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推理将棋第168回解答(3)

[2023年12月23日最終更新]
推理将棋第168回出題の168-3の解答、第168回出題の当選者(るかなんさん)を発表します。推理将棋は将棋についての会話をヒントに将棋の指し手を復元するパズル。はじめての方は どんな将棋だったの? - 推理将棋入門 をごらんください。

関連情報: 推理将棋第168回出題  推理将棋第168回解答(1) (2) (3)
  推理将棋おもちゃ箱)  推理将棋(隣の将棋)  どんな将棋だったの? - 推理将棋入門


168-3 上級  ミニベロ 作   歩で始まり歩で終わる   11手

「鮒に始まり鮒に終わる、という釣りの話か」
「いやいや、将棋は歩から、ということでしょ」
「違うの! 先手は初手と最終手だけが歩だった、という11手で詰んだ将棋の話」
「見てたよ。先手は駒を1回だけ取って、それを7手目に3筋に打ったね」
「そう、成る手はなかったね」
「分かった! 最初と最後に鮒を釣ったのね」

釣りはさておき、この推理将棋の手順を考えてくださいね。

(条件)

  • 11手詰
  • 先手の歩の手は、初手と最終手だけ
  • 先手は駒を1回だけ取った
  • 7手目は3筋に駒打ち
  • 成る手なし

出題のことば(担当 Pontamon)

 歩の着手で詰むのに先手の歩の手は初手と最終手だけなので工夫が必要です。

作者ヒント

 11手でトドメ歩ならば、アレかアレくらいか(ミニベロ)

締め切り前ヒント

 空き王手での詰みですが、35地点や45地点を歩や桂で抑えることはできないので65の飛でカバーします。


推理将棋168-3 解答 担当 Pontamon

66歩、△34歩、▲68飛、△66角、▲同飛、△42玉、
36角、△33玉、▲65飛、△44玉、▲76歩 まで11手

(条件)
・11手詰
・先手の歩の手は、初手と最終手だけ(初手▲66歩、11手目▲76歩)
・先手は駒を1回だけ取った(4手目△66角、5手目▲同飛)
・7手目は3筋に駒打ち(7手目▲36角)
・成る手なし

Suiri1683

とどめの手が歩だと、打ち歩詰は反則なので当然盤上の歩を突く手になりますが、作者ヒントにもあったように2種類の手筋があります。すなわち、玉頭へ突いた歩で詰ます場合と歩突きによる空き王手の場合です。

Suiri1683a歩を突いて詰ます手筋と言えば、2筋の歩を突き進めて7手目の▲23歩成で詰める手順を思い出しますが、本問では駒成ができないので、22の玉を▲23歩不成で詰ましてみたのが参考図の手順になります。駒取りは1回で駒成はありませんが手数オーバーの13手ですし、3筋への駒打ちの手もないので失敗です。

解図の仕方として、まずメインの条件を満たす手順を考えて、手順前後や駒種の非限定が出て来たら他の条件と見比べて、手順を限定する解き方がありますが、この参考図の場合は最終手が歩突きだということに気をとられて、メインの条件すら外して歩の手ばかりを指した大失敗でした。それに、3筋へ駒を打たなければいけなくて駒取りが1回なのであれば、最終手で駒を取って良いはずはありません。

参考図:▲26歩、△12香、▲25歩、△11角、▲24歩、△42玉、▲16歩、△32玉、▲15歩、△22玉、▲14歩、△32飛、▲23歩不成 まで13手

11手で玉頭への突き歩で詰ました最近の作品は、駒成がある「134-2 3筋の歩突きまで」です。駒取り1回ですが駒打ちは1筋なので手順を変更してみても本問の解にはなりそうにありません。過去作と詰み形が同じでも条件違いの作品かもしれないので、過去作の手順を検討してみるのも解図方法のひとつと言えるでしょう。でも、玉頭への歩突きの詰み形ではないようなので、空き王手の形の検討に移った方が良さそうです。

