推理将棋第167回解答(1)
[2023年11月23日最終更新]
推理将棋第167回出題の167-1の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。
関連情報: 推理将棋第167回出題 推理将棋第167回解答(1) (2) (3)
推理将棋(おもちゃ箱) 推理将棋(隣の将棋) どんな将棋だったの? - 推理将棋入門
推理将棋第167回解説 担当 Pontamon
推理将棋第167回は13名の方から解答をいただきました。いつも解答ありがとうございます。
167-1 初級 るかなん 作 計算ドリル 7手
「7手で詰み、なのはいいけど横の掛け算は何?」
「計算ドリルと一緒に置いていたらこれも計算されたみたい。」
「ああ、素因数分解か。なるほど、この棋譜には2種類の素因数を持つ数字しか無かったんだね。」
さて、どんな手順だったのでしょうか。
(条件)
- 7手で詰み
- 棋譜上のすべての数字は2種類の素因数を持つ
※左の手:棋譜に左の文字が付く着手
出題のことば(担当 Pontamon)
11角の11は素数が11の1種なのでNG、99角の99は3×3×11なので素数は3と11の2種なのでOK、66角の66は2×3×11なので素数は2と3と11の3種なのでNG。
作者ヒント
同の手あり(るかなん)
締め切り前ヒント
とどめの着手地点で絞るのが良いでしょう。23、53、31は素数が1種、42は素数が3種。52と62が素数2種です。
推理将棋167-1 解答 ▲76歩、△52玉、▲33角不成、△51金右、▲同角不成、△72銀、▲62金 まで7手 (条件) |
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中学の数学で習った素因数分解では、自然数を素数の積の形にします。割り切れる素数を小さいものから順に探して行くことになります。
7手詰で有名な23歩成までの手順では7手目の23歩成の23の数字が素数なので条件をクリアできません。一番小さい素数は2なので、着手地点の数字が偶数であれば、少なくとも因数として2があるので条件をクリアできる可能性があります。7手詰手順で、31角右成や53銀、97角などの手が出てくる手順は23歩成と同様に素数地点の着手になるので除外されます。2筋の歩を突いて行く手順以外の7手詰手順では3手目は角の手になります。97角の97は素数なので除外しましたが奇数地点としては33角の手があります。33は3×11の2種の素数なので条件をクリアします。参考図の手順は3手目が▲33角成で、その他の手は全て偶数地点の着手になる手順を探したものです。
76は2×2×19なので素数は2と19の2種、72は2×2×2×3×3なので素数は2と3の2種、33は3×11なので素数は2種、最終手の52金の52は2×2×13なので素数は2と13の2種で62の玉を詰めていて、62は2×31なので素数は2種なので良さそうだったのですが、6×7=42の42金の手は6を更に素因数分解することができるので2×3×7の3種の素数の積になるため条件をクリアしていませんでした。
参考図:▲76歩、△72金、▲33角成、△42金、▲同馬、△62玉、▲52金 まで7手
参考図の手順で失敗した原因の42地点の着手は7手詰では結構出てくる着手地点なので42の着手が無い手順を思い出す必要があります。▲76歩、△52玉、▲44角、△54歩、▲71角成、△51金右、▲53銀の手順はどうでしょう?最終手の▲53銀は素数の53地点なのでダメですし、5手目の▲71角成の71地点も素数なので指せません。奇数地点の51の手も出て来ましたが、51は素数ではなく、素因数分解すると3×17なので2種の素数の積になっていました。51地点の手を指せるのであれば、▲33角不成から玉尻の金を▲51角不成で取って▲62金で詰ます手順があったのを思い出しました。後手着手の△52玉の52地点は2×2×13で着手可能でした。初手から、▲76歩、△52玉、▲33角不成と指して、4手目は先手に金を取らせるための△51金右で、続けて▲同角不成として、6手目は飛の利きを塞ぎつつ62地点への利きを無くするための△72銀と指せば▲62金で詰みとなりました。
