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推理将棋第162回解答(2)

[2023年6月23日最終更新]
推理将棋第162回出題の162-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第162回出題  推理将棋第162回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


162-2 中級  ミニベロ 作  自角の隣           9手

「先手は、初期配置以外の自角の隣への着手がありましたね」
「8手目の金が最後の抵抗でしたが、9手で詰みましたね」
「途中に王手がありましたが、唯一の成る手でしたね」
「最終手は「打つ手」以外の着手でしたね」
「で、君たちは私にどうしろと言うのかね!?」
どうやら、推理将棋を知らない記者達からの質問だったようです。

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 9手詰
  • 先手は、初期配置以外の自角の隣への着手があった
  • 8手目は金
  • 途中にあった王手は、唯一の成る手
  • 最終手は「打つ手」以外

出題のことば(担当 Pontamon)

 途中の王手で成る駒は何でしょう?

作者ヒント

 角の隣は紐がつかない(ミニベロ)

締め切り前ヒント

 角の隣への手は最終手で、角と馬での筋違い2枚角の形になります。

余詰修正

 会話と条件にある「自角の隣」の前へ「初期配置以外の」を追加させていたたき、「初期配置以外の自角の隣」になります。


推理将棋162-2 解答 担当 Pontamon

▲76歩、△34歩、▲22角不成、△44歩、▲33角成 、△52玉、
24角、△62金、▲34馬 まで9手

(条件)
・9手詰
・先手は、初期配置以外の自角の隣への着手があった(7手目▲24角-9手目▲34馬)
・8手目は金(8手目△62金)
・途中にあった王手は、唯一の成る手(5手目▲33角成)
・最終手は「打つ手」以外(9手目▲34馬)

Suiri1622

自角の隣への着手と言われると思い浮かぶのは初手の▲78飛で、はてるま手筋で後手玉を詰ます形でしょう。▲78飛、△52金右、▲76歩、△74歩、▲75歩、△同歩、▲同飛、△42金上、▲71飛成などの手順になりそうですが、駒成は1回だけで駒成での王手をしていますが、その王手は途中ではなく最終手なので条件をクリアできていません。一旦動いたあとの先手角の隣への着手となると、後手の角を取ってから打つ手でしょうか。これだと、3手目に▲22角不成で角を取って、5手目には▲12角などの手で自角の隣への着手を実現でき、先手にはあと2手残されているので、駒成(角成)での王手を7手目にしてから9手目の最終手で詰ますという構成が可能かもしれません。22の角が▲33角成で王手すると9筋側へ玉に逃げられてしまいます。42地点で合い駒すると33の馬と12の角の配置では1手で詰ますことができません。41に玉が移動していれば、▲23角成が王手になり、△42玉に▲33角成の筋違いの二枚馬で詰みそうですが、桂が利いているのでダメです。どうも、自角の隣へ角を打ったあとに角成で王手をするのは難しそうです。

Suiri1622aそこで思い出さなければいけないのはミスディレクションです。何も途中の駒成王手を攻め方の先手が実行する必要はないのです。後手の△77角成での王手を取り入れて後手玉を詰ました手順が参考図の手順です。この後手の△77角成の王手を▲同桂で取り、実現できていない自角の隣への角打ちの筋違い角の二枚角で無事後手玉を詰ますことができました。角の隣には角の利きがないので最終手を支えることができないので、参考図のように筋違い二枚角での合い利かずの形が詰み形になります。解図できたと思ったのですが、後手の金の手の△62金は8手目ではなく4手目なので条件を満たしていません。8手目の△44歩と手順を入れ替えてみると、△77角成の王手ができなくなるので手順の入れ替えもできないので失敗手順でした。それに、最終手が「打つ手」なのでこれも条件をクリアできていませんでした。

