推理将棋第151回解答(3)
[2022年7月25日最終更新]
推理将棋第151回出題の151-3の解答、第151回出題の当選者(飯山修さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
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推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
151-3 上級 けいたん 作 35馬まで 11手
「35馬まで11手で詰みか」
「同の着手が2回あったね」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 11手目の35馬で詰み
- 同の着手が2回あった
出題のことば(担当 Pontamon)
駒成や不成の条件が無いのですが、馬はいつどこで作られ何処から35へ来たのでしょう?
作者ヒント
王手3回(けいたん)
締め切り前ヒント
同の手は、3手目と飛を取る手の2回。
推理将棋151-3 解答 担当 Pontamon ▲76歩、△44歩、▲同角、△52玉、▲53角不成、△62飛、 (条件) |
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最終手に▲35馬が指定されているので、先手は途中で角成して馬を作っておく必要があります。35地点へ移動できる地点で馬を作るか、別の地点で馬を作ってからその馬を35地点へ行ける地点へ移動してから最終手▲35馬を指す可能性もあります。
参考1図の手順では、▲13角成でできた馬をそのまま▲35馬で引く手順になっていて、▲35馬を支えるのは▲36歩です。この手順では後手玉の退路ができないように2~4筋の後手の歩は初期状態のままで歩越しの玉の形にして玉の退路が無い状態にしています。11手で詰んではいるのですが、この手順では馬を作るまでに手数が掛かり、同が付く手が入る余地がありませんでした。
参考1図:▲78銀、△54歩、▲36歩、△62玉、▲79角、△53玉、▲56歩、△44玉、▲13角成、△34玉、▲35馬 まで11手
参考1図では1筋で作った馬を35地点へ引きましたが、参考2図では逆方向の71地点で作った馬を35地点へ引いて来る手順で詰めてみました。参考2図の手順では先手角は44地点で進む方向を変えるので、最短で同が付く手の▲44同角を取り入れることができました。この手順では角の利きが53地点を通っているので、後手玉は53地点ではなく、43地点を経由して△34玉へ出て行きます。その場合、玉が通って来た34地点が玉の退路になるので、先手は71で取った銀を打って43地点をカバーします。この参考2図も11手で詰んでいるのですが、同が付く手は3手目の▲44同角の1回だけだったので失敗です。
参考2図:▲76歩、△44歩、▲同角、△52玉、▲36歩、△54歩、▲71角成、△43玉、▲32銀、△34玉、▲35馬 まで11手
参考1図や参考2図の手順では、△34玉の玉頭の35地点への馬の手での詰み形でしたが、馬2枚での詰みなら62地点の玉を合い利かずの形で詰めることもできますが、手数オーバーの13手になってしまうようです。例えば、同の手を2回入れると、▲76歩、△34歩、▲22角成、△44歩、▲同馬、△62玉、▲45馬、△54歩、▲33角、△72銀、▲42角成、△35歩、▲同馬 まで13手。
遠距離からの合い利かずの詰みができないとなると、参考1図や参考2図と同様に△34玉を▲35馬で詰める形になりそうです。参考1図では玉は△44玉のままでも▲35馬で詰みますが、馬を13地点で作ると先手は歩しか入手することができません。参考2図のように銀を入手すれば、玉の退路をカバーする手を指せます。歩以外の駒を入手できれば43地点をカバーすることができそうです。
まずは角を使ってみます。同の手の条件を無視すれば、▲35馬を支える目的と玉の退路を塞ぐ目的を兼ねた手を▲24角で実現することができます。(▲76歩、△34歩、▲22角成、△42玉、▲13馬、△33玉、▲46馬、△35歩、▲24角、△34玉、▲35馬 まで11手)
銀で退路を塞ぐ例は参考2図の手順でした。他に取れそうな駒は、▲44同角から62地点で金や飛を入手可能です。初手からだと、▲76歩、△44歩、▲同角、△54歩、▲36歩で▲35馬を支える手の▲36歩までを指しておくと、6手目に△62銀や△62金もしくは△62飛として、その駒を7手目に▲62同角成として2回目の同の手で馬を作り、最終手で▲35馬と引ける配置になります。9手目は62地点で取った駒を打って、玉の退路を塞ぐことになります。6手目が△62銀や△62金であれ△62飛であれ、7手目の▲62同角成は王手になるので8手目は△42玉になります。となると10手目で42の玉が桂の動きになる△34玉を指すことはできません。これまでの手順の何処かが間違っていたようです。
