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推理将棋第153回解答(2)

[2022年9月25日最終更新]
推理将棋第153回出題の153-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第153回出題  推理将棋第153回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


153-2 中級  ミニベロ・Pontamon 合作 手番と筋の数字   9手

「出題予定作が余詰んでました。何か9手詰ありませんか?」
「それなら、こんな条件でこの手順があるけど、ちょっとしんどいね」
「易し過ぎるなら、『2手目は2筋みたいに手番と着手筋の数字が同じ手が3手連続』にするとか?」
「それいいね。もう私の作品ではないな」
(少し変えただけなので担当作とも言えないなぁ)
「あと、足りない条件は、『王手は駒成王手ととどめの成駒王手の2回』と『不成なし』ですね」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 9手目で詰み
  • 2手目は2筋着手のように手番(対局での手数)と筋の数字が同じ着手が3手連続であった
  • 王手は駒成での王手と最終手の成駒での王手の2回
  • 不成なし

出題のことば(担当 Pontamon)

 不成や駒打ちでの王手はありません。王手回数にもご注意ください。

作者ヒント

 「端の手で詰む9手詰、何かありませんか?」が実話(Pontamon)

締め切り前ヒント

 最初の王手は▲33角成での王手で、この馬が7手目と9手目に動きます。


推理将棋153-2 解答 担当 Pontamon

▲76歩、△74歩、▲33角成、△62玉、▲96歩、△73玉、
77馬、△84玉、▲95馬 まで9手

(条件)
・9手目で詰み
・2手目は2筋着手のように手番と筋の数字が同じ着手が3手連続であった(7手目▲77馬、8手目△84玉、9手目▲95馬)
・王手は駒成での王手と最終手の成駒での王手の2回(3手目▲33角成、9手目▲95馬)
・不成なし(3手目▲33角成)

Suiri1532

Suiri1532a問題文で「2手目は2筋着手のように」になっていましたが、何やら大ヒントのような気がします。3手目の駒成での王手である▲33角成の後に42地点で後手の合駒が見えています。「2手目は2筋」は△24歩で確定しているので対局での手数と着手筋の数字が同じ着手が3手連続は2~4筋でクリアできます。あとは最終手を馬での王手で詰めればいいだけのはずです。その方針で9手で詰めたのが参考1図の手順です。4手目の合駒の金を取ってその金を7手目41に打って、金を支えにして▲51馬で見事に詰みになりました。全ての条件をクリアしているはずでしたが、手順を再確認とると、4手目の合駒の△42金を馬で取った手の▲42同馬が王手になっているため、王手は駒成での王手1回と成駒での王手2回の計3回になってしまっていました。どうやら対局での手数と着手筋の数字が同じ着手が3手連続は2~4筋ではなかったようです。

参考1図:▲76歩、△24歩、▲33角成、△42金、▲同馬、△62玉、▲41金、△72金、▲51馬 まで9手

対局での手数と着手筋の数字が同じ着手が3手連続が2~4筋ではなかったので次に3~5筋の順を考えてみたところ▲76歩、△52玉、▲33角不成、△44歩、▲51角不成、△33角、▲同角成、△62金、▲16角のような2枚角で詰める手順がありましたが、これでは初王手での詰みなので条件をクリアできていません。

Suiri1532b次は4~6筋ですが、ここでうまい手順がありました。それが参考2図の手順で、4手目の△42玉から▲52角と△62銀の3手が対局での手数と着手筋が合致している手になります。王手は2回で、成駒の王手の7手目の▲31馬と駒成での王手の9手目▲41角成の2回なので今度は条件をクリアしたはずだったのですが、条件をよくみると、駒成の王手と成駒での王手の2回ではなく、最終手は成駒での王手である必要がありました。参考2図の手順では成駒での王手が先で最終手は駒成での王手なので条件をクリアしていませんでした。

