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推理将棋第158回解答(6)

[2023年2月27日最終更新]
推理将棋第158回出題の158-6の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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158-6 上級 ミニベロ 作  初駒王手が16回・遊べる35手詰 35手

「それでは今年の年賀詰を発表します。35手詰です」
「2023年だから、23手じゃないの」
「2023年の3と、令和5年の5で35手なの」
「なんか無理やりだね」
「でも、初駒王手16回というお目出度いテーマだよ」
「初が付けばいいというもんじゃないけどね」
「いいの! その初王手駒による王手だけど、
 歩の王手9回と、香の王手を含む生駒の王手が16回あり、
 すべて異なる駒だから、初王手駒としました
 また、七草粥にちなんで、同の手は7回です」
「開き王手や両王手はどうするの」
「それは注釈を見てね。あと、銀のコビンに歩を打つ手があるよ」※

さて、年賀詰はどんな手順なのでしょうか。

(条件)

  • 35手詰
  • 歩の王手9回と、香の王手を含む生駒の王手が16回あり、すべて異なる駒
  • 同の手が7回
  • 銀のコビン(ナナメ前)に歩を打った ※

※ 開き王手は、動いた駒ではなく、王手を掛けている駒が当該
※ 両王手は1回とカウントし、どちらかの駒が初王手駒であれば可
※ 上記注釈は、開き王手・両王手があることを保証しない
※ 一度王手した駒は、持ち駒になってもその履歴は消えません


出題のことば(担当 Pontamon)

 王手16回を先手と後手で分担可能か推理しよう。連続王手義務がない推理将棋での35手詰は35手で詰む意味です。

作者ヒント

 玉以外のすべての駒種の王手があった(ミニベロ)

締め切り前ヒント

 18、19手目は2手連続の逆王手。歩の王手は7手目▲25歩から31手目▲97歩まで。開き王手、両王手なし

余詰修正

 会話と条件文の「歩の王手9回を含む生駒の王手」の部分を「歩の王手9回と、香の王手を含む生駒の王手」に修正させていただきます。

修正2

 会話の『 すべて異なる駒だから、初王手駒としました」』の続きに『 また、七草粥にちなんで、同の手は7回です』の1文を追加、
 追加条件
  ・同の手が7回


推理将棋158-6 解答 担当 Pontamon

▲76歩、△42玉、▲33角不成、△玉、▲26歩、△24玉、
25歩、△35玉、▲36歩、△45玉、▲46歩、△55玉、
56歩、△65玉、▲66歩、△角、▲77桂、△同角不成
68飛、△74玉、▲75歩、△85玉、▲86歩、△角成、
▲88銀、△95玉、▲96歩、△馬、▲同香、△玉、
97歩、△86玉、▲87銀、△77玉、▲78金 まで35手

(条件)
・35手詰
・歩の王手9回や、香の王手を含む生駒の王手が16回あり、すべて異なる駒(3手目▲33角不成、7手目▲25歩、9手目▲36歩、11手目▲46歩、13手目▲56歩、15手目▲66歩、17手目▲77桂、18手目△77同角不成、19手目▲68飛、21手目▲75歩、23手目▲86歩、27手目▲96歩、29手目▲96同香、31手目▲97歩、33手目▲87銀、35手目▲78金)
・同の手が7回(4手目△33同玉、16手目△66同角、18手目△77同角不成、24手目△86同角成、28手目△96同馬、29手目▲96同香、30手目△96同玉)
・銀のコビン(ナナメ前)に歩を打った(25手目▲88銀、31手目▲97歩)

Suiri1586

王手とその応手の2手一組で王手1回なので、王手16回なら32手になりますが最後の王手は詰みなのでその応手は不要です。つまり王手16回では31手が必要なので35手詰なら王手や応手以外の余裕が4手あることになります。ただし、最短の王手は3手目の▲33角不成なので、初手と2手目で余裕手が2手減ります。後手玉は中段へ出ないと先手の突き歩での王手にはならないので、2手目△42玉で3手目の▲33角不成の王手に△同玉と指した状態では5手目の王手の手はありません。となると6手目は7手目の歩突きで王手になるように4段目へ玉を進める手なので△24玉になるでしょう。しかし、これだと5手目▲26歩に7手目▲25歩での王手になり、1筋から9筋の歩突きでの王手9回を実現できません。▲25歩の王手に△15玉とすれば1筋の歩突き王手▲16歩は実現できますが、2筋は先手の飛が居るため後手玉は2筋へ戻ることができません。歩突き王手は1筋から始める必要がありそうです。そうなると△24玉の後の1筋へ玉が行くための余裕手が足りません。何か解決方法を探す必要があります。