歩突きの空き王手の場合、実際に玉を仕留めているのは角です。それが初期配置の88の角なら最終手は▲76歩になるでしょうが、3筋への駒打ち条件があるので、▲38角と打っておいて最終手が▲46歩での空き王手で74の後手玉を詰める可能性もあるかもしれません。この場合、後手の手は角道を開ける△34歩、角を先手に取らせるための△88角不成が必須となり、残り3手では玉が74地点へ行くことができないので無理なようです。となると、初期配置の角で仕留める最終手▲76歩になるはずです。後手玉は何処に居るのでしょう?「158-5 先手も後手も2回と3回」では55の玉を▲76歩の空き王手で詰めましたが、最終手を▲65歩にする手順もあります。「156-3 三捨利警部の推理 謎の11手」では33の後手玉を▲76歩の空き王手で詰めていました。

まずは後手玉が55の場合を考えてみます。158-5と同様に後手は△54歩に△55玉の配置になり後手の手に余りはありません。したがって、先手が後手玉の退路を抑える必要があります。▲76歩の空き王手だと44地点はカバーされています。64地点と65地点は、先手の初手▲86歩から69の金が75地点まで出ていけば64と65地点を抑えることができますが、45地点が空いているので詰めることができません。では、33の玉の場合はどうでしょう。玉の退路としては24、32、42地点があり△44歩の合い駒も可能なので先手の歩突きが初手と最終手だけでは退路を抑えることは出来そうにありません。となると後手玉の位置は44地点なのでしょうか?

44の玉を空き王手で詰める作品としては「5-3 とどめは玉」がありました。この作品では玉の退路の54地点を最終手の▲65玉によって空き王手と54地点のカバーをしているものでした。35地点と45地点はともに先手の歩突きで抑えています。本問では最終手が▲76歩になるので先手玉が65へ出て行く代わりに、初手▲46歩から49の金が65地点へ向かってみると、▲46歩、△34歩、▲48金、△42玉、▲47金、△33玉、▲56金、△44玉、▲65金、△12香、▲76歩 のようになり、△35玉と逃げられてしまいます。初手▲36歩として35地点を抑え、▲37桂で45地点を抑える形がありますが、65地点へ向かう金は遠回りになるため手数オーバーになってしまいます。

54地点を抑える方法としては65地点の金銀玉の他に角もあります。先手は初手に▲76歩を指せないので角で後手角を取ることはできません。55地点の角や44地点の角を歩で取るには歩突きの手が1回では済まないので無理ですが、66地点の角を取る手順では歩突きが1回で済みます。初手から▲66歩、△34歩、▲68飛、△66角、▲同飛の手順です。この手順だと66に先手の飛があるので▲65飛を指せば35地点と45地点を抑えることができます。しかし、取った角で▲65角を打って54地点を抑える予定でしたので▲65飛を指すと角を打てません。条件に「7手目は3筋に駒打ち」があったので54地点を抑える目的であれば角を65に打たなくても▲36角でOKです。6手目から△42玉、▲36角、△33玉、▲65飛、△44玉と進むと11手目の▲76歩で無事に詰めることができました。

それではみなさんの短評をどうぞ。

(短評)

ミニベロさん(作者)「解を忘れて10分ほど考えてしまった。カンニングもできないしね。」

■担当は、作意順を忘れた自作を1日考えることも(笑)

飯山修さん「これは最終手歩突き詰の走りと思われるパラ71番と同様ですが成なしの条件があるので解答者にやや親切になっている。」

■詰パラ#71では3連続の飛の手が条件になっていました。

NAOさん「76歩を切札に。66歩を角で取らせて飛をさばこう。」

■飛の活用が見えれば正解はすぐそこ。

けいたんさん「76歩までが11手でできるとは!」

■11手で35の玉を▲34歩で詰ますことはできますが、75の玉を▲76歩で詰ますのは無理みたいです。

ほっとさん「まあ開き王手ですよね。」

■作者ヒントのアレかアレの一つはその通りですね。

るかなんさん「初手が盲点で直前ヒント待ち。76歩 34歩 22角不成 62玉 38銀 74歩 39角 73玉 77桂 84玉 56歩みたいな形は考えたんですが、もっとシンプルなやり方がありました。」

■解説では▲38角と打って、最終手▲46歩について軽く触れましたが、▲39角の手は思い浮かびませんでした。

原岡望さん「この筋完全に忘れていました。初手76歩として大苦戦」

■空き王手作(両王手を含め)を作る時には、△44玉を空き王手で詰ます手順は必ず検討するのでよくある形だと思っていましたが、解説の原稿を書き始める際に過去作を探しても△44玉を▲76歩の空き王手で詰める作品が無くて焦りました。

