推理将棋第150回解答(2)
[2022年6月25日最終更新]
推理将棋第150回出題の150-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第150回出題 推理将棋第150回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
150-2 中級 けいたん 作 6筋に異種の大駒 10手
「10手で詰みか」
「6筋に異種の大駒がある局面があったな」
「3回あった銀の着手はすべて先手だったね」
「駒成はないな」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 10手で詰み
- 6筋に異種の大駒がある局面があった
- 3回あった銀の手は全て先手
- 駒成なし
出題のことば(担当 Pontamon)
駒成なしで異種の大駒と言えば、飛と角の組み合わせしかありませんね。
作者ヒント
とどめは金。
締め切り前ヒント
銀腹へ金を打って詰ませるのですがその銀は何段目?
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推理将棋150-2 解答 担当 Pontamon ▲68飛、△34歩、▲38銀、△66角、▲39金、△57角不成、 (条件) |
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タイトルにもなっている「6筋に異種の大駒」は厳しい条件なのでしょうか。「駒成なし」の条件があるので、異種の大駒は飛と角で決まりです。筋も指定されているので大駒着手の組み合わせはそう多くはないでしょう。攻め方の後手が△62飛と△66角の両方を指すには△34歩も合わせて3手必要。つまり6手目で条件をクリアできますが、残り2手での詰みは無さそうです。先手が▲66角と▲68飛の両方を指す場合も▲76歩を合わせて3手が必要で、後手が66の角や68の飛を取れるのは6手目以降になります。▲56歩の手が無いので58の飛を取れるのは最短で8手目なので残り1手では飛を打っての詰みは無さそうです。66の角を取るには△34歩さえ指していれば4手目で△66角とすることができますが、▲68飛が指される前に△66角とするのであれば、6筋の大駒着手は先手が▲68飛で後手が△66角で分担することと同じになります。6筋の大駒着手を先後で分担する場合のもうひとつは、▲76歩、△62飛、▲66角の手順です。これなら初手から3手で「6筋に異種の大駒」を配置することを実現できます。
参考1図の手順は、先手が▲68飛と▲56歩、後手が△34歩からの△66角の4手で「6筋に異種の大駒」の条件をクリアして、その後の後手角の進入を助ける▲56歩も付いている状態から先手玉を詰めた手順です。駒成なしなので飛打ちからの一間龍ではなく玉から一間離して飛を打つまでの詰みです。飛の打ち場所確保の△31角不成からの57へのスイッチバックで飛を取り、玉の退路を封鎖しています。57で飛を取るタイミングを計るための「6筋に異種の大駒」の条件だったのかと感心します。
しかし、この参考1図の手順では銀の手が無いので失敗でした。
参考1図:▲68飛、△34歩、▲56歩、△66角、▲58飛、△39角不成、▲57飛、△同角不成、▲58金右、△39飛 まで10手
先手は銀の着手を3回指す必要があるので、それを念頭に入れて指してみたのが参考2図の手順です。参考1図での3手目の代わりに▲48銀と差して先手の銀着手の回数を稼ぎます。目指す詰み形は7手詰での▲62角に▲53銀の形です。48地点で銀を後手に差し出せばよいのですが、銀着手3回なので一旦▲39銀で戻ってから再度の▲48銀を指します。先手の▲56歩の協力は期待できないので後手は△57角不成を指してから48の銀を取ればタイミングびったりで詰みになりました。
これで解図成功だと思ったのですが、条件は、先手の銀着手が3回ではなく銀着手は先後合わせて3回が正しい条件でしたので最終手の△57銀を打つことができないので参考2図の手順は失敗でした。
参考2図:▲68飛、△34歩、▲48銀、△66角、▲39銀、△57角不成、▲48銀、△同角不成、▲58玉、△57銀 まで10手
