推理将棋第148回解答(3)
[2022年4月25日最終更新]
推理将棋第148回出題の148-3の解答、第148回出題の当選者(ミニベロさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第148回出題 推理将棋第148回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
148-3 上級 ミニベロ 作 強制成り 11手
「昨日ネット将棋やって、11手で詰ましてやったよ。4手目の歩を見て、余り強くないと思ったね」
「ものすごく強い人もいるんだけどね」
「途中まで成る手がなかったので、11手目も不成で詰まそうとしたのに、勝手に駒が成っちゃったんだ」
「パソコンだと、反則手は自動的に修正されるんだよ。おかげで、二歩などの反則手もなくなったよ」
「でも、駒を打とうとして、変なところに落っことしてボロ負けしたこともあるな」
さて、この11手目の強制成りで勝った将棋は、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 11手詰
- 11手目は唯一の成る手で、強制成りだけど成らなくても詰んでいた
- 4手目は歩
出題のことば(担当 Pontamon)
強制成のルールがある駒種は3種。ルール違反の不成でも詰む形とは?
作者ヒント
後手の着手5手の、筋の数の合計は16。(ミニベロ)
締め切り前ヒント
4手目の歩は2手目の歩の隣の筋で、玉の退路封鎖と先手駒の利きを通します。
推理将棋148-3 解答 担当 Pontamon ▲76歩、△34歩、▲22角不成、△24歩、▲11角不成、△42玉、 (条件) |
強制成りになるのは1段目への歩・香・桂の着手と2段目への桂の着手の3種の駒だけです。強制成りの手で不成の手を指すと反則負けになりますが、本問では仮に最終手が不成だったとしても詰んでいたとのことですので強制成りした駒は後手玉には利いていないことになります。つまり、最終手の強制成りの手による空き王手か両王手になります。
両王手の最終手が不成になった時は両王手でなくなるので詰まなくなると思うかもしれません「116-3 端への桂成り」は△12桂成の強制成りまでの空き王手の手順でしたが、最終手が▲32桂成の両王手の詰みもありました。仮に△32桂不成の場合には両王手から空き王手になりますが、詰みに変わりはありません。
空き王手と言っても、11手では1段目への歩成の空き王手での詰み手順はないので、最終手の強制成りは桂か香の着手になります。▲76歩、△94歩、▲66角、△93桂、▲同角不成の手順なら駒成なしで桂を取れますが、6手目から△74歩、▲73桂、△81飛、▲84角不成 として空き王手の準備をしても、△81飛で△62飛の飛の合いを除外しても金や銀の合い駒があるため、桂の強制成りでの詰みは無さそうです。
▲22角不成から▲11角不成で角と香を入手すれば、香と角を打って空き王手の形を作るのに効率が良さそうです。
参考1図では、5手目に取った香を打てるように後手は2筋の歩を2手進めて▲24香を可能にして、▲15角を打ってからの▲21香成の強制駒成りでの空き王手をしてみましたが32地点へ逃げられてしまうので失敗でした。
参考1図:▲76歩、△34歩、▲22角不成、△24歩、▲11角不成、△25歩、▲24香、△42玉、▲15角、△52飛、▲21香成 まで11手
参考2図では、香と角の打ち場所を1段下げて、▲23香と▲14角にしてみたものです。後手の協力手に△25歩が不要になったので後手は別の手を指すことができるようになりました。そこで△32玉で空き王手位置へ近寄ってもらい、退路の42地点を△42飛で埋めてもらいました。これで詰んでいるはずでしたが、香を取る手が▲11角成ではなく▲11角不成なので、12手目に△21同玉で逃げられてしまって失敗です。
参考2図:▲76歩、△34歩、▲22角不成、△24歩、▲11角不成、△42玉、▲23香、△32玉、▲14角、△42飛、▲21香成 まで11手
香打ちが▲24香も▲23香も失敗でした。香の打ち筋が3筋、たとえば空いている▲33香の場合は玉の退路や△42金や△33桂での合い駒の処理が必要なので11手では手数が足りません。香打ちが▲22香で角が▲13角の場合は玉は31に来ていることになり、▲21香成を同玉で取る手や△32玉とされない手立ても必要になるので、▲22香も失敗しそうな感じがします。しかし、11で香を取った時の角が11地点にいるので、▲22香の場合は▲13角と打たずに、11の角が空き王手後に玉を詰めている駒になることができるかもしれません。この場合、△33玉の配置なら11の角の利きがあるので44への脱出はできませんし、43への移動もできないので都合が良さそうです。
