相手は詰んだときの僕の玉の隣の筋を5回指す以外の手を指さなかったんだ」
とか。
投稿: 渡辺 | 2021.07.18 13:34
>だけ」という誤
老眼で誤字に気付くのが遅れました^^;「語」です。
投稿: 渡辺 | 2021.07.18 13:36
2番のもっと端的な言い方を思いついたので。
「歩だけを指していた相手が、次は香だけを指し、その次は桂だけを指した」と言えば、「歩、歩、歩、、、、香、香、香、、、、桂、桂、、、、」のように指したと自然に解釈されます。この「だけ」と本問の「だけ」の用法に違いは認められません。
投稿: 渡辺 | 2021.07.18 21:26