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推理将棋第166回解答(3)

[2023年10月26日最終更新]
推理将棋第166回出題の166-3の解答、第166回出題の当選者(占魚亭さん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

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  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


166-3 上級  青木裕一 作  平手なら詰まなかった?   11手

「これが11手で詰まされて負けたときの棋譜だよ」
「11手目に詰んでないし後手から指してる…って上手?ああ、平手じゃなくて飛車落ちか。将棋は…不成あり、7種類の駒の着手ありのバラエティーに富んだ将棋だね」※

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 飛車落ちで11手で詰み。
  • 平手の配置で本譜と同じ手順で進んだ場合、11手目に詰まない。※
  • 7種類の駒の着手あり。
  • 不成あり。

※平手のときの手順は駒落ちに合わせて後手(上手側)から指していることを除き、反則はない。


出題のことば(担当 Pontamon)

 11手で詰んだのに、終局図の後手玉は詰んでいなかったようです。

作者ヒント

 詰ます側の手番の飛が単純に増えるだけで詰まなくなるようにするにはどうすればいいか?私はそれを成立させるための理由付けを2つ見つけました。本作の理由付けはその片方です。(青木裕一)

締め切り前ヒント

 7種類の駒では駒の表裏は別の駒と考え、棋譜に現れる駒種を数えてください。先手の駒が82地点へ移動する手があります。平手だと先手の持ち駒に飛があったはず。


推理将棋166-3 解答 担当 Pontamon

手合割:飛車落ち
△34、▲68、△77成、▲58右、△68、▲同
△92、▲91角、△38飛、▲82角不成、△39飛成 まで11手

(条件)
・飛車落ちで11手で詰み。
・平手の配置で本譜と同じ手順で進んだ場合、11手目に詰まない。(平手だと10手目▲82角不成で飛が持ち駒にあるので△39飛成の王手に▲49飛の合い駒が可能)
・7種類の駒の着手あり。(初手△34歩の歩、2手目▲68飛の飛、3手目△77角成の角、4手目▲58金右の金、5手目△68馬の馬、6手目▲同銀の銀、7手目△92香の香で順に歩、飛、角、金、馬、銀、香の7種類)
・不成あり。(10手目▲82角不成)

Suiri1663

平手だと同手順では詰まないという意味がよく分からないので置いておきます。初期配置で盤上にある駒は8種類で成駒を入れると14種類あり、そのうちの7種を使うにはどうするかを考えてみます。

初期配置から最短では7手で詰むので、11手指せるなら差は4手あるので使う駒種を容易に増やせます。飛車先の歩を突いて行って最後は歩成する手順なら、着手する駒は、歩、玉、飛の3種なので、11手で増える4手を香を突いて角を引くと2種と金と銀を動かせば7種の駒を使うことができますが、飛車落ちの上手は初手△84歩から歩を突いて行っても歩を支える飛車がないので、この手順は使えません。平手だったら詰まない手順ではなく平手だったら詰む手順になっていました。

Suiri1663a他の7手詰手順を検討するのもいいですが、元々余裕手がある詰み手順を使うとか、逆に詰み形を作るのに多くの駒を動かす手順を検討するのも良いかもしれません。8手のはてるま手筋だと、玉側の指し手は玉の退路を自ら塞ぐために、飛と金で58地点と68地点を埋める形や金と銀で埋める形、2枚の金で58地点と68地点を埋める形があります。飛車落ちなので上手は飛がないので下手の飛を取る必要があるので、飛を提供するために取り易い位置への飛移動があるので玉の退路を塞ぐのは金と銀にすれば良いでしょう。はてるま手筋で進めてみたのが参考図の手順となります。

11手目の△39飛成で詰めたと思ったのですが、68地点で飛を取らせた時に王手になっていたので68地点を埋める手の▲68同銀で取った角が持ち駒になっていたので、△39飛成に▲49角の合い駒ができる状態だったので失敗でした。

参考図:手合割:飛車落ち △34歩、▲68飛、△77角不成、▲58金右、△68角不成、▲同銀、△38飛、▲77桂、△52玉、▲98香、△39飛成 まで11手

68地点で飛を差し出したのが失敗の原因だったので、78地点で飛を渡すように手順を変更すると、△34歩、▲78飛、△77角成、▲68銀、△78馬、▲58金右、△38飛、▲77桂、△52玉、▲98香、△39飛成 のように11手目の△39飛成で詰むのですが、使った駒は歩、飛、角、銀、馬、金、桂、玉、香の9種類もありました。ということで、7種の駒を使うのはそんなに難しくは無さそうですが、ここで「平手だと同手順では詰まない」という条件が効いてきます。参考図の手順も変更した手順も「平手だと同手順では詰まない」の状態にはなってい無さそうです。

