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推理将棋第154回解答(3)

[2022年10月25日最終更新]
推理将棋第154回出題の154-3の解答、第154回出題の当選者(はなさかしろうさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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154-3 上級  NAO 作  高飛車くん(その11)    10手

「今日も5段飛車を指してやったぜ」
「相変わらず高飛車な奴だな。成る手はなくて10手で詰みか。
 歩を突く手に対して直ぐ8筋への銀の手で応じる攻防があったね」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 10手で詰んだ
  • 5段目への飛の手を指した
  • 歩を突く手の直後、8筋への銀の手で応じた
  • 成る手はなかった

出題のことば(担当 Pontamon)

 高飛車くんシリーズの在庫最後の本問は最難問のようです。

作者ヒント

 銀は4手目(NAO)

締め切り前ヒント

 5段目への飛の手が最終手なので先手玉は中段に居ます。


推理将棋154-3 解答

▲68玉、△32飛、▲76歩、△82銀、▲33角不成、△同飛、
▲77玉、△74角、▲66玉、△35飛 まで10手

(条件)

・10手で詰んだ
・5段目への飛の手を指した(10手目△35飛)
・歩を突く手の直後、8筋への銀の手で応じた(3手目▲76歩-4手目△82銀)
・成る手はなかった(5手目▲33角不成)
Suiri1543

Suiri1543a8筋への銀の手ということなので、先手角が移動すれば▲88銀を指せます。成る手なしで詰める形はそう多くはないので、55の飛での合い利かずの形での詰みを目指したのが参考1図です。先手が▲88銀を指すには直前の後手の手は歩突きにしなければいけなくて、後手の飛が中段へ出て来れるような協力手を指す必要があります。後手の飛を中段へ出せるようにする鉄板手筋は3筋か4筋だけどうまくいきません。苦心した結果見つけたのが5筋から飛を中段へ出す手順です。飛が中段に出る手が5段目への手なので良さそうだったのですが手数オーバーの14手もかかってしまいました。

参考1図:▲76歩、△52飛、▲44角、△54歩、▲88銀、△55歩、▲同角、△同飛、▲58玉、△68角、▲48飛、△57角不成、▲59歩、△46角不成 まで14手

Suiri1543b先手の▲88銀ではないとなると、8筋の銀は後手、つまり初期配置の後手飛が世に出ていて△82銀の無駄手を指せる展開なのかもしれません。後手飛が3筋や4筋から5段目へ行けるのが6手目。先手の歩突きと△82銀を指せば、結局8手目に5段目に飛が居て、角を持ち駒にしている局面にはなります。参考2図の手順では持ち駒の角は使わず、飛の進路を邪魔してする33の角を△66角で移動させ、△35飛からの△55飛への詰み形を作ったのですが、△55飛で先手の5筋の歩を取ってしまったので先手の歩の持ち駒で▲57歩などの合駒をされて詰んでいませんでした、詰んでいたとしても12手なので手数オーバーなので失敗なのは変わりがありません。

参考2図:▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同飛、▲56歩、△82銀、▲68飛、△35飛、▲58玉、△66角、▲55歩、△同飛 まで12手

先手の▲88銀も後手の△82銀も失敗した訳ですが、何処をどのように改善したら良いのでしょうか?