参考図:▲76歩、△52玉、▲33角不成、△62金、▲24角不成、△77角成、▲同桂、△44歩、▲34角 まで9手

駒成での王手は先手が指さないといけないのでしょうか。先の手順で▲12角と打つ手順を考えた時、▲76歩、△42銀、▲33角不成、△52金左、▲22角不成、△41玉、▲12角、△51金寄、▲23角成の手順だと最終手で駒成王手が可能なのは見つけていたのですが、どこかの改善が必要みたいです。角を取って角の隣へ打つという思い込みが間違いなのでしょうか?角だと3手目に取ることができますが、角以外の駒だと5手目に取ることになるので、7手目に角の隣へ打つ手順だと駒成での王手が実現できないので、自角の隣への手は角打ちで合っていそうなのですが....。

角を打ってから成る手順しか考えていませんでしたが、角を打つ前に駒成での王手を先に実現する手順の可能性を考えていませんでした。3手目に▲33角成で王手してから▲22馬で角を取り、7手目に角を打って、9手目にその角の隣へ馬を移動させる手順と、3手目に▲22角不成で角を取ってから5手目に▲31角成か▲33角成での王手をして、7手目に角を打って9手目にその角の隣へ馬を移動させる手順の可能性が残っていました。

3手目の▲33角成の王手の手順だと、▲76歩、△54歩、▲33角成、△62玉、▲22馬、△72金、▲34角、△44歩、▲同馬のような手順が精一杯で、玉の退路を埋める△51金が間に合わず詰んでいません。目指す詰み形としては角の隣への支えがないので筋違い二枚角での合い利かずの形で合っているはずです。となると3手目の▲33角成ではなく、3手目に角を取ってから5手目の▲33角成で王手する手順なのでしょうか?王手する地点が33なので先ほどと同じ結果になりそうな気がするので、5手目の▲31角成で王手する手順を先に考えてみます。5手目の▲31角成が王手になるためには4手目は△42玉である必要があり、▲31角成の王手に△51玉か△52玉のどちらかが6手目になります。詰み形を考慮すると△52玉しか無さそうですが、31に居る馬を34地点や64地点へ動かすことはできないので、5手目▲31角成の手順では無さそうです。残る手順は3手目▲22角成で角を取り、5手目▲33角成で王手する手順です。33角成で王手することは3手目の▲33角成の王手と同じですが、7手目の角打ち後の角の隣へ移動する馬の位置が違っていました。22の馬なら最終者▲44馬しか無かったのですが、33の馬なら7手目の角打ちの場所が増えるからです。初手から、▲76歩、△34歩、▲22角不成、△何か、▲33角成、△何か、▲角打ち、△金の手、▲馬移動の手順になるはずです。33に馬が居る場合は▲34馬の手が可能なので、7手目の角打ち地点として▲24角が可能になります。▲34馬の最終手で詰みになるなら後手玉は△52玉になるので、5手目の▲33角成の王手に対して6手目は△52玉です。玉移動後の51地点が玉の退路になりそうですが、▲24角が利いているので33の馬が▲34馬へ移動しても大丈夫です。8手目の金の手は玉の退路として残っている62地点を埋めるための△62金です。残っている不明な着手は4手目ですが、▲34馬で王手が掛かるには43の歩が邪魔なので△44歩の歩突きが必要になっていました。これで解図終了となりました。

なお、余詰手順は、初期配置の角の隣へ初手で▲92香などの手を指す、
▲98香、△34歩、▲76歩、△33角、▲同角成、△52玉、▲32角、△62金、▲43角不成
などです。
粗検、大変申し訳ありませんでした。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

ミニベロさん(作者)「自陣以外での条件は入れたくなかったのですが、失敗でした。
敵陣付近で、打つ以外の角の隣9手は、意外となかったので作ってみました。」

■全く無駄手になる初手の自陣角の隣の手は余詰検討から漏れていました。粗検、申し訳ありませんでした。

NAOさん(双方解)「5手目33角成と8手目62金を決め打ち。もともと原型は8手詰なので修正前は初形角の隣で余詰んだ。42-51を睨む角を52に効く馬に入替えるのが気づきにくいトリック。
このような角筋を入替える先行作は少なく、おもちゃ箱43-3 DD++作ぐらい。」