参考図の手順での失敗理由は合い駒ができる角が持ち駒にあったからなので、その角を使ってしまえば合い駒はできなくなります。角を打つとその代わりに下手が指した香か桂の手が削られてしまいますが、変更した手順では駒種は9種あったので使う駒種を削っても大丈夫かもしれません。詰み形に関係が無い手は下手の▲92香、▲77桂と上手が指した△52玉の3手ですが、馬の手を使えば、香、桂、玉の3つのうちの2つは削ることができそうです。▲92香の代わりに△92香を指せば香の手を指して、桂と玉の手を削ることができます。

さて、飛を取るために△77角成から△68馬で飛を入手しましたが、条件には「不成あり」がありました。駒種として馬を増やせましたがその影響で不成の手が無くなりました。合い駒ができないように下手は持ち駒の角を打ちますが、不成の手を実現するには打った角を不成で動かすことになります。角の打ち場所と不成の手の場所は確定していませんが、手順は初手から△34歩、▲68飛、△77角成、▲58金右、△68馬、▲同銀、△92香、▲角打ち、△38飛、▲角不成、△39飛成になり、7種の駒を使っているので駒種の条件はクリアしています。角不成の手では上手の駒で取っても良いのは歩だけです。初期配置の47には歩が居るので合い駒で▲49歩を指せないからです。上手の歩を取るのであれば、王手にならないところへ角を打って、王手にならない地点の歩を取れば良いのですが、非限定ですし、平手だとしても同じ手を指せば同じ局面になるので合い駒ができずに詰んでしまいます。つまり、歩だけではなく角不成の手で上手の1段目の駒を取る手は指せません。駒を取らない手で角不成をするしかありませんが、その手も中段に多数ある空きマスへの角不成は非限定ですし、平手でも同じ状態になります。平手と異なる状態なのは82地点に飛が無いことなので、角不成は▲82角不成がピッタリの手になります。駒落ちなら何も駒を取れない手になり、持ち駒が無いので合い駒ができずに詰みになりますが、平手だと82の飛を取る手になるので▲49飛の合い駒ができて詰まないことになります。角を打つ地点はちょうど△92香で空いた91地点の▲91角です。先の手順の8手目から▲91角、△38飛、▲82角不成、△39飛成で詰みとなりました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

NAOさん「見えない飛車を取れば、攻撃力が弱まるはずの駒落ちの方が詰む謎が解ける。初めの7手で7種駒達成。」

■上手は自分の飛がないので先手の飛を取って使う。上手の唯一の大駒の角を下手が取ってしまうと詰みにつながらないと思って角取りを遠慮していると詰まないといった、逆、逆を行く罠。

はなさかしろうさん「素晴らしい設問で熱中しました。主条件からの第一感は上手が91に角を打つ展開でしたが、△3四歩▲7六歩△8八角成▲4八玉△9二香▲3六歩△7四歩▲3七玉△7八馬▲4六玉△9一角や△7四歩▲7六歩△3四歩▲5五角△同角▲4八玉△9二香▲1六歩△9一角打▲1七桂△3七角成など、1手届かず。そこで下手からの82地点へのアプローチに方針変更し、△3四歩▲5八玉△7七角成▲4八金△9五馬▲5五角△7四歩▲8二角不成△同銀▲6六歩△7六角までを見つけましたが7種駒条件に惜しくも届かず。短手数の透かし詰形をマラソンすることになりました。簡潔な条件で大駒交換からの龍単騎をぴったり限定しつつ多彩な紛れまで抑え込んでいて、検証の深さを感じました。」

■本問の解図&研究を堪能されたようですね。

ミニベロさん「これは素晴らしい謎解きですね。詰将棋なら、打ち歩や邪魔駒などでよくあるが、11手の推理将棋でこんなことがあるのか。ただ、補足なしで「成駒」を別種とするのは違和感がある。」

■「7種類の駒の着手」ではなく「7種類の駒種の着手」や「着手した駒種は7種類」だと違和感はなかったですね。

るかなんさん「「もう片方の理由」しか浮かばず、上手91角打のあと74歩を考えていました。全てが崩れ去ったあと、最後に91角打が戻ってきた時の衝撃たるや。」

■91へ角を打つのは先手でした。持っていれば合い駒に使えたのに....。「もう片方の理由」の作品投稿はまだありませんが、ネタがばれたかな?