それではみなさんの短評をどうぞ。
(短評)
るかなんさん(作者)「セリフはありませんが、「将棋を1ミリも知らない人物」が登場する問題でした。」
■棋譜と一緒に計算ドリルが置いてあった理由も謎。
NAOさん「2段目は32と42が不可。「32と42の着手はなく7手で詰み」に読み換えれば早い。」
■なるほど、2段目の着手可能地点で絞るやり方ですね。
はなさかしろうさん「7六を七十六と読むのは注釈が欲しいですがそれは置いといて、良い意味でめんどくさい7手ですので敬意を表して無駄にめんどくさく解いてみました。7手29通りのうち、42にも53にも着手がないのはこの手順だけですね。」
■日本将棋連盟では棋譜表記に算用数字を使うことになっているので、7六歩を76歩としても問題にはなりませんが、読み方はどちらの表記でもナナロクフなので棋譜の76は厳密にはナナジュウロクではありませんね。ということで出題のことばでは「11角の11は素数が11の1種」などのように棋譜の2桁の算用数字を2桁の数字として扱うように伏線を張りました。
出題文の中で明示すべきでした。申し訳ありません。
諏訪冬葉さん「1.53は素数なので最終手53銀はない(12通り)
2.42は3種類の素数の積なので16通りが消える
残ったこれを検算して終了。」
■53と42に目を付けたのが鋭い。
ミニベロさん「因数分解なんて忘れちゃったよ。42(3種)が使えない、さらに53(素数)がダメとなるとこれしかないのか。よく見つけました。いろいろ考えるもんだね。」
■ミニベロさんも42と53で絞り込んだのですね。
原岡望さん「よく気がついたものですね」
■過去作に奇数筋だけとかはありましたが、数字の特性を追って素数をテーマにしたのかも。100以下の素数は25個あって、1桁の素数は2、3、5、7の4個なので2桁の素数は21個。その21個全てが初期配置の地点にあります。何かできそうな気がします。
ほっとさん「偶然?最初に思いついた7手が正解だった。
2^2×19、2^2×13、3×11、3×17、3×17、2^3×3^2、2×31」
■23歩成までの7手とこの手順は特異なのを何となく感じていたのかも。
中村丈志さん「詰将棋同様、いつも通り駒は動かさずに解きましたが、数字は書き出して確認しました。」
■暗算で解くのは担当には無理です。だから詰将棋も解けないのか...。
占魚亭さん「「手順前後」「成生非限定」のない手順から絞っていきました。」
■駒種や何手目などの情報なしということは全手順が限定されていることになりますね
飯山修さん「25と53がアウトなのでそれを使わない手順探し」
■23歩成までの7手の手順では、2手目の42玉、3手目の25歩が早々とアウトになりますね。
RINTAROさん「画期的な条件かもしれませんが、面倒くさすぎます(笑)。」
■7手の29手順は知っているので全着手の地点の数字を素因数分解する荒業がききますが、面倒な素因数分解の回数を減らす方法を考えるのもパズル。たとえば角移動の地点。22から11、13、31は全てアウト。33から42はアウトで51はセーフ。44から53と71はアウトで62はセーフ。これなら全手順を知らない手数の問題の時にも使えそう。
桝彰介さん「理系の学校出てるとは言え、何年ぶりかで素因数分解したので時間かかりました。7手の条件としては面白いと思いますし、よく発見されたと思います。」
■面白い条件だと、着手地点の数字の合計が条件になっていた作品があった記憶があります。
正解:13名
NAOさん はなさかしろうさん 諏訪冬葉さん ミニベロさん
原岡望さん ほっとさん るかなんさん 中村丈志さん
占魚亭さん 飯山修さん RINTAROさん テイエムガンバさん
桝彰介さん
(当選者は全題の解答発表後に発表)
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