RINTAROさん「優しいヒントのおかげで簡単に解けました。」

■締切前ヒントが甘過ぎたかな。

はなさかしろうさん「これは瞬殺したかった。▲***△3四歩▲7八飛△7七角生▲同飛△4二玉▲3六角△3三玉▲***△4四玉▲7五飛までを考えると、「歩で始まり歩で終わる」はいずれも待ち的な意味なので、飛の5段目移動で詰まないように時間差で歩を突くのがなかなか思いつけませんでした。」

■本問は作品の深掘りではなく、久々に解図を楽しまれたようですね。

桝彰介さん「締め切り前ヒントを見て、後手の飛車を取る余裕は無いので、先手の飛車を最短で成る手の応用で飛車を6五まで持っていく手を思い付きました。」

■手筋の応用は大事ですね。

諏訪冬葉さん「5手目までに駒を取る必要があるので初手は76歩しか考えていませんでした。13手ならいろいろできるのに・・・」

■解答のおまけで付いていた13手手順を是非作品化して投稿いただければと思います。

占魚亭さん「「76歩まで」とピンと来たので、すんなり解けました。」

■最終手が予想できても、歩や桂で玉の退路を塞ぐ手立てが無いので難しいはずなんだけど...。


正解:12名

  飯山修さん  NAOさん  けいたんさん  ミニベロさん
  ほっとさん  るかなんさん  原岡望さん  RINTAROさん
  はなさかしろうさん  桝彰介さん  諏訪冬葉さん  占魚亭さん


(総評)

飯山修さん「今回は早めの解答ができてやれやれです。」

■一番槍の失敗はちょっと残念だったかもしれませんが、三番槍で仕留めることができました。

けいたんさん「今回は条件が頭に入りやすい作品が多かったです。数字パズル的なのは苦手」

■来年の話は鬼が笑うといいますが、年賀推理には数字パズル的なものがいくつか入っています。締め切りまで期間があるので是非解いてみてください。

ほっとさん「今月は割と簡単でした。」

■12月出題のとりの問題が難しくなる傾向があるので11月はそんなに難しい選題は避けています。と言っても今回はそんなに易しくしたつもりは無かったのですが...。

るかなんさん「なんとか全題回答。さて年賀詰は何問出るのやら。」

■現時点では投稿締め切りまであと数日ありますが、先月からは担当作が1作増えて1作削ったので問題数としては9題のままです。元日出題と1月中旬出題の2回に分けての出題を予定していて、るかなんさん作は第2弾での出題になります。

原岡望さん「自力で解いたのは2だけとは情けない。兎も角12/03解答です」

■初級は7手全29手順のおさらいだったのでしたね。

RINTAROさん「今回は2に悩まされました。」

■角右成で詰む過去作は7手~10手作にありますが、▲76玉の形は初めてなのでこの形が閃くかがカギだったようです。

桝彰介さん「締め切り前ヒントのおかげか、珍しく上級が解けて中級は分かりませんでした。来年も1問でも解けたら解答を送る予定ですので、1回でも多く応募出来るよう頑張ります。」

■来年も推理将棋をよろしくお願いします。

諏訪冬葉さん「今回は「▲76歩△34歩」特集だと思ったら最後にやられました。」

■▲76歩△34歩で始まる手順は多過ぎるので余詰排除が大変。

占魚亭さん「今回は2問解答。暗算解図なので前回みたいにポカしているかも(笑)。」

■解答いただいた2問ともポカ無く正解でした。


推理将棋第168回出題全解答者: 14名

  飯山修さん  NAOさん  けいたんさん  ミニベロさん
  ほっとさん  るかなんさん  原岡望さん  RINTAROさん
  中村丈志さん  はなさかしろうさん  桝彰介さん  諏訪冬葉さん
  テイエムガンバさん  占魚亭さん

当選: るかなんさん

おめでとうございます。
賞品をお送りしますので、賞品リストから選んだご希望の賞品と送付先をメールでお知らせください


あとがき

この結果稿が2023年の最後となります。
2023年の一年間、推理将棋への投稿や解答送付、誠にありがとうございました。
来年も推理将棋をご愛顧ください。
それでは良いお年をお迎えください。

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