推理将棋第164回解答(2)
[2023年8月25日最終更新]
推理将棋第164回出題の164-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第164回出題 推理将棋第164回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
164-2 上級 けいたん 作 桂着手5回 12手
「12手で詰みか」
「成らないと反則のときだけ成ったね」
「5手目は7段目の着手だったな」
「相手の玉頭に角を打つ手があったね」
「8手目と9手目は同じ筋の着手だったな」
「桂着手は5回だったね」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 12手で詰み
- 成らないと反則のときだけ成る
- 5手目は7段目の着手
- 相手の玉頭に角を打つ手あり
- 8手目と9手目は同じ筋の着手
- 桂着手5回
出題のことば(担当 Pontamon)
成らないと反則になる手の駒種は歩、香、桂の3種。どちらがどの駒種で成ることができるか整理しましょう。
作者ヒント
ピンメイト(けいたん)
締め切り前ヒント
ピンされているのは38の銀なので13手目に同銀とは指せません。
余詰修正
会話と条件で「玉頭に」の前に「相手の」を挿入して「相手の玉頭に」に修正
推理将棋164-2 解答 担当 Pontamon ▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同桂、▲77桂、△58角、 (条件) |
桂の手が5回あって、桂の強制成りがあるとすると後手の桂が4段跳ねして9段目で成るのには4手で行けるので桂の手のもう1回は先手に指してもらう必要がありそうです。都合が良さそうなのは▲77桂です。初手▲76歩、3手目に角を動かせば5手目の7段目着手として▲77桂がぴったりです。
後手は桂の4段跳ねで9段目に成桂を作りますが、攻め駒が必要になるでしょう。後手の6手のうちの4手が桂跳ねの手になるので残りは2手しかないので思い浮かぶ駒は飛になります。この方針で先手玉を詰めたのが参考図の手順になります。桂の強制成りで29地点で成桂を作り、それを支えにして玉腹への△39飛不成での詰みです。
参考図:▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同桂、▲77桂、△25桂、▲58飛、△37桂不成、▲48金、△29桂成、▲49玉、△39飛不成 まで12手
しかし、参考図の手順は玉頭への角の手が無いので失敗手順でした。▲76歩、△34歩、▲66角、△33桂、▲77桂、△45桂、▲48金、△57桂不成、▲58玉、△69桂成、▲57角、△59金 の手順だと玉頭への角の手はありますが、角を打つ手ではないですし、自玉なのでこの手順も失敗になります。
相手玉の玉頭へ角を打つ手が必要となると、59の先手玉に対しての△58角が有力です。桂の強制成りは参考図では29地点でしたが、58の角の利きがある49地点での桂成の形になりそうです。さて、問題なのは先手玉の位置です。玉が59や48の場合、△49桂成での王手のときに▲58玉と角を取って逃げることが可能です。桂の手4回と角打ちの手を指すので残り1手があるはずなので△58角と打ったあとに△67角不成と事前に逃げておけば良さそうなのですが、58へ打つための角を取る手があったはずです。3手目の▲44角に△同歩で角を取らなくても、参考図の手順のように桂跳ねの手で角を入手すれば効率が良いのですが、その角を取る手は4手目なので2手目に桂跳ね以外の手を指しているので58の角を事前に逃げておく手を指すことはできません。
となると玉は39地点に居ることになります。39の玉が△49桂成で詰むのであれば、玉の退路になり得る38地点は金か飛で埋まっていて、もし38地点が飛の場合は飛が居た28地点は銀で埋まっているはずです。38地点が金の場合は玉の居場所を空ける銀の手は48になることになりますが、48に銀が居ると玉移動ができません。▲38金を先にすれば▲49玉、▲48銀、▲39玉の手順がありそうですが、△58角が利いているので49地点経由での玉移動はできないので、▲38飛、▲28銀で決まるはず。ここで先手着手を列挙してみると、▲76歩、▲33角不成、▲77桂、▲38飛、▲28銀で5手必要なので、▲48玉、▲39玉の2手の玉移動ができません。困った時に考える両王手はあるでしょうか?参考図と同様に2手目が△32飛なら39の玉に両王手を掛けることができるかもしれません。それには37の歩が邪魔なので、△49桂成の前の桂跳ねを△37桂不成とすれば良さそうです。先手は、▲18飛、▲28銀を指しておけば、△49桂成での王手と37の桂が動いたことによる32の飛での王手の両王手になるのですが、先ほどの飛と銀の2手を指すと▲39玉が間に合わないことの解消にはなっていません。