とどめに銀を使えないとなると、とどめを刺す駒は何でしょう。先手の着手のうちの▲68飛は確定でしょうが、残り4手のうちの3手は銀の着手をしなければいけません。二枚角の詰み形は先手の歩突き協力が必要になるので除外されます。68の飛を角不成で取るとそれが王手になるため玉移動が必要になり。銀の着手を3回指すと初期配置の金2枚が残る状態になり、飛を打って先手玉を詰ますことはできません。ということは、とどめのために使えそうなのは金になりますが、駒成なしでは初期位置の金を角不成で取ることはできません。後手の角位置が66で、先手の飛が68に居るので金を取るなら57、48、39の角筋になるでしょう。先手は▲68飛以外の残り4手のうちの3手を銀の着手で使うので金移動に使える手は1手になります。なので57地点で金を差し出す手順ではありません。▲48金、△同角不成とすると▲同銀か▲58玉を指さないといけなくなります。後手の角が取られてしまっては金一枚ではどうしようもありません。▲58玉で王手をかわすと▲48金を指しているので銀着手は2回しかできなくなります。したがって、王手にならないように▲39金を後手に取らせる必要があります。▲39金を指すには初期配置39の銀を動かす必要があるので、▲68飛は初手で指す必要があります。
初手から▲68飛、△34歩、▲38銀、△66角です。3手目に▲48銀を指すと▲39金の後に銀の行き場がありません。銀着手を考えると▲78銀は指せますが左銀の移動もそこまでです。したがって、3手目は▲38銀で、▲39金で動いた金の初期位置の49地点へ▲49銀を指せるようにしておきます。5手目から▲39金、△57角不成、▲49銀、△39角不成です。後手は金を持ち駒にしましたので最終手でその金を打ちます。玉は居玉のままの59地点なので39の角を支えにして金打ちで王手をするには△48金しかありません。しかし、49には銀が居るので先手玉が詰むには49の銀を移動させる必要があります。△48金に利かないように▲58銀がぴったりです。9手目から▲58銀、△48金で詰みになりました。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
けいたんさん(作者)「銀の繰り替えが狙い」
NAOさん「68飛で左銀を封じられ、右銀3回。58銀形は珍しい。」
■左銀3回の58銀型の方が多いかもしれません。
諏訪冬葉さん「48で金を取ったら王手回避が必要になる・・・と思ったら39とは」
■居玉でいるために39で金を差し出す。
ほっとさん「最初に浮かんだ先手68飛+後手66角が正解だったので簡単に解けた。」
■▲68飛と△66角を配置すれば、1筋側からの攻めししか無さそうに見えますね。
飯山修さん「39銀が68迄行けば効率が良いのだが金をとるルートとかぶっておりうまくいかない。やむを得ず別ルートを考えたら6筋の飛角もクリアする絶妙な手順があった」
■48、59、68の移動だと金を取らせる場所とタイミングが難しく、6筋の大駒の問題も残ります。
原岡望さん「単に6筋大駒対決、だと余詰ですか」
■6筋大駒対決の条件だけだと、▲56歩、△34歩、▲68飛、△66角、▲48飛、△同角不成、▲58玉、△59角不成、▲55歩、△56飛の飛角サンドイッチの詰み上がりなどが余詰になります。
RINTAROさん「銀の入れ替えパズル。」
■金銀の入れ替えが作者の狙いでした。
はなさかしろうさん「角で銀を取る7手の筋を応用すると先手が途中で駒頭に着手してしまう…ということでヒント待ちに。この筋がありましたか~!」
■68の飛が居座ったままなので、横利きを止める▲58銀は必須。
ミニベロさん「狭い場所でのやり取りは古典の趣。」
■合い利かずの離れ業が出て来た時は驚愕したことでしょう。
緑衾さん「玉を動かすことばかり考えて手数が足りないと思ってました。居玉で詰ませられるんですね。」
■銀が3手、大駒1手なので玉は動かすとしても1手しか指せませんね。
桝彰介さん「駒入れ替えパズルのような動きから、見事な銀のスイッチバック。」
■銀の3手にはそれぞれ意味があって、無駄手はありませんでした。
正解:9名
NAOさん 諏訪冬葉さん ほっとさん 飯山修さん
原岡望さん RINTAROさん はなさかしろうさん
ミニベロさん 緑衾さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
参考2図の説明の最後の文でちょっと端折り過ぎたようなので補足説明します。
「最終手の△57銀を打つことができないので」となっている部分ですが、銀の着手は3回で全て先手の手という条件なので4回目の銀の手となる△57銀を打つことができないということです。
投稿: Pontamon | 2022.06.25 17:41