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推理将棋第164回解答(3)

[2023年8月29日最終更新]
推理将棋第164回出題の164-3の解答、第164回出題の当選者(RINTAROさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第164回出題  推理将棋第164回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


164-3 上級  Pontamon 作  動けない歩の隣の駒     13手

「13手目の初王手で詰んだってね」
「うん、駒を成る手は、1筋の駒が強制成りする手の2回だけだったよ」※
「他にはどんな手があったの?」
「1段目への駒打ちに駒打ちで応じる手があったのと、歩の隣にある駒は歩以外は動かさなかったよ」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 13手目の初王手で詰み
  • 駒を成る手は、1筋の駒が強制成りする手の2回 ※
  • 1段目へ駒を打つ手に駒打ちで応じる手があった
  • 歩の隣にある駒は歩以外は動かさなかった

※強制成り:ルール上、成らないと反則になる場合の駒成とします


出題のことば(担当 Pontamon)

 早合点注意、1筋での強制成りではありません。

作者ヒント

 1段目への駒打ちは後手(Pontamon)

締め切り前ヒント

 強制成り回数が余詰修正で明らかに。香と桂です。4手目に取った歩を1段目へ打ちます。

余詰修正等

 会話中と条件の「1筋の駒が強制成りする手」の後に「の2回」を追加した「1筋の駒が強制成りする手の2回」に修正
 会話中と条件の「歩の隣の歩以外の駒を動かす手は無かった」を「歩の隣にある駒は歩以外は動かさなかった」に修正
 会話の「駒打ち」の後と条件文の「駒を打つ手」の後に「に駒打ちで応じる手」を追加


推理将棋164-3 解答 担当 Pontamon

▲16歩、△14歩、▲15歩、△同歩、▲同香、△42玉、
11香成、△32玉、▲21成香、△11歩、▲14桂、△42銀、
22桂成 まで13手

(条件)
・13手目の初王手で詰み(13手目▲22桂成)
・駒を成る手は、1筋の駒が強制成りする手の2回(7手目▲11香成、13手目▲22桂成)
・1段目へ駒を打つ手に駒打ちで応じる手があった(10手目△11歩、11手目▲14桂)
・歩の隣にある駒は歩以外は動かさなかった(初手▲16歩と2手目△14歩はOK)

Suiri1643

Suiri1643a先手の1筋の駒の強制成り(駒を成らないと反則になる)は、▲11歩成、▲11香成、▲21桂成、▲22桂成の4つ。強制成り以外でも駒成ができるのなら11手で簡単。本作では、駒成条件の他に1段目への駒打ちの条件も悩みの種。もし1段目の駒打ちが先手の手なら、打つための駒を取る必要がある。1段目へ打った駒を支えにしての詰み形がありそうだが、歩以外の歩の隣の駒を動かせないので1段目への駒打ちがある、▲76歩、△94歩、▲66角、△93桂、▲同角不成、△42玉、▲14桂、△51金左、▲22桂成、△32銀、▲41角、△12香、▲32成桂の手順は歩の隣の66の角が動いているので失敗になる。

歩の隣の駒は歩しか動かせないのなら、先手の1筋の歩を突き進めて行き、▲11歩成を目指してみたのが参考図(余詰修正前の条件)の手順です。後手が1段目へ駒打ちできるように先手は途中で角を差し出したので、△51角の1段目への駒打ちに△12飛の駒を打つ手で応ずること(余詰修正後の条件)も実現でき、後手玉を詰ましているのですが手数オーバーの15手なので失敗です。▲22角で角を差し出す手を省けば、後手の△51角が無くなり、13手での詰みとなりますが、1段目への駒打ち条件をクリアできません。

参考図:▲16歩、△14歩、▲15歩、△13角、▲14歩、△12飛、▲13歩不成、△42玉、▲12歩不成、△32玉、▲22角、△同玉、▲11歩成、△51角、▲12飛 まで15手

