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推理将棋第168回解答(2)

[2023年12月20日最終更新]
推理将棋第168回出題の168-2の解答です。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第168回出題  推理将棋第168回解答(1) (2) (3)
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168-2 中級  けいたん 作   とどめは角右成      10手

「10手で詰みか」
「先手玉が3連続で動いたね」
「とどめは角右成の着手だったな」
「最終手で左の角は成れないけどね」

さて、どんな手順だったのでしょうか。

(条件)

  • 10手で詰み
  • 先手玉が3連続で動いた
  • とどめは角右成の着手だった
  • 最終手で左の角は成れない

出題のことば(担当 Pontamon)

 最終手で右角は成れるけど左角は成れないという仕組みを解き明かしてください。

作者ヒント

 歩を取る手2回(けいたん)

締め切り前ヒント

 最終手は先手陣ではなく中段なので、先手陣から動く右角だけが成れます。


推理将棋168-2 解答 担当 Pontamon

▲76歩、△34歩、▲75歩、△88角不成、▲68玉 、△97角不成、
77玉 、△66角、▲76玉 、△75角右成 まで10手

(条件)
・10手で詰み
・先手玉が3連続で動いた(5手目▲68玉、7手目▲77玉、9手目▲76玉)
・とどめは角右成の着手だった(10手目△75角右成)
・最終手で左の角は成れない(10手目に左の角だと△75角左で詰まない)

Suiri1682

Suiri1682a角の手の棋譜に右と左が付く着手は、着手地点に対して2枚の角が同じ側の段に居る場合になります。しかも棋譜に成も付くとなると着手地点は先手陣のはずです。そこで考えたのが、2枚の角が中段にあって、先手陣へ成り込んで詰める手順の ▲58玉、△34歩、▲76歩、△88角不成、▲68銀、△66角不成、▲59銀、△46角、▲18香、△57角右成 でした。しかし、この手順だと最終手が△57角左成でも詰んでしまうので、頭を捻って絞り出した手順が参考図の手順です。先手陣へ成り込まなくても、先手陣内で駒を移動させた場合には成と不成の選択になります。この形だと△57角左成では▲49玉の逃げ場があるので詰みません。

無事、解図が終わったと思ったのですが、条件をよく見ると「左の角成では詰まない」のではなく「左の角は成れない」という条件でしたのでこの手順は間違いでした。

参考図:▲58玉、△34歩、▲76歩、△88角不成、▲68銀、△79角不成、▲59銀、△48角、▲38金、△57角右成 まで10手

着手地点が同じなのに、片方の角が成れて他方の角が成れないとは不思議な話です。△88角不成で先手の角を取って△22角と打った場合、55地点への角移動の手を考えると、右側に居る角、つまり88の角は先手陣から中段の55地点への移動なので成ることができますが、22の角は単なる移動の手なので成は付きません。しかし、この場合の棋譜は△55角引成と△55角上になり、棋譜に右や左は付きません。着手した55地点の5段目に対して2枚の角は互いに反対側の段の2段目と8段目に居たからです。もし後手の角打ちの手が22地点ではなく46地点だった場合には、着手地点の5段目の55に対して2枚の角は6段目と8段目の同じ側の段に居るので棋譜表記は右と左に分かれます。つまり、△55角右成と△55角左の棋譜になるわけです。これで不思議な話の仕掛けが分かりましたので解図して行くことにします。

