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推理将棋第158回解答(7)

[2023年2月28日最終更新]
推理将棋第158回出題の158-7の解答、第158回出題の当選者(中村丈志さん、ミニベロさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第158回出題  推理将棋第158回解答(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


158-7 上級 はなさかしろう 作  指し初めはうさぎのたまごで 61手

「あけましておめでとう! 今年は卯年だね」
「謹賀新年! 『おおきな森のどうぶつしょうぎ』だと桂がうさぎだね」
「うさぎといえばイースターで卵を運んでくるんだよね」
「誕生や再生のシンボルなんだね。今年こそ良い年になるといいな」
「ほんとにね。ゆっくりたっぷりやっていこうよ」
「うん。よし、61手でできたね。持駒は桂が1枚ずつだよ」
「「というわけで、本年もよろしくお願いします!!」」

61手で詰んだ手順を下記の情報をもとにして再現してください。一体何ができたのでしょうか。

(条件)

  • 61手で詰んだ
  • 詰上りの持駒は双方桂1枚ずつ
  • 7手目までの局面で1筋の1~7段目の全てに駒があった
  • 14手目までの局面の駒配置は55を中心とする点対称
  • 18手目の△同玉に対して飛を縦に動かした
  • 22手目は2度目の銀の手
  • 28手目の△39角生に対して2度目の▲57歩で応じた
  • 32、34、36手目はそれぞれ△13角生、△64歩、△88歩
  • 38手目の△同玉に対して▲42馬で応じた
  • 41~44手目は34、74、46、66の順に銀を打った
  • 46~49手目はいずれも右方向への桂跳ね
  • 52、54、56、58手目に82、72、31、21の順に歩を打った
  • 55、57、59手目はそれぞれ▲63と、▲78金、▲48玉
  • 60手目の△65銀に対して▲45銀引で応じた

出題のことば(担当 Pontamon)

 はて、うさぎは哺乳類なのに「うさぎのたまご」とは如何に?イースターエッグのことでした。

作者ヒント

 何かがあぶり出されます(はなさかしろう)

締め切り前ヒント

 23手目に73で角成した馬が5回の移動で42地点へ行くまでに歩3枚を取る。後手の13の角は57地点で3回歩を取って13へ戻る。


推理将棋158-7 解答 担当 Pontamon

▲16歩、△14歩、▲15歩、△13角、▲16香、△12飛、
17桂、△94歩、▲96歩、△95歩、▲97角、△94香、
▲98飛、△93桂、▲53角不成、△57角不成、▲52歩、△同玉
97飛、△62銀、▲同角不成、△42銀、▲73角成、△79角不成、
57歩、△同角不成、▲83馬、△39角不成、▲57歩、△同角不成、
▲56馬、△13角不成、▲23馬、△64歩、▲33馬、△88歩
▲53歩、△同玉、▲42馬、△44玉、▲34銀、△74銀
46銀、△66銀、▲76歩、△33桂、▲77桂、△45桂
65桂、△89歩成、▲54歩、△82歩、▲53歩成、△72歩
63と、△31歩、▲78金、△21歩、▲48玉、△65銀
45銀引 まで61手

(条件)
・61手で詰んだ
・詰上りの持駒は双方桂1枚ずつ(60手目△65銀、61手目▲45銀引)
・7手目までの局面で1筋の1~7段目の全てに駒があった(初手から▲16歩、△14歩、▲15歩、△13角、▲16香、△12飛、▲17桂)
・14手目までの局面の駒配置は55を中心とする点対称(8手目から△94歩、▲96歩、△95歩、▲97角、△94香、▲98飛、△93桂)
・18手目の△同玉に対して飛を縦に動かした(18手目△52同玉、19手目▲97飛)
・22手目は2度目の銀の手(20手目△62銀、22手目△42銀)
・28手目の△39角生に対して2度目の▲57歩で応じた(28手目△39角不成、25手目▲57歩-29手目▲57歩)
・32、34、36手目はそれぞれ△13角生、△64歩、△88歩(32手目△13角生、34手目△64歩、36手目△88歩)
・38手目の△同玉に対して▲42馬で応じた(38手目△53同玉、39手目▲42馬)
・41~44手目は34、74、46、66の順に銀を打った(41手目▲34銀、42手目△74銀、43手目▲46銀、44手目△66銀)
・46~49手目はいずれも右方向への桂跳ね(46手目△33桂、47手目▲77桂、48手目△45桂、49手目▲65桂)
・52、54、56、58手目に82、72、31、21の順に歩を打った(52手目△82歩、54手目△72歩、56手目△31歩、58手目△21歩)
・55、57、59手目はそれぞれ▲63と、▲78金、▲48玉(55手目▲63と、57手目▲78金、59手目▲48玉)
・60手目の△65銀に対して▲45銀引で応じた(60手目△65銀、61手目▲45銀引)
Suiri1587

