推理将棋第165回解答(3)
[2023年9月28日最終更新]
推理将棋第165回出題の165-3の解答、第165回出題の当選者(けいたんさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第165回出題 推理将棋第165回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
165-3 上級 けいたん 作 最終手76歩 13手
「13手目の初王手で詰みか。最終手は76歩だったね」
「5段目に角を打つ手があったな」
「5段目に歩を打つ手があったね」
「4筋で同の手が2回あった」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 13手目の初王手で詰み
- 最終手は76歩
- 5段目に角を打つ手あり
- 5段目に歩を打つ手あり
- 4筋で同の手が2回あった
出題のことば(担当 Pontamon)
11手の36歩までの過去作では後手玉の位置は2通り。76歩だと玉は?
作者ヒント
歩不成あり(けいたん)
締め切り前ヒント
5段目への角打ちは先手、歩打ちは後手。最終手の▲76歩は空き王手の手です。
余詰修正
会話と条件に次の文章を追加
「4筋で同の手が2回あった」
推理将棋165-3 解答 担当 Pontamon ▲46歩、△34歩、▲45歩、△44角、▲同歩、△52玉、 (条件) |
最終手が▲76歩だと分かっているので、後手玉は75地点か先手の角筋地点に後手玉が居ての空き王手での詰みのはずです。「134-2 3筋の歩突きまで」では最終手が11手目の▲36歩で35の玉が詰む手順でした。左右の筋を反転させても詰みになる形は多いのですが、11手では殆どの筋の5段目玉が詰むのですが75の玉が詰む手順は無いようです。しかし、2手増えた13手だと75の玉を▲76歩で詰ますことができるのでしょうか?はたまた、大方の予想通り▲76歩は空き王手の手なのでしょうか?
75の玉を▲76歩の歩突きで詰める手順を考えてみると、▲96歩、△74歩、▲97角、△62玉、▲53角成、△73玉、▲97桂、△84玉、▲54馬、△75玉、▲78飛、△84歩、▲76歩の手順が浮かびますが、駒取りは先手が歩を取るだけなので5段目への歩打ちも角打ちもできません。▲76歩の歩突きで75の後手玉を詰める手順は他にもあるでしょうが、△75玉とするには後手着手は最低でも5手が必要なので残された1手では駒取りと駒打ちの2手を指すことができません。かといって、先手が5段目への角打ちと歩打ちをしようとしても歩が切れている先手の筋は無いので5段目への歩打ちは不可能です。
となると、予想通り▲76歩は空き王手のはずです。▲76歩の空き王手までの11手で5段目への角打ちがある手順に5段目へ歩を打つ手を増やしてみたのが参考図の手順となります。詰んではいるものの手数オーバーの15手でした。しかし、5段目への角打ちは先手の手で、▲76歩で利きが通った88の角との筋違い2枚角の形は玉の退路封鎖に効果があるようです。5段目への歩打ちは後手自らが退路を塞ぐ手になっているので、この方針も正しそうに見えます。
参考図:▲36歩、△34歩、▲35歩、△66角、▲同歩、△42玉、▲65歩、△33玉、▲34歩、△同玉、▲45角、△44玉、▲46歩、△35歩、▲76歩 まで15手
参考図の手順で手数オーバーになった原因は、▲36歩がそのままで居れば35地点の退路は塞がっていたのですが、後手に歩を打たせるために▲35歩、▲34歩で手数を使ってしまったところにありそうです。また、角を取る手は△66角に対しての▲同歩でしたが、66に歩が居ては▲76歩が空き王手にならないので▲65歩を指しておく必要がありました。これも1手を無駄にしている感じです。後手角の取り方と歩を後手に差し出す手順を効率的に指す手順を考える必要があります。
後手の角の利きは先手の角の利きと重なっているため、△66角、▲同歩でも△55角、▲同歩も先手の歩が角筋に残ったままでは▲76歩が空き王手になりません。空き王手での詰みなら後手玉は44地点まで出て来るはずなので、角を取る地点を44にすれば一石二鳥な気がします。初手から▲46歩、△34歩、▲45歩、△44角、▲同歩の手順で5手目に角を取ることができました。この後、後手玉が△42玉、△33玉、△44玉で歩を取れば、その歩を5段目へ打てばよいはずです。ところが、後手は歩を入手したのは良いけれど、歩が切れている筋が無いので歩を打つことができません。44の玉の退路を埋めるための歩打ちなので△45歩を指したいところです。それには43の歩を先手が取る必要があります。4筋の先手の歩は角を取るときに44地点まで来ているのでもう1手指して43の歩を取れば良いことになります。初王手で詰む条件なので、後手玉の経路で△42玉を指すと突き歩の王手になってしまうので、6手目からは△52玉、▲43歩不成、△同玉になります。先手の5段目への角打ちは▲65角として43地点の退路をカバーすることになりますが、43に玉が居るので今すぐには▲65角を打てません。9手目は▲36歩で35地点をカバーし、続けて△44玉,▲65角、△45歩で5段目への角打ちと歩打ちを済ますと13手目の▲76歩で詰みとなりました。
余詰
るかなんさん指摘の手順は
▲36歩、△34歩、▲35歩、△33角、▲34歩、△42玉、▲33歩不成、△同玉、▲45角、△44玉、▲46歩、△35歩、▲76歩
はなさかしろうさん指摘の手順は