先手玉が3連続で動くと辿り着けるのは6段目なので、右の角が成る段は5段目のはずです。6段目で角成しても王手は出来ますが、左側の角は成れないので6段目に居るはずなので角右成は5段目になります。先の例示のように88の角と46の角の配置だと△55角右成で詰めることになるので先手玉は▲56玉でなければいけません。玉の退路を残さないためには5筋の歩を突いて、57地点経由で▲56玉とする必要があります。△46角によって玉は57地点へ逃げることができません。▲56歩、△34歩、▲55歩、△同角、▲58玉、△77角不成、▲57玉、△88角不成、▲56玉、△46角の手順では△55角右成の手が回ってこないので失敗です。▲46歩、▲45歩から47地点経由で▲54玉とすると10手目の△55角右成は指せますが47地点が玉の退路として残ってしまうので失敗です。△55角右成では上手くいかないとなると、角右成は2筋右にずれた角筋の75地点になるでしょう。△75角右成なら先手玉は▲76玉のはずです。初手から▲76歩、△34歩、▲75歩、△88角不成と指します。先手玉は76地点へ行くので初手の▲76歩が76地点に居ると邪魔なので3手目は▲75歩です。5手目は▲68玉ですが7手目に▲77玉を指すには88地点の後手角が邪魔です。6手目は最終手で△75角右成を指せるように△97角不成と移動し、続けて▲77玉、△66角、▲76玉、△75角右成で詰みました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

けいたんさん(作者)「76玉形の詰上がりは発見と思う。」

■76の玉を75馬や75角成で詰ましたり、先後逆の34の玉を35馬や35角成で詰ます作品は過去に無いようです。「101-1 75飛まで」が唯一、76の玉を詰ます作品だったようです。

飯山修さん「77_1と同一手順作と思ったら玉の3連続が出来ない。やむなく他の脱出口探しでやっと7筋発見。」

■一番槍の解答時は77_1と同一手順の解答だったようですね。余詰連絡は無かったのに、解答を見た際、余詰手順があったのかと焦りました。

NAOさん「55角右成の筋は玉が角の利きに入って上手くいかない。ならば75地点で。」

■玉の4連続着手を初手▲68玉、3手目▲76歩で避けることは可能ですが、▲77玉、▲66玉、▲56玉は角の利きに玉が入ってしまいますね。

ミニベロさん「この条件では5段目しかないので35も75もあるのに、角筋を変える発想にたどり着けず、55に執着してしまった。」

■玉の3連続着手条件で▲55角右成の手順を回避しています。

ほっとさん「9手目の時点で角2枚がどこにいるかがポイント。」

■つまり、10手目で角右成を何処で指すかですね。

るかなんさん「最初は88角不成~22角打~55角「右」成でどうか、と考えてました。これだと「引」になるんですね。」

■解説で使った手順を考えられたようですね。棋譜表記の違いは難しいようなので、機会があれば解説しています。

原岡望さん「角の位置に気づいて解決。棋譜としては角成だけでよいのでは?」

■△75角成の表記だと、66の左の角を75地点で成る手との区別がつかないので、△75角右成と記載するのだと思います。66の左の角が成る反則の棋譜は△75角左成でしょうね。

RINTAROさん「46角で55角成迄の詰みは不可能。97角不成と回り道する手順は気付きにくいです。」

■10手目に右が付くように▲97角不成になりますが、玉とはそっぽの方へ角を動かす手は見え難いですね。

はなさかしろうさん「「左の角は成れない」、謎解きの要点が凝縮された好条件でした。」

■本問が投稿された時、担当は一瞬「何故?右が成れるなら左だって成れるだろう」となりました。敵陣へ角を成り込むのが普通なので。

桝彰介さん「先手の玉が5六で、8八で先手の角を取った角が5五に成って4六の角との連携で詰ます順等を考えてましたが、どうしても足りませんでした。」

■玉の3連続着手が無理なんですよね。

諏訪冬葉さん「ずっと55角不成を考えていました。」

■55角不成は168-3のおまけ手順に出て来る手のことかな?単に右を不と書き間違えたみたいですね。


正解:11名

  飯山修さん  NAOさん  けいたんさん  ミニベロさん
  ほっとさん  るかなんさん  原岡望さん  RINTAROさん
  はなさかしろうさん  諏訪冬葉さん  テイエムガンバさん

(当選者は全題の解答発表後に発表)

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