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推理将棋第139回解答(3)

[2021年6月25日最終更新]
推理将棋第139回出題の139-3の解答、第139回出題の当選者(神在月生さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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139-3 上級 Pontamon 作   金不成は無い       11手

「棋譜で駒種の後ろに付く「不成」とかは補助記号って言うのかな」
「何て言うのかな、で、どうしたの?」
「11手で詰んだこの棋譜だけど、補助記号が付いた金の手があるんだ」 ※
「金不成は有り得ないけど確かに文字が付いてるね。あと1段目への成桂着手もあるね」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 11手で詰み
  • 補助記号が付いた金の手があった ※
  • 1段目への成桂着手があった

※補助記号は、棋譜で駒種の後に付く文字のこととします。


出題のことば(担当 Pontamon)

 タイトルにもなっている補助記号付きの金の手が解図の糸口?

作者ヒント

 補助記号なしの金着手なし(Pontamon)

締め切り前ヒント

 2枚の金で「金左」と「金寄」。2段目の成桂が1段目へ動いて詰み。


推理将棋139-3 解答 担当 Pontamon

▲76歩、△34歩、▲22角成、△42飛、▲21馬、△52金左
▲14桂、△41玉、▲22桂成、△51金寄、▲31成桂 まで11手

(条件)
・11手で詰み
・補助記号が付いた金の手があった(6手目△52金左、10手目△51金寄)
・1段目への成桂着手があった(11手目▲31成桂)

Suiri1393

Suiri1393aタイトルや会話からは補助記号付きの金の手が解図の糸口に見えるかもしれません。金成や金不成の手はありませんが、金の着手で補助記号が付く手は多く、左、右、上、引、直、寄、打、左上、右上などがあるので絞り込むのは難しそうです。実は1段目への成桂の着手が解図の糸口なのです。自陣の桂が跳ねて行って桂成するには手数が必要なので、詰み上がりをかなり絞り込めそうです。

後手は補助記号付きの金の手が必要なので後手の金は1手回り道をして、その間に先手の桂が跳ねて行って成る手順を指してみたのが参考1図の手順です。

61に成桂が居て持ち駒に金があるので11手目に▲51金なら詰みですが、成桂が1段目にあるものの成桂の着手はしていません。参考2図のように成桂着手の支えとして先に▲62金を打ってからの▲51成桂だと手数オーバーの13手になってしまい、失敗です。

参考1図:▲76歩、△52金左、▲77桂、△42金、▲65桂、△32銀、▲53桂不成、△31角、▲61桂成、△41玉、▲62金、△14歩、▲51成桂 まで13手

Suiri1393b自陣の桂が跳ねて行くのでは手数が足りなかったので、次は相手の桂を取ってから打つ手順を考えてみます。参考2図の手順では、後手の協力手の△33桂を▲同馬で取って、玉の脇腹の41地点への成桂で後手玉を詰めるため、▲23馬と寄る手で41地点を睨みます。後手は自ら玉の退路を塞ぐ協力手の△52金左や△62飛を指します。先手は取った桂を▲33桂と打ってから▲41桂成とすれば11手で詰みますが、参考1図の手順と同様に1段目に成桂はあっても1段目への成桂の手を指していないため失敗でした。

参考2図:▲76歩、△34歩、▲22角成、△33桂、▲同馬、△42銀、▲23馬、△52金左、▲24桂、△62飛、▲32桂成、△14歩、▲41成桂 まで13手

じっくり先手の着手を考えてみると、後手の桂を取れるのは5手目、7手目に桂を打って、9手目に桂を成って、11手目はその成桂を1段目へ移動させるという手順になり、この手順に沿わない手を指す暇はありません。改めて参考2図の手順を見てみると、7手目の▲23馬が指すことができない手でした。7手目は桂を打つ手でなければいけません。先手の馬が33に居るのでこの馬を支えにして成桂を1段目へ移動する手で詰める必要があります。つまり成桂の着手は51地点です。5手目の▲33馬は王手の応手ですが、△62玉だと次の▲54桂(▲42桂成から▲51成桂を指すため)が王手になるので△52玉とします。▲51成桂までの11手は、▲76歩、△34歩、▲22角成、△33桂、▲同馬、△52玉、▲54桂、△72金、▲42桂成、△61玉、▲51成桂 になります。62へ玉が逃げることもできるし、41に金が居るので△同金で詰みません。しかも補助記号が付いた金の手がありませんでした。