初手から、▲76歩、△34歩、▲22角不成、△何か、▲11角不成、△何か、▲22香 の手順になりますが、後手の手としては玉を33へ移動する2手と42地点を埋める手が必要です。後手の手数を数えるとあと1手なのですが、条件では4手目が歩とのことです。▲11角、▲22香、△33玉。△34歩の配置を考えてみると、玉の退路として24と32が残っているので、4手目は退路の24を埋める△24歩なのがわかります。つまり、6手目は△42玉で8手目が△33玉で、10手目が42を埋める手のはずです。それが△42飛の場合は。▲21香成で空き王手になった時に、△22飛や△22銀での合いができてしまうので、42の退路を埋める手は△42銀だと、△22飛と△22銀の両方を不可能にする一石二鳥の手になります。
4手目の△24歩によって24地点は退路にはならなくなりましたが、23地点が新たに退路になりました。また、32地点の退路も残ったままですが、残る手数は先手の1手だけです。その1手で23地点と32地点を抑えることができる持ち駒の角を14へ打つ手が9手目になり、無事に詰ますことができました。
なお、4手目が歩の条件がなければ、
▲76歩、△34歩、▲22角不成、△32銀、▲11角不成、△42玉、▲22香、△33玉、▲35角、△42金、▲21香成 まで11手の詰み手順があります。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
ミニベロさん(作者)「詰め上がりから逆算すれば意外と簡単。余詰怖いが、シンプル条件で仕上がっていれば。」
■4手目は歩なら2手目は玉かな?と騙されると難しくなります。
斧間徳子さん「斬新な強制成りの条件が面白い。桂かと思ったら香でした。「4手目は歩」が、余詰と手順前後を同時に解消する絶妙の条件!」
■桂だと1段目と2段目の可能性がありますし、玉から遠ざかる方での強制成だと、成と不成の影響を受けずに済むので最初に思い浮かぶ駒かもしれません。
小山邦明さん「強制成のルールがある駒種は歩、桂、香の三つですが、先手からの歩打ちは難しく、桂も駒を取るまで手数がかかるので、本手順は香と推理したらうまく解けました。」
■成る手1回の本問では該当しませんが、桂の強制成/不成での詰みもありました。
NAOさん「11手目不成は反則負けですね」
■将棋ソフトは11手目の不成を許してくれませんでした。
緑衾さん「一段玉だと思い込んでたのですが,ためしに香を取った角の筋に玉を置いてみたら解けました。」
■一段玉だと強制成で詰むのは1段目での歩成、香成、桂成と2段目での桂成のようで、全て強制成りした駒での王手になります。
諏訪冬葉さん「41角と打つことばかり考えていて14が抜けていました。そして、回答を書く直前に42金では詰まないことに気付く。」
■△42銀と△51金左を指せれば、▲41角で32地点と23地点をカバーできますが手数オーバー。△42銀ではなく△42金だと、▲21香成の時に△22銀の合いができてしまいます。うまく出来ているものです。
飯山修さん「歩で1段目空き王手はほぼ不可能なので香車か桂ですが2段目でもよい桂から考えて失敗。香車で取り組んだらアッサリ。」
■116-3の端への桂成手順を覚えていると、駒成が最終手だけの桂の強制駒成でも他の手順がありそうな気がしますね。
ほっとさん「22香~21香成までの手順がぴったりで気持ちいい。」
■▲24香も▲23香も駄目で▲22香だけが空き王手にピッタリでした。
山下誠さん「1二ではなく、1四に角を打つ手がありました。」
■▲12角だと23地点をカバーできますが、▲21香成に△32玉の退路が残ってました。△24歩を突いてくれているので23地点と32地点を一気にカバーできましたが、△24歩がないと▲35角で24地点を抑えることができますが、32地点は空いた状態になります。
はなさかしろうさん「2枚角をどこに配置するかでした。4×4マスに納まる詰上りが綺麗です。」
■4×4マスの44地点へ逃げるつもりが空き王手で潰されました。
原岡望さん「玉は流石に沢山は動けませんね」
■▲11角不成で香を取るのが5手目。先手の残り3手では中段玉を縛ることができないので33で留まってもらう必要がありました。
べべ&ぺぺさん「難問で諦めてしまいました。」
■空き王手しかないことは推理できたのでしょうか。
占魚亭さん「いやぁ……全く詰み形が浮かびません。」
■香での空き王手を推理できていれば、あとは駒を配置して詰み形を考えると良かったのですが。
RINTAROさん「詰上り図からの逆算で解きました。」
■本問は逆算が有効な解き方でした。