参考2図:▲76歩、△34歩、▲22角成、△42玉、▲52角、△62銀、▲31馬、△51玉、▲41角成 まで9手

「手番(対局での手数)と筋の数字が同じ」の条件を満たす筋として2~4筋、3~5筋、4~6筋と順に探して来ましたが闇雲に手を動かすだけでは時間がかかるだけです。既に半分の探索が終わっていますが、ここで論理的に考えてみます。参考2図では失敗してしまいましたが、最初の王手は駒成での王手です。駒成王手ができるのは3手目以降ですが、最終手の成駒王手の手を残すには、3、5、7手目に駒成王手をする必要があります。また、3手連続着手の中には先手の着手が必ず1手は入っているので、その点も念頭に推理してみます。

3手目の駒成王手は検討済みとして、5手目の駒成王手にはどのようなものがあるかと言うと、3手目の▲33角不成が王手にならないように2手目は△62玉です。33経由での5手目の5筋駒成王手は、2手目の玉移動のあと4手目の△51金左/右に対して▲同角成が考えられます。しかし、本問では不成なしなのでこの手順はアウトですし、6手目から△72玉、▲52金、△84歩、▲61馬で詰ませても対局での手数と着手筋が同じ数字の条件を満たせません。

次に、7手目の7筋の駒成で王手を掛ける手順を考えてみると、▲76歩、△34歩、▲22角不成、△72金から5手目5筋の▲55角不成、6手目6筋の△62玉、7手目7筋での駒成王手の▲73角成を実現できますが、この手順でも不成の手が入ってしまいます。また、3手目▲44角として5手目の▲77桂に△54歩で7手目に▲71角成で72の玉に王手すると玉の逃げ場がないので△同金か△同玉で馬を取るしかないのでこれも失敗です。初手▲76歩の後、桂の3段跳ねの7手目▲77桂成での王手だと不成は入りませんが、9手目にその成桂を9筋へ動かすことができません。

どうやら、最初の駒成での王手が対局での手数と着手筋の数字が同じになる3手連続に含まれることは無さそうです。となると、3手目の▲33角成が駒成での王手で、その馬を9手目に使って詰ませる順になります。▲33角成での王手では、取れたとしても持ち駒は歩だけなので、馬で詰める時の馬を支える駒を5手目か7手目に配置する必要があります。しかし、5手目に後手の駒を取っている暇はないので、初手の▲76歩を生かす▲76歩、△54歩、▲33角成、△52玉、▲66馬、△53玉、▲56歩、△64玉、▲75馬の9手で詰ましても対局での手数と着手筋の数字の条件はクリアできません。支えの駒として▲77桂と跳ねる手もありそうですが、こちらもうまくいきません。でも、先ほど失敗した▲75馬までの手筋ですが、5手目以降の先手の手は退路封鎖の歩を突く手と馬引きからの馬移動の3手で、後手は玉移動のみですが、中段へ出た玉が6手目地点へ戻れないように最終手の馬の利き筋上を通って中段へ出るという仕組みでした。この詰み形を2路9筋側へずらせば、73経由で8手目に84出て来た後手玉を先手の7手目▲77馬と9手目▲95馬で詰める、7~9手目に対局での手数と着手筋の数字が同じになる手順が見えます。退路封鎖のための先手の歩突きではなく、95地点の馬を支える▲96歩がピッタリです。初手は▲76歩で、2手目は84へ玉が出ていく経路作成のための△74歩です。この手を2手目に指すことによって3手目の▲33角成が王手になります。4手目から△62玉、▲96歩、△73玉です。を指すには、5手目に▲96歩を指しておきます。7手目から▲77馬、△84玉、▲95馬の9手で詰めることができました。

同じ詰み上がりの類作に、DD++さん作の94問題の「59-1 大返し」があります。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

ミニベロさん(原作者)「不成なしの条件がなぜ必要だったのか、さっぱり分からない作者の片割れ。」

■いろいろ条件修正をした挙句、最終的には「不成なし」の条件は不要になっていました。解説を書いていて気づきました。(笑)

