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推理将棋第164回解答(1)

[2023年8月23日最終更新]
推理将棋第164回出題の164-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第164回出題  推理将棋第164回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


推理将棋第164回解説  担当 Pontamon

第163回は今年初の余詰や出題文の修正が無い月だったのに今月は2題の余詰を出して、平均すれば毎月ペースに戻ってしまいました。粗検、申し訳ありませんでした。
今回は10名の方々から解答をいただきました。いつも解答、ありがとうございます。


164-1 初級  るかなん 作  阿弥陀様の思召       10手

「随分感想戦が長かったようだけど、どうしたの?」
「10手目の不成が反則で負けになっちゃったけど、成なら合法手だったからその先を並べてたんだ。」
「感想戦でなく指し継いでいたのか。そっちは後で聞くとして、他には何かあった?」
「全ての筋に着手があって、駒台に5種類の駒を乗せたよ。先手は連続で指した駒も、不成も無かった。」
「先手の連続着手無しは53歩成の次の手で52と、みたいな手順も無いってことだね。」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 10手目に成が合法手の着手を不成として反則
  • 全ての筋に着手があった
  • 駒台に5種類の駒を乗せた
  • 先手に同じ駒の連続着手なし
  • 先手に不成なし

出題のことば(担当 Pontamon)

 反則はいつでも何でもできるので限定が大変ですが、他の条件と相まってうまくまとめられています。

作者ヒント

 歩は3番目(るかなん)

締め切り前ヒント

 角、香、歩、桂、金の順で駒取りをします。最後の金を不成で取ったのが反則。


推理将棋164-1 解答

76歩、△34歩、▲22角、△33桂、▲92角、△45桂、
11馬、△57桂不成、▲81角、△69桂不成 まで10手(反則負け)

(条件)
・10手目に成が合法手の着手を不成として反則(10手目△69桂不成)
・全ての筋に着手があった(1筋:7手目、2筋:3手目、3筋:2手目/4手目、4筋:6手目、5筋:8手目、6筋:10手目、7筋:初手、8筋:9手目、9筋:5手目)
・駒台に5種類の駒を乗せた(3手目:角、7手目香、8手目:歩、9手目:桂、10手目:金)
・先手に同じ駒の連続着手なし
・先手に不成なし(3手目▲22角成、9手目▲81角成)

Suiri1641_20230823201301

Suiri1641a成れば合法手なのに不成だったので反則になったということは、12手での後手着手だと9段目への歩不成、香不成、桂不成か8段目への桂不成の4通りしかありません。9段目への歩不成の場合、その筋の後手の歩を取る手と後手がその筋の8段目へ歩を打つ手とその後に9段目で歩不成を指す手の合計3手が必要になるので、10手では手数が足りません。10手で全筋着手ということは2回着手ができる筋はひとつだけになるからです。

香の場合だと、端で香を取ったあと、未着手の筋へ香を打って、その後で9段目で香不成を10手目に指せば条件をクリアできそうです。この方針で指してみたのが参考図の手順になります。歩、香、桂、銀、金の5種の駒を取っているので駒取り条件はクリアしましたが、8筋の着手がありません。香不成を指した6筋は2回の着手なので予定通りでしたが、3筋の着手が△34歩と▲31馬の2手ありました。また、▲53角成と△99角成が2手連続での成の手なのでこれも条件をクリアしていません。

参考図:▲76歩、△34歩、▲44角、△12香、▲53角成、△99角成、▲31馬、△68香、▲21馬、△69香不成 まで10手で反則

香不成の反則を目指すと後手は端筋の香を取りに行くことになり、どうしても角不成か角成の手を指すことになり、駒集めをする必要がある先手はやはり角成をした方が都合が良い(不成だと敵陣内での移動で不成か成が付く手を指すことになるので最初の手で駒成した方が得)ので、成の手が連続し易くなります。では、後手は桂不成を目指すとどうなるでしょうか?先手の桂を取りに行くのではなく、自陣の桂を4段跳ねして行く手順です。21の桂が69桂不成を目指せば、3筋から6筋までの筋の着手を順次指すことができます。10手の全筋着手で重複着手ができるのはひとつの筋なので、それは△34歩と△33桂になりそうです。後手の着手はその後の△45桂、△57桂不成、△69桂不成の反則までの5手で決まりでしょう。8手目に57の歩を取り、10手目に金を取ることになります。

