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推理将棋第162回解答(3)

[2023年6月25日最終更新]
推理将棋第162回出題の162-3の解答、第162回出題の当選者(飯山修さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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162-3 上級  Pontamon 作  底歩を打って      11手×2

「僕が桂を指したら相手は馬を動かしたから底歩を打ったんだ」
「11手目の6筋の手で詰んだんだろ」
「よく知ってるね」
「だって、昨日、その手順で詰めたからね」
「えっ、先手で底歩を打ったの?僕は後手で底歩を打って詰まされたんだよ。違う手順なんだね」
さて、二人の対局はそれぞれどんな手順だったのでしょうか。

(条件)
共通条件

  • 11手目の6筋の手で詰んだ
  • 桂の手、馬の手、底歩の順の3手連続着手があった

先手の底歩がある手順と後手の底歩がある手順の両方を解答してください。


出題のことば(担当 Pontamon)

 桂の手があるので底歩を打つ筋はおそらく想像通りで合っているはず。

作者ヒント

 先手の底歩は89歩、後手の底歩も同じ筋の81歩(Pontamon)

締め切り前ヒント

 82や88で成った馬で8筋の歩を取り底歩を打てるようにします。先手の底歩の時は62金で、後手の底歩の時は61馬で詰めます。


推理将棋162-3 解答 担当 Pontamon

先手の底歩があった手順
▲76歩、△52玉、▲33角不成、△51金右、▲同角不成、△88角成、
77桂、△87馬、▲89歩、△72銀、▲62金 まで11手

後手の底歩があった手順
▲76歩、△74歩、▲55角、△75歩、▲82角成、△76歩、
▲62飛、△73桂、▲83馬、△81歩、▲61馬 まで11手

(条件)

先手の底歩がある手順
・11手目の6筋の手で詰んだ(11手目▲62金)
・桂の手、馬の手、底歩の順の3手連続着手があった(7手目▲77桂、8手目△87馬、9手目▲89歩)

後手の底歩がある手順
・11手目の6筋の手で詰んだ(11手目▲61馬)
・桂の手、馬の手、底歩の順の3手連続着手があった(8手目△73桂、9手目▲83馬、10手目△81歩)

Suiri1623b
Suiri1623a

底歩を打つことを可能にするにはどのような準備が必要なのかを整理します。歩を打つためには歩を持ち駒にする必要があります。それと底歩を打つことが二歩の反則にならないように底歩を打つ筋の歩を相手に取ってもらうか自力で歩成をする必要があります。もちろん、初期配置では自陣の最下段には全て駒が配置されているので、底歩を打つ地点に駒があってはいけないので、事前に移動しておくか、相手に取ってもらい更にその相手の駒が移動して底歩を打つ地点が空いている必要があります。

本問では、「桂の手、馬の手、底歩の順の3手連続着手」という条件があるので、最初の桂の手は底歩を打つ場所を空けるための手で、次の馬の手は相手が底歩を打つ筋の歩を馬で取る手であれば、歩の持ち駒があれば桂が居た地点へ底歩を打つことができそうです。また、初期配置の桂を跳ねるためには桂の着手をする地点の歩を突いてあるか相手に取られている必要があります。つまり、全て自力で底歩を打つには、歩を取る手、桂を跳ねる地点の歩を突く手、桂を跳ねる手、桂が居た地点へ歩を打つという4手が必要で、相手には馬で歩を取ってもらうに、桂がある筋の歩を取れる位置で角成をするか馬を移動しておいて、歩を取るという最低2手が必要になります。

最初に先手が底歩を打つ手順を考えてみます。先手は11手目で後手玉を詰ますわけですから、桂を跳ねる手と底歩を打つ手の2手は基本的には不要手のはずです。歩を取る手と桂を跳ねる地点の歩を突く手に関しては後手陣を攻める手順の中で指されているかもしれません。初手が▲76歩は、後手を攻めるために角が出ていくために必要な1手ですが、桂を跳ねる地点の歩突きを兼ねることができますし、後手角が△88角成で馬を作り、△87馬で8筋の歩を取る手を実現することが可能になるための手だとも言えます。先手の攻めの手で後手の歩を取ることができるとして、先手は▲77桂と▲89歩の底歩を打つ2手を指す必要があるので、詰み形は7手詰の29通りのうちの一つになるはずです。7手詰手順の5手目まで指しておいて、7手目に桂を跳ねて9手目に底歩を卯てば11手目に詰めることができます。後手は△88角成と△87馬を指さなければいけませんが△87馬が8手目であれば6手目までに△88角成を指しておく必要があります。7手詰手順の5手目が王手を掛ける手の場合は6手目に△88角成ができないので対象外になります。また、後手角を取ってしまう手順も不可です。▲96歩、▲97角から始まる手順は角道が通っていないので不可となります。あれこれ除外していくと残り少なくなった7手詰手順を試してみれば解図できますが、ちょっとズルする方法としては最終手が6筋着手で詰む条件なので、7手詰の全29通りの詰み手順の中で最終手が6筋の手順を思い出すのも手です。この方法だと▲62金までの1手順しかないので、初手から▲76歩、△52玉、▲33角不成、△51金右、▲同角不成の5手目まで指して、6手目から△88角成、▲77桂、△87馬、▲89歩と底歩を打ち、続けて△72銀、▲62金で詰みとなります。