Suiri1586a2手一組で王手1回として計算しましたが、王手に対する応手が王手、つまり逆王手であれば余裕手を1手得ることができます。参考図の手順では、▲77桂の王手に対して△同角不成の逆王手に▲68飛の逆王手、さらに△67桂の逆王手と3手続けて逆王手を指しています。しかし、最後の△67桂の王手で使った桂は▲17桂か▲77桂で先手が王手をした時の桂なので初駒での王手ではないので失敗です。▲68飛の王手の時に桂打ちでの逆王手ではなく△76玉と逃げると、以降、▲67銀、△75玉、▲76歩、△85玉、▲86歩、△95玉、▲96歩の35手までで、後手玉は9筋まで行けて王手16回を実現できますが、どちらにしても詰みではないので失敗です。

参考図:▲76歩、△42玉、▲33角不成、△同玉、▲16歩、△24玉、▲78銀、△14玉、▲15歩、△25玉、▲17桂、△15玉、▲25桂、△同玉、▲26歩、△35玉、▲36歩、△45玉、▲46歩、△55玉、▲56歩、△65玉、▲66歩、△同角、▲77桂、△同角不成、▲68飛、△67桂、▲同銀、△74玉、▲75歩、△同玉、▲76歩、△85玉、▲86歩 まで35手

歩の王手9回なので参考図の手順では1筋の歩突きでの王手から9筋の歩突きの王手までを実現しようとしたのですが、後手玉は9筋へ辿り着くことができませんでした。でも銀のコピンへ歩を打つ手で歩の王手を1回実現することができたので、単に銀のコピンへ歩を打つだけではなく、銀のコピンへ歩を打って王手することも念頭に入れれば、歩突きの王手を2筋から開始しても良さそうです。参考図の手順では序にあった桂の王手や空き王手による香の王手は後回しになりそうですが、参考手順のように▲77桂の逆王手で桂の王手はできそうです。序で△35玉、▲36歩、△45玉の時に▲37桂の王手は可能ですが、次の王手のために△55玉とするしかないので4筋の歩突きでの王手ができず、歩の王手9回が実現できなくなります。つまり、2~9筋の歩突きでの王手と銀のコヒンへの歩打ちでの王手で歩の王手9回が確定です。後手の△77同角での逆王手があるとしても王手16回を実現するには先手が15回王手する必要があります。角の王手と歩の王手9回で10回の王手は確定しているので、初駒王手の条件だと同じ駒で2回の王手はできないので、残っている飛と6~9筋の9段目の初期配置の駒の計5枚での王手が必要になりそうです。

初手から▲76歩、△42玉、▲33角不成、△同玉、▲26歩、△24玉、▲25歩、△35玉、▲36歩、△45玉、▲46歩、△55玉、▲56歩、△65玉、▲66歩の王手に対して△66同角で歩を払っておくとあとの▲68飛の移動合を逆王手にすることができます。17手目から▲77桂、△同角不成、▲68飛で2手連続の逆王手を実現しました。桂と飛の王手は済んだので残りは香、銀、金での王手です。続けて△74玉、▲75歩、△85玉、▲86歩の王手に△95玉と逃げると同の手が少なくなるので、先に△同角成で歩を払っておいて、▲88銀に△95玉と指します。▲88銀はのちに銀のコビンの97へ歩を打って王手するための準備です。続けて▲96歩、△同馬、▲同香、△同玉、▲97歩、△86玉、▲87銀、△77玉、▲78金 までの詰みとなります。最後は銀、金での王手でバタバタしましたが、やはり「とどめは金」ですね。

余詰手順例

元条件の余詰
▲76歩、△42玉、▲33角不成、△同玉、▲78銀、△24玉、▲79金、△15玉、▲16歩、△25玉、▲26歩、△35玉、
▲36歩、△45玉、▲37桂、△55玉、▲56歩、△65玉、▲66歩、△同角、▲77桂、△同角不成、▲68飛、△74玉、
▲75歩、△85玉、▲86歩、△95玉、▲96歩、△86玉、▲87歩、△76玉、▲77銀、△87玉、▲88金 まで35手