この両王手の配置を見ていると、飛と銀の2枚が1路ずつ左へ寄っていれば、32の飛で38の銀がピンされるので、△49桂成を▲同銀と取ることができない形が見えてきます。これなら飛は動かさずに▲38銀の1手で済むので玉は39地点まで移動することが可能になります。初手から、▲76歩、△32飛、▲33角不成、△同桂、▲77桂の出だしは参考図と同じで、続けて△58角、▲38銀と指します。8手目と9手目が同じ筋という条件があるので7手目は▲38銀を指します。8手目から△45桂、▲48玉、△37桂不成で37の歩を払い、▲39玉、△49桂成で詰みとなりました。
テイエムガンバさん指摘の余詰手順
▲76歩、△34歩、▲22角不成、△33桂、▲77桂、△45桂、▲68金、△57桂不成、▲58玉、△49桂成、▲57角、△59金(7手目▲48金なら10手目△69桂成)
解説では▲66角からの▲57角の角移動なので角打ちではなくてセーフでしたが、後手の角を取って▲57角と打つ手順がありました。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
テイエムガンバさん(双方解)「今回はこの1問のみの参戦です。余詰はすぐ気づいたのですが、角と桂と飛の連係のさせ方にはなかなか気づかず。」
■余詰の指摘ありがとうございました。余詰があると他の問題を解く気が無くなったというのでなければよいのですが...。
NAOさん(双方解)「最終ヒント待ちの難問。飛を32に置いたまま詰む形が見えなかった。桂5回着手が少なすぎず多すぎず絶妙。
・条件2番目の「成らないと反則のときだけ成る」は「成った」とする方が紛れがないと思います。条件文だけだと成る手がなくとも成立(会話文と不一致)」
■8手目と9手目が別の筋なので余詰ではないですが、桂着手5回で強制成りのない手順としては、▲76歩、△92香、▲33角不成、△同桂、▲77桂、△58角、▲48玉、△45桂、▲38玉、△57桂成、▲65桂、△47成桂 がありますね。強制成りがあってもなくても良いと解釈すると余分な手順も読む必要がありました。会話と条件文の不一致、申し訳ありませんでした。
飯山修さん「38銀でピンメイトというヒントで急に視界が開けた。これは難問。8,9手が同じ筋というのが桂のルート限定を匂わせてはいるが。」
■作者ヒントがピンメイトだったので、締め切り前ヒントでは何処のどの駒なのかを明かしました。▲38銀と▲48玉の手順前後や△25桂と△45桂の非限定を1条件で解決する「8手目と9手目が同筋」の条件でした。
るかなんさん「57桂58角59玉の形を軸に考えて69桂成は角に紐が付かないなと頭を捻り、ヒントが出ても角でピンして吊るし桂と思い込み。」
■△15角や△37角で▲48銀をピンする形はよく出て来ますね。逆側からだと、▲76歩、△34歩、▲66歩、△33桂、▲77桂、△45桂、▲65歩、△57桂成、▲58飛、△77角不成、▲68銀、△67桂 で68の銀は7段目の後手の3枚の駒に利いているのに身動きがとれません。締め切り前ヒントでピンされているのは38の銀だと分かり、余計に混乱したかも。
ミニベロさん「ヒントの38銀をピンで、すべての推理が崩壊。これは見たこともない詰め上がりです。」
■9手でさえまだ見たことが無い詰み上がりが出て来ることがあるので、12手ともなるといろんな形が出て来そうです。
ほっとさん「桂の4段跳ねが鮮やか。」
■5回目の桂の手をどうしようか悩むところ。△34歩、△33桂で始めると後手に残されるのは1手だけなので、桂跳ねの途中で先手の桂を拾って最終手で打つか、最終手の桂成の支えとして10手目に打つかを考えると桂着手が6回以上になってしまう。すると、玉頭への角打ちは先手?
RINTAROさん「38銀が大ヒントで詰上りが見えました。」
■締め切り前ヒントではこのくらい明かさないと解けない難問だと思いました。ピンされる駒と位置が分かっても別の配置を考えられた方も居るかと思います。
はなさかしろうさん「面白いピンの構図でした。」
■ピンメイトという作者ヒントがあっても思い浮かび難い構図になっていました。
原岡望さん「縦から攻めるとは」
■△34歩を突かずに▲33角不成を△同桂で取ることによって2手目の余裕を作り出す。それで2手目の△32飛が指せて、飛の利きを生かす△37桂不成からの△49桂成でした。
諏訪冬葉さん「桂馬の5手は4段跳ね+吊るし桂かと思ったら無駄手が入るとは
それ以前に「38銀をピン」のヒントがなければ絶対正解にたどり着けなかったと思います」
■桂の着手が条件にあるとまずは考えるのは吊るし桂の形。桂の着手5回が桂の4段跳ね+吊るし桂なら初期配置の先手の桂を駒成なしで取りに行くことになるので後手は困ってしまう。
正解:10名
テイエムガンバさん NAOさん 飯山修さん るかなんさん
ミニベロさん ほっとさん RINTAROさん はなさかしろうさん
原岡望さん 諏訪冬葉さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
| 固定リンク
「推理将棋」カテゴリの記事
- 推理将棋第181回解答(1)(2025.01.22)
- 推理将棋第182回出題(2月10日まで)(2025.01.01)
- 推理将棋第180回解答(3)(2024.12.30)
- 推理将棋第180回解答(2)(2024.12.25)
- 推理将棋第180回解答(1)(2024.12.21)
コメント