本問は推理将棋では珍しい「あぶり出し」です。詰将棋では初形と詰み上がりに意味がある図が出現するものは立体曲詰、途中にも意味のある図が現れるものを3段曲詰と呼ぶとのことですが、推理将棋の初形は平手の初期配置が基本ですので、本問の「卵」の途中図と詰み上がりの「卯」が出現する場合には2段曲詰とでも言うべきでしょうか。

手数は61手と長いですが、あぶり出しで図形を作らないといけないので、かなり多くの手が明かされています。

28手目△39角生、29手目は2度目の▲57歩
32手目△13角生、34手目△64歩、36手目△88歩
38手目△同玉、39手目▲42馬
41手目▲34銀、42手目△74銀、43手目▲46銀、44手目△66銀の銀打ち
52手目△82歩、54手目△72歩、56手目△31歩、58手目△21歩の歩打ち
55手目▲63と、57手目▲78金、59手目▲48玉
60手目△65銀、61手目▲45銀引
の20手が明示されています。明示されている手が多いとは言え全体の3分の1です。残り3分の2の手は推理が必要です。

28手目の△39角生と32手目の△13角生は「生(不成)」が付いているので盤上の角の手なので同じ後手の角だとすれば、30手目は△57角生のはずです。29手目は2度目の▲57歩とのことなので30手目は△57角生ではなく△同角生でしょう。また、2度目の▲57歩ということは初期配置の57の歩が取られて(57地点とは限らないが)、27手目以前に▲57歩があったことになります、その歩が後手に取られた後の29手目に2度目の▲57歩なのであれば、後手角の動きからすると▲57歩(25手目以前)、△57(同)角生(26手目以前)、△39角生(28手目)、▲57歩(29手目)、△同角生(30手目)、△13角生(32手目)の順で着手されたはずです。

38手目の△同玉の棋譜では着手地点が不明ですが、もちろん37手目と同じ地点の着手になります。

34手目の△64歩は歩突きの手かもしれませんが36手目の△88歩は明らかに歩を打つ手なので、後手の8筋の歩が切れている必要があります。

41手目からの4手は全て銀を打つ手なので40手までに先手も後手も銀2枚を取っておく必要があります。

次の条件の歩打ちの4手も同様に後手は事前に歩を4枚入手しておくことと2筋、3筋、7筋、8筋の後手の歩が切れている必要があります。

7手目までの着手を考えてみると、先手は4手掛けて15、16、17地点へ先手駒を配置して、後手は3手で12地点と14地点を自駒で埋めることになりそうです。初手から▲16歩、△14歩、▲15歩、△13角、▲16香、△12飛の手順になります。△14歩のあと13地点△13桂とすると12地点を埋めるのは△12香しかなく、空いた11地点を△11角で埋めると4て必要になるので、4手目△13角、6手目△12飛で決定です。この7手を先後逆にして8手目から14手目を指すと55地点で点対称となる配置が14手で実現できます。初手から、▲16歩、△14歩、▲15歩、△13角、▲16香、△12飛、▲17桂、△94歩、▲96歩、△95歩、▲97角、△94香、▲98飛、△93桂。この14手までの着手で先手も後手も右の桂は端筋に配置されてしまうので、46~49手目の右方向への桂跳ねの手は初期配置での左桂になるので、46手目△33桂、47手目▲77桂、48手目△45桂、49手目▲65桂となり、これら45と65の桂は60手目△65銀と61手目▲45銀引の手で取られて終局図での持ち駒の桂になります。また、後手の角は△13角に配置されているので、前述手順の△57(同)角生、△39角生、△57角生、△13角生を指すことができて、歩2枚と銀1枚を取ることができます。しかし、後手は銀打ちを2回する必要があるし、歩打ちも4回する必要があり、歩や銀の駒取りが足りていません。13の角が57、39、57、13の順に動く手順を考えていましたが、△57角生で初期配置の歩を取り、△79角生で銀を取った次の手が1回目の▲57歩であれば△同角生から△39角生で2枚目の銀を取り、2回目の▲57歩に△同角生と指してから△13角生とする手順が可能でした。この順だと銀を2枚取れますが、歩は3枚止まりなのでもう1枚歩を取る必要があります。52手目から始まる4連続の歩打ちの前に少なくとももう1枚の歩を取る必要があります。38手目の△同玉の条件があったので、先手が玉頭に歩を叩いて△同玉で取らせる手順が目に浮かびます。

