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推理将棋第152回解答(2)

[2022年8月25日最終更新]
推理将棋第152回出題の152-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第152回出題  推理将棋第152回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


152-2 中級  NAO 作   高飛車くん(その10)  10手

「桂の手より後に5段目への飛車の手を指してやったぜ」
「いつもの高飛車戦法だね。不成の手はなくてたったの10手で詰みか。
 5段目への飛の手より後の桂の手が勝負を分けたね」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 10手で詰んだ
  • 5段目への飛の手より前と後に桂の手があった
  • 不成の手はなかった

出題のことば(担当 Pontamon)

 高飛車より前の桂の手は相手なのか自分なのか?

作者ヒント

 高飛車くんの負け(NAO)

締め切り前ヒント

 ▲65飛の直後に吊るし桂で詰みます。


推理将棋152-2 解答 担当 Pontamon

▲76歩、△34歩、▲77桂、△同角、▲68飛、△67馬、
▲46歩、△57馬、▲65飛、△47桂 まで10手

(条件)
・10手で詰んだ
・5段目への飛の手より前と後に桂の手があった(3手目▲77桂、9手目▲65飛、10手目△47桂)
・不成の手はなかった(4手目△77同角成)

Suiri1522

Suiri1522a条件をみるとどうやら飛と桂の組み合わせのようなので、5段目の高飛車の手の後に不成なしなので龍になってから8段目に龍を置いて、7段目へ桂を打つ吊るし桂の形が想像できます。その方針で手を進めてみたのが参考1図なのですが、桂と飛を取ってから高飛車の手の△55飛を打った時点で既に8手目だったので8段目へ龍を配置するのは無理だと悟り、高飛車の後の桂の手を△46桂として玉の横移動を阻止してから詰ませたのですが、これでも当然ながら手数オーバーの12手でした。

参考1図:▲76歩、△34歩、▲77桂、△同角成、▲68飛、△同馬、▲48玉、△55飛、▲59金左、△46桂、▲16歩、△57飛成 まで12手

Suiri1522b参考1図では、先手の飛を取って、駒打ちで高飛車の手を実現する手順でしたが失敗したので今度は後手の飛が中段へ出ていく手順にしてみたのが参考2図の手順です。高飛車の手の前と後で桂の手を指す必要があるので、▲33角成に対しては△33同桂です。桂が△35飛と出る手の邪魔なので続けて跳ねてから△35飛としました。その高飛車の手の後の桂の手は飛が利いている37地点での△37桂成で38の玉に王手を掛けましたが、28の桂が利いているので詰みにはなりませんでした。

参考2図の4手目から△同飛、▲77桂、△35飛、▲68銀、△77角成、▲16歩、△67馬、▲15歩、△57馬、▲46歩、△47桂までの吊るし桂だと14手かかるし、4筋から飛が出て行く▲76歩、△44歩、▲同角、△42飛、▲77桂、△44飛、▲48金、△68角、▲49玉、△77角成、▲56歩、△47飛成、▲16歩、△57桂の吊るし桂も14手かかってしまう。どうやら高飛車の手は後手ではなく先手のような気配がしてきました。

参考2図:▲76歩、△32飛、▲33角成、△同桂、▲48玉、△45桂、▲59金左、△35飛、▲38玉、△37桂成 まで10手

先手の飛が5段目へ出て行って高飛車を実現するには先手の歩が切れている筋なら8段目の飛は1手で5段目へ行くことができて効率的です。手順としては△77角成を▲同飛として次に高飛車を指したり、▲66歩、△同角、▲同飛などが良く目にする手順ですが、本問では後手が先手玉を詰める問題ですので、攻めに大事な角や馬を見す見す取られてはいけません。先手の歩が切れたからと言ってすぐに飛を動かすのではなく、後手の角や馬がどいてくれるのを待つ必要がありそうです。

