推理将棋第153回解答(1)
[2022年9月23日最終更新]
推理将棋第153回出題の153-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
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推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第153回解説 担当 Pontamon
推理将棋第153回は12名の方々から解答をいただきました。解答、ありがとうございます。
1ヵ月間違いで8月に出題してしまった9手特集でしたが、担当の予想とは違って難度は高かったようです。
また、中級では将棋用語の「手番」を間違った使い方をしていました。幸い解図に支障は無かったようなのでホッとしています。
153-1 初級 けいたん 作 2筋と6筋に角を打つ手あり 9手
「9手で詰みか」
「2筋と6筋に角を打つ手があったな」
「成る手はないね」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 9手で詰み
- 2筋と6筋に角を打つ手あり
- 成る手なし
出題のことば(担当 Pontamon)
「成る手なし」の条件ですが、「不成の手」はあるのでしょうか?
作者ヒント
後手にも角を打つ手あり(けいたん)
締め切り前ヒント
後手の6筋の角で飛の横利きを止め、先手の2筋の角で詰まします。
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推理将棋153-1 解答 ▲76歩、△34歩、▲22角不成、△42玉、▲31角不成、△同玉、 (条件) |
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手数が多い先手でも9手では2回の駒打ちは無理なので、角打ちは先手と後手で1回ずつのはずです。となると、先後が効率的に角を持ち駒にする手順が有望でしょう。参考1図では、3手目の▲22角不成で先手が角を持ち駒にして、後手は4手目の△22同飛で角を取っています。とどめの頭金にするために金取りに角を打つ▲52角がピッタリで、後手は飛の横利きと52地点への金の利きを外す協力手の△32金を指せば、61の金を▲61角不成で取ってからの▲52金の9手で詰ますことができました。
無事、解けたと思ったのですが、問題文をよく見ると、角打ちは2筋と6筋でした。老眼が進むと眼が疲れている夕方以降は5と6、3と8の見間違えをしてしまいます。(笑)
参考1図:▲76歩、△34歩 、▲22角不成、△同飛、▲52角、△24角、▲61角不成、△32金、▲52金 まで9手
参考1図では初期配置の金を角を打って取りに行ったため5筋へ角を打つことになりました。2筋の角打ちか6筋の角打ちで後手の金を取るには後手の金に移動してもらう必要があります。そこで、参考2図では3手目に22で取った角を5手目に打つのではなく、5手目に▲31角不成として後手に△31同金で角を取ってもらうようにして、2筋への角打ちの▲22角の次に31の金を取って▲42金の頭金で後手玉を詰ましてみました。しかし、この手順では手数オーバーの11手になってしまうので失敗でした。
参考2図:▲76歩、△34歩、▲22角不成、△14歩、▲31角不成、△同金、▲22角、△41玉、▲31角不成、△62角、▲42金 まで11手
先手の手の内訳の詳細を検討してみます。
先手の角は取られてしまうので、先手は2枚の駒を取ってそれら2枚の駒を打つだけで先手の手数の5手(初手▲76歩を含め)を使い果たしてしまいます。角打ちの条件もあるので3手目に後手の角を取る手は必須で、先手の残り3手では角打ち、駒取り、その駒の打つ手になります。参考1図では、5手目に角を打って、7手目に2枚目の駒取りをして最終手にその駒を打って9手でしたが、参考2図では、3手目に続いて5手目も駒取りで、7手目に駒打ちをして9手目は3回目の駒取りになっていたため、最終手での駒打ちが11手目になっていました。参考2図では駒取りが3回だったのが手数オーバーの原因だったことが分かります。では手数を縮めるには、参考1図のように5手目で打った角で7手目に他の駒を取り、その駒を9手目に打って詰ますパターン(参考1図のパターン)と、5手目に角を打たずに22の角で他の駒を取って、残りの2手で持ち駒の角と5手目に取った駒の2枚の持ち駒を連続打ちするパターンのどちらかになります。
参考1図では角を打つ筋を間違えていましたが、5手目に角を打つパターンだと5手目の時点で▲62角は王手になり、6手目は王手の応手で7手目に▲71角不成で銀を取ることになります。4手目に△54歩を指していたとしても9手目の▲53銀では51の退路がありますし、後手の2筋への角打ちができていません。
先手の5手目の角打ちが2筋の場合は、歩以外の駒を取るためには▲24角での王手に対する42地点の合駒を7手目に取っての再王手か△33桂や4手目△22同銀からの△33銀の合駒を取っての再王手のパターンか▲26角と打って△54歩の協力手の後の▲71角不成で銀を取ることになります。これら5手目に角を打つパターンで9手で詰めることができる手順は▲76歩、△34歩、▲22角不成、△54歩、▲24角、△42銀、▲同角、△52玉、▲53銀の手順になるので、後手の6筋の角打ちが実現できません。(角打ちのもととなる角取りもできません)