修正条件の余詰
▲76歩、△42玉、▲33角不成、△同玉、▲26歩、△24玉、▲25歩、△35玉、▲36歩、△45玉、▲46歩、△55玉、
▲56歩、△65玉、▲66歩、△同角、▲77桂、△同角成、▲68飛、△74玉、▲78銀、△98角、▲75歩、△85玉、
▲86歩、△95玉、▲96歩、△同玉、▲98香、△86玉、▲87歩、△同馬、▲同銀、△77玉、▲78金 まで35手

粗検、申し訳ありませんでした。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

ミニベロさん(作者)「粗検申し訳ありません。33手を直前に35手に変更したのが間違いでした。
解答者並びに担当先生にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。」

■33手の方はまた別の機会に出題させていただこうと思います。

NAOさん(双方解)「修正の「香の王手」で手が見えなくなり、最終ヒント待ち。
先手が王手を続ける途中で、後手からの逆王手が1回入ると、先手王手でないちょっと緩んだ攻防の2手が入る。どのタイミングでどう緩めるかが難しい。86同角成~97歩が目から鱗の手順です。」

■▲96歩の王手を△同馬で払い、▲同香による王手を実現したのが作意順でした。

飯山修さん(余詰解)「締め切り前ヒントを参考に20手目迄は一直線だが98に埋める駒は角しかない事にやっとに辿り着く。 2手の余裕をどう使うかであるがこれはかなり難しかった。
ただこの順は同が6つしかないので余詰順ということか。正解順は判らず。」

■△98角で香の利きを止め、△95玉、▲96歩の王手の時に△同玉で歩を取る手を実現してからの▲98香での香の王手を実現する手順を捻り出したのは凄い。修正2の「同の手7回」でギリギリ逃れていますが修正2の掲載時点では見落としていました。修正条件での余詰例として掲載しました。

ほっとさん「最終ヒントが出てからも24~26手目がなかなか浮かばず。全然遊べなかったです。」

■24手目に先に△95玉と逃げて▲88銀に26手目の△86角成だと同の回数が6回になってしまいます。修正2はこの対応でした。

RINTAROさん「18、19手目の逆王手を頼りに粘ったが、条件を満たす手順を見つけられませんでした。特に香の王手が難しい。」

■金の王手が無く、王手14回の手順をいただきました。(後手が99の香を取って、香を打って先手に取らせて、最終手は▲98香の香打ちまで)

はなさかしろうさん(双方解)「初王手駒n枚で2n+3手で詰み。この設定が悩ましくも楽しかったです。5手目以降の先手の非王手2回がかなり手広く、24手目の86同角成になかなか手が伸びなくて結局最終ヒント待ちでした。その間にn最大化を試みて19まで行けましたが、本問を解き終えてから顧みると99の香が使えていないのが残念です。

n=19の例
▲7六歩 △4二玉 ▲3三角不成△同 玉 ▲7八銀 △2四玉
▲4八銀 △1五玉 ▲1六歩 △2五玉 ▲1七桂 △1六玉
▲2五桂 △同 玉 ▲2六歩 △3五玉 ▲3六歩 △4五玉
▲4六歩 △5五玉 ▲5六歩 △同 玉 ▲5七銀 △6五玉
▲6六歩 △同 角 ▲7七桂 △同角不成 ▲6八飛 △7四玉
▲7五歩 △8五玉 ▲8六歩 △9五玉 ▲9六歩 △8六玉
▲8七歩 △7六玉 ▲7七銀 △8七玉 ▲7八金まで

■歩の王手は盤上の1筋から9筋までと▲87歩の歩打ち王手合わせて10回、11の香、左右の桂、左右の銀、左の金、先後の角、飛の王手で計19回王手ですね。

諏訪冬葉さん「降参です。コビン条件を満たせず。残念です」

■銀のコピンへの歩打ちが王手ではなく待ち手なら後手玉でその筋の歩を取って貰う必要があります。歩打ちでの王手であれば9段目の銀のままだと後手玉に7段目に来てもらうことになり、7段目の金で王手して誘い込むくらいでしょうか。なので銀を8段目へ動かしておくのが都合が良いのです。


正解:4

  NAOさん  ほっとさん  ミニベロさん  はなさかしろうさん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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コメント

担当のPontamonです。
この158-6の結果稿が出た後、飯山さんから連絡がありました。
飯山さんの解答手順(修正条件の余詰手順として掲示)の17手目の▲77桂の王手に対して△同角成で逆王手する手が生駒での王手になっていませんでした。したがって、生駒での王手の回数は15回になるため余詰ではありませんでした。
粗検、大変申し訳ありませんでした。

投稿: Pontamon | 2023.02.28 00:01

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