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推理将棋第154回解答(2)

[2022年10月23日最終更新]
推理将棋第154回出題の154-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第154回出題  推理将棋第154回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


154-2 中級  Pontamon 作  大駒乱舞         10手

「2017年7月の対局の途中図が出て来たよ」
「どれどれ、角で飛を取れる局面だね。もちろん飛を取ったんだろ?」
「それが、棋譜によると角の手だったけど飛は取らなかったよ」
「どんな将棋だったの?」
「着手があったのは4つの筋で、それらの筋への飛移動の手は、2,3,4,5マス移動だった10手詰だよ」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 10手で詰んだ
  • 角で飛を取れる局面で飛を取らない角の手があった
  • 着手あった4つの筋への飛移動の手は2~5マス移動だった

出題のことば(担当 Pontamon)

 1区間1$の路線の4降車駅での支払額は、2,3,4,5$とは違い、将棋の要素あり。

作者ヒント

 飛角合わせて8手(Pontamon)

締め切り前ヒント

 飛の手は5手。後手に飛の2マス移動と角で飛を取る手があります。


推理将棋154-2 解答

78飛、△34歩、▲38飛、△77角不成、▲68飛、△同角不成、
▲58玉、△55飛、▲77角、△57飛成 まで10手

(条件)

・10手で詰んだ
・角で飛を取れる局面で飛を取らない角の手があった(9手目▲77角)
・着手あった4つの筋へのは飛移動の手は2~5マス移動だった(初手▲78飛(5マス)、3手目▲38飛(4マス)、5手目▲68飛(3マス)、10手目△57飛成(2マス))
Suiri1542

2マス移動から5マス移動までの飛移動が少なくとも4手あります。2~5マス移動なら4手だけだと思われるかもしれませんが、着手があった4つの筋への飛の手の移動マス数が2~5マスであれば何回あっても良いので「少なくとも」と書いたのです。条件が「2~5マス移動の飛の手が【あった】」の場合は、2~4マス移動の4手以外に飛の6マス移動や1マス移動があっても良いことになります。本問では「だった」なので2~5マス移動以外の飛移動は指せません。

Suiri1542a後手の飛が2段目を左右に移動していては先手玉を詰めることはできないので、飛移動4回は先手の待ち手だと思われます。先手の飛が8段目を左右に行き来していれば、後手の角で攻めている時に飛取りを掛けることもできそうです。気を付けなければいけないのは、先手の着手5回のうちの4回を飛を8段目で動かす待ち手になるので先手に残っている手数は1手しかありません。居玉のままだと両側の金が利いているので詰めるには吊るし桂でしょうか?先手に残っている1手で▲77桂を指して桂取りの協力をしたとしても後手の手は△34歩、△77角不成、▲68飛、△66角不成の手が飛を取らずに角の手を指す条件をクリアできれば良い、▲77桂、△77同角成で桂を入手しても馬を57地点へ移動する暇がありません。となると、吊るし桂ではなく他の詰み形である、玉の横の金を取って詰めることができる配置を考えることになりそうです。参考1図は、49の金を取って、先手の残り1手で▲68玉へ移動した玉への頭金の△67金で詰めた手順になります。6手目に68の飛を取れる状態でしたが飛を取らないで指した手は△67馬でした。飛を取れる状態だった駒は角ではなく馬でしたので条件をクリアできませんでした。

参考1図:▲78飛、△34歩、▲38飛、△77角成、▲68飛、△67馬、▲48飛、△49馬、▲68玉、△67金 まで10手

Suiri1542b参考1図では先手の飛だけで2~5マス移動を実現しましたが、先後で飛移動を役割分担することは可能でしょうか?先手の飛移動が3回なら、先手はあと2手指すことができるので、▲48玉か▲68玉と上がって、退路になる59地点を金が寄って埋めれば、△47歩成か△67歩成で詰める形ができそうです。確かに▲78飛、△44歩、▲58飛、△45歩、▲28飛、△46歩、▲48玉、△42飛、▲59金左、△47歩成の手順で詰めることはできるのですが、角で飛を取れる局面が現れないので失敗になります。そこで次は飛移動の殆どを後手が担当する手順を考えたのが参考2図のはてるま手筋を使った手順です。飛の2マス移動が4手目の△32飛と10手目の△39飛成の2回現れますが、着手のあった4つの筋で2~5マス移動の飛の手が1回ずつとはなっていないので2マス移動2回は条件をクリアしています。しかし、7手目の▲55角不成とした次の8手目に飛が37に来たので9手目は角で飛を取れる状態だったのに角の手を指さず▲58金右としたので条件をクリアできていませんでした。

