推理将棋第159回解答(3)
[2023年3月29日最終更新]
推理将棋第159回出題の159-3の解答、第159回出題の当選者(変寝夢さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
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推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
159-3 上級 NAO 作 他に指す手はいくらでもあったのに 13手
「手が広い局面でさんざん迷ったあげく大駒の手を指したら13手目に詰まされちゃった」
「棋譜を見せて。ふむ成る手が1回だけ、金頭の手が先手の1回だけか。
なるほど君が迷った後手番の局面は選択肢が185通り以上もあったんだね。
他に指す手はいくらでもあったのに」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 13手で詰んだ
- 後手は選択肢が185通り以上ある局面で大駒の手を指した
- 金頭の手が先手の1回だけだった
- 成る手が1回だけだった
出題のことば(担当 Pontamon)
156-2の9手作では8手目が88通り。本問は2倍超えの185通り以上とのことです。
作者ヒント
飛角の効きを増やしつつ、6,8,10手目に3種の駒を取ります。(NAO)
締め切り前ヒント
後手の持ち駒は香の他に飛角があり盤上の飛角と合わせて大駒4枚。12手目は飛の隣へ飛を打つ手。
余詰修正
会話修正:ふむ金頭の手が1回だけか。 ⇒ ふむ金頭の手が1回だけ、成る手が1回だけか。
条件追加:成る手が1回だけだった
余詰修正2
会話修正:ふむ金頭の手が1回だけ、成る手が1回だけか。 ⇒ ふむ成る手が1回だけ、金頭の手が先手の1回だけか。
条件変更:金頭の手が先手の1回だけだった
推理将棋159-3 解答 担当 Pontamon ▲76歩、△32金、▲33角成、△41玉、▲32馬、△同飛、 (条件) |
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156-2の9手詰における後手の合法手が最多になったのは詰む直前の8手目での合法手88手でした。合法手を増やす手段としては、後手が△99角不成で香を持ち駒にすることで、空きマスへの駒打ちで合法手を稼ぐことと、2段目の駒を初期配置の飛だけにすることで飛の移動先を増やすことがメインでした。また、先手と後手で多くの駒を取ることにより盤上の空きマスを増やすのが奥の手で、9手だとこのくらいしか出来なかったのですが、13手詰ともなると後手の手が2手増えているので合法手を増やすための手を他にも指せそうです。
まず思い付くのは、156-2では2段目の8地点への移動しか出来なかった飛ですが、7段目で飛不成の手を指せば、移動できる地点への成と不成の手があり一気に合法手倍増が可能です。6手目の△37飛不成のあと8手目の△38飛不成で飛の不成と成の手が増えそうですし、10手目に△99角不成で香を取ることもできます。しかし、この手順では3手目の▲33角不成を△同飛で取られてしまうので先手の攻めが途切れそうです。そこで一工夫したのが参考図の手順です。先手角を33地点で取られてしまうと攻めが続かないので、42地点で後手の銀を角で取ってから△同飛で角を取らせる手順です。先手は持ち駒になった銀を打って、61の金を取ってから12手目の△41飛で飛の利きが外れた時に▲52金の頭金で詰ます手順になっています。
参考図は11手目までの局面ですので、ここで12手目の後手の合法手を数えてみます。後手の飛が42ではなく32地点なら飛を動かす手が2段目だけでなく3筋で稼ぐことができたので飛は42地点なので2段目8地点と41地点合わせて9手が合法手になります。
△99角不成で香を取ったあと先手の▲88飛の協力により△88同角不成で後手は飛も持ち駒にできました。先手の協力が▲88銀なら後手の持ち駒は角、銀、香の3枚なので持ち駒の枚数は参考図の手順の飛、角、香と同じですが、香を79地点へ打つことができないので合法手は少なくなってしまいます。合法手を増やすなら▲88飛の協力が正解です。
盤上の駒や持ち駒を打つ手の合法手を整理してみると
玉:3
飛:55(移動9、打46)