ジェシーさん「二枚角の筋違いかなあ・・・という想像はついたのですが、二枚目を4一と思い込んでしまい、手こずりました。」
■強制成の香を除外すると詰み形は2枚角の配置次第となります。
桝彰介さん「追加ヒントは、ヒントになっているのかな、と思いました。解いて筋の合計は16か確かめました。」
■5手の合計が16なので、割ると3あまり1。後手の着手筋は、3,3,3,3,4とか2,2,3,4,5とか2,3,3,4,4などで5筋よりは1筋側であることが想像できます。
作者ヒントは決定的なヒントにならないくらいでお願いしています。
正解:15名
ミニベロさん 斧間徳子さん 小山邦明さん NAOさん
緑衾さん 諏訪冬葉さん 飯山修さん ほっとさん
テイエムガンバさん 山下誠さん はなさかしろうさん
原岡望さん RINTAROさん ジェシーさん 桝彰介さん
【お知らせ】
おもちゃ箱の推理将棋コーナーのトップページに「推理将棋関連サイト」としてリンクされている「Web Fairy Paradise」ですが、前年に出題された作品の「お気に入り投票」が毎年この時期に行われています。
皆様の投票をお願いいたします。
投票要綱 投票先:takuji@dokidoki.ne.jp
(総評)
ミニベロさん「1・2は懐かしい詰め上がり。そう、古いことはよく覚えているのに。」
■担当は古いことも3ヵ月前のことも自信がありません。(笑)
斧間徳子さん「駒の成・不成の限定は、推理将棋に常に付きまとうテーマですね。」
■駒の成・不成の限定をしなくてよい詰み手順は稀に発見できることがありますが、どうしても付き纏うものですね。
緑衾さん「147回の8手詰に苦労したのは私だけじゃないようで安心しました。今回は解きやすかったです。」
■147-1は8手ながらかなりの難問でした。
諏訪冬葉さん「今回の影のテーマは「角不成2回」でしょうか」
■「角不成2回」とは鋭い考察。気付いてませんでした。3題揃えることはできませんでしたが飛角サンドイッチの形が影のテーマでした。
飯山修さん「これからも作者のヒント前解答を目指していきますが来月は無理かな」
■作者ヒントまで2週間弱。この結果稿を読む頃には作者ヒントが出ていますね。結果はどうなったのでしょうか。
ほっとさん「今回は最終手駒取り特集?」
■「角不成2回」や「最終手駒取り」や「遠隔王手の美学」。解答者からの裏テーマ予測が寄せられました。裏テーマを設定できるような豊富な在庫があれば良いのですが...。さて、4月出題に裏テーマはあるのでしょうか?
原岡望さん「今回は2と3がヒント頼みでした。パラも解けてやれやれです。7日夜」
■パラ3月の推理将棋は勝手な思い込みで自滅するところでした。パラ4月は素直な易問でした。結局、これを相性と云うのでしょうか。
べべ&ぺぺさん「今月は不調でした。次回は、気持ちを切り替えて頑張ろうと思います。」
■心機一転でチャレンジしていただけたらと思います。
RINTAROさん「1、2は暗算。3も適度な難易度で楽しめました。締め切りぎりぎりになったのは許してください。」
■ヒントを見ずとも、解図の時間をとれる都合もあるでしょうから
ジェシーさん「今月は「遠隔王手の美学」ですね。」
■一間龍、一間飛、斜め一間角ですね。
桝彰介さん「今回の問題は、手順を考えてもなかなか分からず、詰み形が思い浮かび、それに手順を当てはめていくことで解けました。解けない時は、詰み形も思い浮かばないものですからね。」
■具体的な着手を隠した「悪魔系」条件だと詰み形も見え難いことがありますが、推理将棋では詰み形からの逆算も解図手法のひとつになっています。
推理将棋第148回出題全解答者: 17名
ミニベロさん 斧間徳子さん 小山邦明さん NAOさん
緑衾さん 諏訪冬葉さん 飯山修さん ほっとさん
テイエムガンバさん 山下誠さん はなさかしろうさん
原岡望さん べべ&ぺぺさん 占魚亭さん RINTAROさん
ジェシーさん 桝彰介さん
当選: ミニベロさん
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コメント
ご紹介頂きありがとうございました。
毎回、推理将棋・PG部門の投票者が少ないので、
1作だけでも構いませんのでお気に入り作品がありましたら投票よろしくお願いします。
WFPのページより投票要項ページをご覧頂き、候補作一覧の中から投票ください。
締め切りは5月15日です。よろしくお願いします。
投稿: たくぼん | 2022.04.27 06:55
最初に(2)の解答がまぎれ込んでいます。
投稿: 原岡望 | 2022.04.27 08:59
原岡さん、ご指摘ありがとうございます。
そそっかしくてすみません。修正しました。
投稿: TETSU | 2022.04.27 10:57