参考2図:▲76歩、△52飛、▲68飛、△32飛、▲33角不成、△52玉、▲55角不成、△37飛不成、▲58金右、△39飛成 まで10手

参考2図では後手の飛の手によって先手角で飛を取れる状態にしてくれたのに先手は角の手を指さずに失敗でした。参考1図では飛をとることができる配置になって、飛を取ることができる駒の手を指したのですが、それは角ではなく馬だったので失敗になりました。参考1図の序では、その後の手の関係で△77角成とする必要がありましたが、その手を△77角不成とすれば、5手目の▲68飛によって、6手目は角で飛を取れる状況を作ることができます、6手目では68の飛を取らずに77の角を動かす手を考えれば良いのかもしれません。5手目までに飛移動は5マス移動、4マス移動、3マス移動の3手が指されているので飛移動の残りは2マス移動なので、先手の飛だと参考1図のように次は2マス移動の▲48飛か▲88飛だけど、▲88飛にするには6手目の角の手を△88角不成で先手の角を取ってもらうことになるけど、7手目に▲88同飛で後手の角を取ってしまうと後手は8手目に角を打てるけどその角1枚で次の10手目で先手玉を詰ますことができません。かと言って▲48飛では参考1図の手順しか詰みにはならないので6手目の変化が必要なはず。ここまでの手は初手から、▲76歩、△34歩、▲38飛、△77角不成、▲68飛。角で飛を取れる局面だけど「角で飛を取らない角の手があった」の条件があるので68の飛は取れないと思い込んでいたのはミスディレクションでした。角で飛を取れる局面がもう1回あれば、その時に「飛を取らない角の手」を指しても良いと気付きました。と言っても後手の飛は82に居る状態なので88に居る角で飛を取れる状態にするには△22飛の6マス移動の飛の手が必要なので条件違反になります。68に居る先手の飛を取って、88の角が利いている地点へ飛を打って、飛を取らない角の手を指したあとに打った飛を2マス移動させれば全ての条件をクリアしたことになります。

6手目はとりあえず68の飛を取る手の△68同角不成ですが、この手は王手なので7手目は▲58玉か▲48玉を指すことになります。予定では8手目に飛を打って10手目の2マス移動の飛の手で先手玉を詰める必要があります。その飛を支えることができそうなのは68地点に居る角しかありません。68地点の後手の角が利いている地点へ2マス移動で飛を動かすのなら、8手目は△55飛になるので7手目の玉移動の手は▲58玉で10手目の△57飛成で詰めることになります。8手目に55地点へ打った飛ですが、うまい具合に88の先手角の利きがある地点になっているので9手目は88の角の手だけど55の飛を取らない手を指す必要があります。88の角が行ける地点は77か66になりますが、▲66角だと△57飛成を▲同角で取ることができてしまうので必然的に9手目は▲77角です。6手目以降を整理すると、△68同角不成、▲58玉、△55飛、▲77角、△57飛成までの詰みとなりました。

あと書き
最後の条件文の「・着手あった4つの筋への飛移動の手は2~5マス移動だった」では句点が無いため誤解がありました。また、終着の意味を持つ格助詞の「へ」と「飛移動の手」との絡みで「~への飛移動」つまり「飛の筋移動」と解釈されても仕方ない状況でした。
「飛を打つ手」と分離するための「飛移動の手」を筋移動と誤解されないためには下記のように条件文を2つに分割すべきでした。そうすれば、飛移動として横移動も縦移動も問題なく含まれるはずでした。
・着手があったのは4つの筋で、それらの筋への飛の手があった
・飛移動の手は、2、3、4、5マス移動だった

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん「これは傑作、そして難問。6手目同角不成がとても指し難い。
受方の飛が3回動く9手詰を作ったことがあり、初見その系統かと思ったが馬の手を消されてダメ。次に、4回の飛移動の一部を攻方に振り分け、受方角に取りを掛けさせる順。これも82飛では1手で22に移動できない。ならば攻めに使えるよう受け方の角の効きに打てば・・・が解図のプロセス。丁寧すぎる152-3の補足説明(全部当たり前でした)にも納得。飛移動は限定されているが、飛着手の回数は不問だ。」