5手目の桂を取らなければ7手目に桂を打てないので、万事休すかと思いきや、後手の協力手の△33桂で馬を高い位置へ持っていかず、先手が自ら▲21馬で桂を入手する手が残っていました。

5手目に▲21馬で桂を取る場合、21に残っている馬を支えにして1段目の成桂着手となると▲31成桂を指すことを目指すことになります。桂成の地点は31へ動ける地点で桂成をしなければいけませんが▲31成桂で後手玉が詰むなら玉の最終位置はは41なので、桂成を41、42、32、31ですることはできません。とになると、残っている地点は22だけなので、22へ桂を跳ねることができる地点へ7手目に桂を打つことになります。34地点には歩が居るので7手目の桂を打つ地点は14に確定し、9手目▲22桂成、11手▲31成桂です。

41の玉の逃げ場になりそうな地点には駒を配置しておく必要があります。▲31成桂の王手なので、41の玉は42へ上がることができるので42地点を後手の駒で埋めておく必要があります。同様に51地点と52地点にも後手の駒を配置する必要があります。玉が41へ行くには41に居た金が動く必要があります。△42金と△52飛と△51金で3地点を埋めることができますが、金の着手のどちらも補助記号が付く手にはなりません。となると、42地点は△42飛で残りの51と52の地点を金で埋めます。玉が移動する先に居た金を△52金左とすれば、61の金が51へ移動する手は△51金寄になり、金の着手2回とも補助記号が付く手になりました。

41の金が動かないと△41玉ができない。△52金左を指してしまうと△42飛を指せない。等々の手順を考えると、後手の着手順は△34歩、△42飛、△52金左、△41玉、△51金寄で確定されます。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

Pontamon(作者)「情報が多い着手を使えば条件数を少なくできるはずという作図シリーズです。手数のかかる端の方の手だったり、別の駒が動かないと指せない手だとか切り口はいろいろあるのですが、今回は成桂着手が条件でした。」

RINTAROさん「論理的に先手の指し手は限られているので考えやすかったです。3問中、最速で解けました。」

■取って、打って、成って、動くの4つの手を含む成桂着手の条件でした。

ミニベロさん「ゆるい条件だから簡単だと思ったけど、これしかないんだ!
金の補助記号2回とは言わないところがニクイ。」

■条件をクリアしてしまうと2回目があることを見逃しがち。そこが狙い。

のくせにさん「11手で1段目へ成桂着手しようとすると先手の手がほぼ限定されるので、上級感はなかったです。」

■手数で級分けしている弊害ですね。

飯山修さん「1段目成桂の手が成立する一番安易な方法が14桂限定で成立するので他の手段を考えずに解に到達」

■33以外の3段目へ打つには後手の協力が必要なので4段目への桂打ちは自力で行けますね。

NAOさん「桂打~成が限定されて巧い。補助記号が付いた金の手が2回入った。補助記号1回を探ったが見つからず。」

■補助記号付きの金着手1回だけや補助記号付きと無しの金着手もなく、補助記号付き2回だけでした。

小山邦明さん「「1段目への成桂着手」の条件一つで、「桂を取って」「桂を打って」「桂を成って」「その成桂を動かす」という4つの手の意味が含まれるので、かなり着手が制限できますね。桂の打ち場所が34に歩がある事で自然に14に限定されるのが良いと思いました。」

■手数で上級にしましたが、論理で解けるので難しめ初級という感じでしょうか。

諏訪冬葉さん「補助記号より「1段目の成桂」の方が手掛かりになりました。」

■情報が多いのは成桂の着手ですね。

ジェシーさん「4二金とつい指してしまってはだめなのがミソなのですね。」

■△42金を指してしまうと金の着手に補助記号が付かなくなります。

ほっとさん「これで限定できているとすれば不思議。」

■1段目への成桂着手はこの形だけのようです。

DJカートンさん「逆算すると「5手目で取って7手目で打って9手目で成って11手目で1段目に移動」しかないので手は非常に限られている。そのため今回の問題の中で一番簡単だった。」