普通に考えて解けないときには「両王手」や「空き王手」を疑ってみるというミニベロさんの講座の言葉を思い出しました。参考2図の手順では後手は角の持ち駒を持っていましたが何もしませんでした。高飛車の手が最終手であれば、先に角を打って玉の退路を塞ぎ、22の角の利きを塞いでいた33の飛を△35飛とする最終手での空き王手の形があるのかを考えるみます。△35飛での空き王手の詰みを目指してみるので、今回は詰み上がりの形を先に考えてみます。22の角で仕留めることになるので先手玉は中段の66地点なのは確定でしょう。△35飛によって66の玉は5段目へ上がることが出来ず、隣の76地点は▲76歩の先手の歩が居るので退路にはなりません。玉の退路として残っているのは玉の右隣の56地点だけです。後手は持ち駒の角を打って、この56地点を抑えれば良いのですが、△65角は最終手の△35飛の支えがあるので▲65玉で取られることはありませんが、この△65角が邪魔をして、折角飛の利きが通っていた75地点が退路として復活するので△65角はいけません。ならば、56地点に利く△45角ではどうかというと飛の利きが届かなくなってしまう地点が△65角よりも多くなるのでこれもいけません。残るは△74角です。ここなら飛の横利きを遮ることはありません。詰み上がりの形が決まったので初手から組み立ててみます。初手から、▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同飛、▲68玉、△74角、▲77玉の7手まで指してみましたが次の後手の8手目の手がありません。△82銀を指すには直前の先手の手は歩の手である必要があったからです。作ってみた詰み上がりの形では先手の歩突きは▲76歩だけでしたので△82銀は▲76歩の直後に指すことになります。しかし、今組み立ててみた手順では初手が▲76歩なので2手目に△82銀を指そうとしても82には飛が居るので指すことができません。先手の▲76歩は後手の飛が32へ動いてからでなければいけません。再度、初手から▲68玉、△32飛、▲76歩のように初手と3手目を入れ替えると4手目に△82銀を指せるようになりました。4手目から△82銀、▲33角不成、△同飛、▲77玉、△74角、▲66玉、△35飛で無事詰みとなりました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん(作者)「連作の最後は高飛車が決め手です。」

■過去の高飛車の手は途中に出て来た手でしたが、最後は高飛車の手が最終手でした。でもその飛車では王手を掛けていないので空き王手に気付かないとはまってしまいます。

RINTAROさん「まさかの中段玉。」

■高飛車の手とは言えないかもしれませんが、中段玉だと25飛までの手とか85や95へ飛を打ってからの55馬(角成)の手順しかないので本手順は非常に珍しいものとなっています。

ミニベロさん「最終ヒント待ち。銀の無駄手が絶妙で、初手玉を強要している。この詰め上がりは何作も作っているのだがなあ。」

■ミニベロさんと言えば、両王手や空き王手の作品が多い印象があります。

チャンプさん「8筋の銀の意味を履き違えると沼でしょうね。これを瞬時に無駄手と見極められるかどうか、ここが最大のポイントだとは思います。詰み形は推理将棋慣れをしてる方なら一目かも知れません。
それとこの高飛車くん問題はNAOさんにしては珍しくシリーズ物だったんですね。
とある条件を主軸にしていろんな筋を調べると割と簡単にシリーズ化できたりします。
作品未投稿の方などは手順からではなく、条件から創作してみると面白いと思いますよ。」

■どんな条件も結局は手順に関わると思いますが、自由に着手させない着手制限条件、たとえば筋マネ、全筋1回ずつ、全段1回ずつ、斜めにしか動かない、奇数筋着手のみなどの条件下で創作してみることを言われているのかも。都詰めもこの類かな。
他の作図の切っ掛け(狙い?)では、過去作には無い手(たとえば「と寄」とか「棋譜表記が一番長い手」、98同角成の手がある手順、86飛成まで)を実現させると新作が出来る場合もあります。あとは珍しい詰み上がりや綺麗な終了図(過去作があっても可能)に条件付けする手法などでしょうか。
募集している2023年の年賀詰だと、2023年や令和5年の数字に因んで、20手詰、23手詰、5筋だけの着手、23地点の着手が5回、王手が5回などの関連した数字を取り込んだ条件にしたり、ウサギの耳や目が赤いことから朱記されている成駒を利用した駒配置でウサギを表示するアイデアもありそう。(詰将棋なら可能かもしれないけど推理将棋ではかなり苦しいかも)
皆さんからの年賀推理作品の投稿をお持ちしています。

諏訪冬葉さん「中間ヒントで2手目に飛車を動かすことが分かったので、これを5段目に動かすには10手目しかないと結論。」

■6手目に取った角を8手目に打って玉の退路を塞いでの△35飛でした。

飯山修さん「成なしで飛車が活躍する作品は数が少なく33角同飛のパターンがほとんど。パラ88番を知っていれば本来到達は容易。ただ問題を見た時は8筋の銀がネックで結びつかなかった。作者ヒントで4手目82銀と知ってようやくこの筋と判明」

