推理将棋第158回解答(5)
[2023年2月26日最終更新]
推理将棋第158回出題の158-5の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第158回出題 推理将棋第158回解答(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
158-5 上級 Pontamon 作 先手も後手も2回と3回 11手
「あけましておめでとう、さっそく指し初めと行くか」
「新春ルールは2023年に因んで、10手目まではそれぞれが選んだ2つの筋を交互に指して、11手目からは自由着手にしよう。このルールだと10手目までに二人とも2回指した筋と3回指した筋が出来て23年らしいし、足した5は令和5年に通じるしね」 ※1
「最初の10手は新春の儀式みたいなものだね。新春ルールへの追加で、お互いの年明け最初の手で動かした駒は二度と動かしてはいけないことにしよう」
「了解。では、よろしくお願いします。」
:
「この11手目からは本気の勝負だね。ではこの手でどうだ!」
「あれっ、僕が本気を出す前にその11手目の初王手で詰まされてしまった」
「詰みに直接関係している僕の駒は6枚だね」 ※2
「直接ってなんか意味深な言い方だな」
「・・・・」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 11手目の初王手で詰み
- 10手までは先後それぞれが選んだ2つの筋を交互に指した ※1
- 詰みに直接関係する先手駒は6枚 ※2
- 初手と2手目で動いた駒は二度と動かなかった
※1:先手と後手が10手目まで着手する筋は重複してもよいし全く別々でもよい
※2:詰みに直接関係する先手の駒とは、王手している駒、玉の退路を抑えている駒、これらの駒を後手玉に取られないように支えている駒です
出題のことば(担当 Pontamon)
先手の6回の着手で詰みに必要な先手駒が6枚あるということは...
作者ヒント
先手の6枚の駒のうち3枚が初期配置の駒(Pontamon)
締め切り前ヒント
詰みに直接関係する先手の初期配置の3枚の駒は、4筋、5筋の歩と角。
推理将棋158-5 解答 担当 Pontamon ▲68飛、△54歩、▲36歩、△42玉、▲66歩、△53玉、 ・11手目の初王手で詰み(11手目▲76歩) ・10手までは先後それぞれが選んだ2つの筋を交互に指した(先手は6筋と3筋:▲68飛、▲36歩、▲66歩、▲37桂、▲65歩、後手は5筋と4筋:△54歩、△42玉、△53玉、△44玉、△55玉) ・詰みに直接関係する先手駒は6枚(6枚の駒:37桂、47歩、57歩、65歩、68飛、88角) ・初手と2手目で動いた駒は二度と動かなかった(初手▲68飛、2手目△54歩) |
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先手は9手目るまでの5手を2つの筋を交互にしか指せないので後手陣に迫るにしても詰みに必要な駒の入手にしてもかなり制限されています。1手で後手陣の駒を入手できそうなのは角着手です。通常手順だと、▲76歩、△34歩、▲22角成の後2筋着手を▲21馬とすれば角と桂を入手でき、21の馬を支えにして角か桂を打つ手で詰みを狙えるかを考えるところですが、初手が7筋着手なので5手目と9手目も7筋の手を指す必要があり、無駄手は指せても詰みにつながる手は無さそうです。
そこで思い付いたのが参考1図の手順です。後手も10手目までは2つの筋を交互に指さなければいけませんが、玉を動かせば中段へ進出することが可能です。先手角は裏道の▲97角から▲31角不成で銀を取り、中段での銀打ちで後手玉を詰ませるために玉の退路カバーと銀の支えとして▲36歩と▲37桂を指し、最終手の▲45銀で44の後手玉を詰ませることができました。しかし、10手目は2手目に動かした歩を再度動かす手なので条件をクリアしていませんでした。また、詰みに直接関係している先手の駒を確認してみると、31角、36歩、37桂、45銀の4枚なので駒数が足りていません。
参考図:▲36歩、△54歩、▲96歩、△42玉、▲37桂、△53玉、▲97角、△44玉、▲31角不成、△55歩、▲45銀 まで11手
参考図の手順で条件をクリアできていなかった10手目を△55玉とすれば、46地点、56地点、66地点は初期配置の歩でカバーしているので、詰みに必要な駒数を簡単に増やせそうです。11手目を▲66銀とすると、31角、37桂、47歩、57歩、66銀、67歩の6枚の駒で迫っているのですが44地点の退路があって不詰みです。