けいたんさん「降参です。」

■推理将棋を作るのと解くのとでは勝手が違うかな。

RINTAROさん「82角不成の筋だろうなということはすぐ気づいたが、「7種類の駒の着手あり」条件がなかなかクリアできない。中間ヒントももう一つは打歩絡みかということしか分からない。締め切り前ヒントで「駒の表裏は別の駒」という大ヒントが出て、正解に近付いた。とはいえ、68飛を同馬同銀と取るのが一番効率的なのに、何故か見えづらかったです。」

■平手の10手で、▲68飛、△68(同)角/(同)馬、▲68同銀の手がある手順の殆どは△39飛成まで。それ以外の最終手は2つのようです。

ほっとさん「着手6種の紛れが多く難解。92香~91角が絶妙。少ない条件でよくまとまっている。」

■▲91角を指せるように、先手の飛を△68馬で取って▲同銀で取らせる。合い駒として使えないように角は使ってしまうという二重三重のカラクリが見え難い。

飯山修さん「34歩 58王  77角生 48金 86角成 55角 74歩 82角生 同銀 66歩 76角 迄11手
一応詰んではいるが7種の駒に足りない。正解はわかりません。」

■二枚角の詰み形で、作意同様に82に上手の飛が無かったので合い駒入手が出来なかったというシナリオ。

桝彰介さん「平手だと飛車の持ち駒が合駒出来るので11手で詰まないところまでは分かりましたが、そこまでの手順にたどり着きませんでした。」

■仕掛けが分かれば、ほぼ正解だったと言えそうです。

諏訪冬葉さん「「7種類の駒」の条件が満たせませんでした。
△34歩▲78飛△77角成▲68銀△78馬▲55角△74歩▲82角不成△38飛▲58金右△39飛成
の6種類が限界でした。」

■▲82角不成を指す際、▲55角経由ではなく、91への角打ちからの▲82角不成が正解でした。▲91角を実現するために△92香の手を指して7つ目の駒種の手が可能になりました。

原岡望さん「降参です
82馬と龍を考えましたがどうしても手数超過になります。青木氏恐るべし。」

■飛車を取った馬を82地点まで持って来ると確かに手数オーバーですね。


正解:6名

  NAOさん  はなさかしろうさん  ミニベロさん  るかなんさん
  RINTAROさん  ほっとさん


(総評)

はなさかしろうさん「「〇〇だと詰まなかった」特集、秀逸ですね。3問ともわかりやすさと強さを兼ね備えた面白い好条件でした。」

■楽しんでいただけたようで幸いです。

ミニベロさん「新しい才能が出てきて、一番嬉しいのは担当先生ですね。」

■作家が増えるのは嬉しいことです。選題がしやすくなりました。

るかなんさん「結局直前ヒント無しでは解けませんでしたが、ノーヒントで解きたくなる絶妙な設定でした。」

■解けそうな条件だとやる気が出ますね。絶対解いてやるぞ!!

けいたんさん「先月の当選ありがとうございます。1問解答でも当選することがあるんですね。」

■抽選もプレゼントも「おもちゃ箱」オーナーのTETSUさんがされています。感謝!感謝!

RINTAROさん「今回は3にやられました。」

■不慣れな駒落ちで飛が無い理由付けの謎もあって解読が難しかったです。

ほっとさん「「〇〇だと詰まなかった」は使えそうな条件ですね。」

■詰まなかった〇〇の手も着手可能でなければいけないので、限定条件として有用ですね。

飯山修さん「孫がインフルエンザに感染し1家全滅。39度以上の高熱が3日続くのは老人にはきつい。皮肉な事に高熱の最中に予防接種の案内が届いた。皆さん予防接種は必ず受けましょう。」

■10月10日に7回目のコロナワクチン接種を完了しました。11月はインフルエンザワクチン接種かな。

桝彰介さん「今月も、初級問題のおかげで解答を送れました。推理将棋を解くのは難しいですが、毎月問題に挑戦しています。」

■10月出題の初級も7手ですが、毛色が変わっていてちょっと厄介かも。

占魚亭さん「今回も2問解答です。」

■詰将棋のように全問正解とは行きませんか。解けた分だけで結構ですので解答送付をよろしくお願いします。


推理将棋第166回出題全解答者: 14名

  NAOさん  はなさかしろうさん  ミニベロさん  中村丈志さん
  るかなんさん  けいたんさん  RINTAROさん  ほっとさん
  テイエムガンバさん  飯山修さん  桝彰介さん  諏訪冬葉さん
  原岡望さん  占魚亭さん

当選: 占魚亭さん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください

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コメント

「もう一つの理由」は、作者の都合もあるかと、あえて短評には書かなかったのですが、
もうバレてしまいましたね。でも次回作期待してます。

投稿: ミニベロ | 2023.10.26 12:47

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