角:64(成9、生9、打46)
金:3
銀:3
桂:1
香:47(移動2、打45)
歩:8
となり、合計は184通りでした。条件は185通り以上なので合法手が1手足りなくて失敗でした。
参考図:▲76歩、△42銀、▲33角不成、△31金、▲42角不成、△同飛、▲72銀、△99角不成、▲88飛、△同角不成、▲61銀不成 まで11手で参考図。その後、△41飛、▲52金 まで13手で詰み
99の香を角不成で取るだけではなく、参考図のように先手の角を取って後手の持ち駒を増やすという着想は良さそうです。参考図では先手は銀を取って攻めに使いましたが合法手が足りませんでしたので、今度は金の入手を目指してみます。初手から▲76歩、△32金、▲33角成とすれば次に32の金を取れますが3手目で王手が掛かっているので4手目からは△41玉、▲32馬、△同飛とします。参考図では後手の飛は42地点なのが残念でしたが、この手順だと飛は32地点でしかも後手の3筋の歩は切れているので飛は先手陣まで直射しており、飛の合法手が増えそうです。後手の角は99地点へ通っているので、次の手番では△99角不成です。7手目は持ち駒にした金を打って詰みを目指します。後手玉は41地点ですし42の飛があるので4筋に壁ができています。そこで9筋側から攻めるのが良さそうですが、持ち駒の金1枚だけでは力不足なので他の駒の入手を目指します。持ち駒の金を打って61の金を取れば、61の金を支えにして金打ちでの詰みを狙います。ただし、金頭の手は1回なので、3手目の▲33角成で金頭の手を指しているので、61の金を取りに行くための7手目は▲72金です。8手目からは△99角不成、▲88飛、△同角不成、▲61金と金を取った局面が12手目の後手番です。ここでの合法手の数はあとでゆっくり数えるとして、12手目の大駒の手のあとに持ち駒の金を打って詰ます必要があります。後手の大駒は盤上の32の飛と持ち駒の飛と角です。先手は61の金を支えにして13手目の金打ちで41の玉を詰める、つまり王手をしなければいけないので王手になる最終手は▲51金打しかありません。11手目を指した局面で▲51金打を加えてみると玉の退路として42地点があるのがわかります。となると12手目の大駒の手は玉の退路を塞ぐための42地点への大駒着手になります。△42角だと最終手の▲51金打を△同角で取ることができるのでダメです。△42飛と寄る手は玉の退路として32地点を空ける手なのでこれもダメ。したがって12手目から△42飛打、▲51金打で詰みとなりました。
この作意順では、12手目の合法手の数は187通りになり、内訳は下記の通りです。
玉:2
飛:60(移動12、成1、生1、打46)
角:64(成9、生9、打46)
金:0
銀:5
桂:1
香:47(移動2、打45)
歩:8
【余詰について】
解説では3手目の▲33角不成の先手角を取ってしまうと攻めが続かないということでその先を読んでいませんでした。はなさかしろうさんから寄せられた余詰手順は下記の通りで、▲33角不成をそのまま取られても先手の飛を攻めに参加させ、後手は角、銀、香、歩の4枚を持ち駒にするという手順でした。12手目の合法手の数は185通り以上の条件を超える超正解の192通りとなっています。
粗検、大変申し訳ありませんでした。
▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同飛、▲38飛、△37飛成、▲28銀、△同龍、▲31飛不成、△99角不成、▲32銀、△62角、▲41飛成 まで13手
また、修正条件での余詰は、先手の飛を7筋から後手陣へ侵入させる手順で、詰み形としては上記の余詰と左右反転の形になります。12手目の合法手は186通りになります。
▲78飛、△34歩、▲68金、△77角不成、▲69玉、△68角不成、▲73飛不成、△79角不成、▲71飛不成、△88角不成、▲72銀、△42角、▲61飛成 まで13手
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
NAOさん(作者)「本作は、156-2「後手の最多合法手」からインスパイアされ創作したものです。2手伸ばすと1枚持駒を増やせるが9手から2手だけ伸ばすのでは156-2の類似の手順となるので、それなら4手伸ばしたらどうなるか、検討してみました。結果、先手は攻駒の馬を手放す手順と飛角の位置調整でかなり手を稼げました。難易度はどうでしょうか。」