余詰修正によって強制成りの回数は2回と判明しているので、▲11歩成、▲11香成、▲21桂成、▲22桂成の4つのうちのどれかひとつの手だけを含む手順は考えなくてもよくなりました。2回の強制成りと言っても、▲11歩成を2回とか▲11香成を2回、▲11歩成と▲11香成を1回ずつというのも手数的に間に合いません。可能性があるのは、11地点での強制成りと2筋での強制成り(桂が成る手)の組み合わせになります。

参考図の手順で▲22角を先手が指さないとしても▲11歩成は11手目になるので、残り1手しか指せない先手は2回目の強制成りの手を指すことはできません。となると、1筋の強制成りは▲11香成で2筋の桂の強制成りの手との組み合わせになるはずです。初手から▲16歩、△14歩、▲15歩、△同歩、▲同香と進み、先手は次の手番の7手目に▲11香成が可能になります。2筋での桂成を目指して29の自陣の桂を跳ねて行くと13手目にようやく▲13桂不成ができ、2筋での桂の強制成りの▲21桂成は15手目になるので手数が足りません。となると先手は後手の桂を入手して1筋へ打ち、その後2筋での桂の強制成りを目指すことになります。7手目に▲11香成をするので9手目に▲21成香で桂を取り、11手目に1筋へ桂を打ち、13手目に桂の強制成りをするという手順になりますが、21地点は先手の成香が居る状態なので、1筋への桂打ちは▲14桂になり13手目は▲22桂成になるので、21の成香と22の桂成の形で後手玉を詰ますことになります。つまり、後手玉は32地点に居なければいけません。6手目から△42玉、▲11香成、△32玉、▲21成香と進むと次の11手目の先手は▲14桂の桂打ちの手になるので、後手は10手目に1段目への駒打ちをする必要があります。持ち駒は歩しか無く、歩が切れている筋は1筋なので10手目は△11歩が確定します。続けて▲14桂、△42銀、▲22桂成で詰みとなりました。

余詰修正により、強制成りは2回の条件になったので、歩以外の歩の隣の駒を動かせないという条件は不要になっていますが、この条件が元々あったのは13手目の▲22成香を除外するためでした。(▲66角からの▲97角不成の順も除外する必要があった)

余詰例
▲96歩、△42玉、▲76歩、△34歩、▲22角不成、△32玉、▲51角、△33桂、▲同角右不成、△94歩、▲14桂、△22銀、▲同桂成(NAOさん指摘)
▲76歩、△34歩、▲22角不成、△33桂、▲21角、△42銀、▲33角不成、△52金左、▲14桂、△41玉、▲22桂成、△51金寄、▲32成桂(担当)

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん(双方解)「動けない歩の隣の駒は21の成香だった。」

■この条件のため、▲76歩、△94歩、▲66角、△97香/桂、▲同角不成などの紛れ筋も同時に無くなりました。

飯山修さん「4手目迄の手順をバラした直前ヒントのおかげで何とか解けました」

■一番速い強制成りを考えると端筋の歩の突き合いから香を走る手順が出てくるはずなのですが...。角打ちがある倍にどうやって角を取るのかを考えるのと同じ要領ですね。

るかなんさん「直前ヒントの「4手目に取る」を見てようやく頭が回り始めました。」

■皆さんの短評によると、序の4手が中々見えなかったようです。

ミニベロさん「11と12に成駒を並べる順はだめでした。一路ずらしたら旨くいきました。これも珍しい順ですね。」

■作図の切っ掛けはけいたんさん作の投稿で、2回の強制成りを狙いにしました。2回の強制成りは12手で可能ですが、先手と後手で1回ずつ。攻め方が2回の強制成りを指すには最短で何手必要なのかというところからの作図でした。

ほっとさん「「1筋の駒が強制成り」は「成る前に1筋にいた」と解釈。ヒント無しでは到底解けない。」

■余詰修正で強制成りが2回という作図の狙いが明かされたので解き易くなったはずなのに解答が集まらなかったのは164-2の難問のせいだと思いました。

RINTAROさん「何故か序の4手が見えず苦戦。ヒントに惑わされたようです。」

■後手が1段目に打った歩を強制成りの手で取りに行くと勘違いされたのかな。

はなさかしろうさん「シンプルですっきりした手順。タイトルの条件が面白そうで、解説を楽しみにしています。」

■強制成りがテーマなので最初は「次の手番で強制成りができるような着手をした」という条件で△18歩が予定でした。強制成り2回が狙いだったので最終手での▲22成香は考えいなくて余詰に気付きませんでした。この余詰修正を兼ねての条件変更でした。同時に紛れ筋も減りましたが...。