次は後手の底歩がある手順の解図になりますが、後手の桂跳ねは21の桂でしょうか、それとも81の桂でしょうか?先手の角成がし易いのは3手目の▲22角成なのですが、22の馬には▲23馬を指す役目が残っているので6筋着手で詰めるためには取った角を打って、何か駒を取って、その駒を6筋に打って詰ますことになり、たとえば▲72角、▲81角成、▲63馬、▲53馬、▲63桂の吊るし桂の手順では手数オーバーですし、▲72角、▲61角不成、▲72角成、▲61金では▲23馬の手を指せないし△42玉の退路も残ってしまいます。後手が81の桂を跳ねて△81歩の底歩を打つ場合は、▲82角成で飛を取った先手の馬は▲87馬で後手の歩を払えば、馬の利きが61地点に届いているので詰み形がありそうです。初手から▲76歩、△74歩、▲55角、△何か、▲82角成、△何か、▲62飛、△73桂、▲83馬、△81歩、▲61馬での詰み形がありそうです。この手順の中では底歩を打つための歩の入手ができていませんし、2手目の△74歩の手は4手目までに指せば5手目の▲82角成ができるので非限定に見えます。後手は歩を取る手が必要なのに後手角で歩を取りに行くには△34歩、△88角成、△87馬や△97馬の3手が必要なので不明の2手では手数が足りません。とりあえず、分かっている手だけを盤上に配置すると、△74歩と▲76歩があるので後手は△75歩、△76歩の2手で歩を入手することが可能であることが分かります。つまり、2手目は△74歩で合っていて、4手目は△75歩、6手目は△76歩で解図完了となります。

この詰み形の主要部分は、「117-3 8筋最奥での歩成」の11手作と同じで、後手の歩の入手方法も同じですが、117-3では最奥での歩成という条件で、後手は88歩と打ってから89歩成を指して2手の余裕手を消費し、本問の後手の底歩の順では△73桂と△81歩の底歩で2手余りを消費しています。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん「シンプルな共通条件に感心した。底歩は詰みに関わりのない無駄手になりそうだが、連続3手の準備が大変。先手底歩では6手目までに9段目の打場所確保と後手の角成実現を目指し、後手底歩では6手目までに先手が攻駒取りを、後手が歩取りを目指す。」

■連続3手の内容を覚えるのは難しくないはずですが準備が大変。

変寝夢さん「先手底歩:実戦初形/非連続王手/手数=11/手指定条件完全一致=11,移動後の筋=6/手指定条件完全一致=7,動かした駒の種類=桂/手指定条件完全一致=8,動かした駒の種類=馬/手指定条件完全一致=9,動かした駒の種類=歩@打@移動後の段=9/盤面指定=6:00|v馬で、解図時間は33分47秒 思考局面数は8284144 不詰記憶局面 3776239 不詰ハッシュ衝突回数 4472268 同一局面衝突回数 65でした。底歩って自軍の駒の下に打つことと勘違いしていました。
後手底歩:実戦初形/非連続王手/手数=11/手指定条件完全一致=11,移動後の筋=6/手指定条件完全一致=8,動かした駒の種類=桂/手指定条件完全一致=9,動かした駒の種類=馬/手指定条件完全一致=10,動かした駒の種類=歩@打@移動後の段=1/盤面指定=7:00|馬/条件一致回数指定=5,3:>:0,移動後の段=1|2|3|4|5/詰条件=手数限定で解図時間は18時間38分44秒 思考局面数は223866698 不詰記憶局面 9782003 不詰ハッシュ衝突回数 117527023 同一局面衝突回数 5863でした。76の歩を取りに行くのが一番早いとは!。恐れ入りました。」

■自軍の金の下に打つ歩は金底の歩ですが、自軍の駒の下とは限りませんね。飛の王手の合い駒に金腹へ底歩を打つこともありますし。

諏訪冬葉さん「先手底歩:位置的に底歩関連は無駄手と読んで6筋で詰む7手を用意
後手底歩:83馬があるから飛車と連携しての詰み形は浮かんだのに歩の入手方法が浮かびませんでした」

■後手の底歩は作者の狙い通りに悩まれたようです。

飯山修さん「89歩のほうは7手詰+4手。81歩のほうは歩の入手に手をかける。このツインは面白いアイデア。
是非シリーズ化してほしい。」

■ツイン作品に求められるものとして対称性があります。本作では同じ8筋の両端の底歩で、桂跳ねも馬での歩取りも対称になっていました。シリーズ化は、易問とちょいむずのツイン?それとも同じ着手パターンがあるツイン?