となると、5手目は22の角で角以外の駒を取るパターンになりますが、駒成なしのために取れる駒は香、桂、銀のいずれかになります。香を取った場合、後手はこの11の角を取るのに手数が掛かるので角打ちの手が回って来ません。4手目△33桂で5手目に▲33同角不成で桂を取るケースでも王手を掛けられている33の角を後手が取りに行くには手数がかかります。つまり、5手目に角を打たずに22の角で駒を取るなら参考2図同様に31の銀しか無さそうです。参考2図ではこの後の角打ちから金を取りに行ったのが失敗の原因でしたので、5手目を指した時点で先手が持っている角と銀を連続で打って詰ます形を考えることになります。
先手が角を打つのは2筋か6筋ですが、6筋の場合は銀との連携で後手玉を詰めるなら▲62角に▲53銀の形ですが、そのためには△54歩と△52玉が必要です。後手の2手目の△34歩は決まっていますが、後手の残り3手で△54歩と△52玉を指した場合、31にいる角を取って2筋へ打つ暇がありません。先手の角打ちが6筋でないなら2筋への角打ちになりますが、持ち駒の銀との連携を考える必要があります。31の先手の角を後手が△31金で取ったあとの7手目に▲24角、△31玉に▲42銀と銀を打って王手しても、銀なので△32玉や△52玉と逃げることも可能ですし、飛の横利きや31の金が残っているので、銀を同の手で取られてしまい詰ませることができません。
▲24角ではなく▲22角と打つ手順だと参考2図のようになり失敗が見えています。となると持ち駒の角と銀を打つ順番が違っているのでしょう。つまり、9手目は7手目に打った銀の利きがある地点で2筋か6筋へ角を打つ手で後手玉を詰めることになります。先後が換わりますが△88角と打って詰ます手順があるが思い出されます。先手の場合は▲22角になり、その角を支えるのは33の駒ですので、本問では▲33銀になります。▲22角で詰むのであれば、後手玉は31に居ることになり、5手目に31の銀を取った先手角を玉で取る流れになるはずです。初手から、▲76歩、△34歩、▲22角不成、△42玉と指して5手目の▲31角不成を6手目に△同玉で取ります。7手目の▲33銀の次の手は後手が角を6筋に打つことになりますが、最終手の▲22角を有効打にするには飛の利きを遮る必要があるので8手目は△62角になり、9手目の▲22角で詰みとなりました。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
ミニベロさん「なぜか、丸一日解けませんでした。条件が旨いのかな。」
■33の金気(金、銀、成駒)と▲22角の詰み形は第57回の練習問題で出てきていたくらいなので珍しい形でした。
NAOさん「後手からの角の取り方で悩む。なるほど33銀の筋が62角で限定できるのか。」
■△32銀が居なく、▲33銀-▲22角は9手詰では新型の詰み形だったようです。
チャンプさん「初級にしては難しい気がするのは解く力が衰えてるからですかね?(笑)6筋の角に意味があることで作品としての価値が高まり好作になってると思います。」
■9手詰が3つになった喜びで難度設定に失敗したようです。担当の直感が鈍ってます。
ほっとさん「ラスト2手で条件を満たす。とは言え角を打つにはまず取る必要があり、それほど意外ではないかも。」
■角を取る手が2手、角を打つ手が2手。▲76歩と△34歩があるとすれば残り3手なので非常に忙しそう。
山下誠さん「2筋に角を打って詰めると考えて、やっと解けました。」
■先後反対での▲68銀、△77角不成、▲79玉、△88角打の形を思い出すと▲33銀の支えに気付き難い。
諏訪冬葉さん「最終ヒントから角を打つ場所が予想ついたのであとはどこで角を取らせるか。」
■後手の角取りを急ぐと失敗します。予想外の玉で角を取る△31同玉でした。
飯山修さん「後手角は7筋から3筋のどれでもいいけど6筋というのが先手の手の紛れがあるということか」
■はい、2筋と7筋の条件だと、▲76歩、△34歩 、▲22角不成、△同飛、▲72角、△24角、▲61角不成、△32金、▲52金の先手7筋の余詰が出て来ます。同様に、2筋と5筋でも。
RINTAROさん「ヒントなしで解いてみたかったです。」
■締め切り前ヒントが甘過ぎたことはないと思うけど。
はなさかしろうさん「巧みな後手のアシストがすっきり綺麗に実現されています。」
■すぐに22の角を取らないタイミングずらしと飛の横利きを遮る△62角。
テイエムガンバさん「2筋と6筋に角を打つ手あり」と「成る手なし」の2条件から1~3手目の▲76歩△34歩▲22角不成と5手目の▲31角不成と6手目で角を取る手、8手目の△62角を早々確定させるも、生角と銀で詰める方法がなかなか思いつかず。」
■初の詰み形を見出すことができるかにかかっていました。
桝彰介さん「後手が角を6二に打つのだろうと思いましたが、先手が2筋に角を打つとして、どうやってもう一枚詰ます駒を入手するかが分かりませんでした。」
■互いに相手の角を取らないといけない条件なので、4手目△22同銀や△22同飛が見えてしまいます。同の駒が22に居ると5手目の▲22角を打てないので相棒が居なくて困ってしまいます。
原岡望さん「76歩 34歩 22角生 24歩 23角 以下ダメ」
■以下、△22銀、▲41角不成、△62角の次に▲52金の頭金で詰ましたいところ、協力手△62金が間に合いませんね。この順は未検討でした。
正解:10名
ミニベロさん NAOさん チャンプさん ほっとさん
山下誠さん 諏訪冬葉さん 飯山修さん RINTAROさん
はなさかしろうさん テイエムガンバさん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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