推理将棋第156回解答(1)
[2022年12月21日最終更新]
推理将棋第156回出題の156-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
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推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第156回解説 担当 Pontamon
推理将棋第156回は12名の方々から解答をいただきました。解答、ありがとうございます。
156-1 初級 けいたん 作 打と右が棋譜にある 9手
「9手で詰みか」
「打と右が棋譜にあったな」
「端の手が2回あったね」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 9手で詰み
- 打と右が棋譜にあり
- 端の手2回あり
余詰修正
会話と条件での「端の手」を「1筋の手」に修正。
出題のことば(担当 Pontamon)
打が付く駒種と右が付く駒種は予想がつくので、詰み形を考えるだけかな?
作者ヒント
同じ段に先手角が2枚ある局面あり(けいたん)
締め切り前ヒント
「打」はもちろん角の手で「右」は金ではなく同じ段に居る右の角を引いて成ります。
推理将棋156-1 解答 ▲76歩、△34歩、▲22角不成、△12香、▲11角打、△42玉、 ・9手で詰み ・打と右が棋譜にあり(5手目▲11角打、9手目▲22角右成) ・端の手2回あり(4手目△12香、5手目▲11角打 |
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「打」が付く棋譜で容易く実現できるのは「角打」。▲22角不成で取った角をこの22の角の利き筋へ打てばよいのです。一方、「右」が付く後手の手と言えば△52金右なので、この方針で詰めてみたのが参考1図の手順です。端の手が2回ある条件なので、角打の手は△14歩で空いた13地点への▲13角打が一石二鳥の手だったのですが、手数が11手なので失敗手順でした。
参考1図:▲76歩、△34歩、▲22角不成、△14歩、▲13角打、△52金右、▲77桂、△42玉、▲24角不成、△33桂、▲同角上成 まで11手
参考1図の最終手の▲33同角上成を見て気付いたのですが、22地点と24地点の同じ2筋に角が居たので33への着手は「上」か「引」になるけど、もし角の居る筋が異なれば棋譜は「右」や「左」になるはずです。つまり、角の手で「打」と「右」を実現すれば△52金右は不要になり、別の詰み形を作れるはずです。そこで、参考1図の5手目の手順の後、22の角を3筋へ移動して、最終手は右側の角の13の角を22で角成したのが参考2図です。手数は9手に収めることができました。しかし、最終手は▲22角右成のつもりでしたが、将棋ソフトの棋譜を見ると▲22角上成になるようなので棋譜に「右」がある手を指すことができず失敗でした。(将棋連盟の「棋譜の表記方法」を参照ください)
参考2図:▲76歩、△34歩、▲22角不成、△14歩、▲13角打、△42玉、▲31角不成、△32玉、▲22角右(上)成 まで9手
調べてみると「右」や「左」が付く条件は、着手地点から見て両方の駒が段の同じ側か同じ段で別の筋に居る場合に付加される記号でした。金の場合、△52金右はよく目にしますが、51の玉が居ない時に△51金右という棋譜もありました。同じ段なので「寄」とすると41の金なのか61の金なのか分からないので寄る手だけど棋譜では「右」や「左」になります。42地点と62地点に居る2枚の銀ですが、53地点へ行く時は当然「右」か「左」が付くのですが、51地点へ行く時も同様に「右」か「左」が付けることになります。斜め前へ駒を進める時や同じ段で寄る時に「右」や「左」が付くと思いがちですが、駒を引く場合にも「右」や「左」で動かす駒を区別します。
となれば、参考2図で失敗した13の角が22へ動くのではなく、31の角と11の角の配置で11の角が22へ動く時は「右」が付くはずです。初手から、▲76歩、△34歩、▲22角不成ですが、11へ角を打つため4手目からは△12香、▲11角打として、そこから後は参考2図の手順で▲31角不成、△32玉として、最終手は11の角が動く▲22角右成で詰みとなりました。
余詰手順
▲76歩、△34歩、▲22角不成、△52金右、▲98香、△42玉、▲99角打、△33桂、▲同角引成(上成) まで9手
最終手が右側にある角が33で成る手の棋譜は角右成ではなく角引成ですか、「右」の手として△52金右を指すことができました。粗検、大変申し訳ありませんでした。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
NAOさん「打は角。右は金と思わせて実は一路ずらしてからの角右成だった。」
■31地点へ角を一路ずらしす手のタイミングが限定されているのが妙。
諏訪冬葉さん(双方解)「99角打と13角打を考えたのに11角打ちが出てこなかった」
■99角打の余詰手順のご指摘、ありがとうございます。
ほっとさん(双方解)「余詰順の方がずっと面白いのが何とも。」
■端の手の2手とも先手が指す余詰手順は見えませんでした。
飯山修さん「打ちと右を角角と見るか角金と見るかで到達時間が変わる。端の手を2回指すためには角角が自然か」
■疑り深くなると、右の手は△52金右ではなく△51金右だと予想してはまってしまうことがあるかも。
ミニベロさん「成程、どちらも角でしたか。一瞬でも金を考えた時点でやられていますね。
この作者、すでに出尽くした感のある9手作品の隙間を狙うような条件付けがとても旨い。」
■担当の余詰チェックが原因で余詰作になってしまった感があります。
占魚亭さん「12香がナイスアシスト。」
■先手が1筋着手を2回指すことができないので△12香がアシストになりますが、なんと余詰手順の▲99角打では▲98香も先手の着手が可能でした。
中村丈志さん「詰将棋の癖で、駒を取る手が見えにくいです。」
■攻め方が駒を取ると使わないといけないからですかね。豊富な持ち駒を打ち尽くす詰将棋も難しそう。詰将棋をしない担当は持ち駒の数で手数の多さが見えてしまうからですが。
RINTAROさん(双方解)「手頃な好作です。」
■9手の2条件だと、易し過ぎ、初級には手頃ですね。
はなさかしろうさん(双方解)「11角打の方が第一感で、99角打はコメントが出るまで気づきませんでした。構えずに考えてみたくなる問題でした。」
■条件を見ると盤の右上辺りの手ばかりの予感がするので、▲99角打は思い浮かびませんでした。
桝彰介さん「4手目△1四歩、5手目▲1三角打の変化にはまりかけましたが、7手で3一角右成までで詰むのと角の並びが似ていると気づいて正解にたどり着きました。」
■短手数の手順は解図や作図の時の余詰検証など何かと参考になります。▲33角打から▲42角不成を指して▲31角右成での詰み手順がありますが、端の手は後手に余る1手しかできません。22と42の角配置ではなく、1段落として11と31の角だと端の手が2手になりますね
正解:12名
NAOさん 原岡望さん 諏訪冬葉さん ほっとさん
飯山修さん ミニベロさん テイエムガンバさん 占魚亭さん
中村丈志さん RINTAROさん はなさかしろうさん 桝彰介さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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コメント
棋譜表記はなかなか難しいですね。詰将棋を解く人も作る人も意外と苦手です。詰将棋パラダイスとかでも、厳密には×でも救済する場合があります。推理将棋は本当に微妙な違いが大違いになるので、国語力が非常に重要ですね。
投稿: けいたん | 2022.12.22 18:59