■8手目が飛だったので見落としてましたが、43-3は類作でした。

変寝夢さん「実戦初形/非連続王手/手数=9/手指定条件完全一致=8,動かした駒の種類=金/条件一致回数指定=9,5&7:=:1,移動先の横の駒=角/手指定条件完全一致=3,動かした駒の種類=角/手指定条件部分一致=9,生駒移動@成駒移動/条件一致回数指定=7,1&2&3&4&5&6:=:1,王手@成/条件一致回数指定=7,1&2&3&4&5&6:=:1,成/手指定条件完全一致=3&4&5&6&7&8&9,移動後の段=1|2|3|4/詰条件=手数限定で、解図時間は49分31秒 思考局面数は3756134 不詰記憶局面 944 不詰ハッシュ衝突回数 770 同一局面衝突回数 12828でした。44歩が深謀遠慮の一手ですね。」

■2手目が△34歩だとの前提で移動後の段に4段目が入っているのかな。4段目着手が△34歩、△44歩、▲24角、▲34馬の4手があったので解図時間の短縮に効果があったのかな。

諏訪冬葉さん「34角+44馬は考えたのに何でこれにたどり着かなかったんだろう」

■33に馬が居る形だとその馬を支えにしての▲43角や▲34角や▲16角での筋違い二枚角がよくある形。34角+44馬は解説の通りもう一歩届かないんですよね。

飯山修さん「161-2の解答の言い訳でこれと同じ形となるのがバレバレ。こういうヒントの出し方もあるということか。」

■2~3ヵ月先の出題を作品の在庫から準備しているのですが筋違い2枚角の詰み上がりがたまたま続いてしまっていました。

占魚亭さん「筋違い2枚角の詰み形なのはイメージできていましたが、ちょっと苦戦しました。44歩が上手い一手。」

■角でトドメを指す時の支えの駒であることが多い馬ですが、本問では角が支えていた馬を角の支えのない角の隣へ動かす手は指し難かったと思います。

RINTAROさん「条件と手順が釣り合ってないような。」

■少し条件が多い感じですかね。

原岡望さん「大駒は離して使う。31角成の紛れにはまりました。馬に紐をつける余裕がないと分かって解決。」

■▲76歩、△34歩、▲22角不成、△42玉、▲12角、△52金左、▲21角成、△51金寄、▲31角成の9手があるので▲21角不成からの▲31角成とか、▲31角不成で銀を取って、△32玉を▲22銀と▲21角成で詰める手順が解図の邪魔をします。

ほっとさん「ヒントがあっても難しい。」

■詰み形が珍しいのと、角の隣への打つ手以外の着手条件が難しかったと思います。

はなさかしろうさん(双方解)「弱め条件の連立なので難問と予想しましたが、8手目が金で最終手が駒打ちでないとなると、7手目角成の王手、8手目金合、9手目にもう一枚の角で金を取って詰み、という形がない以上は5手目の角成で王手をかけなければならないわけですね。自角の隣条件を初手にクリアしてはいけないとなると、7手目に角を打ち、9手目に角の隣に馬を動かすことが導かれ、馬の陰から角の利きが伸びる綺麗に辿り着きました。
(元条件の余詰例: ▲7八飛△3四歩▲7六歩△3三角▲同角成△5二玉▲3二角△6二金▲4三角不成まで)」

■94問題も弱め条件の連立ですが「何手目は」の情報があるのでまだ何とかなりそう。手順限定のために使うことが多い「初手は歩」「初王手」「駒成1回」などの軽い条件だけだと確かに難問になるでしょうね。問題を作るのも難しそうだけど。

テイエムガンバさん「確かに「初の詰み形」ですが、手順としては例の手順(筋違い2枚角)。類題としては43-3が最も近いと思うのですが、いかがでしょうか。」

■先行作、類作を調べた際、43-3では44の歩が盤上から消えていたのと62地点を埋める手が本年では金だったので別手順のように見えて見落としていました。


正解:11名

  NAOさん  変寝夢さん  諏訪冬葉さん  飯山修さん
  占魚亭さん  RINTAROさん  ミニベロさん  原岡望さん
  ほっとさん  はなさかしろうさん  テイエムガンバさん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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