NAOさん「最後に一見無理そうな789にたどり着いた。」

■234、235、と順に探って行くと最後に789に辿り着く。

チャンプさん「中級にしては難しい気がするのは…(略)
一目で最後の3手(7、8、9筋)と思った方は強者だと思いますね。
残念な点として、2手目は2筋着手のように手番と筋の数字が同じ着手が3手連続であった
この一文の手番という表現(手番とは先手または後手の手番、の意味であり何手目の手番という言い回しはしない)に違和感があります。
また、3手連続が先手や後手だけでいいのか、双方合わせてなのか、この点が言及されていないのは勿体ない気もしました。
○手目○筋(○に入る数字は同じ)の着手となる指し手が先後合わせて3手連続であった
これぐらいの文にした上で更に一例として【▲16歩△24歩▲36歩など】こういった注釈があっても良いと思います。」

■担当が推理将棋に出会った1作目がチャンプさんの「74-1 今年の運勢は?」で、将棋用語の「駒柱」を知りませんでした。「手番」は先手か後手のことなので未だに正しく理解していない将棋用語があるようです。本問では「2手目は2筋」の例示のおかげで内容を理解されていて、「手番」の使い方間違いは問題にならなかったようです。解説中の「手番」を「対局での手数」に変更しました。ご指摘、ありがとうございます。
なお、「3手連続」や「2手前」などの表現は先後を通しての手数を数えることになっているようで、逆に自分の手番での連続を言及する時には「自分の手番で3回連続で○○」や「すぐ前の自分の手番で○○」とすることが多いようです。その時は「手」ではなく「回」を使うのが無難なようです。(「自分の手番で3回連続王手をした」など)

ほっとさん「まさかラスト3手で条件を満たすとは。ヒントに頼ってやっと解けた。」

■4手目の後手の合い駒を5手目に取らずに7手目にタイミングをずらすとしても、では5手目は?が悩みの種。

山下誠さん「最後の3手が7・8・9筋とは全くの想定外でした。」

■5手目が王手にならないように4手目の合い駒を銀にして、▲76歩、△24歩、▲33角成、△42銀、▲32馬、△62玉、▲41馬、△72金、▲51金の次に▲52馬を指すと手数オーバー。

諏訪冬葉さん「3手目が3筋だから4手目を4筋にして・・・と思ったら5手目の有効そうな手がなかった。中間ヒントを見て9手目9筋にたどり着く。(2手目24歩で別解があったら驚く)」

■あったら担当も驚きます。それを余詰と言う(笑)

飯山修さん「33角成を3連続に含めて完全にはまった。789でひょっとしたらと考えたらあっさり。59-1は重要な手筋。」

■先行作が94問題だと思い出し難いかも。会話だと覚えているけど....

RINTAROさん「端の手で詰むヒントで、詰上りが見えました。」

■1筋も端の手ですが、9手目9筋がバレバレでしたか。

はなさかしろうさん「3連続が何手目なのかが絞れず首をひねっていましたがヒントで氷解。この手順でしたか~!」

■メインの条件に見えるので何手目からの3連続なのかを探ると論理的には無理があるかも。たまたま不要な条件「不成なし」が残っていたので、駒成で王手を掛けることができる筋とそれが何手目なのかを追うのが良かったみたいです。

テイエムガンバさん「手筋は古典ですが、2~4手目で△24歩▲33角成△42合を先に読んでしまい、罠にはまりました。」

■▲16歩、△24歩、▲36歩は即除外しても△24歩、▲33角成、△42合は読んでしまいますね。

桝彰介さん「2手目の最悪手と本将棋では言われている手が、この問題では条件に上手くはまりました。」

■棋譜の記述間違いがありましたがそれが誤答の原因ではなく、王手回数条件がクリアできていませんでした。

原岡望さん「76歩 24歩 33角成 42金 22馬 52金ヨリ 42角 反則でダメ」

■続けて△41玉、▲31馬での詰みですが、▲42角が王手ななるので条件をクリアできない順でした。


正解:10名

  ミニベロさん  NAOさん  チャンプさん  ほっとさん
  山下誠さん  諏訪冬葉さん  飯山修さん  RINTAROさん
  はなさかしろうさん  テイエムガンバさん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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