高飛車の手の前に桂の手がありますが、後手の角や馬が先手の歩を取ってからその地点からどいてくれるのを待つ手として先手の桂が跳ねても良さそうですが、高飛車の後の桂の手があるので後手が吊るし桂で詰めるのであれば、桂の入手が必要です。参考1図の手順では飛の入手も必要だったので77の桂を取った王手の手に対して▲68飛の合いをして次に△同馬と指しました。77の桂を取ったので先手の7筋の歩は切れてはいなく、6筋に飛が居る状態なので、先手の6筋の歩を後手が取れば後々▲65飛を指せそうです。初手から▲76歩、△34歩、▲77桂、△同角成、▲68飛、△67馬で6筋の歩を取ります。次の後手の手は67の馬を他の筋へ移動する手でそれが8手目になり、高飛車の手を指せるのは9手目の▲65飛です。高飛車の手の後に桂の手を指すとなれば、桂打ちで詰ますことになりますが、ここまでに先手玉は動いていないので桂打ちで王手を掛けるなら47地点か67地点になります。△67桂では高飛車の手を指した飛で▲同飛と取られてしまうので後手の最終手の桂打ちは47地点でなければいけません。しかし6手目を指した時点では47の歩は動いていないので、7手目は▲46歩で、続けて△57馬で8段目を抑え、▲65飛の高飛車の手に続けて△47桂で詰みとなりました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん(作者)「詰と絡む桂の手が明かされているのでシリーズの10手詰の中では解きやすいでしょう。不成ありとすると57飛成の筋が多数。」

■駒成の有り無しで見える景色が全然違いますね。

ミニベロさん「この高飛車君は難しい。しかしアイデアは尽きないものだ。」

■高飛車シリーズは残り1作。最難問の「高飛車くん(その11)」の出題はいつになるか?

緑衾さん「いろんな筋がギリギリで駄目なのはいいですね。飛車と桂馬の手を同時に意識しないといけないので大変でした。」

■不成ありの手順が多さに作意順が埋もれてしますます。吊るし桂で決め打ちすると少しは楽になったかと思います。

ほっとさん「高飛車くんが先手か後手か絞りづらいのが良い。」

■解説でも高飛車の手を実現する手順をいろいろ検討しました。

チャンプさん「理詰めで考えると高飛車をした方が負けることは明白。条件を見た瞬間決め打ちできるかどうかで解くスピードに随分と差が出る問題かなと思います。人によっては上級より沼る可能性も十分ありそうですね。
NAOさんの問題ということで、やや身構えてしまいましたが無事に解けて良かったです。
NAOさんご無沙汰してます。その節は大変お世話になりました。」

■作者の狙いでは「吊し桂の易問、初級用。」とのことでしたが、中級で出題しました。

飯山修さん「高飛車君の勝か負かで推理の量は半分以下。なので作者ヒント後に取り組んだらあっさり。前例が以外と少ないのは不思議」

■詰みに関係がある後手の2枚の駒の配置が同じなのは、DD++さん作の「34-2 中央決戦」くらいでしょうか。

諏訪冬葉さん「77桂馬を取る順は考慮していたのですが、馬の2段寄りが予想外でした。」

■諏訪冬葉さん作の「75-2 桂馬乱舞」では77の桂は65で取って、57地点は馬ではなく成桂でした。

RINTAROさん「いつか出ると思っていた手順。」

■吊るし桂の形は無かったですね。次作はどんな形でしょうか?

はなさかしろうさん「高飛車くんシリーズは相変わらず難しいです。本問は効率の良い攻めの基本形と、待ち手の高飛車の組み合わせなのですが…。」

■詰のために必須になる攻め駒、飛の利きを外すための協力手、タイミングほはかる手待ちの手などですね。

原岡望さん「これが正解と分からず、他の手順を検討しそうになりました。桂は後手と思い込んでいました」

■高飛車の前後の桂着手の両方が後手だと手数が足り無さそうです。

桝彰介さん「分かりません。吊るし桂のヒントから居玉の詰め上がりを予想しましたが、正解手順に至りませんでした。」

■居玉を吊るし桂で詰める10手では、57地点に成駒を配置して、47か67に桂を打つ順のようです。

占魚亭さん「自陣から動かすよりも取った駒を使う方が早い。」

■最終手で打つなら、桂取りと桂打ちの2手で済みますね。


正解:11

  ミニベロさん  NAOさん  緑衾さん  ほっとさん
  チャンプさん  飯山修さん  諏訪冬葉さん  RINTAROさん
  はなさかしろうさん  原岡望さん  占魚亭さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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