■詰パラ#88は、△74角の代わりに△12角と打ち、8筋銀の代わりに△24歩で角の利きを56地点へ通しての△35飛ですね。

ほっとさん「詰め上がりが見えればそれほど難しくない。ところで高飛車くんは何勝何敗でしょうか。」

■高飛車くんの8勝3敗で大きく勝ち越しています。勝率7割2分7厘の勝率は見事です。

原岡望さん「二枚角の威力 ヒント頼みです」

■これも二枚角と呼ぶのですね。担当のイメージとしては二枚銀と同様に横並びや縦並びの角(馬)配置で筋角と筋近い角が並んでいる形かなと。先日、過去作の詰みの形を端的に表すためにエクセル表に列を追加して記載したのですが、筋角と筋違い角が同じでも玉の左右に角がある形を区別するためにこちらは交差角と記載することにしました。角が同じ側にある場合は平行角?

桝彰介さん「さすが最難問だけあって手強かったです。」

■高飛車シリーズの最難問のクリアは難しかったようですね。チャレンジ、ありがとうございます。

はなさかしろうさん「角の打ち場所が一意に決まるのがいいですね。難問揃いの高飛車くんシリーズの中では手が狭くて割と解きやすかったです。」

■空き王手が思い浮かべば簡単。8筋銀の条件が無ければ代わりに△64歩を突いて、△86角のあとの△36飛までの両王手がありますが、高飛車条件との兼ね合いで△74角が必須になりました。浮いた余裕手を8筋銀の条件にすることで手順前後が解消されていますね。


正解:10

  NAOさん  RINTAROさん  ミニベロさん  チャンプさん
  諏訪冬葉さん  さつきさん  飯山修さん  ほっとさん
  原岡望さん  はなさかしろうさん


(総評)

NAOさん「定番の詰形でも条件次第で面白い謎解きに発展する可能性を改めて感じました。」

■過去作と同じ詰み上がりでも条件が違えば別作品なので後発作者にも道が開かれています。

RINTAROさん「2の解釈に疑義が残るものの、解答送ります。」

■条件に違和感があったようで申し訳ありませんでした。

ミニベロさん「中、上級は全然解けなかった。みんなスラスラ解けたの?」

■今回は中・上級が難しかったようで、解答の集まりが悪かったです。

諏訪冬葉さん「今回は2が一番苦戦しました(無解も覚悟しました)。
「上級でない14手」の在庫が私も1問あるのでそのうち送ります。」

■投稿をお待ちします。年賀推理も。

さつきさん「初めましてさつきと申します。以下の内容を私の推理将棋第154回解答とさせていただきます。」

■はじめまして、推理将棋担当のPontamonです。今後とも推理将棋をよろしくお願いします。
何故か▲33角の手だけ「生(不成)」の記入忘れがありましたが、今回は正解とさせていただきました。

飯山修さん「同居している孫が保育園でコロナに感染しその後一家6人全員陽性。私は19日に発熱し、解熱剤ですぐ熱は引いたが 1週間外出禁止。有り余る時間が出来たが体調が悪いと問題を解こうとする気にならない。やはり健康でないとダメですね」

■担当は3回目のワクチン接種時に39.5度の発熱。4回目接種が心配だったけど何もありませんでした。東京や神戸の孫も保育園や小学校から貰って来て一家全員が陽性。健康第一とわかっていても、テレワーク以来の閉じこもりの運動不足で足腰が...。

ほっとさん「気付いたら〆切間際。何とかセーフ。」

■締め切り4時間前は楽々セーフです。いつも解答ありがとうございます。

桝彰介さん「前回は1問誤答してしまいました。今回も何とか1問解けたところです。」

■153-2は王手回数の条件をクリアしていない手順の解答でした。正解でなくても他の条件を満たして詰みまでの手順を見つけられている点が素晴らしいです。


推理将棋第154回出題全解答者: 11名

  NAOさん  RINTAROさん  ミニベロさん  チャンプさん
  諏訪冬葉さん  さつきさん  飯山修さん  ほっとさん
  原岡望さん  桝彰介さん  はなさかしろうさん

当選: はなさかしろうさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください。

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