詰みに直接関係している先手の駒数を増やすには、5段目玉が良さそうです。玉の退路としてありそうなのは玉腹2地点と玉後方の4段目3地点です。参考図同様に▲37桂を指せば45地点をカバーできます。また△54歩と△55玉の配置だと、玉の退路として残るのは44地点、64地点、65地点の3点です。角の王手なら55の玉と44の退路を同時にカバーしますが、角の入手が問題です。▲76歩と▲77桂で65地点をカバーすることはできても64の玉退路が塞がりません。64地点と65地点の縦並びの玉退路封鎖に適しているのは▲68飛です。67の歩が切れていれば▲68飛の1枚で玉退路をカバーできますが、後手に67の歩を取って貰うことはできないので、▲66歩から▲65歩として64地点をカバーして、▲68飛で65の歩を支えれば良いことに気付きます。問題だった角で王手するための角入手ですが、たとえ角を持ち駒にできたとしても▲66角と打っての王手だと△65玉と逃げられてしまいます。角を取れないし、角を持っていたとしても打てないとなると、初期配置の角を使うことに気付くはずです。つまり空き王手の▲76歩を11手目に指せば詰み形が完成します。
初手から、▲68飛、△54歩、▲36歩、△42玉、▲66歩、△53玉、▲37桂、△44玉、▲65歩、△55玉、▲76歩の順で詰みとなります。なお、後手の着手筋を5筋と6筋にした場合も同じ詰み上がりの図になりますが、8手目からの△64玉、▲65歩、△55玉のところの▲65歩が王手になるため初王手で詰みの条件をクリアできません。
詰みに必要な先手の駒を確認してみると、37桂、47歩、57歩、65歩、68飛、88角の6枚になっています。詰みには直接関係していないですが空き王手の最終手も詰み上がりには必要な手ですので意味深な表現になっています。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
Pontamon(作者)「作ってあった「詰み上がりに必要な先手駒が最多の7枚」の作意順を変更したら今年の年賀推理にぴったりでした。10手目までの条件設定により詰みに必要な駒数情報は不要になったのですが年賀推理なので解き易いように必要駒数を明かしました。」
NAOさん「先手の選んだ3筋と6筋が離れているのが気づきにくい。」
■後手玉の両脇を抑えるには左右から迫る。
飯山修さん「不自由な7筋の手を11手目にもってくる事に気が付く時間が長すぎて苦戦。教訓:初王手で詰みの問題は最終手76歩を まず考えよう。」
■初手76歩は多いけど最終手76歩は少ないかと...。
ほっとさん「これが作意っぽいが、65歩は詰みに関係していないので、詰みに関係している先手の駒は5枚しかない。果たして真相は?」
■▲65歩は△64玉が出来ないようにしているので「玉の退路を抑えている駒」に該当します。盤上から65の先手の歩を取り去っても68の飛の利きがあるので詰みにはなりますが、手数の制限があるので後手が先手の6筋の歩を取ってから都へ戻ることはできません。後手は盤上の65の歩を取り除くことができないので、65の歩は64地点の玉の退路を抑えるために必要な駒になります。詰将棋の作図的には配置不要な歩という感覚なのしょうね。
ミニベロさん「角の王手で斜め後ろに戻れない詰みは昔からあるが、この条件は初めて見る」
■過去作を確認しましたが、この詰み上がりの空き王手作品は無かったようです。
RINTAROさん「詰上り図に気付くまでの試行錯誤が楽しいです。」
■2つの筋を交互に指すという条件はたまに目にするので絞るのが難しく、推理は置いておいてとにかく試行錯誤でやってみるのもあり。
はなさかしろうさん「11手目の初王手ですね。第一感5段目玉で筋を探す問題ですが、3筋の形と6筋との組み合わせ方が推理将棋ならではの好感触でした。」
■初期配置の先手の歩を退路封鎖に活用するには5段目玉ですね。
諏訪冬葉さん「ヒントから「55玉を角の利きで詰ます」と予想して45と64を埋める手段を探しました。」
■初期配置の角のヒントから、▲76歩、▲77桂の配置から最終手▲85桂の空き王手を考えると64と65地点が埋まりません。
原岡望さん「切札は最後に」
■11手目からは自由着手なので先手や後手が指していた筋の可能性もありましたが初着手の筋でした。
正解:8名
NAOさん 飯山修さん ほっとさん ミニベロさん
RINTAROさん はなさかしろうさん 諏訪冬葉さん
原岡望さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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