占魚亭さん「双方の角(馬)のルートは見当をつけやすい。どうやって打つ歩を入手するかが考え所。」

■先手の底歩では攻める途中で自然と入手できる歩ですが、後手の底歩に使う歩の入手に一苦労。

RINTAROさん「先手の底歩の方が時間かかりました。底歩=最下段の歩のことなんですね。駒の後ろに打つ歩のことかと思ってました。」

■思い違いや覚え間違いはよくあること。担当は「横歩3年の患い」を「底歩3年の患い」と覚えていたので、「金底の歩岩より固し」での底歩の評価が反対になっていると思ってました。、金底の歩が出てくる作品もあるので近いうちに出題します。

ミニベロさん「62金はこの形と決め打ちでしたが、61馬は、後手の歩の入手に3手かかるので難問になりました。
よく見たら、7筋の歩は2手で取れるのですが、暗算だとそのあたりが真っ暗でした。
いずれにしても、ヒントがなければ解けなかったでしょう。良く出来たツインだと思います。」

■暗算だと、初手の▲76歩の着手は角が出るためだけでお役目終了で存在を忘れてしまいそう。

原岡望さん「両方とも先手勝だったのですね。面白い問題です。歩を入手するまで待つのがポイント」

■両方とも11手なので先手の勝ちになります。後手の底歩の手順で最終手の61馬が書き間違いで51になっていましたが大目にみました。

ほっとさん「どちらも「底歩を打った」と表現することに抵抗があるのだが。」

■底歩は持ち駒を打つことでしか実現できないのにわざわざ「打つ」と言うことに違和感があるのかな。それとも飛の王手がかかっていないのに最下段に歩を打ったり、相手の駒に取りをかけるために打つ歩ではないので違和感がある?

はなさかしろうさん「先後でコントラストを付けた2解ですね。後手底歩は21ではなく81というのが面白かったです。」

■55地点の点対称ではなく、5段目の線対称の底歩でした。難度差があると、7手詰+4手の先手の底歩手順が解けたら、後手の底歩の手順も解いて解答したくなることに期待。


正解:11名

  NAOさん  変寝夢さん  諏訪冬葉さん  飯山修さん
  占魚亭さん  RINTAROさん  ミニベロさん  原岡望さん
  ほっとさん  はなさかしろうさん  テイエムガンバさん


(総評)

変寝夢さん「今月は特に面白い作品が多かったように思いました。」

■解図を楽しめて良かったです。

飯山修さん「新しいパターンの条件が出てくるとまだまだ発展の余地はあることがわかりますね。」

■後手の着手を全て公開した「34-1 勇み足」は二の矢が出て来ない条件です。少し似ていますが、後手の手の着手地点を全て明かした11手作を作りました。そうでもしないと限定できなかっただけなのですが、これを新しいパターンの条件だと思っていただけるのかどうか...。

占魚亭さん「久しぶりに全作解答できて嬉しい。」

■客寄せの初級はともかく、今回は手応えがある作品があったはずです。復調ということでいいですね。

RINTAROさん「何とも言えない3題。」

■選題にテーマが無かった3題だからかな?

原岡望さん「詰パラはまたもや沈没。おもちゃ箱が8日に解けてよかった。といってもヒント頼みです。」

■さて、詰パラ6月号の解図状況は如何に?おもちゃ箱の第163回の締め切り前ヒントは解答の集まり具合次第です。

ほっとさん「推理将棋は新作が作りにくくなっている印象。」

■条件付けに無理があるような感触を受けているのですかね。1条件の9手作はまだあると思いますが、簡素表現の1条件は出尽くしているかもしれません。


推理将棋第162回出題全解答者: 13名

  NAOさん  変寝夢さん  中村丈志さん  諏訪冬葉さん
  飯山修さん  占魚亭さん  RINTAROさん  ミニベロさん
  原岡望さん  べべ&ぺぺさん  ほっとさん  はなさかしろうさん
  テイエムガンバさん

当選: 飯山修さん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください

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