原岡望さん「なぜか最初の4手が見えず大苦戦。あきらめかけたとたんに閃きました。やれやれ」

■1段目での歩成、香成、桂成が頭から離れなくて、強制成りのための準備手順に気が回らなかったようですね。

諏訪冬葉さん「3は時間切れです。」

■解答の前に「不成だと反則」かつ「成ると合法手」の最小手数は香7手・桂歩8手との記載がありました。一番早い7手目の11香成から入れば残り6手(先手の残りは3手)だったのですが...。


正解:8名

  NAOさん  飯山修さん  るかなんさん  ミニベロさん
  ほっとさん  RINTAROさん  はなさかしろうさん  原岡望さん


(総評)

NAOさん「「行き所のない不成」を絡めた特集を楽しみました。
私見です。たまには反則手を手順に含める特例(164-1)も構いませんが、3年に1作ぐらいが許容範囲。また、会話や条件に合法、非合法、強制成り・・・とわざわざ難しい言葉を入れなくとも、164-2「成らないと反則のときだけ成った」の表現が簡明ですっきりしています。」

■「強制成り」は「駒成」と同様に将棋用語ではありません(将棋用語のネット検索でヒットしない)が、見ても聞いても意味のわかる言葉なので、まあ大丈夫でしょう。ミニベロ作の「148-3 強制成り」で最初に出て来た言葉だったと思います。
作図済みの作品で使っている「強制成り」は書き直したほうがいいかな....。市民権を得ている「駒成」を「駒を成る手」に修正することはありませんが。

飯山修さん「今年のパラ全国大会に行ってきました。座った席の隣がNAOさん。会場には加藤徹さん、魚熊さん、中村雅哉さん、スタッフにほっとさんがおられました。駅近くの二次会では隣の席に中村雅哉さんがこられたので数年前に作った詰上り図面DB集を見てもらったところ『こういうものがあるなら作品はすぐ作れるので作って投稿してください』といわれてしまいました」

■担当は全国大会の2日前の土曜日にギックリ腰になって整形外科へ。ネット中継を見ていましたが、休憩時間や記念撮影の時は映像がオフになったので皆さんの様子を見れなくて残念でした。
飯山さんからの作品投稿をお待ちしております。

るかなんさん「「強制成のみ」の条件で、歩の強制成だけがある手順を作意にするのは難しそうですかね。」

■過去作だと○術師さんの10手「42-2 一番奥への歩成」「45-2 一番奥への歩成2」があります。緑衾さんの10手「139-2 1つの筋に5回」の条件では強制成りを隠しています。タラパパさんの11手「42-3 一段目に歩の手が2回」なども。

ミニベロさん「上級2作には手こずりました。夏バテか解図力の低下か。」

■見覚えのある詰み上がり図だとあっさり解いてしまう解図強豪者の中のお一人なので解図力の低下ではないと思います。

ほっとさん「2と3が難しく、締切直前に何とか作意らしき手順に到達。」

■2と3は手数にしても難度にしてもどちらも上級。年賀推理以外で上級2題は珍しいのですが「強制成り」特集でしたので同時出題になりました。

RINTAROさん「1だけ解いて、あとは放置。締め切り日に慌てて解きました。」

■解答の集まりが悪く、担当はヒヤヒヤしました。

原岡望さん「今回は全部手がかりがつかめず往生しました。心臓に悪いです。8/10 22:31」

■刻々迫る締め切り時間は心臓に悪いですね。


推理将棋第164回出題全解答者: 10名

  テイエムガンバさん  NAOさん  飯山修さん  るかなんさん
  ミニベロさん  ほっとさん  RINTAROさん  はなさかしろうさん
  原岡望さん  諏訪冬葉さん

当選: RINTAROさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください

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