Suiri1587a_20230228112301一方、▲97角に配置された先手の角は、52手目からの後手の4連続歩打ちができるように、2筋、3筋、7筋、8筋の後手の歩を取っておく必要があります。97地点からだと▲53角生で歩を取り、▲62角生で銀を取り、▲73角成で歩を取り、▲83馬でも歩を取り、▲56馬を経由して▲23馬と▲33馬で歩を取ってから39手目の▲42馬とすれば一連の手順で歩を5枚と銀2枚を取ることができますし、後手の歩打ちのための2筋、3筋、7筋、8筋の後手の歩の除去もできます。歩取りが1枚多いようですが、玉頭に歩を叩く手に使うと歩取りの枚数の計算が合います。

△同玉の手が18手目なので、15手目からの手順を▲53角不成、△何か、▲52歩、△同玉と進めれば同玉の手が丁度18手目になるので、次の19手目の飛が縦に動く手の▲97飛を指します。この▲97飛を指せるように15手目に▲53角生で97地点を空けています。16手目は17手目に▲52歩の歩打ちができるように△57角生です。20手目から△62銀、▲同角生、△42銀が2回目の銀の手。後手の角も隙間を見ながら手を進める必要があるので、23手目からは▲73角成、△79角生、▲57歩、△同角生、▲83馬、△39角生、▲57歩と指せば28手目の△39角生と29手目の2回目の▲57歩がぴったし。30手目の△57同角生に31手目は後手の馬を右方向へ再度チェンジするための▲56馬。32手目から△13角生、▲23馬、△64歩、▲33馬、△88歩と条件をクリアしつつ指し進めると、後手は△88歩で持ち駒の歩を1枚使ってしまったので歩1枚を補充する必要が出てきました。先手は▲33馬までで後手の歩を払うべき筋の歩を取ったので持ち駒に歩があります。そこで37手目からは▲53歩、△同玉、▲42馬、△44玉の手順で歩を後手に渡して、2枚目の銀を入手し、後手玉を44地点へ移動させます。最終手は▲45銀引ですので玉は44で詰むことになります。42の馬によって33と53の玉の退路を抑えています。41手目からの4手連続銀打ち▲34銀、△74銀、▲46銀、△66銀の結果、最終手で王手をかける▲45銀引の銀腹は46の銀でカバーしているので詰みになります。

45手目は46手目からの4手連続の桂跳ねができるように77地点を空ける▲76歩、続けて、△33桂、▲77桂、△45桂、▲65桂で50手目は52手目指定の△82歩を指せるように88の歩を成る△89歩成です。51手目は55手目の▲63とを実現するためのと金作りのための▲54歩を指します。終局図では後手玉は54でも詰む形ですが、この▲54歩を指せるようにするために詰まされる地点は44だったのです。

52手目の△82歩の後に▲53歩成でと金を作ります。54手目から最終手までは棋譜が全て指定されているので、△72歩、▲63と、△31歩、▲78金、△21歩、▲48玉、△65銀、▲45銀引までの61手で詰みとなりました。

59手目の局面で盤上は「卵」の図になっていて、終局図では「卯」の図です。「うさぎのたまご」の真意はイースターエッグではなくこの立体曲詰のことでした。(終局図は真っ直ぐ立った2本のうさぎの耳にも見えるかな)

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

はなさかしろうさん(作者)「盤面に卯を並べてみたら38枚だったので卵経由にしました。旁のハネの形や卵の点の大きさなどがいま一つなのはご海容いただけると幸いです。早いもので今年ももう6分の1が過ぎましたが、改めまして、良い年になりますように。」

■推理将棋は平手初期配置から開始なので、あぶり出しには手数がかかるのであぶり出し作品は少ないですね。

NAOさん「虫食い棋譜の穴埋め問題の形式の力技で見事な「卯」完成。
20手目~37手目、先手角/馬と後手銀の動きが鍵。59手目で「卵」にも見え、そこからうさぎ"桂"を取り合う。」