44の角が62の後手駒を取りやすくするために4手目に△54歩を付きましたが、△34玉までに玉の手が足りなくなっていたので、△54歩は指せず、4手目は玉の手になります。最終的に34地点へ行くのですが、8手目は△43玉で10手目が△34玉なので、4手目は8手目に43地点へ行けるように△42玉か△52玉のはずです。△54歩は突かないので5手目は53の歩を取る手になります。▲53角成であれば玉が42でも52でも王手になり、43地点へ行こうとしてもそこにも馬が利いているので予定の8手目ではなく先に6手目に△43玉を指しておくことはできません。▲53角不成の場合でも4手目が△42玉だと王手になるので、4手目の正解は△52玉です。初手から、▲76歩、△44歩、▲同角、△52玉、▲53角不成となり、6手目の62地点の手は△62銀か△62金か△62飛で、7手目は2回目の同の手の▲62同角成で馬を作ります。取った駒が銀なら9手目は▲32銀、金なら▲42金で11手目に▲35馬で詰ます予定でしたが、この修正手順では▲53角不成を指したため、▲35馬を支えるための▲36歩を指せていませんでした。
金や銀だと▲36歩が必要になるので、62地点で取る駒は飛のはずです。玉の退路になる43地点をカバーしつつ、最終手の▲35馬を支える一石二鳥の手は9手目の▲45飛になります。6手目から△62飛、▲同角成、△43玉、▲45飛、△34玉、▲35馬までの11手で詰めることができました。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
けいたんさん(作者)「飛車と馬のコンビネーションの詰上がりが狙い」
■5段目の飛と馬の形は初めて見る詰み上がりでした。
ミニベロさん「なるほど!これは旨いです。シンプル条件で玉の軌道を限定し、43のおさえと35の支えを45飛1手でまかなう。」
■▲35馬を支えるのが▲36歩だと同の手2回ができません。
RINTAROさん「条件も簡素で好作だと思います。」
■簡素条件に仕上がりました。
NAOさん「珍しい34玉形の詰上がり。35馬への効きと43への退路封鎖を両立するには?と考え45飛を発見。"同の着手2回"で限定できたのはすばらしい。」
■43の退路封鎖は銀でも金でも可能ですが、▲36歩の手が回って来ませんでした。
諏訪冬葉さん「最終ヒントで頭3手と飛車を取ることが分かったので、43を埋める方法を考えたら答えにつきました。」
■作者が心配していましたが、大甘なヒントだったかも。
飯山修さん「34玉の状態から馬引きで仕留める手順はいくつかあるが同Xなんて全く出てこない。最終ヒントを見てこのような追い方があるのかとビックリ」
■▲35馬だけの条件だと色んな詰み形があるのでそれらを除外して限定する条件が同の手2回でした。
ほっとさん「この条件だけで限定されているとは!」
■同の手を指すのがが中々難しいので、この手順に限定されました。
テイエムガンバさん「8手目の局面における後手玉の逃げ道の多さに誤答してしまったのか?と思ってしまいました。」
■唯一の詰み場所へ移動した10手目が命取りでした。
占魚亭さん「42玉~43玉のルートかと思いました。」
■△34玉の位置へ行くには、△42玉からの△43玉でも良さそうな気がするのですが...。
緑衾さん「同の着手で取るのは44の歩と詰みに役立つ駒だと考えて解きました。」
■同の手で金銀飛を取ることができますが、43地点のカバーと▲35馬を支えるには飛を入手して▲45飛が一石二鳥の手でした。
はなさかしろうさん「いかようにもなりそうでならない好条件、好手順で好詰形の傑作ですね。」
■大駒2枚の協力はよくあります。1段目の飛の隣の馬の形は9手詰にもありますが、中段での出現は記憶にありません。
例:▲76歩、△32飛、▲33角成、△42銀、▲32馬、△62銀、▲31飛、△52玉、▲41馬
正解:11名
ミニベロさん RINTAROさん NAOさん 諏訪冬葉さん
飯山修さん ほっとさん テイエムガンバさん けいたんさん
占魚亭さん 緑衾さん はなさかしろうさん
(総評)
ミニベロさん「温故知新。」
■たまたま終局図が過去作と同じだったのか、練り直しだったのか。どちらも有りですね。
RINTAROさん「けいたんさんの個展、内容もよく、楽しめました。」
■在庫はタイトル中心のファイル名にしているので「〇〇まで」のファイル名を探した結果、個展になりました。
NAOさん「具体的な最終手が見えていても手順を見極めないと迷路に入ってしまう。謎解きを楽しめたけいたんさん個展でした。」
■今後も具体的な着手指定がある作品を出題できればと思っています。
諏訪冬葉さん「1問目:ヒントなし
2問目:作者ヒントのみ
3問目:最終ヒント待ち
難易度通りの結果になりました。」
■最終手が分かっていると手数通りの順になりやすいですね。
飯山修さん「最終手明示というのは解こうとする意欲を引き出す効果十分でこういう特集は歓迎です」
■この1年、詰パラで見掛けることが多かった、途中局面も解けそうに思えますね。前半と後半に分けて考えることができる作品なら。
ほっとさん「けいたんさんは完全率が高くて凄いですね。」
■けいたんさんはmixiの時も難問を創作されていたようです。
けいたんさん「こんなにヒントを大盤振る舞いして解答が少なかったらどうしよう?」
■上級のヒント待ちの方が多かったのかもしれません。
占魚亭さん「何とか全問解答。パラ6月号はさっぱりでしたが……(苦笑)。」
■担当はパラ6月号の2問目が解けず、自信を持って「不詰み」と解答。問題文の解釈を間違っているのでしょう。
緑衾さん「確かに具体的な着手を示されると解きやすいですね。」
■悪魔系を程よく混ぜて出題できればと思います。
推理将棋第151回出題全解答者: 12名
ミニベロさん RINTAROさん NAOさん 諏訪冬葉さん
飯山修さん ほっとさん テイエムガンバさん 中村丈志さん
けいたんさん 占魚亭さん 緑衾さん はなさかしろうさん
当選: 飯山修さん
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