▲66歩、△34歩、▲68飛、△66角、▲同飛、△42玉、▲63飛成、△65歩、▲同龍、△33玉、▲95角、△44玉、▲76歩
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
るかなんさん(双方解)「最初は26歩から22歩成を考えてました。その後角打歩打76歩を全部先手でこなすと後手が何をしても15手より縮まらない、ということは。」
■ということは、角打ちと歩打ちを先手と後手で分担するのですが、角打ちに必要な角を持ち駒にするには...。
はなさかしろうさん(双方解)「奇数手▲76歩まで/偶数手△34歩まで、というのはなかなかのチョークポイントですが…ミニベロさんが出題していた記憶があったので検索したところ、タラパパさんまで遡るとのこと。11手が最短なのでしょうか。本問は44玉型で後手45歩がユニークですね」
■△44玉に△45歩の形にするには13手かかってしまうということですね。
NAOさん「一気に退路を狭める65角。」
■2手目の△34歩が玉の退路を狭めていたとは驚きの詰み形でした。
RINTAROさん「初王手条件で手順が限定されている。」
■8手目に△同玉で取られるので関係無さそうな手の7手目の▲43歩不成が不成で限定されていました。
ミニベロさん「44に腰掛ける順や、33で詰ます順を追うと泥沼。「3筋角打ち」でも35角に誘われそう。この形は初めて見ます。」
■43地点経由での△44玉ですが、玉の退路を抑える5段目への角打ち。13手で可能な形でした。
ほっとさん(双方解)「3筋から行く余詰筋が強力。」
■粗検、申し訳ありませんでした。
飯山修さん「76歩がオリジナルなのか再生品なのかの見極め問題。素直にオリジナルと見て44同歩で角入手を考えれば一気。」
■△77角成、▲同桂などで後手角を取った後に歩を入手し、▲77歩と打った再生品の歩での▲76歩を考えられたのですね。
原岡望さん「角の取り方」
■先手にしても後手にしても角を取るのが難しいのに角打ちがあるというジレンマを44で後手角を取ることで解決。
べべ&ぺぺさん「面白そうですが、解がみつかりません。残念です。」
■最終手の▲76歩が空き王手だと決め打ちしても、解くのが難しい13手でした。
諏訪冬葉さん「「角を取る」と「4筋で同の手」が急に結びついて最初の5手が出てきました。」
■余詰修正で解き易くなりました。
桝彰介さん「玉が中段で詰むと思ったのですが、そこまで至る手順が難しくて解けませんでした。」
■▲76歩の空き王手だと後手玉の指定席は△44玉なのですが、見たことが無い詰み形なので難問でした。
占魚亭さん「降参です。」
■手数が1手増えるとこれまでに見たことが無い配置が可能になるので詰み形が思い浮かび難いです。
正解:9名
るかなんさん はなさかしろうさん NAOさん RINTAROさん
ミニベロさん ほっとさん 飯山修さん 原岡望さん
諏訪冬葉さん
(総評)
るかなんさん「今回の共通項は何だろう。「駒の押し売り」かと思いましたが165-1は少しずれるか。」
■今月は特集テーマなしの一般出題でした。あえて言うなら「大駒がカギになる3題」でしょうか。
RINTAROさん「今月は中間ヒント前に解答を送ることができました。」
■ヒントなしでの解答だったのですね。
ミニベロさん「この夏のテーマは、暑さをしのいで無事生き残る事。涼しい部屋で推理将棋とかね。」
■先日見たニュースによると統計がある過去126年で一番暑い夏だったとのことでした。
ほっとさん「165-2は新しい方向性ですね。」
■駒の機能が変化したり通常の将棋駒の利きとは違う駒の動きの採用は難しいですが、着手制限系のフェアリールールは推理将棋に取り込めますね。
変寝夢さん「2の先手と後手でルールが違う作品は自在詰を思い出します。
もう知っている人もいないでしょうが、ケーケどうしてんのかな?
と呟いてみます。」
■「自在詰」は初めて聞きましたし、WFPルール一覧に「自在詰」は載ってないですね。「ケーケ」は作者名でしょうか。すみません、こちらも存じ上げません。
TETSU注:自在詰とは、変身ルールの内、双方ともどれを使っても良い、という超自由なルールです。
飯山修さん「今月も楽しい作品でした。アイデアは尽きないものですね。」
■人間の創造力の賜物ですね。
原岡望さん「詰パラが〆切日に解けず、気分転換に取り組んだこちらが先に解けました。」
■詰パラ締め切り日に全問正解でした。
べべ&ぺぺさん「今月は1問のみの解答です。」
■解けなかった2問もコメントをいただき、ありがとうございます。
桝彰介さん「前回は解ける初級問題が無く、3問とも締め切り前ヒントが出ても解けませんでした。今月は、初級問題のおかげで解答を送れました。」
■出題中の第166回にも7手問題がありますし、来月も7手作を出題予定です。
テイエムガンバさん「前回の推理将棋で1問しか答えられなかったのは、他の問題が難しかったというのが理由です。」
■問題との相性があるかもしれませんが、前回は初級ながら10手作と上級2題だったので難しかったかも。
推理将棋第165回出題全解答者: 16名
けいたんさん るかなんさん はなさかしろうさん NAOさん
RINTAROさん 中村丈志さん ミニベロさん ほっとさん
変寝夢さん 飯山修さん 原岡望さん べべ&ぺぺさん
諏訪冬葉さん 桝彰介さん テイエムガンバさん 占魚亭さん
当選: けいたんさん
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