■拙作の「80-3 前後反対の鏡」では飛の手は後手だけの5回で1~5マス移動が一度ずつでしたが本問では先後の飛の手や飛を打つ手が入っているので、飛移動の手だけに条件を絞りました。2017年の投稿時の会話を変更し、解き易いような状況設定として途中図を使うことにしたので角で飛を取れる局面は複数回あることに気付き易いと思ったのですが、解答の集まりは悪かったです。(誤解しやすい条件文だったこともあったようでしたが)

RINTAROさん「「筋への移動」という表現が「他の筋からの移動」と解釈していました。77飛66歩57飛成だと条件を満たさない。諦めかけたとき、同一筋移動も可なのではと思い本手順に辿り着きました。」

■誤解を生む条件文で申し訳ありませんでした。

ミニベロさん「全く分からん! やむを得ず縦2マスを使ったが、自信なし。9手目の角が限定されているので、もしかしたら正解かも。」

■飛の移動は横移動と縦移動があるのは問題ないと思いますが、同じ筋内、つまり縦移動に「へ」は違和感があったのでしょうね。

チャンプさん「これを中級と言ってしまうと上級のハードルが高くなりすぎるんじゃないですかね?
通常、解く際は条件から逆読みなども含めてある程度の手順を推測して行くものですが、この問題の場合、条件が異様な上に考えれば考えれるほど手数の10手というのが大きな壁になりますね。
これは余談ですが手順としては随分前に私が作ったオウム返し(その1)に似た感じではあります。
あの問題は一風変わった条件設定に慣れてもらうための客寄せ問題でしたが、この問題は条件を複雑化することによって玄人向きの作品になってるのかなと思ったりしました。
これは最終ヒント次第だとは思いますが、解けない人が多数いても驚きませんね。」

■オウム返し(その1)は「52-1 オウム返し」ですね。おもちゃ箱での同様の詰み上がりの作品は「12-1 逃げたらアカン!」「70-3 4段目の角は何処?」「95-1 七の段の九九(7×8=56)」「104-2 香龍会300回記念対局」「136-2 高飛車くん(その2)」などがあります。「条件が違えば別作品」の典型的な形と言えるでしょう。

諏訪冬葉さん「飛車を取らないのは後手だと思い込んでました。」

■6手目の飛取りが指し難い条件になってました。

飯山修さん「10手中大駒8手の過去問には30-2と52-1がありどちらも有力そうだが30-2は33角同飛が1マスの為ダメ。かといって52-1は 68飛同角が飛車を取るのでダメと決めつけヒント待ち。直前ヒントは何と飛車を取るとあり、ようやく88角が飛車をとらない手順探しと判明。成程9手目が77角に限定されるのか。」

■大駒乱舞のタイトルなのに大駒の手数が示されていなくて、作者ヒントで明かされました。

ほっとさん「難しかった。しかし、5筋の縦移動を「それらの筋への飛移動の手」と解釈するのはかなり無理筋。」

■「それらの筋への飛の手」と「飛の手は○○」に分けて記述すべきでした。

原岡望さん「76歩 32飛 33角 同飛 68飛 37飛 58玉 66角 46歩 57飛成 で詰んでいますが 条件を満たしていません。
詰形が浮かばず残念です。」

■詰み上がりは親戚の形ですが、2マス移動がなくて1マス移動になっていますね。(4マス移動2回はOK)

桝彰介さん「どこから考えたら良いかの手がかりがつかめませんでした。」

■少なくとも4回の飛移動があるので、はてるま手筋が思い浮かぶけど飛の着手は1つの筋だけになるので、飛移動の手には無駄手があるはず。その辺りからの推理になります。

はなさかしろうさん「玉方の待ち手3手、特に9手目の▲7七角を見つける問題でした。」

■この詰み形は極論を言えば玉方は玉を前へ進める1手だけであとは待ち手になる、詰まされるための究極の形です。手数が短いと玉方の協力手が必要になりますが16手詰だと初手▲58玉の他の7手が待ち手になります。


正解:9

  NAOさん  RINTAROさん  ミニベロさん  チャンプさん
  諏訪冬葉さん  さつきさん  飯山修さん  ほっとさん
  はなさかしろうさん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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