先手の着手は、後手が指さない筋を1手ずつ指して、歩と金以外の3種の駒を取るのが先手のミッションになります。それらの筋は、1筋、2筋、7筋、8筋、9筋です。初手は7筋の▲76歩で、2筋は▲22角成で後手の角を取れそうです。また、▲11馬で香を取ることもできます。先手の残り2手は8筋と9筋の着手をしてこれまでに取れそうに駒種以外の駒を取る必要があります。香は▲11馬で取るので、8筋の桂を取ることになります。すなわち、▲92角を打って、▲81角成で桂を取ります。初手から、▲76歩、△34歩、▲22角成、△33桂と進みますが、5手目は▲92角です。先手は物理的に同じ駒を連続で指すことはできないので、22で成ったばかりの馬を5手目に動かす▲11馬は指せません。6手目から△45桂、▲11馬、△57桂不成、▲81角成、△69桂不成までの後手反則負けとなりました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

るかなんさん(作者)「タイトルは着手があみだくじ、ということで。先手も成なしにした方が余計な注釈も入らずスマートでしたね。」

■21の桂の経路が隣の線へ移動していく様子があみだくじのようなのですね。

NAOさん「全筋着手、5種の駒取り、同じ駒の連続着手なし、とここまでは達成が難しそうなテーマで意欲的な作品。できれば、初登場では反則手なしの作品を解図したかった。"合法"な次作を期待してます。」

■8月の出題は"合法"な作品になっていますが、反則をテーマにした作品の投稿もいただいております。

飯山修さん「この手順で合ってるなら初級の感じ。推理将棋は基本ばか詰なので作品がどんどんフェアリー化していっても問題ないでしょう。」

■7手詰手順の全ては安南ルールでは指せない手順のようですが、安南ルールだと初期配置から5手で詰めることができますね。
このような駒の性能が変わるフェアリールールは推理将棋には向いていないように思います。成禁や不成禁は「駒成なし」や「不成なし」の条件で既に使われていますので、取禁、禁欲、強欲、悪魔詰、天使詰などの手の選択肢を制限するルールは推理将棋でも大丈夫でしょう。

ミニベロさん「9手で9筋使用は、いろいろ探したけど結局なかったように思う。そのためか、10手で9筋使用問題は手つかず状態でした。他にもパターンはあるけど、詰みを求めないとは巧い着眼でした。」

■全筋着手は10手が最短のようです。全段着手は11手かかるのかな。
詰みを求めない新作の投稿に刺激を受けて、担当も、11手目で詰ますのを失敗したという作品を作り、現在、余詰検討中です。

ほっとさん「もう少しスマートな条件設定になっていればというところだが、新しい作家は今後が楽しみ。」

■作者のコメントにありましたが、「駒成なし」にしていれば少しはスッキリしたのでしょうね。

RINTAROさん「何故か後手桂を跳ねる手が見えて、ヒント前に瞬殺できました。」

■5種の駒を取らなくて良いのなら、▲18飛、△34歩、▲76歩、△88角不成、▲28飛、△99角成、▲48飛、△68香、▲58玉、△69香不成 で全筋条件はクリアできます。桂が見えたら、駒集めは先手の任務になるので考え易かったですね。

はなさかしろうさん「ゴールが詰みでない問題、PG的な雰囲気もあって面白いですね。条件はどうしても多くなる…ということから逆に、「詰み」という条件の強さも窺えます。」

■多めの条件のひとつの「(物理的に)同じ駒の連続着手なし」に引っ掛かったようで、▲92角から▲81角成を連続で指してしまったようです。

原岡望さん「角の分業」

■分業することで、同じ駒の連続着手をしないて駒収集ができました。

諏訪冬葉さん「全筋着手の条件から不成の駒は桂馬と判断しました」

■桂の4段跳ねで4つの筋の着手ができ、最後を不成にすれば反則負け条件をクリアできます。


正解:8名

  NAOさん  飯山修さん  るかなんさん  ミニベロさん
  ほっとさん  RINTAROさん  原岡望さん  諏訪冬葉さん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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