■正解率約54%なので難しかったようです。
はなさかしろうさん「面白い設問で予想以上に手が広く、熱中しました。11手目までの局面で非王手かつ後手が歩以外の3種類の持駒を持つ場合、後手が6手目以降先手陣で3種類調達する方法では180通りに届きませんでしたが、後手陣で先手の角(馬)を取れば後手陣内の準備に3手費やせるのが盲点で、飛角がベストポジションにぴったり納まる素晴らしい手順が出てきてしびれました。」
■超正解の合法手192通りの余詰連絡、ありがとうございました。
ミニベロさん「歩では稼げないので、取る手は早く捨てないと。先手の主力と思われる角を取らせる順も見えにくい。
さらに「185通り以上」という条件も良く理解できない。
合法手問題は面白いですね。立派な一つのジャンルになりました。」
■一の位が0か5がキリが良かったようです。きっちり187通りの条件だと余詰は出なかったのですが、185通り以上の条件だったので超正解が寄せられました。
RINTAROさん「最初は32飛から37飛不成38飛同飛不成の筋を考えていたが、歩を取っても180通りには遠く及ばない。
飛を敵陣に不成で行くよりも、歩以外の3種駒を取る方が大事だということは分かりましたが、その手段が分からない。
中間ヒントも締め切り前ヒントも想定の範囲内。唯一、「12手目は飛の隣へ飛を打つ手」が新しいヒント。
32金から41玉に気付いたときに全てが氷解しました。」
■△32飛から△37飛不成で歩を取っても合法手を稼げないと即断してしまい余詰を出してしまいました。まさか後手が4枚取るとは。32金から41玉が見え難い序の手。
飯山修さん「角を差し出す手があるとは思わなかった。解けて成程。 この解でやっと185超えなのに余詰があった事が信じられない」
■驚異の190通り超えがありました。粗検、申し訳ありませんでした。
ほっとさん「このテの作は数えるのに手間がかかって苦手。あまり流行ってほしくない条件設定ではある。」
■流行ってしまったのか詰パラで出題中ですね。ということで本問の解説は色々と広げ過ぎないように手加減しました。
諏訪冬葉さん「最終ヒントから馬捨てがわかったので、手順前後が発生しない方法を裏読みしました。合法手の数は数えていません。」
■12手目の合法手を数えると187通りになります、空きマスの数は双方の持ち駒の数を41に足せばOK(最初の頃は1マスずつ数えてました)
原岡望さん「降参です。185通りにするには飛車頭の歩を食いちぎるのだと思いますが76歩 32飛 33角 では4手目駒取になってしまうし、他に思わしい手が見つかりません」
■飛車頭の歩を食いちぎる先手の協力手は考えてしまいますね。正解は序を工夫して32への一回移動でした。
正解:6名
NAOさん はなさかしろうさん ミニベロさん RINTAROさん
ほっとさん 諏訪冬葉さん
(総評)
変寝夢さん「思考局面数だけ見ると。2番が初級のように見えますね。」
■正解者数でも中級が最多でした。
ミニベロさん「上級は遊べましたね。カウント間違いしてるかも。」
■カウントは合ってました、まさか、上級も暗算ですか!?
RINTAROさん「3が難問でした。」
■合法手を増やすための理屈は分かっていても...。
飯山修さん「3月号パラに選択肢400の問題が出てましたね。」
■18手で400通り以上の作品ですね。399通り1図、398通りを2図見つけましたが、担当コメントの397通りが今のところ見つからず。数え間違いかな。
ほっとさん「またも最終ヒント待ちに。」
■第160回は3月中に解いちゃいましょう。
べべ&ぺぺさん「この冬は雪が多いかったです。ようやく春めいてきました。」
■桜の開花予想日が前倒しになりましたね。この結果稿が出る頃には神戸も咲き始めていることでしょう。
占魚亭さん「今回も上級は降参です。」
■第160回は全問解答できると期待してます。
推理将棋第159回出題全解答者: 13名
NAOさん はなさかしろうさん 大塚康平さん 変寝夢さん
ミニベロさん RINTAROさん 飯山修さん ほっとさん
中村丈志さん 諏訪冬葉さん べべ&ぺぺさん 占魚亭さん
原岡望さん
当選: 変寝夢さん
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