■3問中で一番簡単だったとの短評が多かったです。

べべ&ぺぺさん「ヒントがなければ、解けませんでした。42飛が趣の深い手です。」

■先を見越さないと指せない△42飛。

占魚亭さん「不動で詰ますことに拘泥して、玉を寄る手に気付くまで時間がかかりました。」

■玉腹への成桂着手は手数が足りませんでした。

原岡望さん「桂馬の遅早。」

■4段跳ねで成るよりは取って打って成る。

神在月生さん「三三の 打ちは採らずに 玉を待つ」

■桂は端へ打って2筋で成り、玉の接近を待ちます。

はなさかしろうさん「4手目以降の後手の手順は別件で考えていたところだったのですんなり解けたのですが、同時期に同じ手順を考えているということは、その元になった共通のなにかがあったんじゃないかな、と思ったり。」

■恐らく偶然でしょうね。ファイルのプロパティとTwitterを振り返ってみると、本作は4月25日に出来上がった2作のうちのひとつです。もう一作の方の余詰が取れなくて、その3日前には「禁断の究極条件:手順前後や非限定の手が無い手順だった」などと呟いてました。(笑)
詰パラ用に作り始めた2作ですが、結局、両作ともここでの公開になりそうです。
担当の場合、投稿作の余詰チェックや解説の失敗手順を考えている際に作図の切っ掛けを得ることが結構あります。余詰が中々取れなかった方は139-2を出題したのが切っ掛けでした。(発想が飛んで行っての作図なので出題しても139-2が切っ掛けだとは分からないと思います)

緑衾さん「補助記号の問題というより一段目成桂の問題だと思います。」

■11手だと成桂の手がいろいろあるので1段目指定が必要でした。補助記号で目を逸らすことは出来なかったようです。


正解:17名

  RINTAROさん  ミニベロさん  のくせにさん  飯山修さん
  NAOさん  小山邦明さん  諏訪冬葉さん  ジェシーさん
  ほっとさん  DJカートンさん  べべ&ぺぺさん  占魚亭さん
  原岡望さん  神在月生さん  はなさかしろうさん
  テイエムガンバさん  緑衾さん


総評

RINTAROさん「中級3問といった趣。良問で楽しめました。」

■初級、中級、上級の総手数は30手前後で出題していますが、第141回は40手越え?!

ミニベロさん「全体的に軽めのシンプル作品でした。
今後私の「重い」作品が出題されたらゴメン。」

■139回と140回の2ヵ月を軽めにしたので、141回での出題かな?

飯山修さん「139-2最初の解答送付で勘違いして誤答を送り直前ヒントでやっと解けましたが、勘違いがなければずっと苦しんでいたかもしれないのでこのほうがかえって良かったのかも」

■解けた後でも中間ヒントや締め切り直前ヒントをチェックされている効果ですね。担当が解答者だった頃は、この問題でどんなヒントを出すのかを予想してヒントを待ってました。

諏訪冬葉さん「久しぶりのヒント前全回答です。」

■今年から中間ヒントを出しているので、ヒント前解答のハードルが上がって2週間が目標。

ほっとさん「今回もかなり早目に解けていたのに解答送付が遅れてしまった。」

■解答を担当へも直送されている方以外の皆さんの解答が担当へ届くのは締め切り後なので、早い遅いは大丈夫です。投稿・解答履歴で公表されている回答日の5月23日では中間ヒント前に解けているのが分かります。

DJカートンさん「3問合わせて所要時間20分くらい。…やはりこのくらいが気力の限界らしい(笑)。」

■別の日に続きを考えるという選択は?他にも解図するものがたくさんあるので推理将棋には時間を掛けれないのかな。

べべ&ぺぺさん「今月も頑張りました。楽しませて頂き、ありがとうございました。」

■今後も解答をよろしくお願いします。

占魚亭さん「全作解けましたが、復調とは言い難い状態です。」

■思いの外、時間が掛かったのかな。

原岡望さん「今月もヒントのお世話になりました。解けて一安心」

■ヒントのお世話になったのは初級と中級?

神在月生さん「久方に 吾にも解けし 難易度か」

■もう少し手応えがあったほうが解図感を味わえますね。


推理将棋第139回出題全解答者: 19名

  RINTAROさん  ミニベロさん  のくせにさん  飯山修さん
  NAOさん  小山邦明さん  諏訪冬葉さん  ジェシーさん
  ほっとさん  DJカートンさん  けいたんさん  べべ&ぺぺさん
  占魚亭さん  原岡望さん  中村丈志さん  神在月生さん
  はなさかしろうさん  テイエムガンバさん  緑衾さん

当選: 神在月生さん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください。

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