推理将棋第146回解答(9)
[2022年2月28日最終更新]
推理将棋第146回出題の146-9の解答、第146回出題の当選者(中村丈志さん、べべ&ぺぺさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第146回出題 推理将棋第146回解答(1) (2) (3)
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推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
146-9 上級 斧間徳子 作 2022年(令和4年)の指し初め 22手
「元旦の指し初めの将棋、2022年にふさわしく22手で先手玉が詰んだって?」
「新年のお年玉じゃないけど、玉の手が多い将棋だったよ。
先手玉は4回連続で動いて99で詰んだし、後手玉は異なる11ヵ所の地点に連続で動いたんだ」
「おお、令和4年の1月1日にふさわしいじゃない」
「令和4年といえば、4段目の手がちょうど4回あったよ。駒を成る手はなかったけど」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 22手で詰んだ
- 先手は玉を4回連続で動かして99へ移動した
- 後手は玉をすべて異なる11の地点に連続で動かした
- 4段目への着手が4回あった
- 駒を成る手はなかった
出題のことば(担当 Pontamon)
隅玉は11ではなく99ですが、後手玉は11箇所へ動いたとのことです。
作者ヒント
最終手は、先手の78銀を玉で取る手です。(斧間徳子)
締め切り前ヒント
6回の王手のうち後手の王手は2回の空き王手で、後手の最初の王手に対して先手は桂で逆王手を掛けます。
推理将棋146-9 解答 担当 Pontamon ▲76歩、△42玉、▲33角不成、△同玉、▲98香、△24玉、 (条件) |
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本問の解説も146-8と同様に途中図を考えながら解図していきます。
条件から、22手での後手着手11手は全て玉の着手であり、着手地点は全て異なる地点だと分かります。玉の着手だけで王手を掛けて詰ますには初期配置の22の角と玉移動による空き王手しかありません。後手玉が中段へ出る際に通常必要である歩突きができないので、先手は▲33角不成で角を捨てて△33同玉を経由して中段へ玉が出れるように協力します。一方、先手玉は▲98香のあとに▲68玉、▲78玉、▲88玉、▲99玉の4手で99へ移動することが判明しています。
参考1図は上記の内容を反映させた途中図の予想になります。先手玉が99に居るので、後手玉はゾロ目地点の55に居て角による先手玉への王手を避けていますが、この後に6段目へ玉を移動することはできないので△65玉の空き王手をすることになります。最終手も玉移動による空き王手ですが、先手玉が王手をかわしたり合い駒を出来ないようにするために後手玉は先手陣への突入が必要です。22の角の利きを防ぐことが可能な合い駒としては▲88飛、▲88銀、▲77桂、▲66歩などです。後手玉が中段へ出ていくことができるようにした協力手の▲33角不成で取った持ち駒の歩もあるので、歩打ちの合い駒が可能な場合も覚えておく必要があります。▲66歩が出来ないように67の歩を取ってしまうと言っても、△66玉から△67玉はできないので、△76玉経由で△67玉になるでしょう。参考1図からは△65玉の空き王手に▲77桂で合い駒をしつつ逆王手する手があります。△88銀で合い駒をすると、その後の▲77銀にしても▲77桂にしても△77同玉で取ることができなくなるからです。
参考2図は、▲77桂の逆王手に対して△76玉で歩を取った局面になりますが、ここで先手の指す手が分かりません。後手玉は、△67玉で歩を取ったり、△77玉で桂を取る手があるのですが...。局面を見ていると先手の持ち駒に歩があるのに気づきました。この後△67玉で6筋の歩を取るとこの持ち駒の歩を使っての△66歩や△77歩の合い駒ができてしまうので、参考2図の△76玉までの局面では▲74歩指せば良いことに気付くでしょう。この参考2図までの先手の着手は、▲76歩、▲33角不成、▲98香、▲68玉、▲78玉、▲88玉、▲99玉、▲77桂の8手。一方、後手は最短で△42玉、△33同玉、△44玉、△55玉、△65玉、△76玉の6手なので2手不足しています。4段目の着手が4回だとのことなので参考2図の次に指す手の▲74歩が4回目の4段目着手にするには、△24玉、△34玉の2手を△44玉の前に指せば辻褄が合います。