■「卵」から「卯」への立体曲詰めでした。

飯山修さん「61手中40手くらいは指定されているのであとは空白を埋める作業。過去の超長編作よりかなり易しめ。」

■投稿があった時、61手とのことで余詰検討が大変そうだと思ったのですが、61マスを作って手を埋めて行くと意外と簡単で条件不足や手順前後などの余詰も無いことを確認することができました。

ほっとさん「盤面一杯に「卯」が!かなり無理矢理な表現だが、よくぞ作ったとしか言いようがない。」

■途中、「卵」も現れて来ており、イースター・エッグとイースター・バニーが会話に出ていることを納得。

ミニベロさん「解けませんでした。」

■61手という手数の他に条件の絡み合いを暗算で解くのはキツイ。

RINTAROさん「詰上り「卯」。理屈で解けるので、順番に条件を確認しながら解いていけばいいです。」

■14手目までで端の配置がほぼ見えて、あぶり出されるのが「卯」の字が予想されるなら5筋は空いていて左右4つの筋が使われる。

諏訪冬葉さん「83→56→23の馬の大移動が見つかって何とか解けました」

■先手の馬、後手の角の大移動で歩を3枚補います。

原岡望さん「「卯」年 ヒント頼みでなんとか。」

■あぶり出されるのが「卯」だと予想できれば、あとは辻褄合わせの手を埋める作業になります。


正解:7

  NAOさん  飯山修さん  ほっとさん  RINTAROさん
  はなさかしろうさん  諏訪冬葉さん  原岡望さん


(総評)

NAOさん「今回は年賀詰のアイデアがなかなか浮かず作品投稿を断念。解く方に専念し、易しいのから難しいのまで楽しめました。」

■担当は、リアル年賀状は今年で最後という連絡だけで推理将棋は記載しませんでした。来年からはメールとかSNSで新年の挨拶です。

べべ&ぺぺさん「お久しぶりです。」

■お久しぶりです、2023年の解答送付をよろしくお願いします。

飯山修さん「今年の年賀詰は数字のこじつけが例年よりやや強引な感じ。もう10回以上になるのであまり数字にこだわらず作品数が例月より多いだけにしては」

■来年なら数字だけでなく、年内イベントのパリ五輪に絡ませることもできそうです。

占魚亭さん「上級は降参です」

■長手数2題もあって、上級は解くのが大変です。

ほっとさん「新年から重量級が多くて参りました。」

■年賀推理は出題期間が長いので、年賀条件に無理矢理こじつけて長編を出題できるチャンスでもあるのです。

RINTAROさん「最終日に慌てて解く。5番までは短時間で解けたが、6に苦戦し7を先に解くことにする。ヒントを頼りに6を考えるが、時間切れ。解答発表が楽しみです。」

■簡単な初級があるとはいえ、出題数の多い年賀推理を1日で解くのは大変でしょう。

諏訪冬葉さん「年間全問正解の目標は早くも失敗に終わりました。」

■残り全問正解へ目標を切り替えましょう。

原岡望さん「雪の日に一日考えました」

■雪の日ということは関東で大雪警報が出ていた締め切り日の2月10日の一日で解図されたのですね。


推理将棋第158回出題全解答者: 11名

  NAOさん  べべ&ぺぺさん  中村丈志さん  飯山修さん
  占魚亭さん  ほっとさん  ミニベロさん  RINTAROさん
  はなさかしろうさん  諏訪冬葉さん  原岡望さん

当選: 中村丈志さん、ミニベロさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください

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コメント

158-7の正解者に私の名前がありますが、解けてません。
最近になって条件と盤にかぶりつきでやっと解けたのですが、もちろん全くの時間オーバー。
すばらしいあぶりだしで、正解したかったです。
条件の多さ(おそらく史上最高)にも閉口しましたが、
あぶり出しの性格上、仕方ないですね。
解答者の評判がいいので、これもありなんですね。
それにしても、これを作ろうという作者の制作意欲はすごい。

投稿: ミニベロ | 2023.02.28 14:23

すみません。「解けませんでした。」とありましたね。正解者名から削除しました。

投稿: TETSU | 2023.02.28 19:48

担当のPontamonです。
2ヵ月連続の余詰再修正の醜態に加えて、今回の158-6と158-7では解答集計まで間違っていました。
注意力散漫なのかボケ始めているのか....
次期担当者を探しながら今年一杯は担当を続けるために気合を入れ直します。

投稿: Pontamon | 2023.02.28 21:27

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