参考2図の後、▲74歩、△67玉として、▲88飛を指せないようにして、飛の利きも遮る協力手▲56金左の王手に対して△77玉で桂を取り、▲78銀の王手を△78同玉で取る空き王手兼▲89玉を防ぐ手で詰みとなります。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
斧間徳子さん(作者)「偶然にも146-8とツイン(11で詰む作と99で詰む作)になっているのに驚きました。」
■玉の一人旅は年賀詰でよく見掛けますが、来年はどんなものが出て来るのか楽しみです。
諏訪冬葉さん「59金や68銀はギリギリつぶれるのか・・・」
■▲59金からの▲68銀は22手目の△78玉の時に▲77銀の移動合い兼空き王手の逆王手になってしまいますね。
NAOさん「年賀条件フルコース、玉11回移動の22手詰。歩をどう処理するかと思ったら4段目4回が上手い。」
■持ち駒の歩での合い駒を未然に防ぐ妙手。
飯山修「2手延ばしをさせない攻防。74歩に感心しました。」
■▲66歩で歩を差し出す手順や△87玉経由など出来そうで出来ない。
べべ&ぺぺさん「後手は全て玉でしょうが、今一歩、解が見つかりません。」
■玉着手だけで王手を掛けるには空き王手しかないことに気付けば解いて行くことができます。
RINTAROさん「74歩に気付かず収束苦戦。」
■忘れ易い持ち駒の存在。
緑衾さん「4絡みの条件が上手いですね。これ手順限定されてるの?と思って解いたら意外にも限定されてました。」
■4手連続着手で99へ行くには先に▲98香が必要。
ミニベロさん「この詰め上がりは、MIXI時代に何作かあったが、先手後手共に手順前後や非限定が多く、まとめるのが大変。本作は実に巧妙に限定されている。」
■玉移動による空き王手の手筋でしょうか。
原岡望さん「一石二鳥の74歩。無駄合をうっかり危うく誤解」
■4段目着手4回がここにも影響していました。
はなさかしろうさん「手が余りそうな気がしたのですがそれは私のうっかりで、実はぴったり22手なんですね。玉はお年玉の玉でしたか。」
■お年玉は15個もありました。
正解:10名
諏訪冬葉さん 斧間徳子さん NAOさん 飯山修さん
RINTAROさん テイエムガンバさん 緑衾さん
ミニベロさん 原岡望さん はなさかしろうさん
(総評)
斧間徳子さん「初級の3作は正月向きの易しい作でお屠蘇気分で解けました。11手詰の4作は骨があり、手が限定されている長編2作より難しかったです。」
■長編2作の方が考え易かった感がありますね。
NAOさん「手応えのある年賀詰が出揃いました。長編の8,9は手が絞られて解き易かったが、11手詰の146-5,6,7が難しく、特に修正後146-5が最難問でした。」
■複数作の投稿、ありがとうございました。その中に珍しい7手があったので2作を掲載させていただきました。
飯山修さん「今回は1,2,3,8,9を解いてヒント待ち。やはり今回もヒントがなければ苦しかった。」
■11手詰問題がネックでしたか。
べべ&ぺぺさん「難問が多かったです。次回は全問正解を目指します。」
■第147回は易問を用意しました。
エレーンさん「推理将棋に挑戦するのは人生二回目です。3,4問目が解けそうで解けず、もう少し手筋?を知る必要がありそうです。」
■2月出題の第147回の全問解答を目指してください。
RINTAROさん「時間が無く、最終日に慌てて解きました。当然ヒント頼り。」
■年頭は何かと忙しいですね。
緑衾さん「すぐ解けたのもあったのですがそれでも9問は大変でした。」
■年賀詰はお祭りなので投稿作を一挙公開していますが、あまりにも多いようだと来年は複数回は分けようかな。結果稿を書くのも大変ですし。
ミニベロさん「皆さん条件付けが巧みで、幻惑されっぱなし。
やっと最終日に全部解けました。
私が思う優れた条件としては、
・詰め上がりを想定させない
・一見無関係に思える間接限定
・「成る手なし」「初手は・・」等の単独条件が、別の複合要素を持っている
などなど、いろいろあるが、明らかに平成時代からは進歩していると感じる。」
■推理将棋の黎明期からの先駆者の方々は時代の証人。今後もよろしくご指導ください。
原岡望さん「〆切ぎりぎり雪の日の解答です。10題は厳しいです。」
■東京の積雪は2cmだったと今朝のニュースで言ってました。(2/11建国記念日)
ジェシーさん「今月はここまでです。」
■146-6までの解答、ありがとうございます。
推理将棋第146回出題全解答者: 15名
諏訪冬葉さん 斧間徳子さん NAOさん 飯山修さん
中村丈志さん けいたんさん べべ&ぺぺさん エレーンさん
RINTAROさん テイエムガンバさん 緑衾さん ミニベロさん
原岡望さん ジェシーさん はなさかしろうさん
当選: 中村丈志さん、べべ&ぺぺさん
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